〜Aviation sometimes Railway 〜 航空・時々鉄道

航空や鉄道を中心とした乗り物系の話題や、「迷航空会社列伝」「東海道交通戦争」などの動画の補足説明などを中心に書いていきます。

鉄道連絡船がルーツの「宇高航路」の終焉・・・109年の歴史を振り返ってみた

・刀折れ、矢尽きた形の四国フェリー

11月8日、岡山県の宇野と香川県の高松を結ぶ「宇高航路」を唯一運行する四国フェリー(運航は2013年から子会社の四国急行フェリーに移管)は12月中旬をメドに宇野~高松航路を廃止する見通しだと報道されました。今のところ四国フェリー側からは正式な発表はありませんが、全国・地方問わず複数のメディアから報道されている事を見ると廃止の方針は間違いないと思います。

 

www.sanyonews.jp

 

topics.smt.docomo.ne.jp

 

報道の通り、12月中旬に四国フェリーが廃止されると宇野~高松航路を運行する会社はなくなり、国鉄の宇高連絡船以来続いていた「宇高航路」は109年の歴史に幕を下ろすことになります。そこで今回は宇高航路の歴史を振り返ってみたいと思います。

 

↓宇高航路についてはこちらの動画もご参照ください。

 

  

・鉄道連絡船から始まった宇高航路

宇高航路の原型となったのは1903年(明治36年)3月18日に開業した山陽汽船商社の岡山~高松航路と尾道~多度津航路でした。この会社は当時山陽本線を経営していた山陽鉄道の子会社であり、山陽汽船商社の航路も鉄道連絡船の性格が強いものでした。

その後、1906年(明治39年)12月1日の鉄道国有化法に伴い山陽鉄道が国鉄に買収され、山陽汽船商社の航路も国有化されます。さらに1910年(明治43年)6月12日の宇野線岡山~宇野間の開通に伴い、岡山~高松、尾道~多度津の両航路を統合する形で宇野~高松間に鉄道連絡航路を開設。これが宇高航路の始まりとなります。以来宇野は四国への玄関口として栄え、鉄道以外の長距離旅客輸送がなかった戦前から戦後すぐにかけて宇野~高松航路は本州と四国をつなぐ重要な動脈として機能しました。

 

・モータリゼーションで民間フェリーも参入・戦国時代に

宇高航路の重要性は戦後になっても変わりませんでしたが、国鉄の連絡船は甲板に貨車を積み込む関係上、自動車輸送ができないと言う弱点がありました。自動車が本格的に普及し始めた1950年代に入ると、宇野〜高松航路に自動車航送をターゲットにした民間フェリー会社の参入が相次ぎます。

 

最初に参入したのは四国フェリーで、1956年5月から運航を開始。ただしこれは貨物航路のみで、旅客輸送は1966年からになります。現在の四国フェリーの主力は小豆島航路ですが、最初に開設したのは宇野〜高松航路であり、いわば「創業の地」と言えます。

次に1959年に津国汽船が日本通運と組んで「通運フェリー」の名前で参入します。先程の四国フェリーと違い、旅客自動車輸送もOKになったと言う点では現在の形に近いと言えますが、車なしの徒歩利用客は乗船を認められませんでした。

そして1961年8月、3番目の事業者として宇高国道フェリーが参入。こちらは当初から旅客輸送も徒歩利用もOKとなり、宇高航路は国鉄、四国フェリー、津国汽船(日通フェリー)、宇高国道フェリーの4社がしのぎを削る激戦区となります。

 

1985年の時刻表を見てみると、四国フェリーは30分毎、津国汽船は40分毎(1984年から自社運航に切替、愛称も本四フェリーに。但しこの時も徒歩乗船はお断り)、宇高国道フェリーは20分毎のいずれも終夜運航とかなりの高頻度で運航されていた事が分かります。

一方の国鉄連絡船は岡山〜宇野間の列車の到着に合わせて運航され、概ねフェリーとホバークラフトが1時間おきに運航されていました。岡山〜宇野間は快速列車で約33〜35分、連絡船は1時間強。乗り換え時間を含めても岡山〜高松間は1時間50分弱で結ばれていました。

同じ宇高航路でも国鉄路線の連絡輸送が使命だった宇高連絡船と自動車輸送が主体の民間3社は立ち位置が違うので大きな対立にはなりませんでしたが、民間3社間、特に四国フェリーと宇高国道フェリーとの競争はかなり苛烈だったようです。

 

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・瀬戸大橋後も続く宇高航路の壮絶な客取り合戦

こうした中、1988年4月10日に瀬戸大橋が開通し、本州と四国が陸路で結ばれる事になりました。JR本四備讃線の開業に伴い、宇高連絡船は前日の4月9日に廃止。その後しばらくは宇野の地域輸送用に高速艇が残されましたが、それも1990年3月に休止され(廃止は翌1991年3月)、宇高連絡船は完全に姿を消しました。

 

一方の民間3社ですが、瀬戸大橋開通後も変わらず運航を続けます。瀬戸大橋を通る高速道路の通行料金が高く、特にトラックから敬遠された為です。

開通当初の児島〜坂出北IC間の料金は普通車5500円と高く、概ね普通車の3倍近くなる特大車料金はべらぼうに高いもの。この為自動車、特にトラックドライバーは通行料金がバカ高い瀬戸大橋よりも、割安で移動でき、船内で休憩できるフェリーを選択します。

民間3社は瀬戸大橋開通後も大きな影響を受ける事なく、相変わらず高頻度運航や運賃競争で客の取り合いを続けました。2004年には四国フェリーと津国汽船が共同運行に踏み切りますが、もう一方の国道フェリーとは相変わらずのツバ競り合い。本数も四国フェリー、国道フェリー双方1日50往復ずつ、合計100往復と多頻度運航が続きました。

 

・「休日1000円」がきっかけで衰退する宇高航路

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転機となったのは2008年10月からのETC休日割引(半額)及び2009年3月から始まったETC休日割引の上限1000円でした。この割引は瀬戸大橋にも適用されて高速料金は一気に下がり、自動車輸送は一気に瀬戸大橋に転移しました。それ以前からも瀬戸大橋の値下げや割引は段階的に行われていましたが、ETCの普及と急激な割引拡充が道路とフェリーのパワーバランスを一気に崩した格好です。

 

そして、宇野〜高松間のフェリーは急速にその勢力を縮める事になります。2008年4月に国道フェリーが50往復から37往復に減便したのを皮切りに、9月には四国フェリーが平日44往復、休日40往復に減便。そして2009年4月1日には津国汽船が宇野〜高松航路から撤退しました。ちなみに津国汽船はその後しばらくは宇野〜直島間の航路を運航していましたが、2012年に破産して消滅しています。

そして2009年12月20日、遂に四国フェリーと国道フェリーは双方とも1日22往復に減便した上で、減便の穴を埋めるべく共同運航を開始します。犬猿の仲だった2社が手を結んだ事は世間を驚かせましたが、言い換えればそれだけ宇野〜高松航路が追い込まれている証でもありました。

 

ところが2010年2月12日、四国フェリーと国道フェリーは四国運輸局に3月26日での航路廃止を申請します。共同運航開始から2ヶ月足らず、まさかの双方同時ドロップアウトです。

しかしこの時は高松市・玉野市のみならず香川・岡山両県も航路存続を求めて運動し、両県の議会も運航継続の支援を行政に求める意見書を提出します。これを受けて国道フェリーは3月4日に廃止申請を取り下げ、続いて四国フェリーも3月11日に廃止申請を取り下げたため宇高航路は一転して存続する事になりました。

 

・気が付けば運行会社は残り一社に。そして・・・

しかし、その後の支援策はなかなかまとまらず、国も「全額支援は制度上無理」と国費での支援に難色を示しました。法定協議会で運行会社とフェリーターミナルの統合、割引及び一部運賃の値上げなどの経営改善案が提示されましたが、実行に移される事はありませんでした。

