〜Aviation sometimes Railway 〜 航空・時々鉄道

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敦賀延伸後の北陸の列車体系を勝手に考えてみたら大ハズレだった件

来年3月の北陸新幹線敦賀延伸に向け、そろそろ開業後のダイヤがどうなるのかチラホラと憶測記事が出てくる頃。20日の富山新聞(北國新聞)でも敦賀延伸の開業日やダイヤ発表日、開業後のダイヤなどを予想した特集記事が出ました。残念ながらこの記事の電子版は有料会員のみなので誰でも見られる、と言うわけにはいきませんし詳細を書くのは控えますが、ざっくり言うと開業日は3月16日が有力では?と言うことと、開業日は大体6~7ヶ月前、ダイヤは3ヶ月前に発表されること、ダイヤに関してはかがやきは加賀温泉や小松などにも停車する可能性があり、つるぎは富山~敦賀間、はくたかはつるぎとの系統分離の観点から金沢止まりになるのでは、と言う感じです。

 

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これを受けて、と言うわけではありませんが、敦賀延伸後の新幹線、及び敦賀からの在来線特急がどうなるか、今回は勝手に考察してみたいと思います。なお、今回の予想は過去の新幹線の開業時ダイヤや旅客動向などを考慮していますが、あくまでもこれは一個人の妄想レベルなので、あまり本気にしないで下さい。

 

まず開業後の列車体系ですが、速達タイプの「かがやき」の停車駅や本数、ほぼ各駅停車型の「はくたか」と現在は富山~金沢間のシャトル列車扱いの「つるぎ」の棲み分け、「はくたか」の運転区間をどこまでにするか、大阪・名古屋方面の特急、特に「しらさぎ」の運転本数及び運転区間をどうするかで、列車体系も変わってくると思います。まずはその点を整理していきましょう。

 

1.「かがやき」「はくたか」の本数と停車駅

かがやきの運転区間は東京~敦賀でほぼ間違いないと思います。金沢止まりの列車も一部設定される可能性はありますが、福井駅に待避設備や折り返し設備が設けられないこと、東京~福井県内の速達性を考えると「かがやき」を敦賀まで通し運転した方が車両運用面や速達性、緩急分離の観点からも都合が良いからです。東北新幹線も「やまびこ」が東京〜仙台・盛岡間の各駅又は一部通過型、「はやぶさ」が盛岡以北の列車かつ速達型と言う棲み分けですし、「かがやき」「はくたか」も同様の棲み分けにするのではと思います。

本数に関しては現在は昼間の列車は運転されていませんが、福井県内の需要も取り込むとなると、昼間も含めた1時間に1本の運転に変更するのではと思います。

一方の「はくたか」ですが、基本金沢止まりにして「かがやき」の補完及び「かがやき」が止まらない駅の需要を担当、という位置づけになるでしょう。こちらも1時間おきの運転で、昼間の分は現在の「あさま」を金沢まで延長と言う形になるのではと思います。

問題は金沢以西の停車駅。速達列車の観点から言えば金沢~敦賀間も福井のみの停車にしたいところですが、「はくたか」を金沢止まりにしたら東京方面の列車は全部通過になりますから、流石にそれはないのではと思います。

手法としては「はやぶさ」のように福井のみ停車の速達型と金沢以西全部停車の各駅型を交互に運行させるパターンか、ビジネス重視の小松・福井・越前たけふ停車の列車と観光重視の加賀温泉・芦原温泉・福井停車の列車を交互に運行させる千鳥停車型を取るかになるのではないでしょうか。但し、千鳥停車型でも朝夕に速達型を設定する可能性はあると思います。

 

2.「かがやき」「はくたか」「つるぎ」の棲み分け

「つるぎ」に関しては富山~敦賀間に運転区間を延長すると思いますが、問題は富山~敦賀間で運転区間が重複する「かがやき」との整合性。「かがやき」に大阪・名古屋方面への特急アクセスの性格を持たせることもできると思いますが、恐らくそれはやらないのではと思います。

過去の大阪・名古屋特急の運転区間を見ても富山・金沢発着と北陸3県の需要を満たす事だけを考えており、東京方面への需要を受け持っていた特急「はくたか」とは運転系統が完全に分断されていました。通し運転にしてしまうと富山〜福井辺りで東京方面の利用者と大阪・名古屋方面の利用者がバッティングして混雑が酷くなる上に、何らかの理由で列車が遅れると終着地や接続列車にまで波及してしまい、ダイヤの乱れがより広範囲かつ深刻なものになるからです。

新幹線の場合、在来線よりは遅れる要素は少ないですが、それでも上記の問題は残ります。ダイヤ調整上、結果的に「かがやき」で接続可能な列車は出てくると思いますが、基本的にはアクセス列車としての役割は「つるぎ」が担うのではないでしょうか?

また、はくたかに関しては基本金沢止まりになると考えていますので、今以上に東京〜長野・北陸間の需要を受け持つ列車と言う性格が強まり、つるぎとはバッティングしないのではと思います。

 

3.敦賀~大阪・名古屋間の特急の本数と運転区間

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現在、大阪方面へは「サンダーバード」が金沢〜大阪間で23往復前後、名古屋方面は「しらさぎ」が金沢〜名古屋間8往復、金沢〜米原間8往復運転されています。敦賀開業後、単純にこれらの列車が敦賀止まりになる、とはならないと思います。

まず大阪方面ですが、現状は概ね朝夕30分ヘッド、昼間1時間ヘッドですが、敦賀開業後は金沢や富山は30分程度の短縮が見込まれますので、需要増加や大阪方面へのテコ入れとして完全30分ヘッドにしてもおかしくないと思います。むしろ昼間1時間ヘッドだと接続する「つるぎ」を富山まで全駅停めなくてはいけないので、ある程度の速達化を図るためにも30分ヘッドにして停車駅を千鳥停車にするか、片方速達・片方各駅にして役割分担させた方が速達性の面でも優位になるのではないでしょうか?

