〜Aviation sometimes Railway 〜 航空・時々鉄道

航空や鉄道を中心とした乗り物系の話題や、「迷航空会社列伝」「東海道交通戦争」などの動画の補足説明などを中心に書いていきます。

米原~敦賀間の「しらさぎ」が残った理由を考えてみた


来年3月の金沢~敦賀延伸に向けて準備が進められる北陸新幹線。12月には詳細なダイヤも発表され、開業に対する期待は日に日に高まっていきます。

www.westjr.co.jp

https://www.westjr.co.jp/press/article/items/231215_00_press_daiyakaisei_hokuriku.pdf

また、当ブログでもダイヤ概要発表直前に予想記事を書きましたが、ものの見事に大ハズししておりますw

 

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で、その時に一番驚いたのが米原止まりの「しらさぎ」が敦賀短縮だけでほぼ丸々残ったこと。正直、米原止まりのしらさぎは東京方面への東海道新幹線接続列車の意味合いが強く、北陸新幹線敦賀延伸でその必要性が薄れること、残る米原~敦賀間は所要時間30分程度、走行距離45.9kmしかなく、特急としての必要性そのものも薄れることから名古屋行きだけ残して米原行きの列車は廃止になると思っていました。しかし実際は早朝深夜の1往復が廃止(快速格下げ)になっただけで、本数そのものは現在とほぼ変わりありません。

東京方面への接続需要が激減するはずなのに、なぜJR西日本は米原止まりの「しらさぎ」を丸々残したのでしょうか?今回はその理由を考察するとともに、今後も米原止まりの「しらさぎ」が走り続けるのか考えてみました。

 

理由1 福井県や敦賀市への配慮

理由を考察する、と書いておきながら、実際はこれが一番大きな理由なのではと思います。と言うのも過去福井県は「しらさぎ」の福井乗り入れ存続を求めてJRに働きかけてた時期がありましたし、敦賀市視点で見れば実は東京直通の北陸新幹線の方が「遠回りで時間もかかる上に高い」からです。

 

以前の当ブログでも書きましたが、福井県は敦賀延伸後、福井県内の特急廃止で関西・中京方面へのアクセスが不便になることなどから、サンダーバードやしらさぎの福井乗り入れを存続させようと運動を行っていました。しかし、当然ながらJRから切り離される三セクで特急を走らせ続けるのは難しいことなどから、運動は立ち消えになっていきました。今回、敦賀~米原のしらさぎが残ったのも、過去の福井県への配慮の一環なのではと思います。

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それ以上に、延伸区間の終点ともなる敦賀市への配慮の意味合いが大きいと思います。現在の東京~敦賀間は米原乗り換えが一番近く、所要時間は最短2時間40分で大抵の列車は3時間前後、料金は1万3820円ですが、敦賀延伸後の東京~敦賀間の「かがやき」は最短3時間8分、料金1万6360円と、新幹線開業で便利になるどころか逆に所要時間も料金も増えてしまいます。普通、新幹線ができれば所要時間が短縮されて利便性が上がるものですが、敦賀市に限って言えば新幹線ができたのに逆に時間がかかるという、本末転倒な事態になります。

更に言えば越前市や周辺自治体の最寄り駅となる越前たけふ駅も東京直通の列車は7往復しか無く、早朝の「かがやき」が出た後は10時台まで列車が無いどころか昼間に5往復停車する「はくたか」では3時間40分以上かかるので、時間帯によっては敦賀~米原乗り換えの方が早く東京に着くケースもあります。つまり、敦賀市や越前市などの一部地域にとっては、東京へのアクセスは引き続き米原経由の方が早いのです。

 

そんな状態で米原止まりの「しらさぎ」を廃止して「しらさぎ」の本数を半減させれば敦賀市民や越前市民の反発を受けるのは確実。JR西日本の本音は収入の大半をJR東海に持って行かれる米原廻りよりも、北陸新幹線を使って貰いたいところでしょうが、正直言って東京直通列車が必ずしも便利とは言い難い現状では理解を得られるとは考えにくいので、今回は新幹線開業による「激変緩和」を優先した、と言ったところでしょうか。

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理由2 北陸~中京圏の需要をまだ諦めていない

金沢開業時は富山~名古屋間の所要時間は減るどころかむしろ金沢乗り換えで所要時間が延び、利便性は低下してしまいました。少なくとも富山~名古屋の公共交通に関しては乗り換えなしで所要時間は余り変わらず、それでいて格安な高速バスが主流となった感があります。

今回の敦賀開業で福井~名古屋間の所要時間はほぼ変わらないものの、金沢や富山に関しては所要時間短縮になります。更に米原で東海道新幹線に乗り換えれば富山~名古屋間は2時間35分と、高速バスに比べて1時間程度短くなりますので、以前よりは競争力が上がります。

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但し、この所要時間も敦賀と米原、2カ所での乗り換えが必要ですので、所要時間が短縮されたからと言ってJRに流れるとは限りません。その不便さをカバーできるような割引切符や企画商品を用意して需要喚起できるかが課題となりますが、JRが本気で米原止まりの「しらさぎ」を残すのであれば、そのくらいのテコ入れは必要なのではないでしょうか?

 

理由3 実は米原ルート復活の布石・・・?

まあ、これは話半分程度に見て頂きたいのですが、敦賀~新大阪間が京都府内の反対運動などで未だに着工できないことから、一部沿線自治体では米原ルート復活を求める声が出始めています。米原止まりの「しらさぎ」を残したのは、米原ルートを復活させた場合の需要予測をするため・・・というのは考えすぎでしょうか。

 

まとめ

以上、敦賀~米原間の「しらさぎ」が残った理由を考察しました。実際のところ、残した最大の理由は「敦賀市民が不便にならない為」なのだと思います。

歓迎ムード一色にはなっていますが、敦賀市的には「新幹線ができても東京は近くならない」と言う水を差しかねない事実があり、一見すると短距離で無駄と思われかねない「米原しらさぎ」を残したのも、敦賀市や福井県に対するJR西日本の配慮なのかなと思います。

 

では、敦賀〜米原間の「しらさぎ」は今後も残り続けるのでしょうか?恐らくですが、今のままではいずれ減便・消滅する可能性が高いと思います。

「敦賀市的には米原廻りの方が早い」と言っても、敦賀市の人口自体が6万人強と多くは無く、周辺の南越前町や美浜町を含めても8万人程度。越前たけふ駅周辺の自治体である越前市や越前町、池田町の人口を合わせても、合計人口18万人程度の需要でしかありません。決して小さい需要ではありませんが、1時間ヘッドで特急を維持するほどの需要でないのも事実。利用率が悪ければいずれ本数削減の憂き目に遭うでしょう。

更に「しらさぎ」に使用されている681形電車も1995年~98年製と四半世紀以上経っていること、その中には北越急行直通の「はくたか」で160km/h運転を行っていた車両も含まれていて、高速走行による老朽化が進んでいると思われることからも、いずれ車両の置き換えが必要になる時が来ると思われます。

 

果たして取り替え時期になったときに、新車を製造して置換えるほどの需要が米原止まりの「しらさぎ」にあるのか。数年後にはその結論が出ると思われますが、敦賀延伸後の「しらさぎ」が抱える東京方面への接続需要を考えると、その前途は明るいとは言えません。

だからこそ北陸~中京方面の需要拡大が「しらさぎ」存続のカギとなります。ダイヤ改正以降、JR西日本が名古屋方面の企画切符や割引切符をどれだけ充実させるかで、需要取り込みの本気度と「しらさぎ」の将来が見えてくるのではないでしょうか?

