〜Aviation sometimes Railway 〜 航空・時々鉄道

航空や鉄道を中心とした乗り物系の話題や、動画の補足説明などを中心に書いていきます。

迷航空会社列伝はこうやって作ってます(後編)

更新が遅くなってすみません。後編は動画ソフトの紹介や動画作成のやり方などを紹介します。前編をまだご覧になっていない方は先にそちらをご覧ください。

 

meihokuriku-alps.hatenablog.com

 

と、その前に新たに見つけたネタ探し用の素材を一つ紹介。

世界各国の運輸事情をまとめた国土交通省のレポートですが、航空以外にも鉄道、海運、自動車輸送の概況をまとめてあります。特に海外の交通事情を知る手段は限られていますので貴重な資料です。国交省の調査なので信用もできると思います。

国際:主要運輸事情調査報告書 - 国土交通省

 

では、改めて動画編集の仕方をご紹介します。

 

3:動画の編集作業

現在、私が動画編集に使っているのはSonyのVegas Movie Studio。Sony製といってもアメリカの法人で開発されたソフトを日本に逆輸入しているため、販売先はSonyではなくソースネクストという会社です。直感的に編集作業ができることや、エフェクトの種類も多いので重宝しています(全然使いこなせてないけど)

www.sourcenext.com

 

但しこのVegas、スタンダード版でも14,000円前後、ハイグレード版だとその数倍はするので、このソフトと合わない、または使いこなせないと全くの無駄金になってしまいますし、投資するには少々勇気のいる金額です。

 

そこで値段的なハードルが低いソフトとしてオススメなのがAviutl。迷列車関係でもこのソフトを使用している作者さんが多いですし、拡張性も高く、結構機能も多いようですので、プラグイン知識のある方はこっちがいいのではないでしょうか。何と言っても無料ですしw

www.gigafree.net

 

しかし、言い換えればプラグイン知識がないとソフトを立ち上げることすらできないのが難点。というか私がそうでしたwなので私はVegasに走ったんですけどね・・・

 

とりあえずお試しでやりたい、けどAviutlはとっつきにくい、と言う方はPC付属の動画編集ソフトでやってみてはどうでしょうか(WindowsならWindowsムービーメーカーMacならiMovie

 

 

さて、編集ソフトの紹介が終わったところでいよいよ編集作業ですが、基本的な流れとしては、

1:原稿を音声合成ソフトで読み上げて編集ソフトに読み込む

2:原稿の字幕つけ

3:シーンに応じた写真をはめ込む

4:クレジット表記や代理の人のセリフを書く

5:BGMを入れる

6:最終チェック後、問題なければレンダリングして投稿

となります。

 

1:原稿を音声合成ソフトで読み上げて編集ソフトに読み込む

まずは作成した原稿を音声合成ソフトに読み込みます。

私が使用している音声合成ソフトはこちら。

www.vector.co.jp

いわゆる「ゆっくりボイス」の代表格ですね。無料でダウンロードできますし、音程や速さを変えればある程度はバリエーションが増やせますので、入門編にはいいかなと思います。

他にもボーカロイドやボイスロイドを使っている人もいますが、お金がかかるのでこだわりのない方はこれで十分かなと。ただ、結構誤訳が多いので、読み込み前の確認と修正は必須です。・・・もっとも、それでも読み間違いはしてしまうんですがw

ちなみに、私はこの作業で原稿の最終確認も兼ねています。読み込みの段階で変えた方がいいと判断したらここで原稿の修正を行って読み込みます。

 

2:原稿の字幕つけ

読み上げが終わったら編集ソフトに読み込んで並べ、字幕を付けて行きます。

基本的には原稿からコピペして貼り付けるだけの作業ですが、この単純作業が地味に面倒ですw

3:シーンに応じた写真をはめ込む

字幕つけが終わったら写真をはめ込んで行きます。画像の選択で動画の雰囲気が決まる大事な作業ですが、割と直感で選んでいきます。

 

