かねてより中距離国際線への参入を計画していたピーチですが、いよいよ具体的な動きが出て来ました。7月17日、ピーチは既に発注しているA320neo10機のうち2機を切り替える形で、A321neoの航続距離延長型のA321LRを発注しました。もちろん、日本初のA321LRの発注です。計画では2020年10-12月期に1機目を受領、2機目は2020年度内に受領予定ですので、中距離国際線への参入は2機目の納入後、2021年春ごろでないかと思います。今回の発表では具体的な投入路線の明言は避けましたが、「飛行時間7時間程度を考えている」とのことでしたので、東南アジア路線が有力でないかと思います。
ピーチ、A321LRを20年度導入へ 井上CEO「片道7時間程度」
以前、当ブログでもピーチのA321LR発注の可能性に言及していましたが、やはりここは順当にA320との共通性が高いA321LRで落ち着きました。航続距離や共通性の面を考えると737MAXは可能性が低いなと思っていたので、ここは予想通りだなと思います。
一方、もう一社A321LRを発注する可能性があったジェットスタージャパンですが、こちらはJALが中長距離LCC参入を表明したので、グループ内の食い合いを避けるため、ジェットスタージャパンはこの分野には手を出さないのではと思います。したがって、航続距離重視のA321LRを買う必要性が薄れましたので、発注の可能性はかなり低くなったかなと思います。つまり、現時点ではピーチが国内唯一のA321LRのカスタマーになる可能性が高そうです。
就航に際しては「座席配置を見直す」としてますので、長距離運航を見越して今のA320よりも多少余裕を持たせるかも知れません。また、ジェットスターやエアアジアX同様、上級クラスを設けるかにも注目です。
一方、7月18日には北海道エアシステムがサーブ340の後継としてATR42を確定2機、オプション1機発注するとの覚書を締結しました。2020年から導入予定です。JALグループとしてはATR機の導入は日本エアコミューターに続き2社目、日本でも3社目になります。
北海道エアシステム、ATR42-600発注へ サーブ後継、20年就航
JACがATR機を発注した際はその動向が注目されましたが、この時は発注はなし。その後、保有するサーブ340の座席を総取り替えした事で「当分置き換えは無しか?」と思われていましたが、最終的には置換えの方向になりました。
予定では2020年から導入され、既存のサーブを順次置き換えることになりますが、現時点では確定発注2機、オプション発注1機と、全機置き換えるには微妙な機数。今の便数を確保するには3機は必要なはずですし、かねてから予備機不足が指摘されていましたから、ひょっとしたら一気には置き換えず、当面はATRとサーブを併用する、と言うのは有り得ない話でしょうか。せっかくシートを替えたのに3年で置き換えは勿体ない気がするのですが、まあ20年は経ってる老朽機ですしねえ・・・これに関してはオプション発注分の確定発注切替や追加発注も考えられるので、続報を待ちたいところです。
相次いで新機材のニュースが入って来ましたが、ピーチにとっては中距離国際線進出の決定、HACにとっては会社設立後初の置き換えと、いずれも会社のターニングポイントとなる発注。小さい会社ほど機材選定は会社の命運を左右しますので、新機材導入が上手くいって新たな会社の顔として末永く活躍できるといいですね。