 

ロールスロイスの新エンジンは電動化への危機感?

 

今年の5月から実証運転を開始しているロールスロイスの次世代エンジン・UltraFan。先日、最大出力運転に成功したというニュースが流れました。現行のトレントエンジンよりも10%効率が向上し、次世代の代替燃料(SAF)にも対応したもので、短期的には試験で得られた知見や技術をトレントにフィードバックさせますが、将来的には2030年代に登場する新しいナローボディ機やワイドボディー機への採用を目指すとしています。

 

www.aviationwire.jp

https://www.rolls-royce.com/country-sites/japan/discover/2023/rr-announces-successful-first-tests-of-ultrafan-technology-demonstrator-in-derby-uk.aspx

 

現在、二大航空機メーカーであるボーイングとエアバスの新型機はボーイングが777Xを、エアバスがA321XLRを開発中ですが、両社とも既存機種の改良型であり、A350以降、完全新設計の旅客機開発の話はこれと言ってありません。一時期ボーイングが次世代の中型旅客機として797計画を進めていたことがありましたが、737MAX問題への対応を優先するために2020年1月に計画凍結を表明。当面は同クラスの旅客機は737MAXで行くことになります。新型コロナウイルスの感染拡大で一時的に航空機需要が蒸発したこともありますが、特にボーイングは開発中の777Xをはじめ、既存機種の不具合が次々に発覚してその対応に追われているので、新型機開発どころでないのが現状です。

 

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航空機メーカーが新型機開発に及び腰になるもう一つの理由は、将来の航空機の電動化でしょう。ご存じの通り、航空機はジェット燃料などの化石燃料を使用しており、電動化から一番遠いところにある乗り物でしたが、近年の地球温暖化対策、特に温室効果ガス削減が叫ばれている現在、航空業界も温室効果ガスの削減を求められており、「飛び恥」運動に代表されるように、欧州などでは化石燃料を使い続ける航空機の使用がやり玉に挙げられる事がしばしばあります。ICAOも2050年までに航空機からの二酸化炭素排出量を50%削減する目標を掲げていますが、現在のエンジン技術のままでは不可能。そこで根本的な解決策として、航空機の電動化技術の研究が進められており、ボーイングやエアバスをはじめとした様々な企業で研究開発が行われています。

 

www.aero.jaxa.jp

 

とはいえ、現在はまだ航空機の完全電動化の見通しは立っておらず、特に航空機の場合は安全性が確保されない限り、実用化は不可能でしょう。少なくとも大型の旅客機では5年から10年のスパンでは実現できないと思います。ロールスロイスも大型機に関しては完全な電動化は不可能で、ハイブリッド機になるだろうという予測を立てています。

 

www.aviationwire.jp

 

とはいえ、エアバスもボーイングも次の新型機は完全電動化までは行かなくとも水素エンジンやハイブリッド機などの新技術を盛り込みたいと考えているでしょうし、実際、エアバスは2035年の「ゼロエミッション航空機」の実用化を目指しています。現在の旅客機が一定の低燃費化を進めた今、新たな旅客機開発を急ぐ必要はなく、当面は既存機種を販売しつつ、10年から15年のスパンで次世代技術の旅客機開発を進めたいと言ったところでしょうか?

news.yahoo.co.jp

 

で、本題のロールスロイスエンジンですが、SAFなどに対応したり脱炭素を目指しているものの、あくまでもUltraFanは現行のガスタービンエンジンの発展型という印象です。ロールスロイス自体が次世代の大型機はハイブリッドが主流になるという見方をしていましたが、このエンジンもハイブリッド技術搭載を見込んでのものでしょう。しかし、搭載する旅客機が決まってないのにエンジン開発を先行させるというのは、電動化に対するロールスロイスの危機感と捉えることもできます。

 

自動車でも電動化は複雑で技術力が必要な内燃機関エンジンが不要となり、ハード面でより部品点数を簡素化できるメリットがありますが、それは部品メーカーの淘汰や、完成車メーカーのエンジン技術が無に帰す事を意味します。特にハイブリッド技術で欧米メーカーに差を付けてきた日本のメーカーにとっては、完全電動化はそのアドバンテージを失うことを意味し、自動車産業全体の国際競争力を低下させる危険性もはらんでいるのです。

もし航空機の完全電動化が実現した場合、真っ先に影響を受けるのはエンジンメーカーです。航空機の中でもエンジンは最も重要性の高い部品であり、エンジンだけで一基数億から十数億する代物。部品点数も自動車とは比較にならないくらい多く、それだけ高価なものになります。それだけに航空機エンジンの電動化が進めば自動車同様部品点数の減少による部品メーカーの淘汰が進む可能性がありますし、異業種からの参入で既存エンジンメーカーの優位性が一気に崩れる可能性があります。

ロールスロイスが言うように、大型機の完全電動化自体はすぐには実現できないでしょう。しかし、航空機メーカーが電動化の研究に乗り出している以上、完全電動化は無理でも将来的に電動化の比率は上がっていくものと思われます。ロールスロイスが新たなエンジン開発を行うのも、既存のジェットエンジンの将来性に危機感を持っている表れであり、既存エンジンでもより環境負荷の低い商品を送り出してジェットエンジンの商品寿命を延ばそうとしているのではないでしょうか?自動車と同じように、航空機の分野でも、電動化と既存技術のせめぎ合いが始まっているのかも知れません。

 

 

野上電鉄の視点から補助金依存と解散騒動を考えてみた

 

先日「交通機関の栄枯盛衰」の野上電鉄編をアップしました。前後編になりますが結構ヤバい顛末なので、よろしければ是非ご覧下さい。

 


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さて、動画内では「長年の補助金依存体質が創意工夫の意欲を奪い、経営も運行も杜撰になって補助金打ち切りで逆ギレ解散」と言う書き方をしました。実際そうとしか思えない顛末だったのですが、代理の人(?)にも言わせたように、野上電鉄の経営陣にも言い分はあるはず。そこで今回は動画の補足も兼ねて、野上電鉄側の視点から補助金交付→廃線・会社解散に至った経緯と野鉄側の言い分を考察してみたいと思います。

と言うわけでここからは野鉄経営陣になったつもりで書いていきます。

 

そもそもうちらは70年代に廃線にしたかったんや!

