〜Aviation sometimes Railway 〜 航空・時々鉄道

航空や鉄道を中心とした乗り物系の話題や、「迷航空会社列伝」「東海道交通戦争」などの動画の補足説明などを中心に書いていきます。

スペースジェットの保存先はどこになる?

三菱航空機の社名変更に試験機全機の登録抹消と、スペースジェット撤退に関するニュースが相次ぎましたが、三菱重工からアメリカで試験飛行を行なっていた4機の解体が終了したと言う、衝撃的なニュースが飛び込んで来ました。

 

www.aviationwire.jp

 

以前の記事でも試験機の去就には触れていましたが、アメリカに保管されていた機体は日本への輸送が困難だと思うので恐らく解体だろうと言う予想をしていました。しかし、まさかこれだけ早く解体されるとは思っていませんでした。少なくともアメリカの機体に関しては三菱重工も引き取り手はいないと判断し、モーゼスレイクの試験施設も閉鎖した関係で長期保管が難しいこともあって早期解体に踏み切ったものと思われます。

 

スペースジェット事業撤退の際に書いた記事はこちら↓

 

www.meihokuriku-alps.com

 

 

さて、アメリカの機体が消えた事で今後気になるのは日本に残る試験機の去就。国内に現存している可能性があるのは飛行試験用の10号機に加え、地上試験用の5号機や疲労強度試験用の6号機、製造途中だった7号機と11号機ですが、このうち製造途中の7号機と11号機は廃棄された、もしくは廃棄される可能性が高いと思った方がいいでしょう。また、6号機に関しても疲労強度試験用と言う性質上、展示保存には向かないと思いますので、これも廃棄される可能性が高いと思われます。従って、展示保存される可能性があるのは5号機と10号機の2機になるのではないでしょうか?そこで今回は、スペースジェットの試験機が保存されるとしたらどこになるか、考察してみたいと思います。

 

本命・あいち航空ミュージアム

スペースジェットの実機保存が実現した場合、真っ先に候補となるのはやはりここでしょう。試験機が置かれている場所から一番近く、敷地内の移動のみで搬入可能なこと、展示機もMU-300やMU-2、MH2000ヘリコプターと三菱重工由来の機体が多いこと、博物館の構造上、展示機の入れ替えが可能な上に将来の拡充が可能な事も挙げられますが、何よりあいち航空ミュージアム自体が将来のMRJ試験機の展示を視野に入れて建設されており、将来的に試験飛行が終了した後は試験機の展示が予定されていたことが大きな理由です。

結果的にはスペースジェットは開発中止で「幻の飛行機」となってしまいましたが、そのプロジェクトの意義や中部地方の航空機産業のシンボル、ネガティブな理由になりますが過去の失敗に対する反省と教訓として、試験機を展示する意義は大いにあると思います。もし展示するとしたら、地上試験機の5号機になるでしょうか?

 

対抗・かかみがはら航空宇宙博物館

「中部地方の航空機産業のシンボル」「将来の航空宇宙産業を担う人材育成の一環」として展示するのであれば、岐阜県各務原市にある「かかみがはら航空宇宙博物館」も候補の一つです。あいち航空ミュージアムに比べればスペースジェットの縁は薄いですが、比較的小牧市に近く、機体搬入の面で有利なこと、すぐ近くに航空自衛隊岐阜基地があり、許認可面や安全面さえクリアできれば、飛行試験機の10号機を岐阜基地まで飛ばして搬入される事も可能な事がその理由です。また、国内有数の航空博物館として展示保存体制はしっかりしていますし、年間20万人規模の集客力がありますから、保存に行き詰まって解体というリスクも比較的低いでしょう。個人的な希望を言えば、あいち航空ミュージアムとかがみがはら航空宇宙博物館の両方で展示してくれれば嬉しいんですけどね・・・

 

一発逆転・航空科学博物館(成田市)

正直、機体の搬入面ではかなり不利な場所ですし、展示スペースの確保も難しい場所ですが、首都圏から近い場所での展示というのは大きな魅力です。機体丸ごとの展示は難しくても、前頭部だけの保存なら何とか行けませんかねえ・・・頭だけなら製造途中の機体や疲労強度試験機でもいいわけですし。

 

大穴・能登空港

「何で能登空港?」と思われるかも知れませんが、実は能登空港は国内でMRJの飛来実績がある数少ない空港。加えて能登空港には航空大学校のキャンパスもあり、航空大学校の教材としても活用できるというメリットがあります。ただ、他の候補が正規の博物館なのに対し、こちらは空港に置くわけですから長期保存に耐えられるか、そもそも輸送をどうするかという問題もありますが・・・

 

 

以上、駆け足ながらスペースジェットの保存先候補を考察してみました。ただ、三菱重工は小牧の機体の去就については「検討中」としており、解体の可能性があるのが心配なところ。願わくば、1機でも多く博物館などに保存され、少しでも国産ジェット旅客機に触れる機会を作って欲しいですね。三菱重工の英断に期待します。