〜Aviation sometimes Railway 〜 航空・時々鉄道

航空や鉄道を中心とした乗り物系の話題や、「迷航空会社列伝」「東海道交通戦争」などの動画の補足説明などを中心に書いていきます。

ANAが737MAX 8を発注。世界的にも珍しいA320と737の共存はまだまだ続く・・・

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1月29日、ANAホールディングスはボーイング737MAX 8を最大30機発注すると発表しました。737-800型の後継機として2021年度から2025年度にかけて納入される予定で、内訳は確定発注20機、オプション発注10機となります。

737MAXシリーズの発注は以前スカイマークが発注意向を示していましたが、経営破たんの混乱から延期され、日本トランスオーシャン航空も737-800型12機を発注した際に後半の6機を737MAXに変更できるオプションを持っていましたが、結局その権利を行使することはなさそうですので、結果的に日本ではANAが最初の発注者と言う事になりました。
www.aviationwire.jp

www.ana.co.jp

 

正直、今回のANAの737MAXの発注は予想外でした。と言うのもANAの737-800型は1号機の納入が2008年5月とまだ10年程度しか経っておらず、先月も新造機が納入されたばかり。さらに現在エアバスA320neoシリーズの納入が進んでおり、新型機を慌てて発注する必要は全くないためです。さらに今年はA380と787-10型、2021年度には777Xの納入も控えていますから、737MAXを発注するにしても777Xの納入が一段落してからだろうと思っていました。それに新型機発注の必要性という観点から言えば、ANAよりも2年早く737-800型を導入しているJALや、737-800型の生産終了で今後の事業拡大には新型機の選定が必要になるスカイマークの方が先だろうと思っていましたので、一番必要性の低いANAが先に発注というのは意外です。

別の記事では日米貿易交渉との関連性を匂わせています。もちろんANAは否定していますが、これまでもANAは日本企業が製造に関わるボーイング787や777X、国産初のジェット旅客機三菱MRJ、日本企業が関わっているエンジンを搭載したA320neoシリーズと、日本に関係のある機種を率先して選んできた経緯がありますので、全く影響はなかった、とは言えないのではないでしょうか。

 

headlines.yahoo.co.jp

 

さて、以前からANAは単通路ジェット旅客機の双璧であるボーイング737シリーズとエアバスA320シリーズの両方を保有してきましたが、「737-800型の後継機」という観点から見れば、737MAXの発注は部品やパイロット資格の面からは共通する部分が多いので妥当と言えます。しかし、「ANAの機材構成」という観点から見れば、全部合わせても80機程度しかない単通路機で737とA320の両方を持つ状態が続く事になり、コスト面では不利になります。実はこの構図、1991年にA320がANAに納入されて以来四半世紀以上続いており、A320neo納入中に737MAXの発注を決めた事で今後十数年はこの状態が続く事が確実になってしまいました。

 

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バスやトラックと違い、航空機はパイロットが操縦できる機種は1機種のみであり、整備や部品供給の観点からも機種は少ない方が効率がいい、とされています。以前はその観点から保有する機材を単一メーカーでそろえる航空会社も多く存在しましたが、ボーイングとエアバスの複占になってからは、リスク分散や競合する機種を競わせて値引きを引き出した方が得策と考える航空会社の思惑から、両メーカーの機体を保有する会社が主流になっています。

しかしその場合でも複数のラインナップがある双通路機でボーイングとエアバスが分け合うというケースや、双通路機はボーイング、単通路機はエアバスのみと言うように、ある程度の棲み分けがされるのが普通。同じような大きさの737とA320の両方を保有する航空会社はそれほど多くありません。例えばお隣韓国ではアシアナ航空が大型機はボーイングとエアバスの混成ですが小型機は傘下のLCCも含めA320で統一してますし、台湾でもチャイナエアラインが大型機は747、777、A350、A330とボーイング機とエアバス機で分かれていますが、小型機は737-800に統一されています。

ドイツのルフトハンザグループも大型機に関してはボーイング機とエアバス機の殆どを保有していますが(但し777、767はグループ会社のオーストリア航空やスイスインターナショナルエアラインズのみの保有)、小型機はグループ会社も含め全てエアバス機で統一され、ルフトハンザで使用されていた737は売却してしまいました。身近な所では現在はボーイング機のみ保有のJALも、A350就航後はこのケースに該当します。

 

この他大型機はボーイング・エアバス混成、小型機はどちらか片方と言う会社は以下の通り。

小型機はA320シリーズのみ:ブリティッシュエアウェイズ、アリタリアーイタリア航空、エティハド航空、サウジアラビア航空、南米のLATAMグループ、タイ国際航空、ベトナム航空、フィリピン航空、エバー航空、ウズベキスタン航空