元々ウチの会社は路線バスもあるし、鉄道は線路の維持費や車両の買い替え、電気代や変電所の維持費とかとにかくカネがかかるから早いところ辞めたかったんや。地元やって一度は廃線にOK出したやろ?つまり野鉄はあの時廃線にしてバス転換しても問題なかったんや。

それなのにちょっと客増えた途端急に手のひら返して廃線反対。こっちは廃線に向けて準備してたのに全部おじゃん。そりゃやる気にもなりませんわ。

だから欠損補助貰う段取り付けるのも嫌々電車残すんやから当然やし、一応設備更新が条件やから本数増やしたり他から中古の電車買ったりして投資はしたやろ?ワシらからすれば自治体や利用者のワガママで電車残したんやから、維持してるだけ感謝して貰いたいわ。

 

野鉄観光?あいつらに投資するカネはない!

あー、野鉄観光なあ。ワシら観光バスにはあんまり乗り気じゃないんよ。第一、会社が傾いたのは観光バスの事故が原因やし、本当に育てる気があるなら分社化なんてまどろっこしい事はせず手元に置いておくやろ?貸切バスを分社化したのはそう言う事や。

それに結果論やけど、分社化したお陰で野鉄観光は外部の資本を受け入れる事が出来たし、野鉄観光が野鉄本体の解散に巻き込まれる事もなかった。だから野鉄観光が生き残って和歌山県最大の貸切バスグループになったのも、うちらが分社化して資本を薄めたからや。

 

・・・まあ、下手に野鉄観光に稼がれて鉄道の赤字を埋められたら補助金打ち切りになり兼ねなかったからな(ボソッ


補助金依存で努力不足言うけど、どう努力せいっちゅーねん!

大体一度は廃線にするつもりだった線路なんやから、そもそも儲かるわけないんや!過疎化とマイカー依存が進む地域でしかも行政は補助金申請以外の支援もなし。うちら赤字続きで下手に黒字出したら補助金打ちきられるし、努力しようにも先立つものがないんやから努力のしようがないやろ?

それなら補助金貰ってなるべく現状維持をした方ができるだけ長く鉄道を維持できるし、実際20年近く持ったやろ?

 

うちは金ないんやし、タダって聞いたら飛びつくし新規採用も消極的になるやろ!

よく調べもせんと水間鉄道からロクに走れないボロ電車買ったって叩かれたけどな?何度も言うけどワシら金がないんや。かと言って今の電車はいい加減古いし部品もないから車両更新そのものは必要やった。

水間からの車両なら廃車になった車両から部品が取れるし、元所有者の南海でも貴志川線で同じ車両が走っとるから部品の融通が効く。水間がある貝塚市からここまではそこまで離れてないから輸送費も抑えられる。ワシらも何も考えずにあの車両買ったわけちゃうで?

 

・・・まあ、橋の方は想定外やったわ。

 

あと、鉄道に限らず第三次産業は人件費の割合が大きいから、経費を抑えるには新規採用を抑制して人が減るのを待つくらいしかできん。採用計画も無計画言うけど、国鉄やって最後の数年は新規採用ストップして自然減を待っていたし、日本では正社員の解雇はハードルが高いからな。

 

まあ、ちょっと、ほんのちょっとだけ、見通しが狂っただけや。

 

赤字や借金でクビ回らないし、そもそも電車も嫌々走らせてたし、補助金くれん言うなら解散するに決まってるやろ!

赤字続きで借金は増える一方やし、古い電車の代わりもないし新車計画の補助も断られた。そもそも電車自体ワシらが望んで続けたわけじゃないから、欠損補助が打ち切られなかったとしてもそう長く続ける事は出来なかった。

もう八方塞がりやったけど、辞めるにしても借金を返すアテもないし、当時の法律では沿線自治体の同意なしでは廃線にはできん。傷口を広げるだけやと分かっていても、惰性でも続けるしかなかったんや。

 

せやから補助金打ち切りはある意味辞めるきっかけを作ったとも言えるな。だってそうやろ?補助金出す言うからワシらは渋々電車走らせてたんやから、その補助金を出さないっちゅう事は電車を走らせる必要はない言うてるのと同じやろ?

ワシらはギリギリまで電車を走らせた。その電車が要らん言うならもう会社を残す意味もないから解散させただけの事や。行政が金を出して後始末したのも電車の存続を望んだ結果や。20年近く長く残したんやから、後片付け位してもろうてもバチは当たらんやろ。

 

まとめ

と言うわけで、野上電鉄経営陣の気持ちになって色々書いてみました。解散から30年近い月日が経った事、会社解散で資料が散逸してしまっている事などから、野鉄経営陣がどう思って会社を運営していたのか。今となっては知る術もありません。ですから今書いたことが真実かどうかは分かりませんし、ひょっとしたら実はそれなりに志を持って経営に当たっていたかも知れません。

 

・・・と思ったのですが、本当に鉄道を残そうとしていたのならこんな杜撰な経営はしていませんし、やはり何も考えてなかったか、そもそも積極的に鉄道を残す気はなかったから惰性で経営していたかでしょう。

しかし「本当は廃線にしたかったのに地元がハシゴを外した」と言う思いが根底にあったとは思いますし、それでやる気を出せという方が酷なのかもしれません。そう言う意味では野上電鉄側にも言い分はあるでしょうし、同情できる点がないとも言えません。

野上電鉄の場合は廃線を免れてめでたし、ではなく、むしろ最初のうちに廃線になっていた方がバス会社として現在も生き残れたのではないでしょうか?その点では野上電鉄も時代に翻弄された不幸な鉄道会社と言えるのかも知れません。

 

 

敦賀延伸後の北陸の列車体系を勝手に考えてみたら大ハズレだった件

来年3月の北陸新幹線敦賀延伸に向け、そろそろ開業後のダイヤがどうなるのかチラホラと憶測記事が出てくる頃。20日の富山新聞(北國新聞)でも敦賀延伸の開業日やダイヤ発表日、開業後のダイヤなどを予想した特集記事が出ました。残念ながらこの記事の電子版は有料会員のみなので誰でも見られる、と言うわけにはいきませんし詳細を書くのは控えますが、ざっくり言うと開業日は3月16日が有力では?と言うことと、開業日は大体6~7ヶ月前、ダイヤは3ヶ月前に発表されること、ダイヤに関してはかがやきは加賀温泉や小松などにも停車する可能性があり、つるぎは富山~敦賀間、はくたかはつるぎとの系統分離の観点から金沢止まりになるのでは、と言う感じです。

 

