〜Aviation sometimes Railway 〜 航空・時々鉄道

航空や鉄道を中心とした乗り物系の話題や、「迷航空会社列伝」「東海道交通戦争」などの動画の補足説明などを中心に書いていきます。

福岡市・貝塚公園に残る元JDAのヘロン

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初めてのJALのA350に満足した翌9月2日、以前からみたいと思っていた飛行機を見に貝塚公園に向かいました。貝塚公園へは地下鉄貝塚駅を出てすぐになります。

 

↓昨日のA350搭乗記はこちら

www.meihokuriku-alps.com

 

 

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貝塚交通公園に来た目的は公園内に展示されている元日本国内航空のデハビランド・ヘロン、JA6159。ANAの前身の日本ヘリコプター航空やJASの前身会社の富士航空→日本国内航空や東亜航空で使われていたイギリス製の旅客機で、1972年頃まで使われていました。

JA6159は伊藤忠航空整備が輸入し富士航空が購入、合併で日本国内航空になった後1967年8月に退役、東亜航空に部品取り用として売却されたようです。その後貝塚交通公園には1968年から展示されていたようで、以後50年以上、現役よりもはるかに長い時をこの地で過ごしてきました。

かつては何機ものヘロンが保存されたようですが、その多くは後に解体され、現存するのはこの機体と広島県上下町のクリーニング店の屋上にある機体の2機だけ。このためJA6159は誰でも見られるヘロンとしては貴重な機体なので、現在進行形でTDAの動画を作っている身としては福岡に来た機会に一度訪れたかったのです。

 

・・・が、どうも様子がおかしい。

 

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機体の周りには他のHPやブログではなかったはずの柵が設けられており、柵の中は雑草が生えるがまま。そして柵には所々に「あぶないので立ち入り禁止」の文字が。少なくとも2017年に撮影された写真にはこの柵はなかったので、最近設けられたものだと思われます。

 

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気を取り直して機体を見てみましょう。機首部分の塗装は所々剥げ落ち、ピトー管も曲がってしまってます。窓の上の白い部分も黒ずんでおり、保存状態は良くないようです。
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ヘロンの特徴である4発レシプロエンジン。ヘロンは19人乗りの機材ですが、エンジンが非力だったために4発必要と言う弱点を抱えていました。燃費や整備の面では効率は悪く、これが長期間活躍出来なかった理由の一つなのかも知れません。プロペラどころか長距離国際線や大型機でも双発が当たり前になった現在からは隔世の感がありますね。
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そして主翼はレシプロ機なので機体に垂直に取り付けられています。しかし全般的に状態は良くないですね・・・
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公園の反対側にはSLと20系客車が展示されています。こちらの方はちゃんとした柵で仕切られ、ちゃんとした説明板も設置されています。保存状態は屋外展示にしては良く、ヘロンとは雲泥の差です。こっちの方は寄付があったために補修の資金が出たのだと思いますが、この対応の差に日本での航空機保存の難しさを感じさせられます。
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貝塚公園自体が再開発に伴う移転の可能性があり、今後公園の規模が縮小されるのか、他の場所に移転されるのか、はたまた廃止になるのかは分かりません。しかし、いずれの場合でも保存状態が悪く、老朽化で立ち入り禁止になっているヘロンが移設される可能性は今のところ低そうです。定期的に整備されているSLや20系客車に比べると、ヘロンの方は「半分放置」と言って良く、貝塚公園の方向性が決まった後解体となってもおかしくない状態です。

fukuoka-touch.net

 

個人的には貴重な機体を何とか残して欲しいですが、他の場所に移して保存するにしても、移設費用に加えてかなりの修繕費用が必要になり、現状では厳しそうです。保存のためのクラウドファウンディングとかあれば微力ながら協力させて頂きたいんですが・・・

現状、このヘロンはいつ解体されてもおかしくない状態だと思います。記録される方はお早めに訪れることをお勧めします。また、もし保存活動に取り組まれる方、取り組もうと考えている方がいたらご一報下さい。遠方なので大した協力はできませんが、微力ながらお手伝いさせて頂きます。

 

↓この後の行程はこちら

www.meihokuriku-alps.com

 

 

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