昨年3月に旅客機の登録記号にまつわる動画を出し、関連する記事を書きましたが、その際「2018年2月現在、登録中のJA8000番台の旅客機は残り56機」と紹介しました。あれから約1年半、今JA8000番台の旅客機はどれだけ残っているのでしょうか?気になったので調べてみました。
↓登録記号にまつわる動画はこちらをご覧下さい。
↓以前書いた記事はこちら。
まず全体の総数ですが、2019年7月現在で登録されているJA8000番台の旅客機は32機でした。動画を出した2018年2月に比べると24機減少した事になります。現在JA8000番台の旅客機を保有しているのはANA、ANAウィングス、JAL、日本トランスオーシャン航空(JTA)、日本エアコミューターの5社だけで、他のグループは保有していません。
RACのDHC-8-300が売却されて登録抹消され、まとまった数のJA8000番台の機体があったANAのA320ceoや737-500も今や風前の灯火。JALの777はまだまとまった機数がありますが、これも9月からのA350-900投入で順次退役になる事でしょう。来年の今頃にはJA8000番台の旅客機は本当に数えるほどしかいなくなるのではないでしょうか。次はANA、JAL各グループごとに現在残っている機種と登録記号を紹介します。
ANAグループ(15機)
B767-300(3機) JA8342、JA8669、JA8674
B767-300ER(1機) JA8971
B767-300BCF(7機) JA8286、JA8323、JA8356、JA8358、JA8362、JA8664、JA8970
A320ceo(3機) JA8946、JA8947、JA8997
B737-500(1機) JA8595
昨年2月には25機が在籍していたANAグループのJA8000番台の旅客機ですが、その後10機が退役しました。767-300、A320ceo、737-500が数を減らしています。
現在最も数が多いのは貨物機の767-300BCF。既存の-300ER型から改修された機体が活躍を続けていますが、その中には1989年6月登録のJA8286と10月登録のJA8362が含まれています。この二機は現在登録されている日本の旅客機・貨物機では最古参であり、80年代に登録された機体のうち航空会社登録で残っているのはこの2機だけ。特にJA8286は機齢30年を突破しており、貨物機改造されたとはいえかなりの長寿機です。果たしてこの2機、いつまで飛び続けることができるのでしょうか?
また、旅客型767のうちER型のJA8971は旅客運用から外れても他のER型同様貨物機改造されて生き永らえそうですが、そうでない-300型の3機は1994、95年製と古く、そう長くは運用されないのではと思います。
さらに737-500型も来年の退役がアナウンスされている他、A320ceoはいつの間にか3機に減っており、現在発表されている10月26日までの時刻表を見ても10月以降は運航されない日が多くなっています。ひょっとしたらA320ceoの運用は10月の夏ダイヤ終了までかも知れません。737-500のJA8000番台とA320ceoは年内には消える可能性が高いと思いますし、767も貨物機以外はいつ運用から外れてもおかしくないと思います。来年にはANAのJA8000番台の飛行機に乗れなくなるかも知れませんので、乗りたい方や記録しておきたい方はお早めに。
JALグループ(17機)
B777-300(2機) JA8944、JA8955
B777-200(5機) JA8977、JA8978、JA8979、JA8984、JA8985、
B767-300(6機) JA8975、JA8976、JA8980、JA8986、JA8987、JA8988
B737-400(1機) JA8995
サーブ340(3機) JA8594、JA8703、JA8900
一方のJALグループは昨年2月の時点では29機が在籍していました。777や767は昨年2月以降退役機はないものの、9機が在籍していた737-400や6機が在籍していたサーブ340の退役が進み、一気に数を減らしています。JTAのJA8995は書類上ではまだ登録が残っていますが、既に5月31日に離日しており、登録抹消も時間の問題だと思います。JACのサーブ340も今年度中の退役がアナウンスされていますので、こちらも乗れなくなる日はそう遠い日の事ではないと思います。
一方、退役時期が読みにくいのが767。777に関しては先ほども触れたとおり、A350-900と入れ替わりに退役すると読んでおり、経年機のJA8000番台を先に退役させることは容易に想像できます。恐らく今年の秋から退役機が発生し、来年にはJA8000番台の777は全て退役するものと思われます。しかし767に関しては99年製のJA8988がいる他、777と違って国内線用機材の明確な後継機は決まっていません。787の発注残が国際線用-9型3機と伊丹発着国内線用-8型4機なので、数字の上ではこれらの機材投入でねん出された国際線用767やファーストクラス付きの767を改修して、JA8000番台の古い767の置き換え用にすれば良さそうですが、伊丹用787が置き換えとして想定しているのが「767と777」なので、基本幹線にしか使ってない777の退役を優先させ、地方路線で重宝する767は状態の良い数機をしばらく残しておく、という判断をするかもしれません。
最後まで残るJA8000番台の機体は?
来年3月までにはANAのA320ceoと737-500、JACのサーブ340は消えそうですし、JALの777もA350-900の就航が進めば入れ替わりで退役が進むことが予想されます。従って、最後まで残るJA8000番台の機種はANA、JALともボーイング767になる可能性が高そうです。
その中で最後まで残りそうなJA8000番台の機体はANAの767-300BCFで間違いありません。JA8000番台で一番新しい767-300BCFは1997年製のJA8970であり、JA8286とJA8362の例を考えるとあと5~6年は現役を続けられそうだからです。一方、「最後まで残るJA8000番台の旅客機」となると、機齢的にはJALの767-300、JA8988の可能性が高そうですが、ANAのJA8971が貨物機改造されることなく、旅客機のまま飛び続ければこちらが最後のJA8000番台の旅客機になる可能性もあります。
JA8000番台崩壊のきっかけの一つだったボーイング767が、JA8000番台の幕引きをする機種になりそうなのも感慨深いものがありますが、ある意味日本の旅客機を代表する機種の一つですし、これもまたいい幕引きの形なのかも知れません。来年にはJA8000番台の飛行機は更に記録しにくくなると思いますので、撮りたい方、乗りたい方はお早めに。
↓JA8000番台に限らず日本で活躍した旅客機のその後を追った本。解体されたり朽ち果てたりしている旅客機の姿は物悲しいものがありますが、一機一機丁寧に履歴を追っているのは流石だなと思います。