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これを受けて、と言うわけではありませんが、敦賀延伸後の新幹線、及び敦賀からの在来線特急がどうなるか、今回は勝手に考察してみたいと思います。なお、今回の予想は過去の新幹線の開業時ダイヤや旅客動向などを考慮していますが、あくまでもこれは一個人の妄想レベルなので、あまり本気にしないで下さい。

 

まず開業後の列車体系ですが、速達タイプの「かがやき」の停車駅や本数、ほぼ各駅停車型の「はくたか」と現在は富山~金沢間のシャトル列車扱いの「つるぎ」の棲み分け、「はくたか」の運転区間をどこまでにするか、大阪・名古屋方面の特急、特に「しらさぎ」の運転本数及び運転区間をどうするかで、列車体系も変わってくると思います。まずはその点を整理していきましょう。

 

1.「かがやき」「はくたか」の本数と停車駅

かがやきの運転区間は東京~敦賀でほぼ間違いないと思います。金沢止まりの列車も一部設定される可能性はありますが、福井駅に待避設備や折り返し設備が設けられないこと、東京~福井県内の速達性を考えると「かがやき」を敦賀まで通し運転した方が車両運用面や速達性、緩急分離の観点からも都合が良いからです。東北新幹線も「やまびこ」が東京〜仙台・盛岡間の各駅又は一部通過型、「はやぶさ」が盛岡以北の列車かつ速達型と言う棲み分けですし、「かがやき」「はくたか」も同様の棲み分けにするのではと思います。

本数に関しては現在は昼間の列車は運転されていませんが、福井県内の需要も取り込むとなると、昼間も含めた1時間に1本の運転に変更するのではと思います。

一方の「はくたか」ですが、基本金沢止まりにして「かがやき」の補完及び「かがやき」が止まらない駅の需要を担当、という位置づけになるでしょう。こちらも1時間おきの運転で、昼間の分は現在の「あさま」を金沢まで延長と言う形になるのではと思います。

問題は金沢以西の停車駅。速達列車の観点から言えば金沢~敦賀間も福井のみの停車にしたいところですが、「はくたか」を金沢止まりにしたら東京方面の列車は全部通過になりますから、流石にそれはないのではと思います。

手法としては「はやぶさ」のように福井のみ停車の速達型と金沢以西全部停車の各駅型を交互に運行させるパターンか、ビジネス重視の小松・福井・越前たけふ停車の列車と観光重視の加賀温泉・芦原温泉・福井停車の列車を交互に運行させる千鳥停車型を取るかになるのではないでしょうか。但し、千鳥停車型でも朝夕に速達型を設定する可能性はあると思います。

 

2.「かがやき」「はくたか」「つるぎ」の棲み分け

「つるぎ」に関しては富山~敦賀間に運転区間を延長すると思いますが、問題は富山~敦賀間で運転区間が重複する「かがやき」との整合性。「かがやき」に大阪・名古屋方面への特急アクセスの性格を持たせることもできると思いますが、恐らくそれはやらないのではと思います。

過去の大阪・名古屋特急の運転区間を見ても富山・金沢発着と北陸3県の需要を満たす事だけを考えており、東京方面への需要を受け持っていた特急「はくたか」とは運転系統が完全に分断されていました。通し運転にしてしまうと富山〜福井辺りで東京方面の利用者と大阪・名古屋方面の利用者がバッティングして混雑が酷くなる上に、何らかの理由で列車が遅れると終着地や接続列車にまで波及してしまい、ダイヤの乱れがより広範囲かつ深刻なものになるからです。

新幹線の場合、在来線よりは遅れる要素は少ないですが、それでも上記の問題は残ります。ダイヤ調整上、結果的に「かがやき」で接続可能な列車は出てくると思いますが、基本的にはアクセス列車としての役割は「つるぎ」が担うのではないでしょうか?

また、はくたかに関しては基本金沢止まりになると考えていますので、今以上に東京〜長野・北陸間の需要を受け持つ列車と言う性格が強まり、つるぎとはバッティングしないのではと思います。

 

3.敦賀~大阪・名古屋間の特急の本数と運転区間

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現在、大阪方面へは「サンダーバード」が金沢〜大阪間で23往復前後、名古屋方面は「しらさぎ」が金沢〜名古屋間8往復、金沢〜米原間8往復運転されています。敦賀開業後、単純にこれらの列車が敦賀止まりになる、とはならないと思います。

まず大阪方面ですが、現状は概ね朝夕30分ヘッド、昼間1時間ヘッドですが、敦賀開業後は金沢や富山は30分程度の短縮が見込まれますので、需要増加や大阪方面へのテコ入れとして完全30分ヘッドにしてもおかしくないと思います。むしろ昼間1時間ヘッドだと接続する「つるぎ」を富山まで全駅停めなくてはいけないので、ある程度の速達化を図るためにも30分ヘッドにして停車駅を千鳥停車にするか、片方速達・片方各駅にして役割分担させた方が速達性の面でも優位になるのではないでしょうか?

 

問題は名古屋方面。今の「しらさぎ」は北陸〜名古屋間の需要と言うよりは主に福井県〜東京へのアクセス列車の性格が強く、敦賀延伸後はこの需要はほぼ消滅します。

更に残る名古屋方面への需要も少なくとも富山〜名古屋は高速バス優位ですし、元々名古屋へは米原で東海道新幹線乗り換えの方が早 敦賀延伸後は2回の乗り換えと実質値上げで更に敬遠されてしまいそうです。

この為「しらさぎ」は名古屋行きの8往復のみ存続し、米原止まりの列車は全て廃止になると思います。接続する「つるぎ」に関しても「しらさぎ」単独では設定されず、大阪方面の列車とセットになると思われます。

 

 

で、北陸の列車体系を勝手に予想した

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これらを踏まえた上で敦賀延伸後の北陸新幹線と在来線特急のダイヤを予想します。

 

「かがやき」東京〜敦賀15往復、東京〜金沢1往復

「はくたか」東京〜金沢14往復、長野〜金沢1往復

「あさま」東京〜長野10往復程度(朝夕中心)

「つるぎ」富山〜敦賀25〜30往復

「サンダーバード」敦賀〜大阪30往復前後

「しらさぎ」敦賀〜名古屋8往復

 

「つるぎ」の本数に幅を持たせたのは、敦賀乗り継ぎ用列車の役割の一部を敦賀直通の「かがやき」に持たせる可能性を考慮した為。

東京〜大宮間の線路容量を考えると北陸新幹線自体の大幅な増発は難しく、「かがやき」の一部を増発した代わりに「あさま」を削減、その分は長野県内通過だった昼間の「はくたか」の長野県内停車を増やす事でカバーすると思われます。

また、今以上に「かがやき」と「はくたか」「つるぎ」との緩急接続を強化し、今の富山と長野に加え、金沢でも「かがやき」と「つるぎ」の緩急接続を行う事で「かがやき」が止まらない駅の利便性を上げるのではと思います。