そして宇高航路を運行する2社のうち、国道フェリーの命運が尽きてしまいました。2012年6月に終夜運航を中止したのち、2012年10月17日の運航を最後に宇野〜高松間の運航を休止。その後運航を再開する事はありませんでした。ちなみに、宇高国道フェリーは会社自体はまだ残っているようで、社員は関連会社に配置転換されたようです。

 

残った四国フェリーも経営は厳しく、2013年4月から子会社の四国急行フェリーに宇高航路を移管。その後2014年7月16日に1日14往復に減便、終夜運航も取りやめました。わずか6年前は100往復、終夜運航だった事を考えると瀬戸大橋の料金引き下げの影響がいかに大きかったかがわかります。

ちなみに、この年から瀬戸大橋を含む本四架橋は他の高速道路同様全国の運賃プール制に組み込まれ、架橋部分の割増料金を除いた分は他の高速道路と同水準となりました。一般料金はほぼ変わりませんが、ETC割引だと二千円前後となり、価格面でのフェリーの優位性はほぼ失われました。

その後2015年3月には10往復、2017年4月には5往復に減便され、かつて4社合わせて何十隻もの船が行き交っていた宇高航路はたった一隻での運航にまで縮小してしまいました。そう考えると今回の廃止は時間の問題だったのかも知れません。

 

・まとめ

報道の通り、四国フェリーが撤退すれば長年本州と四国を結ぶメインルートだった「宇高航路」は名実ともに終焉を迎える事になります。減便を繰り返しながらジリ貧となっていった末期の宇高航路の姿を思うと「刀折れ、矢尽きる」と言う表現が当てはまります。

宇高航路消滅のきっかけとなったのは瀬戸大橋の急激な値下げであり、これだけを見ると宇高航路は「国の政策に振り回されて追い込まれた」と取れます。しかし、それ以前は瀬戸大橋の高い通行料金のおかげで大きな影響を受ける事なく経営を続けられた訳であり、「国の政策のおかげで延命できた」とも取れます。いずれにしても、平成に入ってからの宇高航路は国の政策に左右された歴史と言えるでしょう。

 

行政の支援にしても2015年に沿線自治体が「船舶修繕」の名目で拠出した年間3000万円の補助金が全てであり、それも2017年度からは1500万円に減額されました。この程度では航路存続には焼け石に水であり、将来的な船舶の更新も考えると先が見えない状態でした。夏頃から自治体に採算悪化を理由に宇高航路の撤退を示唆しており、四国フェリーにとってはこれが「最後通告」だったのかも知れません。

前回の時と違い、今回は本数も少なく廃止になっても大きな影響はないと思います。それでも瀬戸大橋を渡れない原付や自転車の利用者にとっては移動手段が失われる事になり、影響はゼロではありません。今回の宇高航路の廃止は海上輸送の存続の意義や支援のあり方を投げかけているのではないでしょうか。鉄道に比べると地域が限られる航路の存続問題はどうしても影に隠れがちですが、それでも地域の生活に必要な航路については何らかの支援が必要な時期に来ているのではないでしょうか。

 

【11月11日追記】

四国フェリーから正式に航路休止の発表がありました。四国運輸局に12月16日からの航路休止を届けており、最終運航日はその前日の12月15日(日)となります。休止の理由として四国フェリーは「度重なる瀬戸大橋通行料金のETC割引拡充により輸送数量が激減しており、コスト削減も限界だった」としており、無念さがにじみ出ています。とりあえず航路廃止ではなく休止なので、将来の航路復活の可能性は一応残されてはいます。しかし、宇高国道フェリーの例を考えても将来環境が激変してフェリー需要が復活したり、行政が航路存続に足りるだけの支援を確約しない限りは航路復活はないでしょう。このまま新たな事業者が現れない限りは、12月15日で「宇高航路」109年の歴史は幕を下ろすことになりそうです。

 

www.shikokuferry.com

 

trafficnews.jp

 

今後は瀬戸大橋を使う事が出来ない125cc以下の小型バイクや自転車の本州~四国間の足をどうするかという問題が発生します。とりあえず考えられるのは小豆島経由で四国に渡る方法です。前述の四国フェリーには姫路~小豆島(福田)、新岡山港~小豆島(土庄)、小豆島(土庄)~高松の3航路があるので、これらを駆使すれば何とか四国には行けそうです。また、神戸~高松のジャンボフェリーや大阪南港~東予・新居浜のオレンジフェリーといった中長距離フェリーの利用も有効ではないでしょうか。

また、宇野~高松間の移動に限れば宇野~直島航路と直島~高松航路の乗り継ぎで移動は可能です。但し、直島~高松航路は小型バイクや自転車が搭載可能なフェリーは1日5往復しかないのが厳しいところ。乗り継ぎを考慮したダイヤではないので、あまり使い勝手がいいとは言えなさそうです。

 

最後に、将来的な宇高航路復活の可能性として、明石~岩屋間を運行する「淡路ジェノバライン」の事例にも触れておきましょう。元々は2001年11月に運航を休止した富島ー明石航路を引き継ぐ目的で設立された会社で、下着・宝飾販売の「ジェノバ」が親会社です。その後2007年に明石~岩屋間の高速船事業を引き継ぎましたが、元々の航路だった富島~明石航路は2008年に休止されました。

その後、明石~岩屋間でフェリーを運航していた「たこフェリー」が2010年11月15日に運航休止となり、今回の宇高航路同様、小型バイクや自転車が淡路島に向かう手段が失われます。明石海峡大橋は瀬戸大橋同様自動車専用道路なので通行不可能。淡路島航路自体バイク・自転車積載不可のジェノバラインしか残っておらず、その後しばらく小型バイクや自転車は自走で淡路島に行けないという事態が続きました。

そんな状態が解消されたのは2015年、淡路市が小型バイク・自転車積載可能な100トン級の高速船を購入し、淡路ジェノバラインに運航委託するという方法で小型バイクと自転車の航送が再開されてからでした。これにより5年ぶりに小型バイクや自転車で淡路島に向かう事が可能となり、近年の自転車ブームと相まって淡路島一周ルートの重要なアクセス手段となって現在に至っています。

www.jenova-line.co.jp

 

将来、宇高航路が復活するとしたらかつてのようなカーフェリーではなく、淡路ジェノバラインのような小型バイク・自転車のみ搭載可能な小型の高速船という形が現実的かも知れません。とは言え、淡路島航路は「他に移動手段がなかった」という切羽詰まった事情と引受業者があったから復活できたわけで、一応は代替手段がある宇高航路は厳しいのではないかと思います。それに、これまでの行政の宇高航路に対する腰の重さを見る限り、自前で船を用意するような機外はなさそうですし・・・

残念ながら、宇高航路はこのまま「過去の思い出」となって行きそうです。

 

 

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旅行中の食事をただ晒すだけ(8/31〜9/2 東京・福岡)

9月から引っ張ってきた「JALのA350に就航初日(2便目)に乗ってきた」シリーズ、大分間が空きましたがこれで最終回にしたいと思います。これまでの記事はこちらをご覧下さい(数が多いので一部省略)

 

www.meihokuriku-alps.com

 

 

www.meihokuriku-alps.com

 

 

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で、最後に何をやるかというと、旅行中の食事を晒すだけの食レポもどきですw

 

・・・いやホラ、ブログに限らずグルメネタって結構需要あるでしょ?