4:クレジット表記や代理の人のセリフを書く

クレジット表記も地味な作業ですが、画像をお借りした方の名前や出典先を明記するのは大事なことですので、間違えないように慎重にします。そして、ある意味迷航空会社シリーズの肝となる代理キャラのセリフですが、実はこれも基本的には直感で書いていますwでも案外何気なく直感で決めたセリフがツボにはまったりするんですよね。

裁判所猫の「You!チャプタ−11行っちゃいなyo!」とかw

 

5:BGMを入れる

シーンに応じたBGMをつける作業は楽しいけど悩む時間。とりあえず勝利確定BGM(甘茶の音楽工房様の「残業戦士」)を入れる瞬間は一番テンション上がります。

 

6:最終チェック後、問題なければレンダリングして投稿

最終チェックで画像や表記、台詞の間違いがないか、通しで見て確認します。でも抜けてしまうこともあるんですよね・・・元々が抜けているので一人で全部作業してるとどうしてもミスを見落としてしまうんですよね。申し訳ない。

で、チェック終了後、レンダリング作業に入ります。Vegasだと大体20分〜30分くらいですか。終了後、問題なければ投稿し、終了。

 

以上、動画作成の一連の流れを簡単にご紹介しましたが、やり方は人それぞれなので、「これが最適」というものはないと思います。結局は自分に合ったやり方を模索するのが一番ですが、それでも動画の作り方が全くわからない人にとっては多少なりとも参考になるのではと思います。ぜひやってみたいと思った方は参考にして頂けると嬉しいです。

迷航空会社列伝はこうやって作ってます(前編)

私が投稿している「迷航空会社列伝」「東海道交通戦争」シリーズ。今でこそYouTubeでも公開していますが、元々はニコニコ動画の「迷列車で行こうシリーズ」での投稿が動画製作者としてのスタートでした。

今回、11月10日(金)から11月13日(月)の期間で「迷列車で行こうシリーズ8周年祭」をニコニコ動画上で開催します。詳細は下記の動画を参照して下さい。

 

 

今回は祭りの告知宣伝も兼ねて、私が普段どのように動画を制作しているかをご紹介します。動画を作ってみたいけどやり方がわからない、という方の参考になれば幸いです。

 

(本当は動画で出すつもりだったけど、作っている暇がないのでブログで済ませるなんて死んでも言えない)

 

1:動画の原稿(シナリオ)作成

私の場合、動画の技術的には大したことないので、どうしても内容勝負になります。それゆえ私は原稿の作成を一番重要視しています。

最初に取り上げるネタを決めますが、その際、ウィキペディアなどのネット記事をよく参考にします。薄く広くネタを探す、という点ではネットが一番拾いやすいですね。ただし、実際に原稿を書く際はウィキペディアの内容だけでは信憑性に欠けるので、裏付けするための資料が必要になります。「迷うp主」と言われて叩かれる人は、この辺の裏付けが不十分、または全くせずに内容の薄い動画を投稿してしまうのも原因の一つかと思います。

 

で、資料探しですが、私はAmazonで探してポチるか、古本屋で航空関連の書籍や雑誌を探すか、図書館で探して借りるかです。基本的には紙媒体の資料を使い、ネットのニュースやウィキペディアは補助資料、とする場合が多いです。ただ、リアルタイムの情報はどうしてもネットに頼らざるを得なくなるので、その場合はネットニュースが中心になります。私が多用している航空関連のニュースサイトは以下の通り。

 

www.aviationwire.jp

www.traicy.com

trafficnews.jp

 

それとデータ的なものだと国土交通省の統計資料や国土交通白書が一番確実かなと思います。

www.mlit.go.jp

 

あとは検索で引っかかったブログやサイトも補助資料で使いますね。あくまでも取り上げるのは「客観的な事実」。動画の演出上、ボロクソに言うこともありますが、基本的には事実を基にして、最後のまとめ以外はできるだけ個人の主観が入らないように作成しています。

 

