〜Aviation sometimes Railway 〜 航空・時々鉄道

航空や鉄道を中心とした乗り物系の話題や、「迷航空会社列伝」「東海道交通戦争」などの動画の補足説明などを中心に書いていきます。

これからの地方私鉄の車両置き換えは「中古」か「新車」か

今年3月、元JR東海の211系が三岐鉄道に回送され、大きな話題となりました。その後、大手メディアを含めた各種メディアが報じ、三岐鉄道の担当者が取材に応じたことで、この211系が三岐鉄道の車両置換え用なのが確定。今後車両整備の上、既存車両(元西武車)を順次置換えていくことになりそうです。

 

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さて、これまで地方私鉄の車両置き換えというと、大手私鉄やJRなどからの中古車両を購入と言うのが一般的でした。地方私鉄は線路規格や車両限界、カーブなどの関係から18m級車両が好まれる傾向にあり、東急や京王、東京メトロなどを中心に18m級の中古車が地方私鉄に譲渡されて第二の人生を歩んできました。近年でも東京メトロ日比谷線で使用されていた03系が長野電鉄、上毛電鉄、北陸鉄道、熊本電鉄の4社に譲渡されています。

 

ところが、近年では地方私鉄でも新車導入に踏み切るケースが増えてきました。2023年12月に伊予鉄道が、次いで2024年3月には高松琴平電気鉄道が新車導入を表明。近年、地方私鉄が新車を導入した事例は一畑電鉄や静岡鉄道の例などがありますが、ここに来て新車購入に舵を切った鉄道会社が増えてきた印象です。

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地方私鉄が新車導入に踏み切るのには、複数の理由があります。

 

1.18m級の中古車の枯渇

2.環境性能やバリアフリー、電気代削減などへの対応

3.地方私鉄の車両購入に関わる補助金の充実

 

1に関しては何となく想像が付くと思います。先に東京メトロ03系の譲渡が相次いでいると書きましたが、この車両は18m級車両の「最後の出物」かつての中古車供給元だった東急や京王では既に20m級車両に置き換わっており、数少ない18m級車両の宝庫だった東京メトロ日比谷線直通用車両も、日比谷線の20m車置き換えで今後は新たな供給が見込めません。関西私鉄や名古屋鉄道、京急や京成では未だに18m級車両が主力ですが、これらの車両は標準軌車両だったり運用年数が長かったりと、導入へのハードルが高く、新たな供給先には今後もなり得ないと思われます。

ことでんが新型車両導入に踏み切ったのも正にこれが理由であり、中古車両の価格が高騰し、新規調達が困難になった事が新車導入の決定打になったそうです。

 

2に関しては伊予鉄道が新車導入の理由として明言しています。新型車両は従来車に比べて電気代が50%削減され、LED照明や回生ブレーキなど、環境に優しい仕様となります。新造時のコストこそかかれども、環境性能が良い新型車両を思い切って導入した方が、長い目で見れば環境面や運行コストの面で有利、という経営判断になったようです。

 

3に関しては従来からの国土交通省の近代化補助に加え、環境省が鉄道の省エネ化や脱炭素化に向けた補助金制度を設けています。また、地方自治体でも鉄道存続の為に車両購入や設備近代化などで支援をするなど、以前に比べると地方鉄道の維持・再構築のための支援制度は拡充してきています。伊予鉄やことでんが新車導入に踏み切れたのも、これらの補助制度を活用できたためであり、鉄道会社単独では数億から数十億単位となる新車購入は難しかったでしょう。

 

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今後、18m級車両でないと置き換えが難しい地方私鉄は、新車導入の動きが広まるのではないかと思われます。現在、車両更新が必要な私鉄は03系や東急1000系、東武20000系などで置き換えを進めていますが、今後手頃な18m級車両が出にくくなることを考えると、新車での置換えに舵を切る会社が増えるのではないでしょうか?
実際、一畑電車も島根県などの補助を受けて新車での追加導入を進めていますし、最終的には03系での一部置き換えを決めた上毛電鉄も一時は新車購入に傾いた時期もありました。静岡鉄道のA3000系で導入例がある、総合車両製作所の「sustina」は車両プラットフォームの共通化によるコスト低減に加え、地方私鉄への導入も意識してか18m車両仕様も用意されており、地方私鉄が新車を入れる土壌は実は整いつつあるのです。

 

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では、地方私鉄での中古車導入は、今後無くなるのでしょうか?確かに18m級車両に限って言えば今後は出物は少なくなりますが、一方でJRや関東私鉄で主流となる20m級車両の方は、今後もまとまった出物が出続けると考えられます。三岐鉄道の211系の例があるように、20m級車両でも問題ない地方私鉄は今後も中古車は有力な選択肢になり続けるのではないでしょうか?

その際、中古車の供給先として有力なのがJR東海です。JR各社の中でも東海は比較的置き換えのペースが速く、実は地方私鉄への譲渡例が複数あります。今回の三岐鉄道以外にも京都丹後鉄道へのキハ85系、えちぜん鉄道への119系、ひたちなか海浜鉄道へのキハ11系、富士急行への373系の譲渡例があり、今後も211系や213系の置き換えが控えていますので、JR東海車両が地方私鉄に譲渡される事例は今後も発生する可能性があると思われます。

また、元々地方私鉄への車両譲渡に積極的だった東急電鉄も、20m級車両に関しては今後もまとまった数の廃車が発生すると思われますし、秩父鉄道や富山地鉄、長野電鉄など20m級車両の譲渡例は過去にもありますから、今後も譲渡例はあるのではないでしょうか?

今後は20m級でも構わない地方私鉄は中古車両、18m級が必須の地方私鉄は新車購入が主流になるのではと思います。ただ、20m級OKな鉄道会社でも、補助金などの支援制度があれば新車導入に踏み切るケースが出るでしょうし、逆に18m級必須な地方私鉄でも、新車購入できる程の体力が無い会社はどうにかして中古車を買おうと躍起になるかも知れません。しかし、18m級車両のタマ数が限られる現状では車両確保は容易ではなく、最悪の場合、置換えに適した車両が確保できず、路線ごと廃止・・・というケースも出てくるかも知れません。

現状、車両置き換えが必要に思われるのは青森の弘南鉄道、滋賀の近江鉄道、石川の北陸鉄道石川線などですが、いずれも公的支援が決まったり、存続に向けた話し合いが持たれた路線。特に弘南鉄道の大鰐線や北陸鉄道石川線は、鉄道廃止が議論された過去もあるだけに、車両更新も存廃論議の結果待ちという感じがありました。石川線の方は鉄道での存続が決まったので、今後車両更新の議論が進むと思われますが、大鰐線は2024年度までに経営改善が見られない場合、支援の打ち切りも示唆されていますので、予断を許さない状況です。

 

一方で最近では西武鉄道が支線用車両の置換え用に、東急電鉄と小田急電鉄から中古車両を合計100両導入すると発表しました。大手私鉄が他の大手私鉄から中古車両を購入すること自体、異例なことで世間の話題を集めましたが、以前に比べると中古車両購入に対するハードルが下がっていることの表れでしょう。地方私鉄が大手私鉄の中古車を買う、という事例は今後減っていくことが予想されますが、一方で中古車両自体には新たな動きもあり、鉄道ファン的には今後も「引退車両の第二の人生」に一喜一憂する日々が続きそうです。

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JALもA321neo発注で737との両刀遣いに。これからは両刀遣いがトレンド?