まあ、私自身の備忘録的要素もあるのですが、よろしければお付き合い下さい。

 

まずは初日、8月31日の昼食から。羽田空港で撮影をした後、溝の口の川崎図書館に行く前に腹ごしらえをしておこうと羽田空港内のフードコートで済ませることにしました。とは言っても折角の東京、何か江戸前っぽいものを食べたいよなと思ってると、「天ぷらたかはし」と言うテイクアウトの天丼があったので買ってみました。買ったのは真ん中の「月」でお値段950円。ついでに「KOEDOビール」?という不思議な(棒)飲み物があったので買ってみました。お値段450円。

天丼は作り置きの物だったのですが、まだ温かかったので美味しく頂きました。多分冷めても美味しいやつだろうと思うのですが。天ぷらはなす、ピーマン、しそ?、温玉、キス、イカ、エビの7種が入っていて値段の割には種類が多い!甘辛いタレが天ぷらにもご飯にもよくなじんでいて食と飲み物が進む進むw個人的には温玉がヒットでした。タレのかかったご飯に半熟の黄身を乗せて食べるともう・・・

 

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しかし後で調べて見るとこの店、とんかつチェーンの「和幸」の新業態だそうで、どこかの老舗が羽田空港に出店、という訳ではなかったようです。とは言え、今のところ「天ぷら たかはし」はこの1軒のみですから他では味わえないという事には変わりなく、全般的に高めの価格設定となる空港内の店にしてはかなり良心的でコスパのいい価格設定なのではないかと思います。リーズナブルに美味しいものを食べたいというならおススメです。

そう言えばこれを食べた時はまだ消費税増税前の値段でしたが、10月以降はこの店は8%と10%、どちらで売られているんでしょうか?

 

 

 

夕食は御徒町駅前の「寿し常 御徒町店」で取りました。「立ち食い寿司」という看板に妙に引かれたのと、「江戸前の寿司がどんなものか試してみるか」という魚にうるさい富山県民の妙な対抗心が生まれたのでw事前情報なしで入ったのですが、後で調べて見ると東京・大塚発祥で東京を中心に展開するすしチェーン店だったようです。


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まずは恒例の御徒町ゴールデンサイダーを(違)

 


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2日目、9月1日の昼食は蒲田駅の成城石井内にある沖縄料理店でソーキそばを注文。今回は沖縄全く関係なかったんですが、食べられるうちに食べとこうと思ったのと、「そう言えばしばらく沖縄そば食べてないなー」程度の考えでした。お惣菜とカレー食べ放題が付いていたのに惹かれたのもありますがw

味はまあ普通の沖縄そばって感じでしたが、美味しかったのと写真にはないけどオリオンビールソーダが飲めたので満足。

 
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そして夕食は福岡に到着し、ホテルにチェックインした後に取りました。最初は折角来たのだからと中州の屋台と考えていましたが、結局はホテルにあったグルメマップに載っていた「博多荘」さんに行くことにしました。グルメマップによると「現存する最古の博多ラーメンの店」だそうで、これは行って見ないと!と思ったからです。まあ、中洲の屋台はいつでも行けるしホテルからも微妙に遠かったし。 


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入り口横の看板には「創業昭和21年」と書いてあります。という事は今年で創業73年。老舗と言っても良いくらいの歴史がありますね。でも店内はいたって普通のどこの飲み屋街にでもありそうなラーメン屋。言われなければスルーしたかも知れません。 

 


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 まずは当然のように博多ゴールデンソーダを注文。

 


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 ラーメンの前に博多一口餃子やもつ煮込みをつまみつつ、ゴールデンソーダを流し込みます。やっぱラーメン屋の飲みはゴールデンソーダに餃子ですよねw

 


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 そして〆にお目当てだったラーメンを。スープを一口飲んでみてびっくり!普通豚骨ラーメンと言うと白濁スープで豚骨特有の臭みがあり、どちらかと言えばトロっとした感じなんですが、博多荘さんのスープは白っぽいは白っぽいのですが白濁というほどではなく、若干透明感があって臭みも少なかったんです。そしてスープはあっさりしつつもコクがあり、全般的に優しい感じ。豚骨スープ=こってりと言う私の豚骨ラーメン感がいい意味で崩される、凄く美味しいスープでした。ついついスープ飲み過ぎて替え玉できなかったくらいw(そうでなくとも既につまみとサイダーでお腹一杯でしたが)

正直、今まで食べた豚骨ラーメンの中で1,2を争うくらい美味しいラーメンでした。また博多に来たら食べに行きたいです。というか絶対行きたい!

 

 

 

9月2日・最終日。昨日はラーメンだったので今日は福岡の柔らかいうどんを食しておきたいところ。最初お目当ては博多駅の「牧のうどん」でしたが、朝はやっていませんでした・・・食べても食べても減らない増殖するうどんを食べて見たかったw

仕方がないので荷物預けと撮影も兼ねて一旦福岡空港に行き、3階のフードコートで見つけた「因幡うどん」で「ごぼう天うどん」を注文しました。ごぼう天はゴボウそのものに衣をつけて揚げるタイプと、写真のようにかき揚げ状になっているものがあります。スープはいりこだしのあっさり目ですがコクや旨味がしっかりあり、柔らかい麺によく馴染みます。近年の讃岐うどんブームでコシの強い麺が好まれていますし、どちらかと言うと私もコシの強い方が好みなのですが、柔らかい麺だと出汁の旨味を吸ってくれるので、いりこだしのスープと合わせるなら柔らかい麺もアリだなと思いましたし、かなり気に入りました。


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貝塚公園や博多南線などを廻って福岡空港に戻り、再びフードコート内で昼食。今度は肉が食べたかったので「ローストビーフ&ステーキ ANZU」で牛ハラミステーキを購入。隣には当たり前のように麦入り炭酸飲料が置かれていますが気のせいです。ご飯頼まなかったしセーフだよね?(何が)


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 さて、食事も取ったし、ちょっと早いですが保安検査を受けて搭乗ゲートに行きますか。今度はもう少しゆっくりと福岡や九州を廻りたいなあ。

ああ、そう言えば福岡のゴマサバは食べずじまいだったな。あれで一杯やれたら最高だろうなあ。まあ、次の機会のお楽しみに取っておくか・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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あれ?なんで目の前にゴマサバと井戸水が置いてあるんだろうなー

これって夢かなあー?(棒)

 

 

 

 

 

 

・・・実は保安検査を過ぎた後にも飲食店は結構あったんですよ。羽田の第二ターミナルだと大抵はANA系列の売店や軽食コーナーくらいだったのでノーマークだったんですが、その中でひときわ目を引いたのがこちらの「しらすくじら」さん。まさか制限エリア内に本格的な海鮮居酒屋があるとは思いませんでした。


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で、気になってのぞいて見ると、食べたいと思っていたゴマサバが置いてある!幸か不幸か時間もあったし気が付いたら入店して注文してましたよ、ええ。1000円でドリンク3杯とおつまみ1品がセットになった「せんべろセット」もありましたが、ゴマサバを食べたかったのと、既に一杯煽って来たのに更に3杯も呑んだらこの後飛行機→電車→高速バスと乗り継いで富山まで帰らないといけないのに足元が覚束なくなったらマズい、と判断し、グッと我慢してゴマサバ単品と地酒(銘柄は忘れたw確か比良松だったっけ?)を注文しました。お値段はゴマサバ780円、地酒580円の合計1360円とこっちの方が高くつきましたが、一度はあきらめていたゴマサバを思う存分食べられたし地酒も美味しかったので満足。

 


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ただ一つ失敗したなと思ったのは窓際に席を取らなかった事。入口に近い方に座ったのですが、しばらくしたら目の前にJALのA350がスポットインしてきたんですよね・・・入店した時は気にも留めなかったのが悔やまれました。先に気付いて窓際の席を確保していれば、就航2日目のA350を眺めつつゴマサバと地酒を堪能するというこれ以上ない体験ができ、写真も取り放題だったのに・・・これは絶対にリベンジしないと!

 

ちなみに夕食は名鉄百貨店で弁当買って帰りの高速バス車内で食べましたが、写真を取り忘れたので省略。

 

 そんなわけで旅行中の食事を晒してきましたがいかがでしたでしょうか。今回はJALのA350がメインだったので食事に関してはほとんど調べずに行ったんですが、結果的に上手い事美味しいものにありつけたので満足です。

 

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遂に再上場に動いたスカイマーク、ANAとの関係はどうするの?

 

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10月30日、スカイマークは東京証券取引所に上場申請を行ったと発表しました。また、これに伴い佐山会長の代表権を返上し、代わりにインテグラルからスカイマークに派遣された西岡成浩取締役が専務に昇格の上代表権を持つことになります。佐山会長はスカイマークに50.1%を出資する投資会社「インテグラル」の代表取締役でもあるため、上場準備会社の代表取締役を兼務できないため代表権を返上するそうです。また、新たに代表取締役となった西岡氏は外資系投資銀行のモルガンスタンレー出身の40歳。その若さで代表権を持つとは相当優秀な方なんでしょうね。将来の社長候補でしょうか?