 

いずれにせよ、今日8月30日には新ダイヤの概要が発表されるようなので、発表後に答え合わせも兼ねて結果を加筆したいと思います。また、12月には停車駅も含めた詳しいダイヤが発表されると思いますので、その時にもう一度加筆する予定です。


【8月30日加筆】

JR西日本から運行計画の概要が発表されました。

 

先に言います。

 

大ハズししました(涙)

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かいつまんで言うとこんな感じです。

 

かがやき 東京~敦賀9往復、東京~金沢1往復

はくたか 東京~敦賀5往復、東京~金沢9往復、長野~金沢1往復

つるぎ  富山~敦賀18往復、金沢~敦賀7往復(特急接続用)

     富山~敦賀2本、金沢~敦賀1本、富山~金沢2本(特急に接続しない)

サンダーバード 敦賀~大阪25往復

しらさぎ    敦賀~名古屋8往復、敦賀~米原7往復

 

概要だけを見ると「かがやき」「はくたか」は本数は変わらず、一部が敦賀延長しただけ。「つるぎ」はほぼ「サンダーバード」の敦賀~金沢間を置換えただけとも言えますし、「サンダーバード」「しらさぎ」も敦賀以北の運転を打ち切っただけとも言え、劇的な変化はなかったなと言う印象です。というか「しらさぎ」に関しては米原行きも残すのは予想外でした。恐らく名古屋方面の乗り継ぎ需要を狙ったものと思われますが、時間的に短縮になるとは言え、2度も乗り換えが必要になるJRを積極的に使うかどうか微妙な気がしますが・・・

また、当然とも言えますが、金沢~福井間の「ダイナスター」や、金沢~敦賀間の「おはようエクスプレス」「おやすみエクスプレス」も全て廃止となり、七尾線特急も大阪直通列車が廃止されて「能登かがり火」5往復に統一されます。

 

そして、今回の改正で特筆されるのが「かがやき」の一部が福井と敦賀以外の途中駅にも停車すると言うこと。対象となる「かがやき」は4往復ですが、各駅2往復が停車とされた上で「停車または通過」と記載されていますから、利用が多く見込める時間帯に合わせて停車パターンを分けるものと思われます。

そして「つるぎ」も合計25往復中9往復が金沢~敦賀間は福井のみ停車となり、「つるぎ」としては初めて通過駅が発生することになります。一方の「はくたか」は、敦賀直通の5往復は上田や佐久平と言った長野県内の途中駅を通過するタイプなので、恐らく昼間の列車がそのまま敦賀行きになるものと思われます。こうしたことから「はくたか」と「つるぎ」は単純に運転区間だけの違いになると思われます。

 

今後は12月に発表されるであろう詳細なダイヤや、乗り継ぎ料金も含めた運賃体系に注目でしょう。ここで特に北陸~中京圏の需要取り込みにどこまで本気なのかが分かると思います。接続時間を極力短くするダイヤなら本気度の高さが窺えますし、逆に大阪方面の特急を優先させて「しらさぎ」の乗り継ぎ時間が延びるようなら、いずれ中京圏への特急は先細りになると思います。また、今回は余り触れられていませんが、敦賀開業で関西圏~長野方面へは北陸廻りの方が時間的に優位になるので、この辺りの需要を取り込むために何か手を打つのか。今後の情報に期待したいところです。

 

東海道新幹線の車内販売を復活させる方法を考えてみた。

 

8月8日、JR東海は10月31日をもって東海道新幹線「のぞみ」「ひかり」での車内ワゴン販売を終了すると発表しました。代替措置としてグリーン車の乗客向けにモバイル端末から飲み物や軽食等を注文できる「東海道新幹線モバイルオーダーサービス」を開始するほか、ホーム上に特に人気の高いドリップコーヒーやアイスクリームの自動販売機を設置するとしています。

 

https://jr-central.co.jp/news/release/_pdf/000042867.pdf

 

trafficnews.jp

 

販売終了の理由としては

1.駅周辺店舗の充実による飲食の車内持ち込みの増加

2.静かな車内環境を求める意見

3.将来にわたる労働力不足

の3つであり、以前のJR東日本の車内販売縮小やJR在来線特急での車内販売終了の時と違い、単なる売り上げ不振だけが理由ではなさそうです。特に3つめの労働力不足に関しては、車内販売に限らず数多くの職種で抱える問題であり、一部の鉄道会社やバス会社では運転手不足を理由にした減便が相次ぐほど。人員不足が深刻化してどうしようもなくなる前に、先手を打って辞めることにした、という印象です。

 

↓車内販売については当ブログの過去記事もご覧下さい。

www.meihokuriku-alps.com

 

 

こちらの記事では車内販売終了の理由をもう少し詳しく解説しています。それによると16両編成の東海道新幹線では車内販売が一巡するのに時間がかかり、とてもじゃないが手が回らないこと、多客期で自由席の通路に立ち客がいるとワゴンの通行すら困難で車内販売自体を打ち切ることが多々あり、車内販売サービスの実施自体が厳しい状況だったようです。

加えて車内販売担当だったパーサーを本来の業務である案内や保安業務に廻すことで、車掌2名・パーサー2名の4名業務を確実なものにして安全・安心につなげるという狙いもあるようです。車内販売の終了自体は残念ですが、旅客サービスの基本である安全・安心を最優先にするのはJR東海らしい経営判断ですし、一時的なサービス低下を覚悟の上で、従業員の負担軽減を優先するJR東海の判断自体は支持したいと思います。

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車内販売復活の条件とは?

さて、そうは言いつつもやはり人情としては車内販売はあった方が便利ですし、買い物をする時間も無く列車に飛び乗った場合、何かしら飲食物を調達できる手段があると嬉しいもの。ここからは労働力問題を解決した上で、東海道新幹線の車内販売を復活させる方法を勝手に考えていきたいと思います。まあ、一個人の素人考えですので、過度な期待はしないで下さい。

 

まず、東海道新幹線の車内販売が困難になった理由を整理すると

 

1.車内販売に廻す人員の不足

2.車両数・乗客が多すぎる故にサービスの提供が困難

3.駅ナカやホームの物販充実による収益性低下

 

の3つが挙げられます。3の理由に関しては一度脇に置いておくとして、車内販売復活のハードルとなるのはやはり人員の問題と、サービス提供のやり方でしょう。

まず従来通りの「人がワゴンを押して販売・金銭の収受・商品の受け渡しを行う」というやり方は、1と2の問題をクリアしない限り到底無理だと思います。4年前の私のブログでも車内販売問題を取り上げていますが、この時は簡素化を進めるJR東日本と充実化を図るJR東海を対比して書いており、少なくともこの時点ではJR東海は車内販売に積極的な姿勢だった事を考えると、今回の車内販売終了も積極的に無くしたいわけではなかったと思います。