小型機は737シリーズのみ:カンタス(子会社のジェットスターでA320保有)、ガルーダインドネシア、マレーシア航空、インドのジェットエアウェイズ、ヴァージンオーストラリア

 

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もちろん、737とA320の両方を保有している会社はANA以外にも存在します。例えばアメリカのアメリカン、デルタ、ユナイテッドは737とA320の両方を保有していますが、この3社に関しては単通路機の保有数自体が500~600機と巨大すぎるので、無理にどちらかに統一しても大したコスト削減は見込めない事や、リスクヘッジや競合による値下げ効果の観点からも両方を発注した方がメリットが大きいためです。同じ事は737とA320をそれぞれ100機以上保有するトルコ航空や、中国国際、東方、南方の中国メガキャリア3社にも言えます。

また、エアカナダや北欧のスカンジナビア航空も現在は737とA320の両方を保有していますが、これはあくまでも過度的なもの。将来的にはエアカナダは前者に、スカンジナビア航空は後者に統一される予定です。エールフランスKLMもグループ全体で見れば737とA320の両方を保有していると言えますが、737はKLMのみ、A320はエールフランスのみで使用されていますので、会社単位で見ればどちらかに統一されています。

 

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LCCについてはそのビジネスモデル上、1機種に統一されている会社がほとんどです。737シリーズに統一されているサウスウエスト航空やライアンエアー、A320シリーズに統一されているイージージェットやピーチなどはそのいい例でしょう。

ちなみにANA同様、それほど多くはないし置き換えの過度的なものではないのに737とA320両方を保有する航空会社は、ロシアのアエロフロートとS7航空、中国の深圳航空、エジプト航空とLCCのノルウェーエアシャトル(予定)くらいです。こうして見るとそれほど多いわけでもないのに737とA320の両方を保有し続けるANAが世界的に見れば少数派であることがお分かり頂けるのではないでしょうか。

 

もちろん、今回の決定が社内で検討に検討を重ねた結果のものでしょうし、ボーイングとエアバスとの関係やANAを取り巻く状況、運航コストや整備コストを考慮した上での決断だとは思います。しかし近年、ANAの機種数が増加傾向にあり、一方のJALが機種の絞り込みを行っている中での今回の決定は、一抹の不安を覚えてしまうのです。今後ANAが737MAXとA320neoシリーズをどう使い分け、活用していくのか。それともどこかのタイミングで機種統一に動くのか。今後の展開に注目していきたいところです。

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京王観光の不正乗車問題・今後予想されるペナルティと影響は

1月9日、京王電鉄系の大手旅行会社、京王観光が10年間にわたり団体乗車券を実際よりも少ない人数で発券し、約2億円を不正に詐取していたと週刊文春で報道されました。その後他のマスコミもこのニュースを報道し、京王観光も事実であると認めました。
headlines.yahoo.co.jp

 

・旅行会社とJRの「信用」を悪用した京王観光の不正の手口

 

さらにその後、1月16日にはその不正乗車の手口も週刊文春で報道されました。京王観光に限らず、大手や中堅レベルの旅行会社の多くはJR各社の乗車券を発見する端末「マルス」を持っているのですが、この端末はJRのものと同様、通常の切符に加えて団体乗車券の予約や発券が可能です。京王観光は自社のマルスで本来のツアー参加者よりも少ない人数で団体乗車券を発券し、当日はツアーに同行する添乗員が一括して乗車券を管理、改札では駅員が旅行会社を信用して人数をカウントしない事を悪用して少ない人数を申告、改札を通過していました。

また、マルスでは代金が発生する通常の指定券のほかに特急券料金は発生せずに座席指定のみを行う事ができる通称「指のみ券」も発券できます。本来、指のみ券は指定席利用が可能なフリー切符や特急回数券など、座席指定のみが必要な場合に発券するものですが、実際は旅行会社も予定以上にツアー客が増えた時などの為に一時的に席を確保する為に指のみ券を発券し、実際に増えたら正式な予約に切り替える「発券替え」をすることもよくありますし、JRも旅行会社を信用してそこまで細かくは指摘しません。

京王観光はその信用を悪用し、指のみ券を発券して水増ししたツアー客の座席を確保、当日は改札で指摘された時の為に回数券を準備して指摘されたら渡し、指摘されなかったら終了後に払い戻して利益として計上、と言う手口で不正乗車をしていたようです。近年では車内改札を省略する列車も増えており、余計発覚しにくい状況だったとも言えますが、旅行会社各社とJRが長年の取引で築いた信用を悪用した不正であり、悪質としか言いようがありません。


headlines.yahoo.co.jp

 