・・・もっとも、オリエントなんとか航空みたいに論外の会社は主観入りまくりですが。

 

2:動画の素材集め 

素材に関しては原則として自前の画像やフリー素材、他の方からお借りしたものを使用しています。特にYouTubeにも動画を出すようになってからはかなり気を使うようになりました。ニコ動は多少ゆるいところもありますが、YouTube著作権に対する対応もペナルティも遥かに厳しいですし、何より後ろめたい思いで動画は作りたくないですからね。

 

画像に関しては以下のサイトをよく使用しています。

www.flickr.com

↑Yahoo系のサイトなので海外の航空機を撮影した方も多いので航空機の画像で一番よく利用させてもらってます。画像によって作者名明記で商業利用も含め使用OK、非営利はOKだけど商業利用はNG、非営利も含めて利用NGと条件が異なりますので、詳しくは下記のブログを参照して下さい。

nanapi.com

 

↓代理猫など動物系や風景の画像はこちらをよく使用しています。

www.photo-ac.com

commons.nicovideo.jp

このうちニコニ・コモンズはニコ動のみで使用OKだったり使用自体に許可が必要な画像も多いので、画像使用の前に条件を確認することをお勧めします。

 

次にBGM。上記のニコニ・コモンズの他に、今私がよく使用しているのはこちらのサイトです。

amachamusic.chagasi.com

ゆっくり解説系の作者さんがよく使っていますね。最近では私の影響もあってか、迷列車でも使用する人も増えてきました。動画内でよく「勝利確定BGM」と言われているBGMもこのサイト内の「残業戦士」という曲です。商業利用もOKなので一番使い勝手がいいと思います。

 

近年ではフリーBGM、フリー画像使用サイトなどが充実してきていますので、以前よりも動画の素材に困るということも少なくなってきていると思います。

それと私個人が撮った画像も使用して頂いて構いません。Googleフォトに一通り画像は添付しましたので、よろしければお使い下さい(できれば撮影者を明記して頂けると嬉しいです)

https://photos.google.com/sharing

 

こうやって作ってます、と言っても素材集めの話ばかりになりましたね。編集ソフトや動画編集の仕方などは後編でお話ししたいと思います。

 

 

アリタリア航空、取りあえず半年生き延びる

5月に破綻したアリタリア航空ですが、16日に再建スポンサーの入札を締め切り、7陣営が応募したそうです。破綻以降、最近はあまり情報が入ってこなかったアリタリアのニュースですが、スポンサーに名乗りを上げたのはドイツのルフトハンザやイギリスのLCCイージージェットなど。ただ、いずれの陣営もアリタリア丸ごとの買収ではなく、一部分のみの買い取りのようなので、丸ごと買収してほしいイタリア政府の思惑通りにはいかず、とりあえず3億ユーロのつなぎ融資を行って来年4月までは運航を続けながらスポンサーを探すようです。

www.nikkei.com

 

まあ、今回も2008年の破綻の時も労働組合の強硬な反対でリストラ案が拒絶され、追加出資が頓挫したのが原因ですから、高コスト体質と強硬な組合を抱えたままのアリタリアを丸抱えするのはリスクが大きいと判断したのでしょう。エディハド航空を持ってしても組合を抑えることはできなかったのですから、組合をなんとかしない限り、アリタリアを丸ごと引き受けてくれるスポンサーを見つけることはできないと思います。

 

・・・何となく70年代の国鉄に状況が似ていますね。

 

恐らく今の状況では複数のスポンサーに資産や路線を切り売りして、今のアリタリアは良くて大幅縮小、最悪は清算となりそうです。イタリア政府もいつまでもアリタリアの問題を引きずるわけにはいかないでしょうから、今後数カ月で丸ごと引き受けてくれるスポンサーが現れなければ、次善の策として一部資産の譲渡に応じるしかないと思います。そうなると近距離路線はイージージェット、長距離路線はルフトハンザグループに売却、となるんでしょうか。

 