となると、車内販売復活の条件は「人的な手間を極力省きつつ、公平にサービスを提供する事ができ、混雑時でも車内販売を続けられる」ことが前提となります。

 

ちなみに、この時の記事では簡素化一辺倒のJR東日本を批判的に、JR東海や西日本を好意的に書いていますが、その後JR東日本はドリップコーヒーやアイスクリームの販売を復活させるなど、車内販売のサービス内容を見直しています。結果的に車内販売を取りやめるJR東海とサービス格差が逆転することになり、正直この展開は予想外でした。

 

・・・JR東日本さん、あの時はやる気が無いとか顧客ニーズを汲み取らないとか散々言って済みませんでした。

 

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話がそれてしまいましたが、上記の条件を満たせそうな方法を3つほど考えてみました。

 

復活の方法1.車内に売店を設置

これは90年代に100系に設置されていたカフェテリアや300系に設置されていたサービスコーナーを復活させると言うもの。もっと言えば駅ナカやホームの売店を新幹線車内に持ってくるようなものです。この手法なら混雑時も営業断念と言う事態は避けられますし、ワゴン販売よりは販売員の負担も軽減できます。また、グリーン車向けのモバイルオーダーの準備基地も兼ねることができますから、ワゴン販売の代替としては有力なように思えます。

 

しかし、現実問題としてこれは難しいと思います。新たにサービスコーナーを設置する工事が必要になりますし、労働力不足問題の根本的解決にはなりません。また半数以上の列車が山陽新幹線区間に直通する事を考えると、JR西日本との調整や新大阪駅でのクルー引き継ぎ問題なども発生します。

何より300系のサービスコーナー自体が2003年10月に利用率低下とワゴンサービスの充実を理由に廃止された事を考えると、同じ轍を踏みかねない売店の再設置はJR東海は考えないでしょう。

 

方法2.車内に自動販売機を設置

先程の売店に比べれば、こっちの方がスペースも取らず、人手不足問題も解決しつつ車内で飲食物を販売できる理想的な解決法に思えます。ホームにドリップコーヒーやアイスの自販機を設置するならいっそ車内に設置した方が便利じゃないか、と言う発想です。考えてみれば長距離フェリーの中には売店やレストランを廃止した代わりに冷凍食品やおつまみ・お菓子などの自販機を充実させたケースもありますから、この手法を新幹線にも応用すれば車内の飲食物調達問題も一気に解決できそうです。

 

しかし、残念ながらこの方法も採用の可能性は低そうです。かつては車内に飲料の自販機を設置した列車が多く存在していましたし、東海道新幹線も一時期設置されていた時期がありましたが、現在はその多くが営業を取りやめています。利用低迷に加え、列車用の自販機は特別仕様で一般的なペットボトル飲料を詰めない、自販機のサイズが小さく、商品のラインナップが限られるなどの問題があったからです。採算性が取れないと、自販機の更新時期が来たのを機に辞めてしまうと言うケースが多いようで、今更大金かけて自販機を設置とはならなさそうです。

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ただ、ドリップコーヒーについては可能性が残っています。ビジネスホテルのロビーやオフィスなどに設置されているドリップコーヒーの無人販売機。これならさほどスペースも取らず、設置コストも抑えられそうですが、これを鉄道車両用に応用するのはどうでしょうか?JR独自のブレンドを売りにすれば車内で買える希少性も相まって多少高くてもバカ売れするような気がしますが・・・

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方法3.AI搭載の自走式販売ワゴンを開発

個人的には人手不足を気にせず、設置スペースに頭を悩まさなくても車内販売を復活させる方法はこれくらいしかないんじゃないかと思います。

最近ファミレスなどで配膳ロボットが急速に普及していますが、これを応用して自販機的な機能をつけて車内を巡回させれば結構面白いんじゃないかと思います。通路を通れる大きさとなると搭載スペースの問題があるので扱える商品は限られますが、ロボットなら人の手配を気にせず何台でも置けますから、決済はキャッシュレスのみにしてコーヒー販売用、アイス販売用、お菓子販売用などと役割を分担させて車内を回せばある程度多様なニーズにも対応できるかも知れません。

 

ただし、狭い車内で販売ロボ同士、または販売ロボと乗客が安全にすれ違いできるのかと言う不安はありますし、そもそも列車内で安全に動ける移動式の自動販売ロボット自体実用化できるのかと言う問題があります。仮に実用化できたとしても、コスト面や需要面で割に合うかと言う問題もありますので、こればかりは鉄道会社やメーカーが開発に乗り出すかどうか・・・

 

まとめ

以上、東海道新幹線で車内販売が復活する可能性について考察しました。労働力不足と言う根本的な問題がある以上、従来通りのワゴンサービスでの復活は難しいと思われるので、比較的低コストで導入できそうなドリップコーヒーを除けば車内販売復活は技術の進歩を待つしかなさそうです。自走式ワゴン販売にしても技術的問題や導入・運用コストの問題、採算性の問題などが山積しているので実用化されたとしても数年単位の月日が必要になると思います。

 

もし東海道新幹線の車内販売が復活する可能性があるとすれば、車内販売復活を求める乗客の声が大きくなったときでしょう。JR東日本の車内販売でコーヒーやアイスが復活したのも人気商品だったことに加え、乗客からの要望が大きかったから。車内販売単独で採算が取れるのが一番ですが、顧客満足度向上に繋がって新幹線利用の動機付けになるのであれば、多少不採算でもJRにとってメリットがありますから復活を検討する可能性が上がりますし、自販機設置や自走式販売機の開発の後押しになると思います。

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結局のところ、車内販売が消えるのは利用する人が減って採算性や人員不足と言った問題に目をつぶってまで残す必然性が薄れたから。JR東海に車内販売復活を決断させるには、これらの問題を解決する方法を模索するのに加え、「必要なサービスだから残して欲しい」と訴える事が必要では無いかと思います。単に寂しいとか残してくれと言うだけで無く、この商品は車内販売が必要だとか、どういう時に利用する、こうすれば負担が減るんじゃ無いかと言った提案や要望を添えたり、車内販売にまつわるエピソードや想いなどをぶつけてJRの心を動かすことが、車内販売復活への第一歩になるのではないでしょうか?

 

 

 

 

日本の航空会社が単通路機を長距離路線に飛ばす日は来るのか?