 

問題は名古屋方面。今の「しらさぎ」は北陸〜名古屋間の需要と言うよりは主に福井県〜東京へのアクセス列車の性格が強く、敦賀延伸後はこの需要はほぼ消滅します。

更に残る名古屋方面への需要も少なくとも富山〜名古屋は高速バス優位ですし、元々名古屋へは米原で東海道新幹線乗り換えの方が早 敦賀延伸後は2回の乗り換えと実質値上げで更に敬遠されてしまいそうです。

この為「しらさぎ」は名古屋行きの8往復のみ存続し、米原止まりの列車は全て廃止になると思います。接続する「つるぎ」に関しても「しらさぎ」単独では設定されず、大阪方面の列車とセットになると思われます。

 

 

で、北陸の列車体系を勝手に予想した

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これらを踏まえた上で敦賀延伸後の北陸新幹線と在来線特急のダイヤを予想します。

 

「かがやき」東京〜敦賀15往復、東京〜金沢1往復

「はくたか」東京〜金沢14往復、長野〜金沢1往復

「あさま」東京〜長野10往復程度(朝夕中心)

「つるぎ」富山〜敦賀25〜30往復

「サンダーバード」敦賀〜大阪30往復前後

「しらさぎ」敦賀〜名古屋8往復

 

「つるぎ」の本数に幅を持たせたのは、敦賀乗り継ぎ用列車の役割の一部を敦賀直通の「かがやき」に持たせる可能性を考慮した為。

東京〜大宮間の線路容量を考えると北陸新幹線自体の大幅な増発は難しく、「かがやき」の一部を増発した代わりに「あさま」を削減、その分は長野県内通過だった昼間の「はくたか」の長野県内停車を増やす事でカバーすると思われます。

また、今以上に「かがやき」と「はくたか」「つるぎ」との緩急接続を強化し、今の富山と長野に加え、金沢でも「かがやき」と「つるぎ」の緩急接続を行う事で「かがやき」が止まらない駅の利便性を上げるのではと思います。

 

いずれにせよ、今日8月30日には新ダイヤの概要が発表されるようなので、発表後に答え合わせも兼ねて結果を加筆したいと思います。また、12月には停車駅も含めた詳しいダイヤが発表されると思いますので、その時にもう一度加筆する予定です。


【8月30日加筆】

JR西日本から運行計画の概要が発表されました。

 

先に言います。

 

大ハズししました(涙)

www.westjr.co.jp

 

かいつまんで言うとこんな感じです。

 

かがやき 東京~敦賀9往復、東京~金沢1往復

はくたか 東京~敦賀5往復、東京~金沢9往復、長野~金沢1往復

つるぎ  富山~敦賀18往復、金沢~敦賀7往復(特急接続用)

     富山~敦賀2本、金沢~敦賀1本、富山~金沢2本(特急に接続しない)

サンダーバード 敦賀~大阪25往復

しらさぎ    敦賀~名古屋8往復、敦賀~米原7往復

 

概要だけを見ると「かがやき」「はくたか」は本数は変わらず、一部が敦賀延長しただけ。「つるぎ」はほぼ「サンダーバード」の敦賀~金沢間を置換えただけとも言えますし、「サンダーバード」「しらさぎ」も敦賀以北の運転を打ち切っただけとも言え、劇的な変化はなかったなと言う印象です。というか「しらさぎ」に関しては米原行きも残すのは予想外でした。恐らく名古屋方面の乗り継ぎ需要を狙ったものと思われますが、時間的に短縮になるとは言え、2度も乗り換えが必要になるJRを積極的に使うかどうか微妙な気がしますが・・・

また、当然とも言えますが、金沢~福井間の「ダイナスター」や、金沢~敦賀間の「おはようエクスプレス」「おやすみエクスプレス」も全て廃止となり、七尾線特急も大阪直通列車が廃止されて「能登かがり火」5往復に統一されます。

 

そして、今回の改正で特筆されるのが「かがやき」の一部が福井と敦賀以外の途中駅にも停車すると言うこと。対象となる「かがやき」は4往復ですが、各駅2往復が停車とされた上で「停車または通過」と記載されていますから、利用が多く見込める時間帯に合わせて停車パターンを分けるものと思われます。

そして「つるぎ」も合計25往復中9往復が金沢~敦賀間は福井のみ停車となり、「つるぎ」としては初めて通過駅が発生することになります。一方の「はくたか」は、敦賀直通の5往復は上田や佐久平と言った長野県内の途中駅を通過するタイプなので、恐らく昼間の列車がそのまま敦賀行きになるものと思われます。こうしたことから「はくたか」と「つるぎ」は単純に運転区間だけの違いになると思われます。

 

今後は12月に発表されるであろう詳細なダイヤや、乗り継ぎ料金も含めた運賃体系に注目でしょう。ここで特に北陸~中京圏の需要取り込みにどこまで本気なのかが分かると思います。接続時間を極力短くするダイヤなら本気度の高さが窺えますし、逆に大阪方面の特急を優先させて「しらさぎ」の乗り継ぎ時間が延びるようなら、いずれ中京圏への特急は先細りになると思います。また、今回は余り触れられていませんが、敦賀開業で関西圏~長野方面へは北陸廻りの方が時間的に優位になるので、この辺りの需要を取り込むために何か手を打つのか。今後の情報に期待したいところです。