3月21日、日本航空はエアバスA350-900型21機とA321neo型11機、ボーイング787-9型10機を発注したと発表しました。このうちA350-900型1機は1月の羽田空港の事故の代替ですが、残りの20機と787-9型は北米、アジア、インドなどの国際線用、A321neoは767-300ERの代替として国内線に投入される見込みです。また、787-9の大半は子会社の長距離LCC「ZIPAIR」用になるようです。

 

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さて、A321neoと言えば既にANAが導入済みですが、以前の記事でA320と737の両方を使用する航空会社は意外に少ないという事に言及しました。

 

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ANA位の規模で両方の機種を使い続けるのはむしろ少数派だったんですが、近年の737MAXのトラブルで、むしろ単一機種(特に737MAX)に統一する方がリスクが高いという認識が広がっています。これから単通路機は737MAXとA320neoシリーズの両方を導入する会社が増えていくのではないでしょうか?その根拠と理由を考察しました。

 

・アメリカや中国のメガキャリアは両方発注済み

アメリカの3大メガキャリアのうち、ユナイテッドとアメリカンは既に737MAXとA321neoの両方を発注・就航済み。デルタ航空も当初はA320neoシリーズのみの発注で、737MAXは発注しませんでしたが、2022年7月に737-8を100機発注。将来的にはアメリカのメガキャリア3社は737MAXとA320neoの両方を保有する見込みです。

大手航空会社が6社あった時代は737のみ保有の会社(コンチネンタル・デルタ)、A320のみ保有の会社(ノースウエスト、USエアウェイズ)、両方保有の会社(アメリカン・ユナイテッド)に分かれていました。しかし、2010年代の再編統合でアメリカン、デルタ、ユナイテッドの3社に集約された結果、程度の差こそあれど3社とも737・A320の両方を保有するようになりました。

アメリカの場合、保有機数が700~900機と桁違いに多く、単一機種統一はむしろイレギュラー時のリスクが高くなります。また、単一機種統一によるコスト削減よりも、両社を競わせて値引きなどの条件を引き出す方が得策であり、無理に機種統一する必要性は少なくともアメリカのメガキャリアでは薄いのです。また、アメリカに関してはエアバスがモービルに最終組み立て工場を設置した事も、エアバス機発注に対する心理的・政治的ハードルを下げているのではと思います。

 

同じ事は中国のメガキャリア3社にも言えます。元々中国の航空会社、特に中国国際、東方、南方の元民航系大手3社は機材統一よりも国家の移行が優先される傾向にあり、機種に関しては割と雑多であまり統一感はありません。元来航空機の発注は外交的な交渉材料や貿易摩擦の緩和策として国策的に行われる事が少なからずありますが、特に中国の場合は有効な「外交カード」として使われます。航空機発注の見返りに現地企業との合弁や航空機技術の供与、あるいは他の分野での交換条件などで使われるケースが多く、結果的に大手三社の機種構成は雑多でA320と737の両方が当たり前のように使われています。

とはいえ、近年の中国大手3社はアメリカのメガキャリア3社に次ぐ規模となっており、結果的に両刀使いでも問題ないくらい大規模になっているんですが。

 

後は急速に規模を拡大しているトルコのターキッシュエアラインズも737とA320をそれぞれ100機以上保有しており、737MAXとA320neoも発注済み。一定以上の規模を持つキャリアは、今後両方の機種を導入してリスク回避をするのが主流になると思います。

 

・JALやANAと同等規模の会社も両刀使いに?

737MAXの連続事故と運航停止措置以来、徐々にではありますが、単一機種から両刀使いに切り替えていく航空会社が増えてきました。
例えば中国の厦門航空。厦門航空は元々ボーイング派で、導入した機材は全てボーイング機という筋金入りのボーイング派でしたが、米中貿易摩擦や737MAXの運航停止でボーイング機の追加購入が見通せなくなり、2020年1月にA321neo10機をリース導入すると発表しました。その後2022年9月にA320neoシリーズ40機を発注し、2023年から順次納入されるなど、エアバス機の比率が増えてきました。

また、一度はA320シリーズから737MAXへの置換え方針だったエアカナダも、2022年3月にA321XLR型26機(うち20機はリース)を発注。こちらは大西洋路線を中心に投入するつもりなので、国内線やアメリカ路線が中心の737MAXとは微妙に目的が違いますが、A220も含めるとエアカナダも両刀使いに転換したと言えます。

更に単通路機派737シリーズが中心で、2015年には737MAXも発注していた大韓航空も、2022年にA321neoの初号機を就航させてからはA321neoの発注を増やし、統合予定のアシアナ航空の機体も含めると、今後大韓航空ではA320neoシリーズが多数派になる見込みです。とは言え737-8も平行して導入し続けていますので、大韓でも737MAXとA320neoの両刀使いが定着する見込みです。

先のアメリカや中国などのメガキャリアと違い、1機種数十機クラスの会社でも両方の機種を運用する動きが増えているのも今後両刀使いが増えていくと考える理由です。

 

・単一機種に統一するリスク

では逆に単一機種に統一したままだと、どういうリスクが考えられるでしょうか?

真っ先に考えられるのは「その機種が事故や欠陥で納入・運航停止になるリスク」でしょう。古くはDC-10の運航停止措置で幹線や長距離路線で供給不足に陥ったことや、787のバッテリー問題による運航停止措置でANA(JALもですが)が国際線・国内線とも大規模運休を余儀なくされたこと、そして737MAXの運航停止で世界中の航空会社が長期間運休や老朽機の退役先延ばしを余儀なくされた事など、単一機種に統一するとその機種が使えなくなった場合、まともな運航ができずに経営に大きな影響を与えてしまうリスクがあるのです。


また、余りにも長い期間単一機種に頼りすぎると、他の機種への転換が困難になるリスクも考えられます。今後このリスクが出る航空会社の代表がアメリカのサウスウエスト航空でしょう。

航空ファンならご存じだと思いますが、サウスウエスト航空は創業期のごく一部を除いて保有機を737で統一しており、単一機材にすることで整備コストや部品調達コスト、乗務員や整備士などの訓練費用コストなどを削減して従業員の習熟スピードを上げる戦略をとっています。サウスウエストに取って737は会社のポリシーそのものであり、切っても切れない関係。単一機種でコストを削減するサウスウエストのビジネスモデルが世界のLCCのビジネスモデルのひな形となったのも有名な話です。
しかし、737MAXの事故でその強みは大きなリスクに変わってしまいました。ボーイングが737NGの後継を新設計機ではなく改良型にした理由の一つが、サウスウエストをはじめとした長年の737ユーザーの存在。彼らをつなぎ止めるために737MAXの開発に踏み切った部分は少なからずありますが、この時既に737は地上クリアランスやブレーキ性能などの問題で現代技術への対応が難しくなっており、737MAXの開発は「半ば無理矢理」な面がありました。この無理矢理な改良型開発は、言い換えればボーイングやサウスウエストから新型機開発による変革のチャンスを奪ったとも言え、結果的にサウスウエストは737シリーズと「心中」することになりそうです。