 

www.aviationwire.jp

 

https://www.skymark.co.jp/ja/news/detail/__icsFiles/afieldfile/2019/10/30/191030_news1_1.pdf

 

2015年1月の経営破たんから4年10か月、今年3月期の決算では売上高882億円と過去最高を記録し、昨年からは破たん後久しぶりに新造機を購入し保有機数を29機に増やしました。今回の再上場申請でいよいよ経営再建の最終段階に移行したと言えます。今後は日本取引所自主規制法人が審査したうえで上場の可否や時期が決まるため、現時点での再上場時期は未定。スカイマークは再上場で調達した資金を国際線の拡充に充て、収益力の強化を図りたいとしています。

www3.nhk.or.jp

 

さて、再上場に向けた動きが本格化する中、ANAとの関係をどうするのかという問題もそろそろ決着を付けなければならないのではないかと思います。恐らく再上場時に現在の株主がどれだけ放出するかで動向が読めてくるのではないでしょうか。

現在のスカイマークの株主構成はインテグラル50.1%、日本政策投資銀行と三井住友銀行が設立した投資事業組合が33.4%、ANAホールディングスが16.5%となっています。このうち政投銀とSMBCの投資事業組合保有分は投資資金回収の為、再上場時に売却される可能性が高いと思われます。

 

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問題は残るインテグラルとANAホールディングスの動向です。まずインテグラルですが、短期的な利益追求型ではなく、長期的視点で経営支援を行うタイプの投資会社ですので、スカイマークが再上場したからと言って即全株売却となる事はまずないでしょう。というより代表の佐山氏が引き続き会長職にとどまり続けるわけですから、再上場後一部保有株は放出すると思いますが、ある程度は株式保有を続けて影響力を残す可能性が高いと思います。

 

一方のANAホールディングスですが、スカイマークが独立志向である事やANAの予約システム導入を拒否している事、保有比率が20%を超えると持ち分法適用会社となり、国交省から羽田発着枠の返還を求められる可能性がある為、再上場を機にスカイマーク株を買い増し、という事はまずできないと思います。

しかし、スカイマーク再建の際、資金面や人員面で支援を行ったANAとしてはスカイマークとのコードシェアをそう簡単には諦められないでしょう。もっと言えばスカイマークのスポンサー選定時にANAと競り合い、来年3月から羽田に拠点を移すデルタ航空も、日本側のパートナーとして再度スカイマークに手を出す可能性も考えられますので、みすみす保有株を手放してデルタとスカイマークの接近をアシストする気もないでしょう。恐らく再上場後も株式を手放さず、引き続き持ち分法適用会社にならない程度に保有を続ける可能性が高いと思います。

 

www.aviationwire.jp

 

しかし、それでは再上場後もスカイマーク株を売って利益確定もできず、かと言って株を買い増して買収するわけにもいかない袋小路に陥ってしまいます。スカイマークにしても今のどっちつかずの状況は好ましいものではないはずです。いずれ今後の両社の関係をどうするか、話し合う時期に来ているのではないかと思います。再上場のスケジュールが決まった段階で何らかの方向性が決まるのか、それとも決着がつかないまま再上場の日を迎えるのか。再上場のスケジュールとともに気になるところです。

 

↓スカイマークとANAの関係についてはこちらの記事もどうぞ。

www.meihokuriku-alps.com

 

 

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来年羽田に初就航⁉オーストラリア第二のエアライン「ヴァージン・オーストラリア」って何者?

オーストラリアの国際航空サービス委員会は10月21日、羽田空港の発着枠2枠について、カンタスとヴァージンオーストラリアの2社に1枠ずつ配分すると発表しました。正式決定は24日になりますが、オーストラリアの公正取引委員会も1枠ずつの配分を支持しており、カンタス側の異議申し立ての動きもなさそうなので、このまま認められる公算が大きいです。

www.aviationwire.jp

 

計画ではヴァージンオーストラリアは来年3月から羽田〜ブリズベン線を新規就航予定。カンタスは羽田〜シドニー線の増便と羽田〜メルボルン線を成田から移管する予定でしたが、1枠しか認められなかったのでどちらかを選択する事になります。オーストラリアからはジェットスター以来の新規参入航空会社になりますが、ヴァージンオーストラリアと言う会社、日本ではANAとのコードシェア便はありますが、馴染みの薄い会社と言えます。果たして、どんな会社でしょうか?

 

https://www.virginaustralia.com/eu/en/beta/#origin

 

ヴァージンオーストラリアはオーストラリア第2位の航空会社で、前身は2000年に設立されたヴァージン・ブルーになります。本拠地は羽田から就航予定のブリズベンで、オーストラリア国内線の他ニュージーランドや南太平洋地域地域、ロサンゼルスやアブダビ、香港などに就航しています。

「ヴァージン」の社名にある通り、当初はリチャード・ブランソン率いるイギリスのヴァージングループのLCCとして設立されました。最初は2機のボーイング737-300型でシドニー〜ブリズベン線に参入し、その後オーストラリア第2位の航空会社だったアンセットの倒産もあって経営規模を拡大して行きます。

 

順調に経営を拡大しているように見えますが、業績はあまり思わしくありませんでした。2005年にオーストラリアの複合運送企業・パトリックグループがヴァージン・オーストラリアに敵対的買収を仕掛け、最終的には62%の株式を取得して経営権を握ります。一方、ヴァージングループも25%の株を保有し続けました。

その後ヴァージンオーストラリアの株はニュージーランド航空、シンガポール航空、エティハド航空、ヴァージングループの4社が20%前後を保有していましたが、その後2016年にニュージーランド航空が株式を手放し、中国の海南航空グループと南山グループが取得。2011年には現在の社名に変更し、LCCからフルサービス寄りのハイブリッドLCCに転換しています。

 

そんなヴァージンオーストラリアですが、どうやら経営的にも株主構成的にも安泰とは言えなさそうです。規模的にはオーストラリア第2位ですが、経営は赤字続きで最近も750名の人員削減を発表。株価も0.16オーストラリアドルと低迷しており、経営状態はあまり良くなさそうです。

一方の大株主も海南航空グループやエティハド航空は経営再建中。今後ヴァージンオーストラリア株を手放す可能性も否定できません。そんな中での羽田〜ブリズベン線の就航は起死回生のチャンスと言えます。

 

経営的には不安要素がありますが、ヴァージンオーストラリアの参入は長年JALとカンタスグループのワンワールド勢が圧倒的に強かった日本〜オーストラリア市場に大きな変化をもたらす事になるでしょう。互いに切磋琢磨して利用者にとってプラスになるよう頑張って欲しいですね。

 

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富山空港をハブ空港化?航空事業参入を目指すジェイ・キャスについて調べてみた

 

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今日の富山新聞に「富山―関空 新たに計画」という見出しの記事が出て一瞬わが目を疑いました。記事によると、航空会社(正確には航空事業参入を目指す準備会社)の「ジェイ・キャス」という会社が計画しているそうで、関空~富山の他に関空~能登・米子・岩国の各路線の新規就航を計画しているそうです。

計画では70~80席級の小型機2機をリースし、2021年秋の就航を目指し、22年秋には4機体制にして富山と中部・仙台を結ぶ路線を開設して富山空港をハブ空港化。さらに2026年には7機体制としてさらなる路線開設を目指すそうです。

ジェイ・キャスでは関西・中部地域と北陸・山陰地域を結ぶ航空路線網が不十分と考えているそうで、新規就航で関西・中部を利用する外国人観光客やビジネス客の利便性向上に寄与できるとしており、社長は「全日空と競合しない関西・中部と北陸を結ぶことで地方空港の活性化を図りたい」としているそうです。

 

 

