〜Aviation sometimes Railway 〜 航空・時々鉄道

航空や鉄道を中心とした乗り物系の話題や、「迷航空会社列伝」「東海道交通戦争」などの動画の補足説明などを中心に書いていきます。

来年羽田に初就航⁉オーストラリア第二のエアライン「ヴァージン・オーストラリア」って何者?

オーストラリアの国際航空サービス委員会は10月21日、羽田空港の発着枠2枠について、カンタスとヴァージンオーストラリアの2社に1枠ずつ配分すると発表しました。正式決定は24日になりますが、オーストラリアの公正取引委員会も1枠ずつの配分を支持しており、カンタス側の異議申し立ての動きもなさそうなので、このまま認められる公算が大きいです。

www.aviationwire.jp

 

計画ではヴァージンオーストラリアは来年3月から羽田〜ブリズベン線を新規就航予定。カンタスは羽田〜シドニー線の増便と羽田〜メルボルン線を成田から移管する予定でしたが、1枠しか認められなかったのでどちらかを選択する事になります。オーストラリアからはジェットスター以来の新規参入航空会社になりますが、ヴァージンオーストラリアと言う会社、日本ではANAとのコードシェア便はありますが、馴染みの薄い会社と言えます。果たして、どんな会社でしょうか?

 

https://www.virginaustralia.com/eu/en/beta/#origin

 

ヴァージンオーストラリアはオーストラリア第2位の航空会社で、前身は2000年に設立されたヴァージン・ブルーになります。本拠地は羽田から就航予定のブリズベンで、オーストラリア国内線の他ニュージーランドや南太平洋地域地域、ロサンゼルスやアブダビ、香港などに就航しています。

「ヴァージン」の社名にある通り、当初はリチャード・ブランソン率いるイギリスのヴァージングループのLCCとして設立されました。最初は2機のボーイング737-300型でシドニー〜ブリズベン線に参入し、その後オーストラリア第2位の航空会社だったアンセットの倒産もあって経営規模を拡大して行きます。

 

順調に経営を拡大しているように見えますが、業績はあまり思わしくありませんでした。2005年にオーストラリアの複合運送企業・パトリックグループがヴァージン・オーストラリアに敵対的買収を仕掛け、最終的には62%の株式を取得して経営権を握ります。一方、ヴァージングループも25%の株を保有し続けました。

その後ヴァージンオーストラリアの株はニュージーランド航空、シンガポール航空、エティハド航空、ヴァージングループの4社が20%前後を保有していましたが、その後2016年にニュージーランド航空が株式を手放し、中国の海南航空グループと南山グループが取得。2011年には現在の社名に変更し、LCCからフルサービス寄りのハイブリッドLCCに転換しています。

 

そんなヴァージンオーストラリアですが、どうやら経営的にも株主構成的にも安泰とは言えなさそうです。規模的にはオーストラリア第2位ですが、経営は赤字続きで最近も750名の人員削減を発表。株価も0.16オーストラリアドルと低迷しており、経営状態はあまり良くなさそうです。

一方の大株主も海南航空グループやエティハド航空は経営再建中。今後ヴァージンオーストラリア株を手放す可能性も否定できません。そんな中での羽田〜ブリズベン線の就航は起死回生のチャンスと言えます。

 

経営的には不安要素がありますが、ヴァージンオーストラリアの参入は長年JALとカンタスグループのワンワールド勢が圧倒的に強かった日本〜オーストラリア市場に大きな変化をもたらす事になるでしょう。互いに切磋琢磨して利用者にとってプラスになるよう頑張って欲しいですね。

 

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