既にサウスウエストでは737MAXの納入が遅れることや、運航停止が長引くことを見越し、減便や新規採用の停止を行っているようですが、737MAXの問題は刑事事件やボーイングの品質問題に発展しており、短期間での解決は難しそうです。

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かと言ってサウスウエストが今からA320neoシリーズを発注するのも無理な話。既に737MAXの一件でA320neoシリーズは大量の受注残を抱えており、エアバスも取引実績の無いサウスウエストの大量受注を受け入れる余裕はないでしょう。仮にそれを乗り越えて発注できたとしても、長年737に慣れきったサウスウエストの従業員が操縦システムも座席配置も思想も違うエアバス機をすんなり受け入れられるかは疑問。737による単一機種でのビジネスモデルで躍進を遂げたサウスウエストですが、今後はそのビジネスモデルが自らのクビを締めるリスクも考えられるのです。

 

・単一機種が基本のLCCはどうする?

では、サウスウエストのビジネスモデルをひな形としている世界各地のLCCは、そのビジネスモデルを捨てて複数機種保有に移行するのでしょうか?基本的には単一機種のままで行くと思いますが、既に複数機種保有になっているLCCは少数ながら存在しており、今後は数百機単位の保有機を持つLCCは複数機種体制に移行する可能性があります。

複数機種保有のLCCの代表例がアメリカのジェットブルー。当初はA320のみでしたが、その後エンブラエルE190を大量発注し、2機種体制に移行。近年はE190の後継としてA220を発注しており、2機種体制は今後も続く見込みです。ジェットブルーの場合、路線特性や需要に応じて2機種を使い分けているようですが、単一機種のリスクヘッジの側面もあるでしょう。

また、大韓航空系のLCC・ジンエアーも737と777の2機種体制。ジンエアーの場合は777は高需要路線や長距離路線用であり、同様のケースはシンガポール航空系のスクートやカンタス系のジェットスター、フィリピンのセブパシフィック航空なども挙げられます。これらのケースはリスクヘッジと言うよりは、事業拡大で長距離運航可能な機材が必要になったからと言えます。

 

今のところ置換え途上での一時的な併用を除けば、LCCで737とA320の両方を保有するケースは見当たりませんが、特に737を使用しているLCCのうち保有機が数百機規模の会社は、A320との併用に踏み切るケースが出てくるかも知れません。コスト面や運用面では単一機種の方が遙かに優位ですが、737MAXのような事例が出てしまうと話は別。ひとたび運航停止に陥ってしまうと最悪の場合全便運航停止に追い込まれてしまい、倒産にも繋がりかねません。そしてそれは、一機種への依存度が高ければ高いほど、リスクも大きくなってしまうのです。

一般的には1機種で20~30機程度を運航していれば、シミュレーターを含めた機材全体の投資効果は最大限発揮できるとされ、複数機種保有もこの機数が一つの基準となるでしょう。単一機種が前提のLCCでは事情はまた違ってくると思いますが、それでも数百機単位となれば機種を増やしても投資効果的にはさほどマイナスにはならないかも知れません。今後は737MAXを大量発注しているサウスウエストやライアンエアーなどの大手LCCが、他の機種を発注するかにも注目です。

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・まとめ

以上、JALのA321neo発注に伴う、737とA320の両刀使いについて考察しました。これからは小型機の分野でも分散発注が一種のトレンドになっていく可能性は十分あると思います。特に737MAXに関しては、この機種だけに依存すること自体が大きなリスクになってしまいましたから、今後もエアバス機発注でリスクを分散する動きは続くと思います。

しかし、エアバスだけでは小型機の需要を賄えないのも事実。だからこそボーイングには全ての膿を出し切って、安全重視の昔の姿勢を取り戻して欲しいと思います。

737MAXとA320neoの両方を保有する会社が増えているのは、ボーイングと距離を置いたり、見限ったりする前兆かも知れません。だからこそ、まだ市場への影響力があるうちに、ボーイングは根本から立て直さなければいけないのです。

さもなくばボーイングに待っているのは破産か、ロッキード辺りに身売りされるか、中国のCOMACに駆逐されて消えるかでしょう。数十年前はマクドネル・ダグラスがエアバスにシェアを取られて消滅するとは誰も思わなかったように。どうか、そんな悲しい未来が訪れませんように・・・

 

最終日2週間前に最後の金沢行きサンダーバードに乗った話

今更ながら2024年最初のブログ更新になります・・・

昨日3月15日で北陸本線金沢~敦賀間のJRの営業が終了し「サンダーバード」「しらさぎ」と言った北陸特急は全て敦賀止まりとなります。今日16日からは北陸新幹線金沢~敦賀間が延伸開業し、在来線は金沢~大聖寺間が「IRいしかわ鉄道」、大聖寺~敦賀間が「ハピラインふくい」に引き継がれ、「JR北陸本線」は米原~敦賀間わずか45.9kmの北陸とはほぼ縁の無い路線になります。

 

そんな北陸民にとっては色々と歴史的な一日ですが、その約2週間前の3月2日、3日の2日間、京都に行く用事ができたので、金沢発の「サンダーバード」の乗り納めをしてきました。
まずは往路の3月2日。乗ったのは金沢13:54発のサンダーバード16号でした。

この表記も金沢では見納めです・・・

ホームに上がると、ちょうど48分発のしらさぎとの並びが。鉄道ファンとおぼしき方は勿論、観光客の方もカメラを向けていました。2週間後にはなくなる光景ですもんね・・・

この表記自体は敦賀開業後も見られますが、金沢ではもう見れません。

往路は普通車指定席ですが、列車が混雑していたため座席は撮れず。なので以前撮影した座席で代用します。サンダーバードに使われる681系や683系の座席は普通車でも結構ゆとりがあっていいんですよね。

そうしているうちに列車は金沢駅を発車。途中、加賀温泉近辺で北陸新幹線の高架が見えてきます。ここ数年は工事が進む高架線を見ながら新幹線に想いを馳せるのがお約束でしたが、今回ばかりはサンダーバードの思い出に浸りながら眺めていました。

私事で恐縮なのですが、今までの人生の中で一番乗車した特急が「サンダーバード」でした。最初に乗ったのは京都の大学に進学するとき、部屋を探しに両親と乗ったとき。初めての一人暮らしと未知の世界にワクワクしながら車窓を眺めていたことを思い出します。この頃はまだ旧型車両利用の「雷鳥」も残っていましたが、こちらは金沢止まりの列車になったため、大学4年間を通じて富山に帰省する手段と言えば、大抵サンダーバードでした。