この記事だけを見れば、ジェイ・キャスと言う会社は国内線は羽田と札幌しかない富山空港に一気に地方路線を拡充してくれるありがたい存在、と言う事になります。確かに近年ではフジドリームエアラインズ(FDA)などが地方路線を開拓してくれているお陰で、以前よりは地方路線は充実してきています。しかし、最大の旗振り役であるFDAはJALとの関係が深く、ANA単独運航の空港にはほとんど就航していないのが実情です。それ故、ANAしか就航していない空港は総じて路線数が少ない傾向にあります。

 

例えばJAL系しか就航していない出雲空港とANAしか就航していない米子空港の国内線を比較して見ると、

出雲空港(1日最低16往復)・・・羽田(5往復)、伊丹(4往復)、神戸(10月27日より2往復で就航、12月20日以降1往復)、名古屋小牧(2往復)、隠岐(1往復)、福岡(2往復)、札幌(夏期のみ1往復)、仙台(1往復)、静岡(1往復)

米子空港(1日5~6往復)・・・羽田(5~6往復)

 

・・・その差は歴然ですね。米子空港の場合は対大阪ではJRと勝負にならない、出雲には地方路線拡充に積極的なFDAが就航しているなど事情はありますが、それを差し引いてもこれだけ差が開くものかと驚いてしまいます。そう考えるとジェイ・キャスの「ANAと競合しない地方路線に就航」という路線戦略はニッチ市場の獲得やANAの協力を得やすいなどのメリットがありますし、FDAの戦略を参考にしているように見受けられます。

 

 

それではこのジェイ・キャスと言う会社、一体どんな会社なのでしょうか?そして、路線就航を実現させられるだけの実力はあるのでしょうか?

とりあえずネットで調べてみたところ、公式HPを発見しましたので、ここに掲載されている情報を基に検証してみたいと思います。ちなみに、この会社に言及したニュース記事は発見できませんでした・・・

 

www.jcas.co.jp

 

まずこの会社の概要ですが(公式HPより抜粋)

社名:ジェイ・キャス株式会社

設立:平成30年10月23日

代表取締役:白根 清司

資本金:2000万円

本社:東京都千代田区丸の内 郵船ビルディング1階

 

準備会社とは言え、航空会社の資本金としては2000万円は少なすぎる気がします。本社所在地が丸の内とはかなり凄いように見えますが、調べて見たら郵船ビルディングの1階はレンタルオフィスになっているようでした。恐らくジェイ・キャスもこのレンタルオフィスを借りて営業しているものと思われます。

www.servcorp.co.jp

 

次に代表取締役である白根清司氏について調べて見ましょう。ネットで検索して見るとジェイ・キャスとは他に「コノビイズコンサルティング」という航空関連専門のコンサルティング会社を経営しているようです。HP内の代表者経歴によると白根氏は元々日本航空の社員で、運航技術部を中心に勤務、技術部課長を最後に1997年5月に退職しています。その後は新規航空会社の立ち上げに関わったのち(どの会社かは不明)、2001年にコノビイズコンサルティングを立ち上げ、現在に至っています。

コノビイズコンサルティングの事業内容は運航規程や整備規程、形式証明飛行規程などの航空関係の規定の設定・改訂支援、国土交通省の認可・承認、航空関係の技術支援やコンサルティング業務などを行なっており、航空関係の認可申請のエキスパートと言う感じです。近年ではJALの航空機のWi-Fi搭載支援にも携わっており、コノビイズコンサルティングとしては実績は十分にありそうです。

 

www.conobbys.co.jp

 

それを踏まえた上でジェイ・キャスの事業計画を見ていきましょう。まずは事業概要から見ていきます。

 

・事業概要(公式HPより抜粋)

・運航コストの低いターボプロップ機を使用する

・関西・中部空港と地方空港を結ぶ近距離路線網を構築し、地方空港の活性化を図る

・JRに比肩する運賃を提供し、時間的に優位な交通手段を提供する

・多頻度運航による利便性向上と採算性の確保を実現する

・人・物・情報の新たな流れを創造し新たな雇用を創出する

・インバウンド旅客を地方に誘引し観光立国に寄与する

 

コンセプトとしては「地方路線の少ない関空・中部を拠点にJRと競合する短距離路線をターボプロップ機で多頻度・低運賃で運航」という感じでしょうか。そう考えると富山新聞の記事で言及された「関空~富山・能登・米子・岩国」はJRだと2~3時間圏内で行けるのでこのコンセプトに合致します。確かにこの範囲の路線であれば大手やLCCが手を出してくることはなさそうなので、競合が少ないニッチ市場であるとも言えます。

 

しかし、過去には似たようなコンセプトで参入を掲げながら破産していった準備会社はいくつも存在しました。私も動画を作った福岡ベースの準備会社「リンク」や、今年1月に破産した「エアリージョナルジャパン」。「リンク」は福岡と北九州を拠点に松山や宮崎への就航を目指していましたし、「エアリージョナルジャパン」は庄内や秋田から成田・関空への路線を計画していました。いずれのケースもコンセプトは悪いものではありませんが、資金調達に失敗したり、国交省や機体メーカーとの調整が不調に終わったりして事業開始のめどが立たず、最後は資金繰りに行き詰まって破産しました。

いずれのケースも十分な資金がなく、有力な後ろ盾もいなかったのが行き詰まりの原因であり、今回のジェイ・キャスも認可関係のノウハウはともかく、資金面では現時点で全く開設の見通しがなく、記事にある就航計画も資金的な裏付けのない絵に描いた餅と言えます。HPの社長挨拶も国交省の事業認可や資金調達をどうするかといった具体的な就航計画にも言及されておらず、どこか抽象的ですし、採用情報欄でも「現在募集していません」と、就航準備が進んでいる様子はありません。公式HPも2018年12月に開設された後更新されている気配もないので、正直、現段階では実現の可能性はかなり疑わしいと思います。

 

www.jcas.co.jp

 

もちろん、関空や中部の活性化や地方路線拡充の観点から言えばジェイ・キャスには就航に向けて頑張って欲しいですし、富山空港を拠点に考えてくれているのは本当にありがたいです。しかし、リンクやエアリージョナルジャパン、あるいはエア奄美のように、過去に似たようなコンセプトを掲げて失敗した準備会社が何社もある事、ジェイ・キャスもこれらの会社と似たような資金力や進捗状況であることを考えると、にわかには今回の就航計画を信じることはできないのです。

 

 

www.meihokuriku-alps.com

 

ジェイ・キャスにはまず事業継続に足りるだけの資金やスポンサー集めが急務でしょう。それには信用に足りるだけの具体的な就航計画や採算見通しを出す必要があり、このハードルをクリアできない限り、地方路線就航計画は本当に「絵に描いた餅」で終わってしまいます。過去の失敗した会社と同じ轍を踏まず、今度こそ地方路線拡充を実現して欲しいところですが・・・

 

【追記】

地元のローカルテレビ局「KNB北日本放送」でもこの話題が取り上げられました。このニュース映像に映った「使用予定の小型機」の画像を見る限り、機材はATR72になるのではないかと思います。就航計画については富山新聞で報じられた内容とほぼ一致しており、10月28日に富山市で会見を開き、説明するとしています。この会見で就航計画の詳細や進捗状況などが具体的に語られるのでしょうか?