それにしても最近のルフトハンザはエアベルリンの一部資産を買収するなど、ここぞとばかりに攻めてきますね。欧州のレガシーキャリアはルフトハンザ、エールフランス、ブリティッシュエアウェイズの三強が中心ですが、その中でもLCC事業でも成功を収めているルフトハンザは頭一つ抜け出ている感があります。

www.traicy.com

 

しかし部分的とは言えアリタリアの買収がルフトハンザの思惑通りに行くとは限りません。相手はエディハドのリストラ案を潰して会社も潰したアリタリアの組合。この組合にリストラを呑ませるのは至難の技ですし、再建が進まずに二次破綻してしまう可能性もあります。事実エディハド航空はアリタリア再建に失敗したことで多額の出資金を失い、会社の経営が悪化してCEOが退任に追い込まれました。この会社の再建は一筋縄ではいかなさそうです・・・

エアアジア・ジャパン就航(4年ぶり2度目、2年遅れ)

就航が延びに延びまくっていた新生エアアジア・ジャパンですが、ようやく10月30日に就航になりそうです。

 

headlines.yahoo.co.jp

 

当初は2015年夏ダイヤでの就航を目指し、10月には国土交通省の航空運送事業の許可を得ましたが、その後の就航予定は4回も延期。下記の記事によると相次ぐ経営陣の辞任で航空業界に明るい人材が去り、航空局の検査に支障が出ているのが原因のようです。もっとも、エアアジア本体が「航空輸送事業許可さえ出ればすぐにでも飛ばせる」と、日本の検査体制を甘く考えていたのも原因ですが。

前回の失敗は合弁相手のANAとの見解の相違でしたが、新会社の迷走も日本のやり方で時間をかけて就航準備を進めようとした日本人経営者と、エアアジア本体と同じビジネスモデルを要求し、スピードを求めたエアアジア側との対立が原因なんじゃないかと思います。

toyokeizai.net

 

さらに言えば「インターネット直販でコスト削減し、格安運賃を提供」というエアアジアのビジネスモデルが日本で受け入れられるかも微妙です。和製LCCの中で最も成功したピーチは日本人に合わせたサービスとブランディングを行い、24時間運用可能な関空を拠点にしたことで遅延や欠航リスクを抑えた事で顧客の支持を得ました。バニラエアはリゾート路線を重視した路線展開を行い、春秋航空日本も本家春秋航空とは異なるブランディングで中国色を極力薄め、日本市場に溶け込もうとしています。

これに対してジェットスタージャパンは当初は最低価格保証をぶち上げて価格重視路線を取りましたが、その後数年間は数十億単位の赤字を出し続けました。現在は他社と競合する路線を避け、サービス面でも日本市場に合わせたものにシフトしつつあるなど、価格一辺倒ではなくなってきました。つまり、日本のLCC各社は多かれ少なかれ日本市場に合わせたサービスを提供しようと模索しており、それぞれリピーター客確保の為に価格以外の独自性を出そうとしています。

 

今のところまだ正式なアナウンスがないので具体的なサービス内容も明らかにはなっていませんが、これまでの経緯を考えると恐らく本国と同じようなビジネスモデルで来るのではないかと思います。5年前ならともかく、一通りの路線にLCCが飛び交い、ジェットスターが中部空港を拠点化している今となっては単なる価格の安さだけではもうお客は飛びつかないでしょう。エアアジアを積極的に選択するような強い動機付けが必要になってくると思いますが、果たして新生エアアジア・ジャパンはそれだけの魅力を持つ航空会社になれるのか。ただでさえ就航が2年遅れで先行する各社とは大きな差がついてしまっているだけに、何かしらの仕掛けがないと就航後も苦戦を強いられるのではないでしょうか。


 

 

タイの「安全性に対する懸念」指定解除で本当にタイの空は変わるのか。

10月10日、ICAO(国際民間航空機関)がタイの「安全に対する重大な懸念(SSC)」の指定を解除しました。

 