まあ、とは言っても毎回同じ列車で満足できるわけもなく、米原まで一駅だけ新幹線に乗って「しらさぎ」で帰ったり、青春18切符を使って普通列車で帰ってみたり、新しくできた富山~大阪間の高速バスで帰ってみたり、電化された小浜線経由で帰ってみたりと、色々サンダーバード以外の帰省手段も試していましたが・・・

 

その後、ありがたいことに大学時代の友人との関係は今でも続いており、彼らに会うため年に2~3回はサンダーバードを使う機会があります。私にとってサンダーバードは大学時代の思い出の列車であり、友人達との縁を繋ぎ続ける列車でもあるのです。

そんなことを考えながら、サンダーバード16号は定刻通り京都駅に到着しました。

 

 


続いて復路。京都18:09発のサンダーバード37号です。
サンダーバード自体は敦賀まで引き続き走りますが、金沢まで乗るのもこれが最後なので、奮発してグリーン車に乗ることにしました。金沢まで約2時間ちょっと。

字幕欠けちゃってるけど、京都や大阪で「金沢」の表記はもう見れないんだよなあ・・・

早めに京都駅に来たので、一本前のサンダーバードをお見送りします。この車両は683系の初期型でしたが、3両増結されて12両編成となっており、増結車の方は681系のリニューアル車でした。681系自体はまだ「しらさぎ」で走っていますが、サンダーバードの方は683系が主体となっており、681系の方は増結車両4編成しかないので実は増結がないと見られない割とレア車両。この車両を拝めたのはラッキーでした。

 

 

橋上スペースに行く階段には敦賀開業をPRするラッピング?も。関西の方視点では時間短縮と引き換えに敦賀乗り換えが必須になりますから、手放しでは喜べないかも知れませんが・・・

 

さて、もうそろそろ列車の時間なので、案内表示板の前で待ちましょうか。「グリーン車」という響きに優越感を感じつつ、到着する列車を迎えました。私が乗る37号は683系4000番台。さっきの683系は流線型の先頭車両で6両+3両でしたが、4000番台は平面顔の9両固定編成。でもこれはこれで昔の北陸特急の定番だった485系を彷彿とさせるので好きなんですが。

 

そしてお待ちかねのグリーン車へ。サンダーバードのグリーン車は2列+1列の横3列で、足下もかなり余裕があります。足下にはフットレストもあり、テーブルは引き出し式、更に全席コンセント装備と至れり尽くせり。2015年の金沢開業後にサンダーバード用の車両は順次リニューアル工事を受けており、グリーン車に関しては全席コンセント装備となりました。一方の普通車はコンセント付きなのは壁際の席のみなので、この点は大きな差ですね。

 

 

まだ開業まで2週間近くありましたが、座席には既に敦賀駅での乗り換え方法を案内するリーフレットが設置されていました。敦賀開業後は乗り換えがどうしても必要になりますから、今から周知徹底する意味合いもあるのでしょう。

 

そして列車は定刻通り発車し、順調に金沢へと走って行きます。グリーン車の旅は快適そのもので、京都駅で買ったビールやおつまみを楽しみつつ、金沢までの最後のグリーン車を堪能していました。別に敦賀開業後もグリーン車はあるんですけど、長くても敦賀~大阪の1時間半弱ですから、余りゆっくり堪能はできなくなるんですよね。途中で乗り換えることも考えると、少なくとも関西方面に行くときはわざわざグリーン車を使うこともないかな・・・

 

福井を過ぎた辺りから歩き疲れと寝不足とグリーン車の快適さで寝落ちしてしまい、気がついたら金沢到着10分前。せっかくのグリーン車なのにもったいない気もしましたが、それだけ快適だったと言うことですし、これはこれで贅沢な体験だったのかな。

そして、列車は定刻通りに金沢に到着。私にとって最後の金沢行きサンダーバードの旅は終わりました。

金沢駅の駅名標は、既に開業後を見越して新会社のステッカーが用意されているようです。

最後に金沢駅に停車するサンダーバードを眺めます。列車以外にも頭上の停車位置表示板に、「自由席」の文字など、新幹線の延伸と共に見られなくなるものは他にも。敦賀延伸後の「サンダーバード」「しらさぎ」は全車指定席となるため、この車両での「自由席」表記も消えてしまうんですよね。ひとしきり眺めた後、新幹線に乗り換えの為に新幹線ホームへ。

これで私にとっての金沢行きサンダーバードの乗り納めは終了です。本当はたまたま最終日は会社休みでしたが、既にお別れ乗車は済ませていたこと、サンダーバード自体は敦賀~大阪間で残るため、わざわざ行くまでもないと思ったので行かず終いでした。
それでも当日の盛況ぶりはSNSやテレビなどで特集されていたので、雰囲気を味わうことはできました。いい時代になったものです。

落ち着いたら今度は敦賀までの新幹線初乗りもやってみたいですね。これで北陸三県が新幹線で繋がりましたし、今後どんな変化があるのか楽しみなところです。でももう少しだけ、北陸特急に想いを馳せて痛いところです。

 

 

 

米原~敦賀間の「しらさぎ」が残った理由を考えてみた


来年3月の金沢~敦賀延伸に向けて準備が進められる北陸新幹線。12月には詳細なダイヤも発表され、開業に対する期待は日に日に高まっていきます。

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https://www.westjr.co.jp/press/article/items/231215_00_press_daiyakaisei_hokuriku.pdf

また、当ブログでもダイヤ概要発表直前に予想記事を書きましたが、ものの見事に大ハズししておりますw

 

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で、その時に一番驚いたのが米原止まりの「しらさぎ」が敦賀短縮だけでほぼ丸々残ったこと。正直、米原止まりのしらさぎは東京方面への東海道新幹線接続列車の意味合いが強く、北陸新幹線敦賀延伸でその必要性が薄れること、残る米原~敦賀間は所要時間30分程度、走行距離45.9kmしかなく、特急としての必要性そのものも薄れることから名古屋行きだけ残して米原行きの列車は廃止になると思っていました。しかし実際は早朝深夜の1往復が廃止(快速格下げ)になっただけで、本数そのものは現在とほぼ変わりありません。

東京方面への接続需要が激減するはずなのに、なぜJR西日本は米原止まりの「しらさぎ」を丸々残したのでしょうか?今回はその理由を考察するとともに、今後も米原止まりの「しらさぎ」が走り続けるのか考えてみました。

 

理由1 福井県や敦賀市への配慮

理由を考察する、と書いておきながら、実際はこれが一番大きな理由なのではと思います。と言うのも過去福井県は「しらさぎ」の福井乗り入れ存続を求めてJRに働きかけてた時期がありましたし、敦賀市視点で見れば実は東京直通の北陸新幹線の方が「遠回りで時間もかかる上に高い」からです。

 

以前の当ブログでも書きましたが、福井県は敦賀延伸後、福井県内の特急廃止で関西・中京方面へのアクセスが不便になることなどから、サンダーバードやしらさぎの福井乗り入れを存続させようと運動を行っていました。しかし、当然ながらJRから切り離される三セクで特急を走らせ続けるのは難しいことなどから、運動は立ち消えになっていきました。今回、敦賀~米原のしらさぎが残ったのも、過去の福井県への配慮の一環なのではと思います。