また、恐らくこの会見をきっかけに富山県や富山県内の企業などに資金的な協力や就航へのバックアップを要請するかもしれません。この計画にどれだけの企業が賛同するのか、どれだけ行政や県民の支持が得られるのか。まずは28日のジェイ・キャスの会見に注目したいと思います。

www.knb.ne.jp

 

【10月28日追記】

本日富山市のANAクラウンプラザホテルでジェイ・キャスの事業説明会が開かれました。事業内容はおおむね報道の通りなのですが、富山県内関係の路線に関しては富山~関空線と中部線は1日各4往復、仙台線は2往復の計画です。機材は70~80人乗りの小型機としていますが、会場に飾られているモデルプレーンはデハビランドダッシュ8-400型でした。ダッシュ8シリーズはANAグループで使用実績があるので、ANAの支援を仰ぐつもりかもしれません。就航計画も富山・能登・米子・岩国とANAだけが就航している空港ばかりですし・・・

 

 

 

trafficnews.jp

headlines.yahoo.co.jp

 

www.knb.ne.jp

 

構想を実現するために必要な資金は30億円で、白根社長は会見で、このうち10億円程度を富山県内の企業から集めたいとしています。富山市内で会見を開き、就航計画を説明したのも、恐らく資金集めの一環ではないでしょうか。

できれば説明会の資料とかを見られればいいのですが、残念ながらジェイ・キャスのHPにアップされる気配はありません。県内外のメディアに取り上げられたことで注目度は集まると思いますが、計画を見る限りANAの協力を得られることが前提のように思えます。まずは就航に耐えられるだけの資金調達が可能かどうかが見極めのポイントになると思えます。IBEXエアラインズに出資したJDLや、FDAを立ち上げた鈴与のような大きなスポンサーを得られるかどうかが就航の分かれ道でしょう。では、ジェイ・キャスがそのようなスポンサーを見つけられる可能性はあるのでしょうか?推測ではありますが、ジェイ・キャスが富山で説明会を開いた理由がここにあるのではと思います。

 

スポンサー候補の会社が多いという意味では実は富山県は有望な場所でもあります。というのも富山県の上場企業数は26社と人口の割には多い方で、総数でも第18位、人口10万人当たりでは6位と上位に位置します。北陸電力が富山市に本社を構える他、大手地方銀行グループのほくほくフィナンシャルグループ、大手アルミ企業の三協立山アルミやスポーツ用品大手のゴールドウィンなどの有名企業や、ITベンダー大手のインテック、ジェネリック医薬品大手の日医工など、巨大企業とまでは行かなくともそれなりの規模を持つ企業が結構います。そして、これらの上場企業の経営規模はJDLや鈴与とそう変わりません。

この中のどこか1社でも出資に応じてくれればジェイ・キャスにとっては資金的な後ろ盾を得られるだけでなく、スポンサーの信用を得て銀行などの融資も受けやすくなるというメリットがあります。世間的な信用を得られるというのも大きなポイントです。ジェイ・キャスが他の就航地ではなく、富山で説明会を開いたのは拠点空港としての可能性以外にも、スポンサー確保の可能性が一番大きいと睨んだからではないでしょうか?

 

とは言え、航空業は初期投資の大きいわりに失敗する可能性が大きい業種。スポンサーに手を上げる会社はそう簡単には現れないでしょう。本気でスポンサーを確保するのであれば、ジェイ・キャスにはこれまで以上に具体的な就航計画や、実現性に足る事業計画を提示する責務があるのではないかと思います。それが出来なければ、就航前に資金調達に失敗し、破たんして夢破れた他の会社と同じ末路を辿ることになるでしょう。果たして、今回のジェイ・キャスはどちらになるでしょうか・・・

 

 

 ↓地域主導型の航空会社の成功例と失敗例。ジェイ・キャスはどちらになるんでしょうか・・・

 

 

 

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もしも東海道新幹線が長期運休に追い込まれたら

も 台風19号で車両センターが被災して多くの車両が浸水し、長野~上越妙高間が不通となっていた北陸新幹線ですが、10月25日に全線復旧する見通しとなりました。台風通過前の計画運休も含めると13日ぶりに東京~北陸の大動脈が復旧することになりますが、この間、首都圏~北陸の旅客移動は米原経由や長岡経由などのルートや航空路、高速バスに頼る事になり、チケットが取りづらい状況が続いています。新幹線の輸送力の大きさ、重要さを改めて実感された方も多いのではないでしょうか?

 

www.meihokuriku-alps.com

 

 

・実は災害による長期運休を経験していない東海道新幹線 

 ところで、平成に入って以後、地震や台風と言った自然災害で新幹線が長期運休に追い込まれるケースは過去に何度もありました。1995年の阪神・淡路大震災では山陽新幹線の新大阪~姫路間が81日間不通となり、2004年の新潟県中越地震では営業走行中の列車が脱線した事もあって上越新幹線が2か月以上不通となりました。記憶に新しいところでは2011年の東日本大震災の際、東北新幹線が被災して全線での運転再開までに1か月半かかり、速度制限が解除されて完全復旧するまでに半年以上かかったケースや、2016年の熊本地震で九州新幹線が被災し、全線での運転再開まで13日かかったケースもあり、東北新幹線と直通する山形・秋田新幹線も含めると大抵の新幹線は災害による長期運休を経験しています。

 

 

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一方、災害による10日以上の長期運休を経験していないのは東海道新幹線と北海道新幹線の2つだけ。このうち北海道新幹線は開業から3年程度と日が浅いですが、東海道新幹線の方は開業から55年経った今も長期間運休に追い込まれた例はありません(国鉄時代のスト権ストは災害が原因ではないので除く)阪神大震災の時も京都~大阪間が3日間運休しただけで、東海道新幹線全体から見れば途中で寸断されて関東~京阪神間の交通がマヒするという事はありませんでした。

考えて見れば55年間災害による長期運休の経験がないのも幸運な事ですし、災害が起きても被害を最小限に抑えられるよう、国鉄やJR東海が対策をしてきた効果もあると思います。それでも災害による長期運休を経験していない新幹線の方が珍しくなくなった今、いつ東海道新幹線も地震や台風などによる大規模災害で寸断されてもおかしくありません。今回はもし東海道新幹線が長期運休を余儀なくされた場合、その影響や代替交通手段を考察したいと思います。

 

・現在の東海道新幹線の影響力

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平成31年3月期のJR東海の連結決算は営業収益1兆8781億円、営業利益7097億円、当期純利益4387億円。このうち本業の鉄道事業の収入を示す運輸収入は1兆3966億円で、うち東海道新幹線は1兆2918億円です。営業利益に関しても運輸事業が6648億円と利益の9割近くを稼いでおり、無論そのほとんどは東海道新幹線が稼いでいます。JR東海の総収入の7割、運輸収入の9割以上を東海道新幹線が稼ぎ出していることになり、JR東海の高い収益性も東海道新幹線の収入あってこそです。

ちなみに、平成31年3月期現在でJR東海には7000億円以上の手持ち現金があります。1年分の営業利益に匹敵する手持ち現金がありますので、東海道新幹線が1か月止まった程度では資金繰りには窮しない位には財務体質がしっかりしています。長期運休=倒産にはならないのでご安心を。

 

次に東海道新幹線の利用者数ですが、2018年3月期では年間約1億7000万人、一日当たり約46.6万人が利用しています。これだけの旅客流動が突然止まるとなると・・・考えたくもないですね。

 

・旅客流動はどのくらい?

次に各都市圏間の旅客流動を見て見ましょう。データに関しては国土交通省発表の「全国幹線旅客純流動調査」の「都道府県間流動表・代表交通機関別(出発地→目的地)」のデータを使用しました。

www.mlit.go.jp

 

旅客流動は首都圏(東京・神奈川・千葉・埼玉)、東海圏(愛知・岐阜・三重)、京阪神圏(大阪・京都・兵庫)の各相互間で比較します。また、交通機関別ではこのデータに基づき、鉄道・航空・幹線バス(高速バス)・自動車の4種類で分類します。鉄道の方は新幹線と在来線、あるいは私鉄特急の分類はないので、鉄道全体での数値となっています。鉄道、特に近鉄と競合する東海圏~京阪神圏は鉄道の旅客流動=新幹線の旅客流動ではない点をご留意ください。

 

・首都圏~京阪神間

鉄道   3420.6万人(73.1%)

航空        706.4万人(15.1%)

幹線バス 273.7万人(5.8%)

自動車     280.1万人(6.0%)

合計       4680.7万人

 

この区間に関してはほぼ鉄道=新幹線の旅客流動と考えていいかと思います。500km以上離れているので自動車の分担率は小さく、新幹線が7割以上のシェアを握っています。しかし、航空も15%、バスも6%近いシェアがあるので、代替交通機関は多少は見込める区間でもあります。

 

・首都圏~東海圏間

鉄道   3086.5万人(71.9%)

航空          54.0万人(1.3%)

