〜Aviation sometimes Railway 〜 航空・時々鉄道

航空や鉄道を中心とした乗り物系の話題や、「迷航空会社列伝」「東海道交通戦争」などの動画の補足説明などを中心に書いていきます。

羽田空港の発着枠決定・国際線編 〜就航路線はどこ?成田路線はどれだけ減る?〜

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2020年4月からの羽田発着枠増加のニュース、今回は国際線の配分を見ていきましょう。国内線についてはこちらの記事をご覧下さい。

 

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羽田発着国際線の発着枠配分の行方

まずは各国ごとの配分を見ていきましょう。なお、配分については日本側、相手国側同数です。

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アメリカ 12

中国 4

ロシア 2

オーストラリア 2

インド 1

トルコ 1

イタリア 1

スカンジナビア 1

(スウェーデン、デンマーク、ノルウェー3か国共同)

フィンランド 1

 

前回はヨーロッパや東南アジアに手厚い配分でしたが、今回はアメリカと中国に多めに配分されています。また、ヨーロッパはロシアやイタリア、北欧と言った主要地域以外の部分で配分され、インドやトルコと言った地域にも初めて配分されるなど、いわゆるホワイトスポットへの配分が目立ちます。これまでパリやロンドン、バンコクにシンガポールと言った世界の主要都市が中心だった羽田の就航地のバリエーションは大きく広がる事でしょう。

 

次に、ANAとJALの配分を見て見ます。

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ANA 13.5枠

アメリカ6、中国2、ロシア1、オーストラリア1、インド0.5、トルコ1、イタリア1、スカンジナビア1

 

JAL 11.5枠

アメリカ6、中国2、ロシア1、オーストラリア1、インド0.5、フィンランド1

 

一見するとJALより2枠多いANAの配分は「また傾斜配分か⁉」と思われそうですが、今回はあくまでも両社の運航実績を基に配分したそうで、ANAの方が多いのは単純に就航都市が多いからだそう。確かに一番美味しいアメリカや中国は両社均等に配分されていますし、ANAのみに配分された都市のうちトルコとスカンジナビアはスターアライアンス内に提携相手がいますから順当なところ。むしろJALがこれらの国の配分を受けても使い道に困るでしょうね。

しかし、イタリアに関してはかつてはJALが直行便を飛ばしていた地域でしたので、イタリア路線の運航実績が殆どないANAに配分されるのは意外な気もします。これには昨年アリタリアとANAが結んだ提携が影響しているものと思われますが、まさかこの提携もこうなる事を見越して結んだ、って事はないよね・・・?

 

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とは言え、今回の配分にはANA、JALとも異存はないようで、 特にJALは「当社の意向を十分に汲んで頂いた」と、感謝のコメントを出したくらいです。少なくとも今回の配分に関しては先に発表されたアメリカ側の会社を含め、各社ともおおむね満足のいくものだった、と言えるのではないでしょうか。

 

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ANAとJALはどの路線に飛ばす?

ここからはANAとJALの両社が具体的にどの路線に飛ばすのかを考えてみたいと思います。

まずはANA。アメリカ路線に関しては現在羽田発はニューヨーク、シカゴ、ロサンゼルス、ホノルルに各1往復ずつ、成田発はロサンゼルスとホノルルが一日2往復とニューヨーク、ワシントンDC、シカゴ、ヒューストン、シアトル、サンノゼ、サンフランシスコに各1往復の合計11往復が就航しています。

このうちホノルルに関しては羽田のA380定期就航が難しいため、移転はないのではないかと思います。逆にワシントンDCはビジネス需要が多いのでユナイテッド同様羽田に移転させる可能性が高いと思いますし、ロサンゼルス線も1往復を羽田に移すのではないかと思います。残りの4枠ですが、成田から移すとなるとサンフランシスコとシアトルが可能性があるかと思いますし、新規開設だとユナイテッドのハブの一つであるニューアークが考えられます。また、ユナイテッドが却下されたヒューストンとグアムにANAが代わりに就航する、というのは考えられないでしょうか。特にグアムはANAが初めて就航させた国際定期路線という歴史がありますし、グアム空港も羽田移転を求めている事を考えると十分可能性はあると思うのですが・・・