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それ以上に、延伸区間の終点ともなる敦賀市への配慮の意味合いが大きいと思います。現在の東京~敦賀間は米原乗り換えが一番近く、所要時間は最短2時間40分で大抵の列車は3時間前後、料金は1万3820円ですが、敦賀延伸後の東京~敦賀間の「かがやき」は最短3時間8分、料金1万6360円と、新幹線開業で便利になるどころか逆に所要時間も料金も増えてしまいます。普通、新幹線ができれば所要時間が短縮されて利便性が上がるものですが、敦賀市に限って言えば新幹線ができたのに逆に時間がかかるという、本末転倒な事態になります。

更に言えば越前市や周辺自治体の最寄り駅となる越前たけふ駅も東京直通の列車は7往復しか無く、早朝の「かがやき」が出た後は10時台まで列車が無いどころか昼間に5往復停車する「はくたか」では3時間40分以上かかるので、時間帯によっては敦賀~米原乗り換えの方が早く東京に着くケースもあります。つまり、敦賀市や越前市などの一部地域にとっては、東京へのアクセスは引き続き米原経由の方が早いのです。

 

そんな状態で米原止まりの「しらさぎ」を廃止して「しらさぎ」の本数を半減させれば敦賀市民や越前市民の反発を受けるのは確実。JR西日本の本音は収入の大半をJR東海に持って行かれる米原廻りよりも、北陸新幹線を使って貰いたいところでしょうが、正直言って東京直通列車が必ずしも便利とは言い難い現状では理解を得られるとは考えにくいので、今回は新幹線開業による「激変緩和」を優先した、と言ったところでしょうか。

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理由2 北陸~中京圏の需要をまだ諦めていない

金沢開業時は富山~名古屋間の所要時間は減るどころかむしろ金沢乗り換えで所要時間が延び、利便性は低下してしまいました。少なくとも富山~名古屋の公共交通に関しては乗り換えなしで所要時間は余り変わらず、それでいて格安な高速バスが主流となった感があります。

今回の敦賀開業で福井~名古屋間の所要時間はほぼ変わらないものの、金沢や富山に関しては所要時間短縮になります。更に米原で東海道新幹線に乗り換えれば富山~名古屋間は2時間35分と、高速バスに比べて1時間程度短くなりますので、以前よりは競争力が上がります。

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但し、この所要時間も敦賀と米原、2カ所での乗り換えが必要ですので、所要時間が短縮されたからと言ってJRに流れるとは限りません。その不便さをカバーできるような割引切符や企画商品を用意して需要喚起できるかが課題となりますが、JRが本気で米原止まりの「しらさぎ」を残すのであれば、そのくらいのテコ入れは必要なのではないでしょうか?

 

理由3 実は米原ルート復活の布石・・・?

まあ、これは話半分程度に見て頂きたいのですが、敦賀~新大阪間が京都府内の反対運動などで未だに着工できないことから、一部沿線自治体では米原ルート復活を求める声が出始めています。米原止まりの「しらさぎ」を残したのは、米原ルートを復活させた場合の需要予測をするため・・・というのは考えすぎでしょうか。

 

まとめ

以上、敦賀~米原間の「しらさぎ」が残った理由を考察しました。実際のところ、残した最大の理由は「敦賀市民が不便にならない為」なのだと思います。

歓迎ムード一色にはなっていますが、敦賀市的には「新幹線ができても東京は近くならない」と言う水を差しかねない事実があり、一見すると短距離で無駄と思われかねない「米原しらさぎ」を残したのも、敦賀市や福井県に対するJR西日本の配慮なのかなと思います。

 

では、敦賀〜米原間の「しらさぎ」は今後も残り続けるのでしょうか?恐らくですが、今のままではいずれ減便・消滅する可能性が高いと思います。

「敦賀市的には米原廻りの方が早い」と言っても、敦賀市の人口自体が6万人強と多くは無く、周辺の南越前町や美浜町を含めても8万人程度。越前たけふ駅周辺の自治体である越前市や越前町、池田町の人口を合わせても、合計人口18万人程度の需要でしかありません。決して小さい需要ではありませんが、1時間ヘッドで特急を維持するほどの需要でないのも事実。利用率が悪ければいずれ本数削減の憂き目に遭うでしょう。

更に「しらさぎ」に使用されている681形電車も1995年~98年製と四半世紀以上経っていること、その中には北越急行直通の「はくたか」で160km/h運転を行っていた車両も含まれていて、高速走行による老朽化が進んでいると思われることからも、いずれ車両の置き換えが必要になる時が来ると思われます。

 

果たして取り替え時期になったときに、新車を製造して置換えるほどの需要が米原止まりの「しらさぎ」にあるのか。数年後にはその結論が出ると思われますが、敦賀延伸後の「しらさぎ」が抱える東京方面への接続需要を考えると、その前途は明るいとは言えません。

だからこそ北陸~中京方面の需要拡大が「しらさぎ」存続のカギとなります。ダイヤ改正以降、JR西日本が名古屋方面の企画切符や割引切符をどれだけ充実させるかで、需要取り込みの本気度と「しらさぎ」の将来が見えてくるのではないでしょうか?

 

ロールスロイスの新エンジンは電動化への危機感?

 

今年の5月から実証運転を開始しているロールスロイスの次世代エンジン・UltraFan。先日、最大出力運転に成功したというニュースが流れました。現行のトレントエンジンよりも10%効率が向上し、次世代の代替燃料(SAF)にも対応したもので、短期的には試験で得られた知見や技術をトレントにフィードバックさせますが、将来的には2030年代に登場する新しいナローボディ機やワイドボディー機への採用を目指すとしています。

 

www.aviationwire.jp

https://www.rolls-royce.com/country-sites/japan/discover/2023/rr-announces-successful-first-tests-of-ultrafan-technology-demonstrator-in-derby-uk.aspx

 

現在、二大航空機メーカーであるボーイングとエアバスの新型機はボーイングが777Xを、エアバスがA321XLRを開発中ですが、両社とも既存機種の改良型であり、A350以降、完全新設計の旅客機開発の話はこれと言ってありません。一時期ボーイングが次世代の中型旅客機として797計画を進めていたことがありましたが、737MAX問題への対応を優先するために2020年1月に計画凍結を表明。当面は同クラスの旅客機は737MAXで行くことになります。新型コロナウイルスの感染拡大で一時的に航空機需要が蒸発したこともありますが、特にボーイングは開発中の777Xをはじめ、既存機種の不具合が次々に発覚してその対応に追われているので、新型機開発どころでないのが現状です。

 

www.meihokuriku-alps.com

 

 