幹線バス 163.3万人(3.8%)

自動車    986.4万人(23.0%)

合計      4290.2万人

 

こちらも鉄道=新幹線と考えていいでしょう。新幹線が7割以上のシェアを握るのは首都圏~京阪神と同じですが、自動車のシェアが23%に達する一方、航空とバスのシェアが小さいのが特徴です。公共交通に限って言えばほぼ新幹線の独占と言える区間です。

 

・東海圏~京阪神間

鉄道     1837.4万人(44.4%)

航空         0.2万人(0.0%)

幹線バス   105.2万人(2.5%)

自動車  2198.2万人(53.1%)

合計     4141.0万人

 

こちらは先の2区間と違い、鉄道=新幹線ではなく、近鉄の名阪特急が一定のシェアを持っている点に留意する必要があります。ただ、近鉄の利用者数やJRと近鉄のシェアなどの資料がなかったので、具体的な数値は不明です。所要時間や輸送量を考えると新幹線優位であることは間違いないのですが・・・ご存知の方がいたらコメント等で補足をお願いします。

こちらは200kmに満たない区間なので、航空のシェアはないに等しいです。その代わりに自動車が過半数のシェアを握っており、ほぼ「新幹線or近鉄特急orマイカー」という図式になっています。首都圏~東海圏との大きな違いは近鉄と言う代替交通機関が存在する事です。

 

それでは、この旅客流動を踏まえて東海道新幹線が長期間止まった場合の影響と代替交通を考えてみましょう。

 

・東京~名古屋間が止まった場合

この区間の運休はすぐに対応可能な代替交通機関がない分、影響が大きくなります。首都圏〜東海圏の旅客流動がストップするだけでなく、首都圏〜京阪神間の旅客流動の大半もストップしてしまう為です。

このうち首都圏〜京阪神間は航空機の大型化や臨時便、北陸新幹線金沢経由の北回りルートである程度はカバーできますが、問題は首都圏〜東海圏。東海道新幹線への依存度が大きい分、万が一止まってしまうと1日8万人以上ある旅客を捌く術がなくなってしまう為です。

 

まず高速バスの臨時便は輸送力は微々たるものなので焼け石に水。航空路線も本数が限られる上に首都圏〜京阪神の代替輸送で手一杯になると思うので当てにはできません。そうなるとやはり鉄道での代替が一番現実的になります。

 

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まず考えられるのは中央西線特急「しなの」の活用。中央東線特急「あずさ」で塩尻乗り換えか、北陸新幹線長野乗り換えの二つのルートが考えられますが、いずれの場合も乗り換えと4時間以上の所要時間が必要となります。しかも「しなの」も1時間に一往復程度、一列車あたりの輸送力も新幹線の三分の一程度なのでパンクするのは確実です。

もう一つのルートは北陸新幹線で金沢まで行き、名古屋行きの「しらさぎ」に乗り換える方法。しかしこのルートも中央線回り以上に時間と距離がある、「しなの」同様輸送力が限られるなど問題が多く、首都圏〜東海圏の旅客流動を全て吸収するのは不可能です。

東海道新幹線の運休期間が長くなればなる程日本経済や生活に与える悪影響は大きくなり、その損失は他の新幹線とは比べ物にはならなくなりそうです。

 

・名古屋~大阪間が止まった場合

この区間は自動車の分担率が大きく、止まったとしてもある程度は自動車に転移する見込みがある事、新幹線以外に近鉄があり、ある程度の代替が可能な事を考えると、先の首都圏〜東海圏よりも影響は少ないと思います。とは言え、1日4万人規模の旅客流動を近鉄や自動車だけで吸収するのは難しくなります。

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しかし、もし在来線が無事であればあふれた分の旅客流動をさらに吸収する事は可能です。と言うのもJR西日本側の米原〜京阪神間には新快速が30分間隔で運転されており、JR東海側も大垣まで新快速・特別快速を運転しています。大垣止まりの快速を米原まで延長運転し、西日本側の新快速に接続させれば名古屋〜京阪神間は乗り換え一回、所要時間2時間台後半で結ぶことが可能です。

車両調達はどうするのかって?そこはJR東海が進めて来た車両共通化が生きてきます。管内各地から予備車や増結用車両をかき集めて東海道線に投入すればカバーできますし、乗務員は運休になった東海道新幹線から一時的に転属させればOK。ダイヤ調整や車両・人員調達の問題はありますが、一番現実的な対応策であると考えます。

ちなみに、首都圏〜京阪神間の旅客は航空や金沢回りに加え、名古屋で近鉄か在来線乗り換えという代替手段が使えますので、こちらも首都圏〜東海圏程の影響はないと考えます(それでも影響は甚大ですが)

 

・東京~大阪間全線で止まった場合

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・・・東海道新幹線が全部止まったらもうお手上げですね。1日46.6万人の利用者の大多数が移動手段を失う事になります。先に挙げた代替交通機関だけでは到底カバーできず、日本最大の大動脈が止まった日本経済には甚大な影響が出るのは確実です。JR東海がリニア中央新幹線建設に躍起になっている理由もここにあります。

 

・JR東海に与える影響

先に挙げた通り、JR東海には7000億円を超える手持ち現金があるので短期的には経営が傾くと言う事はありません。しかし、東海道新幹線が止まる事で単純計算で1日35億円以上の運輸収入が消えるだけでなく、東海道新幹線の復旧費用ものし掛かってきます。

運休期間が1カ月を超えると減収額は1000億を超えますので、運休期間が長引けば長引くほど、JR東海が受けるダメージが大きくなり、経営への悪影響は広がっていきます。他のJRのように別の路線の収入でカバーすることもできないので、最悪の場合はリニアの建設をストップしてでも東海道新幹線の復旧に経営資源を振り向けざるを得なくなるのではないでしょうか?そうなればリニアの開業時期やJR東海の財務状態に大きな影響を与える可能性もあります。当然、株価や格付けにも悪影響を与えるでしょう。

 

・日本経済や国民生活に与える影響

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東海道新幹線はビジネス需要の割合が大きいので、それが止まると出張が不可能となり、企業の経済活動に悪影響を与えるのは確実です。今のご時世、wedカメラで映像を見ながらやり取りできたりメールやSNSなどですぐにやり取りできるので昔ほど現地に出向く必要性は高くないのですが、それでも重要な取引や打ち合わせは直接出向く必要があるわけですから、すぐに移動出来て日帰り出張も可能な東海道新幹線が使えなくなるのは大きな支障が出ます。東京はもちろん、東海道新幹線沿線に本社を構える大企業は多く、官公庁としても国の行政機関や沿線大都市の自治体の出張に影響を及ぼすため、その影響は他の新幹線の比ではありません。経済的、行政的な損失は計り知れないものになるでしょう。

また、東海道新幹線で通勤・通学する人にとっても長期運休は死活問題です。小田原くらいなら時間はかかりますが在来線に切り替えることができますが、三島や静岡となると毎日の通勤・通学は困難。最悪の場合、一時的に会社や学校の近くに転居せざるを得なくなります。身近な在来線に比べると影響を受ける人は少ないですが、確実に生活に支障が出る人は存在するのです。

 

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さらに東海道新幹線の長期運休は観光産業や宿泊業にも大きな打撃を与える事でしょう。長期運休となる東海道新幹線沿線はもちろん、飛騨や南紀、伊勢志摩など東海道新幹線利用者の需要が大きい地域、直通運転を行う山陽新幹線沿線など、その先への旅行も東海道新幹線の運休でキャンセルせざるを得ず、旅行需要は大きく減る事になります。そうでなくとも日本最大の大動脈である東海道新幹線の長期運休は心理的にも旅行への意欲を減少させ、復旧するまでは旅行を控える動きが出るのではないでしょうか。

また、インバウンド需要も東海道新幹線の不通と言う物理的な移動の不便さに加え、災害によるマイナスイメージもプラスされて激減するでしょう。そうなればインバウンド需要に頼っている宿泊施設や免税店はもちろん、外国からの航空需要も減少して航空会社の経営にも影響を与えると思います。観光産業の発展と外国人観光客の誘致を目標に掲げている日本政府にとっても大きな痛手です。