2年前に「航空会社を監視する当局の職員数が不十分」という理由で指定されましたが、新興国クラスでこの指定を喰らうのは異例中の異例。日本や中国、韓国、アメリカなどはタイの航空会社の新規乗り入れやチャーター便の運航を認めないなどの規制を取り、タイ・エアアジアXやノックスクートが新規就航を見送り、急遽本国側の会社の路線をバンコク経由便にしてしのいだという経緯があります。

 

www.traicy.com

 

タイの当局も新たに民間航空庁(CAAT)を立ち上げ、2年かけて安全審査体制の見直しを進めました。この見直し作業には日本のJICA(国際協力機構)も協力しているようです。

さらにICAOの国際安全基準にのっとった新たな航空運航者証明書(AOC)の再認定作業を進め、これまでにバンコクエアウェイズ、タイ・エアアジアタイ国際航空、ノックスクート、タイ・エアアジアXの5社が基準をクリアして再認定を受けています。

ICAOの指定解除でこれまで規制を受けていた新規路線の開設やチャーター便の運航再開が見込めますし(ただしアメリカはまだ規制を継続していますので北米路線の新規開設はできませんが)、少なくとも再認定を受けた会社に関しては安心して乗れるのではないかと思います。

www.travelvision.jp

 

さて、そこで問題になるのがまだ再認定を受けていない航空会社。チャーター便会社の中には古い機材ばかりの会社もあり、HISが出資しているアジアアトランティックエアウェイズも20年落ちの767を使用していますし、就航当初は色々とトラブルをやらかしたので無事再認定を受けられるかは微妙。

 

ですが、一番の本丸は迷航空会社列伝でも取り上げたこの会社でしょう。


迷航空会社列伝「古い機材は使い捨て」フリーダム・オブ・オリエントタイ航空

 

ある意味、グダグダのユルユルだったタイの航空当局の仕事ぶりのお陰で生きながらえてきた感のあるオリエントタイ航空。普通の国ならとっくに運航停止処分になってもおかしくないのですが、この会社に厳正に対処できるかどうかで本当にタイの航空当局が変わったのかがわかるのではないかと思います。

正直、今までいい加減やってきたオリエントタイがにわかにICAOの安全基準を満たせるとは思えませんし、満たせるだけのお金や人材もいるとは思えません。CAATもこんな会社を安易に再認定してSSCに逆戻りなんてしたくないでしょうから厳正に対処するはず、いや厳正に対処して下さいお願いします。(悪い意味で)数々の伝説を打ち立ててきたオリエントタイ航空も、いよいよ年貢の納めどきなんですかねえ・・・

モナーク航空、飛行機飛ばずに会社が飛ぶ。

10月2日、イギリスのLCCモナーク航空が破綻しました。ヨーロッパでの航空会社の破綻は5月のアリタリア航空、9月のエアベルリンに続いて3社目。運航停止に追い込まれるのは今年初のケースです。

 

英モナーク航空が経営破綻 11万人が帰国困難に

 

突然の破産だったため、11万人の乗客が帰る術を失ってしまい、救済のためのチャーター便が運航されるなど、大きな影響が出ています。突然の破産→チケット紙くず、現地に置き去りというと3月のてるみくらぶが思い出されますが、てるみくらぶモナーク航空も格安を売りにした会社という共通点があり、価格競争で疲弊した末に力尽きた、という点も同じです。

しかし、てるみくらぶの場合は早めに法的整理を選択していれば傷は浅く済んだのに、破産ギリギリまで原価割れの激安ツアーを販売して現金を集め、そのお金を目先の支払に充てるという、究極の自転車操業に陥って被害を拡大させてしまいました。粉飾決算もやっていたようですし、これは完全に経営者の責任と言わざるを得ません。

 

一方のモナーク航空はまだ破産したばかりで詳しい原因はまだ断定できませんが、CEOの説明ではエジプトやチュニジアのテロやトルコ市場の不振、欧州市場の競争激化や燃料費高騰を原因に挙げています。元々経営は苦しかったところにこれらの外的要因が重なり、さらにイギリスのEU離脱によるポンドの下落もモナーク航空の経営を圧迫したようです。とは言え、最終的には11万人の帰りの足を奪ったわけですから、てるみくらぶ程ではないにしても経営者の責任は免れないでしょう。