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航空機メーカーが新型機開発に及び腰になるもう一つの理由は、将来の航空機の電動化でしょう。ご存じの通り、航空機はジェット燃料などの化石燃料を使用しており、電動化から一番遠いところにある乗り物でしたが、近年の地球温暖化対策、特に温室効果ガス削減が叫ばれている現在、航空業界も温室効果ガスの削減を求められており、「飛び恥」運動に代表されるように、欧州などでは化石燃料を使い続ける航空機の使用がやり玉に挙げられる事がしばしばあります。ICAOも2050年までに航空機からの二酸化炭素排出量を50%削減する目標を掲げていますが、現在のエンジン技術のままでは不可能。そこで根本的な解決策として、航空機の電動化技術の研究が進められており、ボーイングやエアバスをはじめとした様々な企業で研究開発が行われています。

 

www.aero.jaxa.jp

 

とはいえ、現在はまだ航空機の完全電動化の見通しは立っておらず、特に航空機の場合は安全性が確保されない限り、実用化は不可能でしょう。少なくとも大型の旅客機では5年から10年のスパンでは実現できないと思います。ロールスロイスも大型機に関しては完全な電動化は不可能で、ハイブリッド機になるだろうという予測を立てています。

 

www.aviationwire.jp

 

とはいえ、エアバスもボーイングも次の新型機は完全電動化までは行かなくとも水素エンジンやハイブリッド機などの新技術を盛り込みたいと考えているでしょうし、実際、エアバスは2035年の「ゼロエミッション航空機」の実用化を目指しています。現在の旅客機が一定の低燃費化を進めた今、新たな旅客機開発を急ぐ必要はなく、当面は既存機種を販売しつつ、10年から15年のスパンで次世代技術の旅客機開発を進めたいと言ったところでしょうか?

news.yahoo.co.jp

 

で、本題のロールスロイスエンジンですが、SAFなどに対応したり脱炭素を目指しているものの、あくまでもUltraFanは現行のガスタービンエンジンの発展型という印象です。ロールスロイス自体が次世代の大型機はハイブリッドが主流になるという見方をしていましたが、このエンジンもハイブリッド技術搭載を見込んでのものでしょう。しかし、搭載する旅客機が決まってないのにエンジン開発を先行させるというのは、電動化に対するロールスロイスの危機感と捉えることもできます。

 

自動車でも電動化は複雑で技術力が必要な内燃機関エンジンが不要となり、ハード面でより部品点数を簡素化できるメリットがありますが、それは部品メーカーの淘汰や、完成車メーカーのエンジン技術が無に帰す事を意味します。特にハイブリッド技術で欧米メーカーに差を付けてきた日本のメーカーにとっては、完全電動化はそのアドバンテージを失うことを意味し、自動車産業全体の国際競争力を低下させる危険性もはらんでいるのです。

もし航空機の完全電動化が実現した場合、真っ先に影響を受けるのはエンジンメーカーです。航空機の中でもエンジンは最も重要性の高い部品であり、エンジンだけで一基数億から十数億する代物。部品点数も自動車とは比較にならないくらい多く、それだけ高価なものになります。それだけに航空機エンジンの電動化が進めば自動車同様部品点数の減少による部品メーカーの淘汰が進む可能性がありますし、異業種からの参入で既存エンジンメーカーの優位性が一気に崩れる可能性があります。

ロールスロイスが言うように、大型機の完全電動化自体はすぐには実現できないでしょう。しかし、航空機メーカーが電動化の研究に乗り出している以上、完全電動化は無理でも将来的に電動化の比率は上がっていくものと思われます。ロールスロイスが新たなエンジン開発を行うのも、既存のジェットエンジンの将来性に危機感を持っている表れであり、既存エンジンでもより環境負荷の低い商品を送り出してジェットエンジンの商品寿命を延ばそうとしているのではないでしょうか?自動車と同じように、航空機の分野でも、電動化と既存技術のせめぎ合いが始まっているのかも知れません。

 

 

野上電鉄の視点から補助金依存と解散騒動を考えてみた

 

先日「交通機関の栄枯盛衰」の野上電鉄編をアップしました。前後編になりますが結構ヤバい顛末なので、よろしければ是非ご覧下さい。

 


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さて、動画内では「長年の補助金依存体質が創意工夫の意欲を奪い、経営も運行も杜撰になって補助金打ち切りで逆ギレ解散」と言う書き方をしました。実際そうとしか思えない顛末だったのですが、代理の人(?)にも言わせたように、野上電鉄の経営陣にも言い分はあるはず。そこで今回は動画の補足も兼ねて、野上電鉄側の視点から補助金交付→廃線・会社解散に至った経緯と野鉄側の言い分を考察してみたいと思います。

と言うわけでここからは野鉄経営陣になったつもりで書いていきます。

 

そもそもうちらは70年代に廃線にしたかったんや!

元々ウチの会社は路線バスもあるし、鉄道は線路の維持費や車両の買い替え、電気代や変電所の維持費とかとにかくカネがかかるから早いところ辞めたかったんや。地元やって一度は廃線にOK出したやろ?つまり野鉄はあの時廃線にしてバス転換しても問題なかったんや。

それなのにちょっと客増えた途端急に手のひら返して廃線反対。こっちは廃線に向けて準備してたのに全部おじゃん。そりゃやる気にもなりませんわ。

だから欠損補助貰う段取り付けるのも嫌々電車残すんやから当然やし、一応設備更新が条件やから本数増やしたり他から中古の電車買ったりして投資はしたやろ?ワシらからすれば自治体や利用者のワガママで電車残したんやから、維持してるだけ感謝して貰いたいわ。

 

野鉄観光?あいつらに投資するカネはない!

あー、野鉄観光なあ。ワシら観光バスにはあんまり乗り気じゃないんよ。第一、会社が傾いたのは観光バスの事故が原因やし、本当に育てる気があるなら分社化なんてまどろっこしい事はせず手元に置いておくやろ?貸切バスを分社化したのはそう言う事や。

それに結果論やけど、分社化したお陰で野鉄観光は外部の資本を受け入れる事が出来たし、野鉄観光が野鉄本体の解散に巻き込まれる事もなかった。だから野鉄観光が生き残って和歌山県最大の貸切バスグループになったのも、うちらが分社化して資本を薄めたからや。

 

・・・まあ、下手に野鉄観光に稼がれて鉄道の赤字を埋められたら補助金打ち切りになり兼ねなかったからな(ボソッ


補助金依存で努力不足言うけど、どう努力せいっちゅーねん!

大体一度は廃線にするつもりだった線路なんやから、そもそも儲かるわけないんや!過疎化とマイカー依存が進む地域でしかも行政は補助金申請以外の支援もなし。うちら赤字続きで下手に黒字出したら補助金打ちきられるし、努力しようにも先立つものがないんやから努力のしようがないやろ?

それなら補助金貰ってなるべく現状維持をした方ができるだけ長く鉄道を維持できるし、実際20年近く持ったやろ?

 

うちは金ないんやし、タダって聞いたら飛びつくし新規採用も消極的になるやろ!

よく調べもせんと水間鉄道からロクに走れないボロ電車買ったって叩かれたけどな?何度も言うけどワシら金がないんや。かと言って今の電車はいい加減古いし部品もないから車両更新そのものは必要やった。

水間からの車両なら廃車になった車両から部品が取れるし、元所有者の南海でも貴志川線で同じ車両が走っとるから部品の融通が効く。水間がある貝塚市からここまではそこまで離れてないから輸送費も抑えられる。ワシらも何も考えずにあの車両買ったわけちゃうで?