 

東海道新幹線の長期運休は直接的には日常生活に支障が出る人は多くありません。しかし、人が動かないと経済も廻らず、人が動かないと立ち行かない業界も少なからず存在する為、運休期間が長引けば長引くほどその経済的損失は大きいものになります。東海道新幹線は日本の大動脈であり、その沿線人口もけた違いなだけに影響は他の路線の比ではなく、回り回って日本経済に大きなダメージを与え、景気悪化で国民生活にも影響を与える事になるのです。

 

・・・書いてて恐ろしくなってきました。

 

・まとめ

いかがでしょうか。「東海道新幹線が止まると大変になる」と言う事は何となくわかると思うのですが、こうして実際の旅客流動を基にして考えてみると思った以上に影響が大きい事、意外と代わりの移動手段がない事に気がつくのではないでしょうか。それだけ東海道新幹線が担っている役割が大きい事、万が一の際の悪影響が大きいと言う事です。

災害は起こらないのが一番いいのですが、過去の事例から考えても「東海道新幹線だけは大丈夫」と言う事は絶対にありません。他の新幹線の被災事例を教訓に災害時の被害を最小限に抑える為の対策や、万が一長期運休になった場合の代替ルートを考える事が必要なのではないでしょうか。

 

最も、ここで言及するまでもなく、JR東海は対策を立てていると思いますけどね・・・

 

 

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737MAX運航停止問題で新たな疑惑・・・本当に運航再開できるの?

ボーイング737MAXの運航停止問題で新たな疑惑です。10月18日、アメリカの主要メディアは一斉にボーイングが737MAXの認可に際して、FAA(アメリカ連邦航空局)に実際とは異なる報告をしていた事、そのやり取りの記録を数か月前に把握しながらFAAへ開示していなかったと報じました。この報道を受けてボーイング株は前日比6%も下落し、この日のニューヨーク株式市場の下落の大きな要因の一つとなりました。

 

 

www.afpbb.com

 

www3.nhk.or.jp

 

 ↓これまでの737MAX問題の経緯はこちらの記事もご覧下さい。

www.meihokuriku-alps.com

 

 

www.meihokuriku-alps.com

 

 

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ボーイング737MAXの連続事故の原因は失速防止システム「MCAS」の誤作動との見方が強いですが、2016年の737MAXの認証試験の際、ボーイングのチーフテクニカルパイロットが同僚に「MCASが作動しまくっている」と言った旨のメッセージを送っていました。シミュレーター試験の際に作動していたようですが、FAAはボーイングとのやり取りでMCASはまれにしか作動せず、航空機の安全性に問題はないという認識を示していました。

もしこれが本当だとすれば、ボーイングはMCASの問題を認識していたにも関わらず、737MAXの認可手続きを進めていた可能性があり、FAAにも不具合の可能性がある事を報告せずに認可を通した事になります。FAAはボーイングを非難する声明を出して即時の説明を求めており、ボーイングとFAAとの溝は更に深まっています。

737MAXの運航再開に関してはアメリカン航空が年内のFAAの安全認証発行を見越して2020年1月16日からの運航再開を計画していますが、そのFAAはこの問題が解決しない限り、安全認証を発行することはないと思われます。今後のボーイングの対応次第とも言えますが、上記の疑惑が真実だった場合はボーイングはFAAを欺いて737MAXの認可を通したことになり、安全認証どころか737MAXの形式証明自体が取り消される可能性すら考えられます。

既にボーイングは737MAXの運航停止に伴い、少なくとも84憶ドル(9100億円)のコストを負担していますが、万が一形式証明取り消しとなると、既に納入した387機の737MAXの補償やすでに製造した737MAXの廃棄、受注済みの737MAX約4600機の受注取り消しに発注した航空会社への補償など、取り返しのつかない大ダメージを負う事になります。下手したらボーイングという会社そのものが吹き飛びかねず、アメリカの航空産業全般への信用問題にもなりかねない程大きな問題に発展する可能性がありますが、それだけこの疑惑が重大な問題であることの裏返しとも言えます。ボーイングには速やかな情報開示と疑惑の全容解明、FAAやカスタマー、取引先に対する誠意ある説明が必要なのではないかと思います。

  

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そして、737MAXの運航停止問題は日本も他人事ではありません。幸か不幸か、737MAXに関しては日本のメーカーが関わる割合はそれほど大きくありませんが、現在日本の航空会社が使用している737NGの置き換えと言う問題があります。現在は各社様子見というところですが、もしこのまま737MAXの運航再開の見通しが立たない場合、置き換えはどうなるでしょうか?

 

現在、日本の737NGのうち各社最も古い機材と保有機数は以下の通りです。

ANA 2005年11月登録 737-700型・JA01AN 保有機数48機

JAL  2006年11月登録 737-800型・JA301J 保有機数50機

JTA   2016年1月登録 737-800型・JA01RK 保有機数12機

SKY 2007年8月登録 737-800型・JA737N 保有機数29機

SNA 2011年6月登録 737-800型・JA801X 保有機数13機

ADO 2006年10月登録 737-700型・JA06AN 保有機数8機

SJO 2013年7月登録 737-800型・JA01GR 保有機数6機

 

合計すると166機の737NGが日本の空を飛んでいますが、一番古い機材でも13~14年程度なので、当面は置き換えの必要はありません。しかし、一般的に20年程度とされる航空機の置き換えサイクルを考えると、既にA320neoと737MAXを発注しているANAはともかく、JAL、ADO、SKYの3社はそろそろ後継機を考える必要があります。また、737NGの製造が終了した事で737NG1機種のみ運行しているSNA(ソラシドエア)とSJO(スプリングジャパン)の2社も追加機材導入の際はどうするかと言う問題も出て来ます。

 

で、本題の737MAXかA320neoかという問題ですが、実際のところは「ボーイングの対応次第では全部A320neoにひっくり返ってもおかしくない」と思います。A380問題でエアバスに迷惑をかけたSKYや長年ボーイング機だけだったJALなど、簡単にはエアバスに靡かなそうな会社もいるように見えますが、SKYは佐山会長が737MAXの安全性に度々懸念を示すツイートをしており、ボーイングに対する微妙な温度差が見受けられます。

また、JALにしてもA350導入でかつてのボーイング一辺倒から「周りに左右されず、その時のJALにとってベストな機材を選択する」と言うスタンスに変わって来ている感がありますので、737NGの後継機に関してもゼロベースで考える可能性が高いです。その場合、ゴタゴタが続く737MAXを選ぶとは思えず、機種選定のタイムリミットまでに737MAXの問題が解決しない場合、A320neo鞍替えを決断するかも知れません。

他の各社も似たり寄ったりでしょう。ADOはANAの動向次第とも言えますが、そのANAもA320neoを既に使用しているだけに、737MAXに見切りをつけようと思えばつけられます。SJOも春秋航空本体はA320シリーズを使用していますし、残るSNAも737MAXの導入は様子見の姿勢です。他社に比べると737NGの投入は遅かった分、当面機材繰りに困る心配はないですが、長期的に737NGの調達が難しいとなると、エアバスへの鞍替えも選択肢の一つになりますし、事実ソラシドエアの社長もエアバス機導入の可能性を否定していません。今後のボーイングの対応が不誠実なものであれば、様子見の各社も737MAXに見切りをつけ、A320neoに殺到する可能性も否定できません。

 

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そしてこれは日本のみならず、世界中の737カスタマー全てに言えることでもあります。特におひざ元であるアメリカのメガキャリアが737MAXに見切りをつけたら、737MAXのみならず、ボーイング自体が揺らぎかねない事態に陥るかも知れない危機的状況であると言えます。ボーイングはこれまで以上にこの問題や疑惑に対して真剣に応える義務があるのではないかと思います。どれだけ大きな航空機メーカーでも、「安全」という基本かつ最も重要なことをおろそかにしてはいずれ航空会社や利用客の信用を失い、立ち行かなくなってしまいますから。

 

 

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