10月30日、スカイマークは東京証券取引所に上場申請を行ったと発表しました。また、これに伴い佐山会長の代表権を返上し、代わりにインテグラルからスカイマークに派遣された西岡成浩取締役が専務に昇格の上代表権を持つことになります。佐山会長はスカイマークに50.1%を出資する投資会社「インテグラル」の代表取締役でもあるため、上場準備会社の代表取締役を兼務できないため代表権を返上するそうです。また、新たに代表取締役となった西岡氏は外資系投資銀行のモルガンスタンレー出身の40歳。その若さで代表権を持つとは相当優秀な方なんでしょうね。将来の社長候補でしょうか?
https://www.skymark.co.jp/ja/news/detail/__icsFiles/afieldfile/2019/10/30/191030_news1_1.pdf
2015年1月の経営破たんから4年10か月、今年3月期の決算では売上高882億円と過去最高を記録し、昨年からは破たん後久しぶりに新造機を購入し保有機数を29機に増やしました。今回の再上場申請でいよいよ経営再建の最終段階に移行したと言えます。今後は日本取引所自主規制法人が審査したうえで上場の可否や時期が決まるため、現時点での再上場時期は未定。スカイマークは再上場で調達した資金を国際線の拡充に充て、収益力の強化を図りたいとしています。
さて、再上場に向けた動きが本格化する中、ANAとの関係をどうするのかという問題もそろそろ決着を付けなければならないのではないかと思います。恐らく再上場時に現在の株主がどれだけ放出するかで動向が読めてくるのではないでしょうか。
現在のスカイマークの株主構成はインテグラル50.1%、日本政策投資銀行と三井住友銀行が設立した投資事業組合が33.4%、ANAホールディングスが16.5%となっています。このうち政投銀とSMBCの投資事業組合保有分は投資資金回収の為、再上場時に売却される可能性が高いと思われます。
問題は残るインテグラルとANAホールディングスの動向です。まずインテグラルですが、短期的な利益追求型ではなく、長期的視点で経営支援を行うタイプの投資会社ですので、スカイマークが再上場したからと言って即全株売却となる事はまずないでしょう。というより代表の佐山氏が引き続き会長職にとどまり続けるわけですから、再上場後一部保有株は放出すると思いますが、ある程度は株式保有を続けて影響力を残す可能性が高いと思います。
一方のANAホールディングスですが、スカイマークが独立志向である事やANAの予約システム導入を拒否している事、保有比率が20%を超えると持ち分法適用会社となり、国交省から羽田発着枠の返還を求められる可能性がある為、再上場を機にスカイマーク株を買い増し、という事はまずできないと思います。
しかし、スカイマーク再建の際、資金面や人員面で支援を行ったANAとしてはスカイマークとのコードシェアをそう簡単には諦められないでしょう。もっと言えばスカイマークのスポンサー選定時にANAと競り合い、来年3月から羽田に拠点を移すデルタ航空も、日本側のパートナーとして再度スカイマークに手を出す可能性も考えられますので、みすみす保有株を手放してデルタとスカイマークの接近をアシストする気もないでしょう。恐らく再上場後も株式を手放さず、引き続き持ち分法適用会社にならない程度に保有を続ける可能性が高いと思います。
しかし、それでは再上場後もスカイマーク株を売って利益確定もできず、かと言って株を買い増して買収するわけにもいかない袋小路に陥ってしまいます。スカイマークにしても今のどっちつかずの状況は好ましいものではないはずです。いずれ今後の両社の関係をどうするか、話し合う時期に来ているのではないかと思います。再上場のスケジュールが決まった段階で何らかの方向性が決まるのか、それとも決着がつかないまま再上場の日を迎えるのか。再上場のスケジュールとともに気になるところです。
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