 

・・・まあ、橋の方は想定外やったわ。

 

あと、鉄道に限らず第三次産業は人件費の割合が大きいから、経費を抑えるには新規採用を抑制して人が減るのを待つくらいしかできん。採用計画も無計画言うけど、国鉄やって最後の数年は新規採用ストップして自然減を待っていたし、日本では正社員の解雇はハードルが高いからな。

 

まあ、ちょっと、ほんのちょっとだけ、見通しが狂っただけや。

 

赤字や借金でクビ回らないし、そもそも電車も嫌々走らせてたし、補助金くれん言うなら解散するに決まってるやろ!

赤字続きで借金は増える一方やし、古い電車の代わりもないし新車計画の補助も断られた。そもそも電車自体ワシらが望んで続けたわけじゃないから、欠損補助が打ち切られなかったとしてもそう長く続ける事は出来なかった。

もう八方塞がりやったけど、辞めるにしても借金を返すアテもないし、当時の法律では沿線自治体の同意なしでは廃線にはできん。傷口を広げるだけやと分かっていても、惰性でも続けるしかなかったんや。

 

せやから補助金打ち切りはある意味辞めるきっかけを作ったとも言えるな。だってそうやろ?補助金出す言うからワシらは渋々電車走らせてたんやから、その補助金を出さないっちゅう事は電車を走らせる必要はない言うてるのと同じやろ?

ワシらはギリギリまで電車を走らせた。その電車が要らん言うならもう会社を残す意味もないから解散させただけの事や。行政が金を出して後始末したのも電車の存続を望んだ結果や。20年近く長く残したんやから、後片付け位してもろうてもバチは当たらんやろ。

 

まとめ

と言うわけで、野上電鉄経営陣の気持ちになって色々書いてみました。解散から30年近い月日が経った事、会社解散で資料が散逸してしまっている事などから、野鉄経営陣がどう思って会社を運営していたのか。今となっては知る術もありません。ですから今書いたことが真実かどうかは分かりませんし、ひょっとしたら実はそれなりに志を持って経営に当たっていたかも知れません。

 

・・・と思ったのですが、本当に鉄道を残そうとしていたのならこんな杜撰な経営はしていませんし、やはり何も考えてなかったか、そもそも積極的に鉄道を残す気はなかったから惰性で経営していたかでしょう。

しかし「本当は廃線にしたかったのに地元がハシゴを外した」と言う思いが根底にあったとは思いますし、それでやる気を出せという方が酷なのかもしれません。そう言う意味では野上電鉄側にも言い分はあるでしょうし、同情できる点がないとも言えません。

野上電鉄の場合は廃線を免れてめでたし、ではなく、むしろ最初のうちに廃線になっていた方がバス会社として現在も生き残れたのではないでしょうか?その点では野上電鉄も時代に翻弄された不幸な鉄道会社と言えるのかも知れません。

 

 

敦賀延伸後の北陸の列車体系を勝手に考えてみたら大ハズレだった件

来年3月の北陸新幹線敦賀延伸に向け、そろそろ開業後のダイヤがどうなるのかチラホラと憶測記事が出てくる頃。20日の富山新聞(北國新聞)でも敦賀延伸の開業日やダイヤ発表日、開業後のダイヤなどを予想した特集記事が出ました。残念ながらこの記事の電子版は有料会員のみなので誰でも見られる、と言うわけにはいきませんし詳細を書くのは控えますが、ざっくり言うと開業日は3月16日が有力では?と言うことと、開業日は大体6~7ヶ月前、ダイヤは3ヶ月前に発表されること、ダイヤに関してはかがやきは加賀温泉や小松などにも停車する可能性があり、つるぎは富山~敦賀間、はくたかはつるぎとの系統分離の観点から金沢止まりになるのでは、と言う感じです。

 

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これを受けて、と言うわけではありませんが、敦賀延伸後の新幹線、及び敦賀からの在来線特急がどうなるか、今回は勝手に考察してみたいと思います。なお、今回の予想は過去の新幹線の開業時ダイヤや旅客動向などを考慮していますが、あくまでもこれは一個人の妄想レベルなので、あまり本気にしないで下さい。

 

まず開業後の列車体系ですが、速達タイプの「かがやき」の停車駅や本数、ほぼ各駅停車型の「はくたか」と現在は富山~金沢間のシャトル列車扱いの「つるぎ」の棲み分け、「はくたか」の運転区間をどこまでにするか、大阪・名古屋方面の特急、特に「しらさぎ」の運転本数及び運転区間をどうするかで、列車体系も変わってくると思います。まずはその点を整理していきましょう。

 

1.「かがやき」「はくたか」の本数と停車駅

かがやきの運転区間は東京~敦賀でほぼ間違いないと思います。金沢止まりの列車も一部設定される可能性はありますが、福井駅に待避設備や折り返し設備が設けられないこと、東京~福井県内の速達性を考えると「かがやき」を敦賀まで通し運転した方が車両運用面や速達性、緩急分離の観点からも都合が良いからです。東北新幹線も「やまびこ」が東京〜仙台・盛岡間の各駅又は一部通過型、「はやぶさ」が盛岡以北の列車かつ速達型と言う棲み分けですし、「かがやき」「はくたか」も同様の棲み分けにするのではと思います。

本数に関しては現在は昼間の列車は運転されていませんが、福井県内の需要も取り込むとなると、昼間も含めた1時間に1本の運転に変更するのではと思います。

一方の「はくたか」ですが、基本金沢止まりにして「かがやき」の補完及び「かがやき」が止まらない駅の需要を担当、という位置づけになるでしょう。こちらも1時間おきの運転で、昼間の分は現在の「あさま」を金沢まで延長と言う形になるのではと思います。

問題は金沢以西の停車駅。速達列車の観点から言えば金沢~敦賀間も福井のみの停車にしたいところですが、「はくたか」を金沢止まりにしたら東京方面の列車は全部通過になりますから、流石にそれはないのではと思います。

手法としては「はやぶさ」のように福井のみ停車の速達型と金沢以西全部停車の各駅型を交互に運行させるパターンか、ビジネス重視の小松・福井・越前たけふ停車の列車と観光重視の加賀温泉・芦原温泉・福井停車の列車を交互に運行させる千鳥停車型を取るかになるのではないでしょうか。但し、千鳥停車型でも朝夕に速達型を設定する可能性はあると思います。

 

2.「かがやき」「はくたか」「つるぎ」の棲み分け

「つるぎ」に関しては富山~敦賀間に運転区間を延長すると思いますが、問題は富山~敦賀間で運転区間が重複する「かがやき」との整合性。「かがやき」に大阪・名古屋方面への特急アクセスの性格を持たせることもできると思いますが、恐らくそれはやらないのではと思います。

過去の大阪・名古屋特急の運転区間を見ても富山・金沢発着と北陸3県の需要を満たす事だけを考えており、東京方面への需要を受け持っていた特急「はくたか」とは運転系統が完全に分断されていました。通し運転にしてしまうと富山〜福井辺りで東京方面の利用者と大阪・名古屋方面の利用者がバッティングして混雑が酷くなる上に、何らかの理由で列車が遅れると終着地や接続列車にまで波及してしまい、ダイヤの乱れがより広範囲かつ深刻なものになるからです。

新幹線の場合、在来線よりは遅れる要素は少ないですが、それでも上記の問題は残ります。ダイヤ調整上、結果的に「かがやき」で接続可能な列車は出てくると思いますが、基本的にはアクセス列車としての役割は「つるぎ」が担うのではないでしょうか?