6月28日、オーストラリアのヴァージン・オーストラリアは羽田~ケアンズ線を開設し、日本路線に参入しました。

当初はA330によって羽田~ブリズベン路線を開設する予定でしたが、コロナ渦で延期になった上にヴァージン・オーストラリア自身が経営破綻。A330を手放して機材を737に絞り込んだことでその夢は潰えたと思われましたが、そこは意地なのか737でギリギリ直行できるケアンズに就航先を変更し、しかも予定していた737MAX8の受領を待たず、既存の737-700で就航させるという執念深さを見せました。

羽田~ケアンズの距離は約5870km。これに対して737MAX8の航続距離は6510km、737-700は6,225kmですから、特に737-700だと航続距離に余裕がないのがお分かり頂けると思います。

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さて、ギリギリとは言え737でオーストラリアまで行けることにも驚きですが、かつてはANAが737-700ERを使用して成田~ムンバイ線を飛ばしていたのは記憶に新しいところ。世界的には737に限らず、単通路機の航続距離を伸ばし、中長距離路線に投入する傾向にあり、特にエアバスは航続距離8700kmを誇るA321XLR型を開発するなど、単通路機も長距離志向になってきています。日本路線でもかつてはシルクエアーが広島~シンガポール線に737MAXを投入したり、成田~セブ線やダナン線など、飛行距離4000km台くらいなら単通路機で就航するケースも増えてきています。

 

一方の日本の航空会社はJALが737-800の一部、ANAがA320neoを国際線用としているものの、両社とも現在投入しているのは近距離の中国・台湾路線のみで、しかもコロナ渦で一部を国内線に廻しているなど、長距離路線には飛ばす気配がありません。

 

ANAの場合、成田~ムンバイ線やヤンゴン線に737-700ERを飛ばした「前例」はありますが、737ー700ER自体床下貨物スペースを潰して燃料タンクに振り分けた「特別仕様」ですから、この前例は余り参考になりません。ER型ではない737-700型に限ってみれば中国・韓国・台湾路線だけでしたし、後継のA320neoもこの路線を踏襲しています(例外は成田~ウラジオストク路線ですが、距離的にはソウルよりも近いので除外)

私の知る限り、ANAの737-700やA320neoが東南アジアに定期路線で飛んだケースはないように思います。

 

一方のJALですが、過去に関西~ハノイ線や羽田~マニラ線などに737-800を投入した例があり、ANAよりは遠い地域に単通路機を飛ばした実績があります。しかしそれでも飛行距離3000km台前半程度であり、バンコクやシンガポールなどには飛んでいません。

 

なぜANAやJALは単通路機を長距離路線に投入する事に消極的なのでしょうか?一言でいえば「飛ばす必要のある路線がないから」です。

程度の違いこそあれ、ANAもJALも羽田と成田を国際線のハブ空港としていますが、羽田は主に国内線からの乗り継ぎ、成田は東南アジア~アメリカ路線の乗り継ぎ需要を中心にしています。また、日本~東南アジア路線の需要自体も大きなものなので、小型機で細かく需要を拾うというよりは羽田や成田に乗客を集めて大型機でまとめて飛ばす、という手法が一般的です。

一方、関西空港や中部空港発着の路線は縮小傾向にあり、ANAは中部発の国際線から撤退済み。路線自体も中長距離路線といえばJALの関西~バンコク・ホノルル・ロサンゼルス線と中部~ホノルル線くらいで、正直あまり積極的とは言えません。ANAもJALも国際線の乗り継ぎ需要は首都圏発着路線に集約し、中部や関西の路線は主に地区内からの需要で賄える路線だけを飛ばしている、という印象ですので、少なくとも今後数年単位で単通路機を使った中長距離路線開拓に動く可能性は低いと思われます。

 

一方でLCCはピーチが関西~バンコク線、ジェットスタージャパンが成田~マニラ線を就航させており、単通路機で長距離という点ではLCCの方が先んじています。加えて両社とも中距離国際線に投入可能なA321LRを導入しており、今後も東南アジア路線の開拓が見込まれます。ピーチもジェットスターも機材はA320シリーズの単一であり、近距離国際線もある程度開拓した感があるので、今後国際線を拡充するとなると東南アジア路線、ということになります。

今のところは東南アジアより先の路線開拓は考えていないようですが、現在の路線が軌道に乗り、東南アジアの開拓が進めば、より長距離を飛べるA321XLRを買って経済成長が進むインドや観光需要の大きいオセアニア地区への路線展開も視野に入ってくるのではないでしょうか?そういう意味ではLCCの方が単通路機を長距離路線に投入する可能性が高いと思います。

 

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最後に国際線就航実績のあるスカイマークやスターフライヤーが単通路機で長距離路線に参入する可能性ですが、両社とも経営再建中で国際線どころではないですから、当面はありえないと思います。ただ、スカイマークに関しては2026年度以降に737MAXが投入され、国際線が復活すれば737-8あたりで東南アジア路線投入、というのはあり得ると思います。大手2社は当面ありえないとしても、近い将来、日本の航空会社の単通路機が東南アジア路線を飛び回るようになる光景は普通になるかもしれません。

パリ航空ショー2023の受注ニュースまとめ

6月19日から25日まで開催されたパリ航空ショー。イギリスのファーンボロ航空ショーと一年おきに交互に開催されますが、これらの航空ショーは航空機メーカーの商品アピールや新型航空機のお披露目の場であると同時に、メーカーと航空会社、メーカーとサプライヤーなどとの商談の場でもあり、毎回大規模な航空機発注が発表されるのが通例です。

今回のパリ航空ショーでもインドの航空大手の大規模発注が発表されるなど、大型発注が相次いで発表された一方、一部メディアで可能性が報道されたANAとJALからの発注は今回はありませんでした。

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今回はパリ航空ショーで発表された受注状況をまとめてみました。

 

エアバス

今回のパリ航空ショーで最大のニュースは何と言ってもインディゴのA320neo大量発注でしょう。これまでもインディゴは2019年に300機のA320neoファミリーを発注しており、当時でも単一航空会社としては最大の発注数でしたが、今回はその数を大幅に上回る過去最大の発注数です。何をするか分からない航空会社もビックリ

これでインディゴの総発注数は1330機となりますが、実際には一部のA320ceoの代替用ですので、全ての機材が同時にフリートに加わるわけではありません。ですが、将来的には世界最大のLCCであるサウスウエスト航空(但し、近年のサウスウエストのビジネスモデルは多少FSC寄りになってきてますが)と同等か、それを上回る保有機数となる事になり、インド市場とインディゴの勢いの凄さを改めて感じます。

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19日の発表はまだまだ続きます。エアモーリシャスからA350型3機の追加発注を発表しました。モーリシャスはアフリカの島国で、かつてはサトウキビ栽培がほぼ唯一の産業でしたが、現在は工業や観光業も発達するなどアフリカでも有数の裕福な国です。

モーリシャス航空はモーリシャスの観光産業の一翼を担う存在であり、ヨーロッパを中心にアジア・アフリカ各地に路線もを広げています。日本には未就航ですが、上海や香港には就航しており、今回のA350追加発注もこれらの国際線強化のためと考えられます。これ使って日本にも飛んでこないかなあ・・・

