〜Aviation sometimes Railway 〜 航空・時々鉄道

航空や鉄道を中心とした乗り物系の話題や、「迷航空会社列伝」「東海道交通戦争」などの動画の補足説明などを中心に書いていきます。

ニキ航空、まさかの創業者買い戻し

エアベルリングループで昨年12月に連鎖倒産したニキ航空ですが、創業者であるニキ・ラウダが買い戻し、3月の運航再開を目指すことになりました。

 

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・そもそもニキ航空って?

 ニキ航空は2003年、1970年代~80年代前半にかけて活躍したF1レーサー、ニキ・ラウダがオーストリアのアエロ・ロイド・オーストリアを買収し、自らのファーストネームをつけた「ニキ航空」に改称したのが始まりです。ラウダにとって航空会社の設立はこれが初めてではなく、1978年に「ラウダ航空」という航空会社を設立し、一時は成功を収めましたが、1991年に墜落事故を起こし(ただしこの事故は機体の欠陥が事故原因ですのでラウダ航空の責任ではないのですが)、経営が悪化。その後経営は持ち直したものの、2000年にオーストリア航空に売却され、その後吸収されてしまいました。

 ニキ航空はラウダにとってリベンジの舞台であり、チャーター便を中心に経営を続けていましたが、これも結局はドイツのエアベルリンに売却し、ラウダは航空会社経営から手を引きます。その後のニキ航空はエアベルリン系列の航空会社として存続し、一時はエティハド航空のコードシェアと言う形で「日本乗り入れ」をしたこともありますが、昨年のエアベルリンの破たんの巻き添えを喰らう形で経営破たんしました。

 

エアベルリンの破たん後、ニキ航空を含めた資産の大半はルフトハンザグループが買収する予定でしたが、欧州委員会がドイツ、オーストリア、スイスでのルフトハンザグループの影響力が強くなりすぎると懸念を示し、12月13日にニキ航空の取得を断念。先の見通しが立たなくなったニキ航空は運航停止に追い込まれました。その後、年明けにブリティッシュエアウェイズとイベリア航空が中心のインターナショナル・エアラインズ・グループ(IAG)がニキ航空買収に手を挙げ、グループのブエリング航空の参加におさめるとの報道がありましたが、これも不調に終わり、最終的にはトーマスクックグループとコンドルと組んだラウダが買い取ることで決着しました。

 

・ニキ・ラウダの航空ビジネスの「3度目の正直」なるか

 三度航空ビジネスに参入することになるラウダですが、その展望は厳しいものです。ヨーロッパの航空会社間の競争は激しく、経営に行き詰まって消えた会社も少なくありません。昨年だけでもエア・ベルリンとイギリスのモナーク航空が運航停止となり、イタリアのフラッグキャリア、アリタリア航空も予断を許さない状態です。LCC大手のライアンエアーですら、パイロット不足で拡大にブレーキがかかる位ですから、かつてラウダ航空を拡大させた時とは勝手が違います。

 

新生ニキ航空が生き残る為には単なる規模拡大や価格競争だけでない、ニキ航空のブランド確立と独創的なサービスを提供できるかにかかっています。かつてのラウダ航空はジーンズを履いたCAや機内食の盛り付けだけにシェフを乗せたりするなど、型破りなサービスで話題を集めました。

幸いニキ航空には伝説のF1ドライバー、ニキ・ラウダのブランドと言うアドバンテージがあります。その知名度が有効なうちに新たなブランドイメージを確立し、ヨーロッパの空の荒波を乗り越えてもらいたいものです。