また、はくたかに関しては基本金沢止まりになると考えていますので、今以上に東京〜長野・北陸間の需要を受け持つ列車と言う性格が強まり、つるぎとはバッティングしないのではと思います。

 

3.敦賀~大阪・名古屋間の特急の本数と運転区間

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現在、大阪方面へは「サンダーバード」が金沢〜大阪間で23往復前後、名古屋方面は「しらさぎ」が金沢〜名古屋間8往復、金沢〜米原間8往復運転されています。敦賀開業後、単純にこれらの列車が敦賀止まりになる、とはならないと思います。

まず大阪方面ですが、現状は概ね朝夕30分ヘッド、昼間1時間ヘッドですが、敦賀開業後は金沢や富山は30分程度の短縮が見込まれますので、需要増加や大阪方面へのテコ入れとして完全30分ヘッドにしてもおかしくないと思います。むしろ昼間1時間ヘッドだと接続する「つるぎ」を富山まで全駅停めなくてはいけないので、ある程度の速達化を図るためにも30分ヘッドにして停車駅を千鳥停車にするか、片方速達・片方各駅にして役割分担させた方が速達性の面でも優位になるのではないでしょうか?

 

問題は名古屋方面。今の「しらさぎ」は北陸〜名古屋間の需要と言うよりは主に福井県〜東京へのアクセス列車の性格が強く、敦賀延伸後はこの需要はほぼ消滅します。

更に残る名古屋方面への需要も少なくとも富山〜名古屋は高速バス優位ですし、元々名古屋へは米原で東海道新幹線乗り換えの方が早 敦賀延伸後は2回の乗り換えと実質値上げで更に敬遠されてしまいそうです。

この為「しらさぎ」は名古屋行きの8往復のみ存続し、米原止まりの列車は全て廃止になると思います。接続する「つるぎ」に関しても「しらさぎ」単独では設定されず、大阪方面の列車とセットになると思われます。

 

 

で、北陸の列車体系を勝手に予想した

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これらを踏まえた上で敦賀延伸後の北陸新幹線と在来線特急のダイヤを予想します。

 

「かがやき」東京〜敦賀15往復、東京〜金沢1往復

「はくたか」東京〜金沢14往復、長野〜金沢1往復

「あさま」東京〜長野10往復程度(朝夕中心)

「つるぎ」富山〜敦賀25〜30往復

「サンダーバード」敦賀〜大阪30往復前後

「しらさぎ」敦賀〜名古屋8往復

 

「つるぎ」の本数に幅を持たせたのは、敦賀乗り継ぎ用列車の役割の一部を敦賀直通の「かがやき」に持たせる可能性を考慮した為。

東京〜大宮間の線路容量を考えると北陸新幹線自体の大幅な増発は難しく、「かがやき」の一部を増発した代わりに「あさま」を削減、その分は長野県内通過だった昼間の「はくたか」の長野県内停車を増やす事でカバーすると思われます。

また、今以上に「かがやき」と「はくたか」「つるぎ」との緩急接続を強化し、今の富山と長野に加え、金沢でも「かがやき」と「つるぎ」の緩急接続を行う事で「かがやき」が止まらない駅の利便性を上げるのではと思います。

 

いずれにせよ、今日8月30日には新ダイヤの概要が発表されるようなので、発表後に答え合わせも兼ねて結果を加筆したいと思います。また、12月には停車駅も含めた詳しいダイヤが発表されると思いますので、その時にもう一度加筆する予定です。


【8月30日加筆】

JR西日本から運行計画の概要が発表されました。

 

先に言います。

 

大ハズししました(涙)

www.westjr.co.jp

 

かいつまんで言うとこんな感じです。

 

かがやき 東京~敦賀9往復、東京~金沢1往復

はくたか 東京~敦賀5往復、東京~金沢9往復、長野~金沢1往復

つるぎ  富山~敦賀18往復、金沢~敦賀7往復(特急接続用)

     富山~敦賀2本、金沢~敦賀1本、富山~金沢2本(特急に接続しない)

サンダーバード 敦賀~大阪25往復

しらさぎ    敦賀~名古屋8往復、敦賀~米原7往復

 

概要だけを見ると「かがやき」「はくたか」は本数は変わらず、一部が敦賀延長しただけ。「つるぎ」はほぼ「サンダーバード」の敦賀~金沢間を置換えただけとも言えますし、「サンダーバード」「しらさぎ」も敦賀以北の運転を打ち切っただけとも言え、劇的な変化はなかったなと言う印象です。というか「しらさぎ」に関しては米原行きも残すのは予想外でした。恐らく名古屋方面の乗り継ぎ需要を狙ったものと思われますが、時間的に短縮になるとは言え、2度も乗り換えが必要になるJRを積極的に使うかどうか微妙な気がしますが・・・

また、当然とも言えますが、金沢~福井間の「ダイナスター」や、金沢~敦賀間の「おはようエクスプレス」「おやすみエクスプレス」も全て廃止となり、七尾線特急も大阪直通列車が廃止されて「能登かがり火」5往復に統一されます。

 

そして、今回の改正で特筆されるのが「かがやき」の一部が福井と敦賀以外の途中駅にも停車すると言うこと。対象となる「かがやき」は4往復ですが、各駅2往復が停車とされた上で「停車または通過」と記載されていますから、利用が多く見込める時間帯に合わせて停車パターンを分けるものと思われます。

そして「つるぎ」も合計25往復中9往復が金沢~敦賀間は福井のみ停車となり、「つるぎ」としては初めて通過駅が発生することになります。一方の「はくたか」は、敦賀直通の5往復は上田や佐久平と言った長野県内の途中駅を通過するタイプなので、恐らく昼間の列車がそのまま敦賀行きになるものと思われます。こうしたことから「はくたか」と「つるぎ」は単純に運転区間だけの違いになると思われます。

 

今後は12月に発表されるであろう詳細なダイヤや、乗り継ぎ料金も含めた運賃体系に注目でしょう。ここで特に北陸~中京圏の需要取り込みにどこまで本気なのかが分かると思います。接続時間を極力短くするダイヤなら本気度の高さが窺えますし、逆に大阪方面の特急を優先させて「しらさぎ」の乗り継ぎ時間が延びるようなら、いずれ中京圏への特急は先細りになると思います。また、今回は余り触れられていませんが、敦賀開業で関西圏~長野方面へは北陸廻りの方が時間的に優位になるので、この辺りの需要を取り込むために何か手を打つのか。今後の情報に期待したいところです。