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また、サウジアラビアの格安航空会社・フライナスもA320neoを30機追加発注。これでフライナスのA320neoファミリー発注数は120機となります。

フライナスは2007年に設立され、中東地域を中心に路線を広げています。サウジアラビアの航空会社というと国営のサウジアラビア航空くらいしか思いつきませんが、近年サウジアラビアは観光客受け入れの強化と乗り継ぎ需要の取り込みに力を入れており、最近では首都のリヤドをハブとする第二の国営航空会社・リヤド航空を設立するなど航空事業の投資に積極的。インドと同じく、将来的にはサウジアラビアの存在も業界内の新たな「台風の目」となるかもしれません。

 

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続いて20日にはエアインディアがA350を40機、A320neoを210機の合計250機を正式に発注。これは2月に発注意向を表明していた分の正式発注ではありますが、インディゴに続く超大型発注で、インドの航空業界は爆発的に規模を拡大する見込みです。

 

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↓エアインディアの飛行機爆買いについてはこちらもどうぞ。

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更にフィリピン航空がA350-1000型9機を確定発注。こちらも5月に発注意向を表明したものの正式発注ですが、フィリピン航空は最重要路線の北米路線に投入する見込みです。ちなみに2021年に破綻したこの会社、しれっと去年に裁判所管理から脱却しています。

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そして22日、カンタスがA220型9機の追加発注をしたと発表。A220自体は昨年5月に20機の発注を発表しており、この時にA350-1000型12機とA321XR20機を発注済み。これらの路線は現在使用している機材よりもより長距離を飛ぶことが可能であり、カンタスはこれらの機材を使ってより長距離の路線を開拓することになるでしょう。

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最後に6月23日、アイルランドのリース会社・アボロンがA330neo20機の発注意向を表明。アボロンは所有・管理している機体やコミットメントを含め830機の航空機を保有していますが、その大半はエアバス機。20機のA330neo発注は順当なものと思われます。

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ボーイング

初日こそ発注発表がなく、インディゴの巨額発注でエアバスに持って行かれた感のあるボーイングでしたが、20日から発注のニュースが相次ぎました。口火を切ったのはエアインディアの正式発注で、737MAX190機、787型20機、777X10機の合計220機。

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22日は発注ニュースが一段落したエアバスに代わってボーイング機の発注ニュースが相次ぎました。チャイナエアラインが787-9型のオプション分8機を確定発注に変更し、併せて既存発注分の787-9型16機のうち6機を-10型に変更しました。小型機はエアバスに鞍替えされてしまったボーイングですが、787の追加発注で巻き返した形です。

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続いてアフリカのアルジェリア航空から737-9型8機を受注したことを発表し、併せて既存の737の貨物型改修計画も受注。こちらも大型機はエアバスのみで先日の新型機受注もエアバスでしたが、小型機は737シリーズに統一されており、今回の受注で牙城を守った形です。

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そして先ほどエアバスの方でも出ていたアボロンからも737MAXを40機受注したと発表。737-8型の需要が旺盛なことを受けての発注のようで、2019年の運航停止でイメージダウンとなった737MAXも順調に市場の信頼を回復しているようです。

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また、ルクセンブルクのルクスエアからも737-7型4機を受注したと発表。737MAXの中でも最小サイズの-7型は受注が低迷していたので、久しぶりの受注となったのではないでしょうか?

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アメリカの航空リース大手・ALCからも787を2機受注しました。

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最後に、インドのLCC・アカサエアから737-8型4機の受注を発表しました。アカサエアは2022年に運行を開始したばかりの新しい航空会社で、既に2021年11月に72機の737MAXを発注済み。CEOはジェットエアウェイズとゴーエアのCEOを歴任しており、「インドのバフェット」とも言われたラケシュ=ジュンジュンワラ氏が後ろ盾になっていました。そのジュンジュンワラ氏はアカサエアの就航直後に亡くなってしまい、将来が不安視されていますが、インディゴとエアインディアの2強体制になりつつあるインドの航空業界で存在感を発揮できるか注目です。

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その他のメーカー

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2大メーカー以外で注目されたのは、デ・ハビランド・カナダのDHC-6ツインオッターの新型・クラシック300-G。ツインオッター自体は1965年に初飛行したかなり古い飛行機ですが、機体の頑丈さと未整備の飛行場でも離着陸できるタフさで根強い人気を誇ります。1988年に一旦製造を終了したものの、2006年に製造権を買い取ったバイキングエアによって、2008年に生産が再開。この際、エンジン換装とグラスコクピット化で近代的にした400型を発表し、日本でも沖縄の離島路線参入を目指した第一航空によって2機が購入されています。

今回発表されたクラシック300-Gは機体をより軽量化して搭載量をアップしたほか、機内インテリアも一新。今回のパリ航空ショーでも3社から発注または購入意向をゲットし、滑り出しは順調のようです。

 

また、受注とは直接関係ありませんが、ブラジルのエンブラエルと日本のニデック(旧日本電産)が空飛ぶクルマ用のモーター開発で合弁会社を設立したというのも大きなニュース。スペースジェットの開発中止など良いニュースの少ない日本の航空機産業ですが、航空機の電動化によって今まで考えられなかったメーカーの参入が見込まれるなど、航空機業界の変革で思いもしないメーカーが航空機産業に名を連ねるのかも知れません。

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まとめ

以上、2023年のパリ航空ショーでの受注ニュースをまとめました。航空ショーで発表された総受注数はエアバス846機に対しボーイングは358機と、これだけ見るとエアバスの圧勝のように思われます。とはいえ、エアバスの受注数のうち500機はインディゴの多量発注であり、これを除けばエアバスとボーイングの受注数はほぼ互角。737MAXの運行停止や777Xの開発遅延、787の品質問題など課題山積なボーイングですが、少なくとも受注数だけを見れば信頼を取り戻しつつあるのではないでしょうか?

今回のパリ航空ショーでもボーイングは777Xと737-10の展示飛行でアクロバティックな飛行を披露しており、自社機の性能と技術力の高さをアピールしました。エアバスの一人勝ちでは旅客機も面白くなくなりますし、ジェット旅客機の老舗としてボーイングにはこれからも頑張って欲しいですね。

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また、今回の受注傾向としてインドの航空会社からの受注が目立ちました。インドの航空需要の急速な伸びを受けてのものですが、エアインディアがアジア~ヨーロッパ・アフリカの乗り継ぎ需要を狙っているように、インドの航空会社も将来的には中東御三家やターキッシュエアラインズなどがしのぎを削る国際ハブ競争に名乗りを上げてきそうですし、今後世界の航空業界で存在感を増してくることでしょう。

 

来年はイギリスのファーンボロ航空ショーが航空機発注のお披露目の場になると思われます。どんな会社がどんな発注をして世界を驚かせるのでしょうか?