 

航空業界や旅行業界のようなサービス業は日々の現金収入がある分、資金繰りの面では製造業よりも何とかなるケースが多いのですが、見方を変えれば負債が雪だるま式に膨れ上がってもキャッシュフローさえ何とかなれば会社は持ちこたえてしまうので、経営の悪化に気付きにくくなってしまいます。ちょっとしたきっかけで資金が止まってしまうと、手元現金がなく、航空券の売り上げを右から左に流してやり過ごしていた会社はすぐに行き詰まり、ある日突然運航停止となってしまうわけです。

ヨーロッパは航空会社の座席供給数がだぶついているようなので、ひょっとしたらこのような破産は今後もありえるかも知れません。とは言え、個々の会社の財務状況までは調べようがないですので、危ない会社は避けると言った行動はなかなかとりづらいですが・・・

株価的には本当にヤバかったカナディアン航空

迷航空会社カナディアン航空、後編ではスターアライアンスワンワールドによる代理戦争に翻弄されるカナディアン航空と、買収合戦には勝利したものの、その後経営が悪化して破産に追い込まれたエアカナダのその後を描きました。

 


迷航空会社列伝「仁義なき空中戦」カナディアン航空 後編「踊らされたカナダグース」

 

史実ではエアカナダによるカナディアン航空の買収、救済合併となったわけですが、当時の新聞記事をまとめたサイトを見ると、カナディアン航空の買収金額と株価が異様に低い事に気がつきました。どうやら、カナディアン航空は市場からはほぼ見切りをつけられていたようです。

 

当時の記事によれば、エアカナダによるカナディアン航空の買収金額(カナディアン株の過半数)は9200万カナダドル、日本円にしてわずか65億円という少なさでした。これとは別にアメリカン航空保有するエアカナダ株25%もエアカナダが買い取りましたが、これも総額4080万米ドル(42億円)と、売上高18億米ドルの企業の買収額としてはかなり少ないものでした。

ちなみにエアカナダのカナディアン株買取金額は1株たったの2カナダドル(140円)。しかし、カナディアン航空がエアカナダの買収受け入れを表明した1999年12月3日のカナディアン株は1.7ドルでしたから、これでも高く買ってもらえた方だったんです。

 

これらの事から、買収時のカナディアン航空時価総額は日本円換算で100億ちょっとくらいしかなかったのではないかと思います。現在東証2部に上場しているスターフライヤーの10月2日時点の時価総額が116億7700万ですから、末期のカナディアン航空の価値は10機程度しか保有機がない新興航空会社と同程度だったと言えるでしょう。

 

・・・と、調べているうちに新たな事実が判明しました。カナディアン航空の1999年の決算は14億1900万カナダドルの赤字だったようです。日本円に直すと1000億円近い赤字ですから、数字の上からもカナディアン航空の経営が末期状態だったことが分かります。恐らく元々の業績が悪かったところにカナディアンの経営不安や買収合戦がさらなる客離れを引き起こして搭乗率が悪化し、損失を膨れ上がらせたのではないかと思います。

これだけの赤字額だとほとんどの路線が赤字だと思いますので、カナディアン航空は企業経営的には完全に行き詰まっていたと思います。恐らく民事再生法的な破綻をしても損失しか生まないカナディアンを救済するスポンサーは現れなかったと思います(支援したくても外資規制でできなかったアメリカン航空はともかくとして)

 

もしエアカナダが手を差し伸べなければカナディアン航空は運航停止で消滅か、最悪の場合スイス航空のように燃料代すら払えず飛行機差し押さえになっていたかもしれません。そう考えるとこんな資産価値ゼロの会社を丸ごと買ってくれたエアカナダこそがホワイトナイトだったのかも・・・?