5月に破綻したアリタリア航空ですが、16日に再建スポンサーの入札を締め切り、7陣営が応募したそうです。破綻以降、最近はあまり情報が入ってこなかったアリタリアのニュースですが、スポンサーに名乗りを上げたのはドイツのルフトハンザやイギリスのLCC、イージージェットなど。ただ、いずれの陣営もアリタリア丸ごとの買収ではなく、一部分のみの買い取りのようなので、丸ごと買収してほしいイタリア政府の思惑通りにはいかず、とりあえず3億ユーロのつなぎ融資を行って来年4月までは運航を続けながらスポンサーを探すようです。
まあ、今回も2008年の破綻の時も労働組合の強硬な反対でリストラ案が拒絶され、追加出資が頓挫したのが原因ですから、高コスト体質と強硬な組合を抱えたままのアリタリアを丸抱えするのはリスクが大きいと判断したのでしょう。エディハド航空を持ってしても組合を抑えることはできなかったのですから、組合をなんとかしない限り、アリタリアを丸ごと引き受けてくれるスポンサーを見つけることはできないと思います。
・・・何となく70年代の国鉄に状況が似ていますね。
恐らく今の状況では複数のスポンサーに資産や路線を切り売りして、今のアリタリアは良くて大幅縮小、最悪は清算となりそうです。イタリア政府もいつまでもアリタリアの問題を引きずるわけにはいかないでしょうから、今後数カ月で丸ごと引き受けてくれるスポンサーが現れなければ、次善の策として一部資産の譲渡に応じるしかないと思います。そうなると近距離路線はイージージェット、長距離路線はルフトハンザグループに売却、となるんでしょうか。
それにしても最近のルフトハンザはエアベルリンの一部資産を買収するなど、ここぞとばかりに攻めてきますね。欧州のレガシーキャリアはルフトハンザ、エールフランス、ブリティッシュエアウェイズの三強が中心ですが、その中でもLCC事業でも成功を収めているルフトハンザは頭一つ抜け出ている感があります。
しかし部分的とは言えアリタリアの買収がルフトハンザの思惑通りに行くとは限りません。相手はエディハドのリストラ案を潰して会社も潰したアリタリアの組合。この組合にリストラを呑ませるのは至難の技ですし、再建が進まずに二次破綻してしまう可能性もあります。事実エディハド航空はアリタリア再建に失敗したことで多額の出資金を失い、会社の経営が悪化してCEOが退任に追い込まれました。この会社の再建は一筋縄ではいかなさそうです・・・