 

次にそれ以外の路線ですが、中国路線は順当なのはビジネス需要の大きい上海1往復増加でしょう。もう1往復は北京の増便か、バランス的に大連か成都になりそうな気がします。オーストラリアは既にシドニーの深夜便を飛ばしていますが、昼間は完全に空港に寝かせている機材効率の悪い路線なので、昼間便を増便して効率的な機材運用にすると思います。

また、ロシアはモスクワで決まりでしょうし、インドは首都のデリー線よりもANA単独運航でビジネス需要のより大きいムンバイ線を移す可能性が高いと思います。トルコはイスタンブールで確定、スカンジナビアもコペンハーゲンになる可能性が高いと思います。最後にイタリアですが、観光需要を考えるとローマですが、ビジネス需要はミラノの方が大きいので、どちらに振るか悩ましいところ。しかし最後は観光需要狙いでローマに行きそうな気がします。

 

次にJAL。アメリカ路線は羽田発がニューヨークとサンフランシスコの2往復、成田発がホノルルが4往復とニューヨーク、ボストン、シカゴ、ダラス、シアトル、ロサンゼルス、サンディエゴ、コナ、グアムが各1往復の計13往復ですが、ANAとは逆にホノルル路線を1〜2往復羽田に移すのではないかと思います。また、ロサンゼルス線は新設という形で1往復設けるのではないでしょうか。この他移転の可能性としてはアメリカン航空最大のハブであるダラスが考えられますし、新規路線としてはアメリカンが却下されたラスベガスもありえるかも知れません。あと可能性があるとすればボストンかシカゴあたりでしょうか。

次にそれ以外の路線は中国路線はANA同様1枠は上海だと思いますが、もう1枠は新規開拓で天津あたりはどうでしょうか?JALの場合中部〜天津で就航実績がありますし、ANAが未就航の地域なので結構穴場だと思いますが・・・

ロシアはモスクワ以外には考えられませんし、インドは素直にデリー線を移動させるでしょう。オーストラリアも順当にシドニーですし、フィンランドもヘルシンキしかあり得ないでしょう。こうして見るとJALはアメリカ以外の路線の予想は容易ですね。

 

成田路線への影響は?f:id:meihokuriku-alps:20190904201238j:image

 

さて、羽田発着枠の大枠が固まったところで、今後成田空港発着路線に与える影響はどれだけあるのでしょうか?短期的には路線の減少は避けられないと思います。

まずアメリカ路線ですが、既にデルタが撤退を表明している他、ユナイテッドもシカゴとワシントンD.C.の羽田移転を決めています。日系キャリアも一部路線の羽田移転や減便は避けられないでしょう。特にビジネス需要の大きい路線や複数便運航の路線が危ないと思います。

それ以外の路線もロシア、スカンジナビア、フィンランド、トルコの路線は羽田移転は避けられないでしょう。イタリアはアリタリアがローマとミラノのどちらかは残すと思いますし、オーストラリアもカンタスは羽田に移るかも知れませんが、ジェットスターとJALのメルボルン線は成田に残りますので、一定数は残ると思います。

 

一方で成田に新たに就航する航空会社もあります。エルアル・イスラエル航空が成田への就航を表明している他、JAL系LCCのジップエアも来年4月から就航予定。新規路線に関してもANAがパース、チェンナイ、ウラジオストク線を、JALがウラジオストクとベンガルール線を就航予定だったりと、羽田の発着枠に限りがある以上成田への就航がなくなることはあり得ないと思います。

今回の増枠後は当分羽田の発着枠が増える事はないと思いますので、今後は成田をどう活用し、新規路線を誘致していくかが課題となるでしょう。今まで羽田に力を入れていた分、今後は成田路線の充実にも振り向けて羽田と成田を「日本の空の両輪」として育てて行って欲しいですね。

 

 

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