・京王観光に待ち受けるであろう重過ぎる代償

現在はJR各社が被害額を算定中なので最終的な金額はまだ出ていませんが、当初報道されていた大阪府内の2支店に加え、福岡支店でも同様の不正が行われていたことが発覚。不正に関わっていた社員は10人に上りますので、被害額確定後はJR各社からの損害賠償、及び関係者の処分が行われると思います。恐らく賠償額は不正に得た利益以上となるでしょうから、これだけでも京王観光には大きな負担になるのではと思います。

しかし、長期的な不正や悪質性の高さを考えると損害賠償だけでは済まないと思います。京王観光にとって最悪のシナリオは「マルス引き上げ」「JRの委託販売契約解除」ではないかと思いますが、不正を行っていた支店が大阪以外にも出てきた事で、その可能性は高まったのではないかと思います。JRにとって京王観光は大口の取引先だとは思いますが、不正をして信用を裏切った会社とこのまま取引はできないでしょう。少なくとも一定期間の取引停止はあるのではないでしょうか。

 

更に、詐欺まがいの不正行為を働いた以上、観光庁からの行政処分も予想されます。旅行業法第13条に定められた禁止行為の中に「旅行者の保護に欠け、又は旅行業の信用を失墜させるものとして国土交通省令で定める行為」とありますが、今回の不正事件で刑事処罰がされた場合、この禁止行為に該当する可能性があります。その場合は6か月以内の一部または全部の業務停止や、最悪の場合は旅行業登録の取り消しを出す事ができる、とされています。流石に登録取り消しまでは行かないと思いますが、一部業務停止は十分あり得るのではないでしょうか。

また、第18条の3では「旅行業者の業務の運営に関し、取引の公正、旅行の安全又は旅行者の利便を害する恐れがあると認めるとき」は業務改善命令を出すことができる、とされており、何らかの業務改善命令が出される可能性もあります。いずれにしても京王観光には何らかの処分はあるのではないかと思います。

 

そして、一番深刻なのが京王観光及び親会社の京王電鉄のイメージダウン。京王観光は修学旅行などの団体旅行に強い会社ですが、これだけの大事になってしまうと他の旅行会社に乗り換える学校も増えるのではないかと思います。さらに万が一JRの委託契約解除や行政処分が現実のものとなれば、京王観光は修学旅行の移動手段を手配する術を失い、一定期間の指名停止で修学旅行から締め出される事になります。そうでなくともイメージダウンで利用者が減る事は容易に想像できますので、今後の賠償や処分によっては京王観光と言う会社そのものの存続が難しくなる、と言う事も十分考えられます。

また、京王観光が京王電鉄の完全子会社である以上、責任を免れることはできないでしょう。特に今の京王電鉄社長は京王観光社長を務めていた時期がありますから、場合によっては電鉄社長の進退問題に発展する可能性があります。京王観光が今後払うであろう代償がどうなるか、まだ見通しは立ちませんが、かなり厳しいものになるのではないでしょうか。

 

私自身、旅行業界に身を置いているのと以前の勤め先でマルス発券に携わっていた事もあって、今回の事件には信じられないという思いと、旅行会社にとって一番大切な「信用」を悪用した京王観光に憤りを感じています。まずは不正に至った経緯の解明と京王観光及び関係者への厳正な処分、そして今後同様の不正が行われないよう、再発防止策を講じる必要があります。

旅行会社は目に見えるものを取り扱わない分、目に見えない「信用」が一番大切であるはず。背景には旅行業界の収益性の低さや少子高齢化による団体旅行需要の減少などもあるかも知れませんが、今回の京王観光の不正行為は許されるものではありませんし、自社だけでなく旅行業界全体の信用に疑いの目を向けかねない事をしてしまったと思います。信頼関係を悪用した京王観光にどんなペナルティがあるかはまだ分かりませんが、これをきっかけに旅行業界も何が一番大切な事なのか、目先の利益よりも他に守るものがあるのではないか、真剣に見つめ直す時期に来ているのではないでしょうか。

 

【 1月30日追記】

JR各社からの発券業務委託が停止されることになりました。要はマルスの引き上げであり、2月5日以降、京王観光の全店舗でJRの乗車券や特急券の発券ができなくなります。と言っても「自社の店舗で発券ができなくなる」だけで、マルスを持つだけの体力がない中小代理店と同じようにエージェント用の窓口か他の旅行会社で発券してもらうという方法は残されています。

とは言ってもこれだけの事をしてしまった以上、当分JR利用のツアーは組めないでしょうし、JR利用の旅行商品の造成は通常よりも割安な旅行代理店向けの乗車券利用が前提である以上、信用を無くした京王観光にJRがそんな割安な乗車券を卸すわけがありません。実際、京王観光もJR券付きのツアーに関しては販売を止めています。JRや他社で発券するにしても、割引率や委託手数料などで不利になりますし、京王観光が自由に予約をできなくなるという点ではその影響は大きいのではないかと思います。何よりマルス引き上げと言う事自体が異例の事なので、更なるイメージダウンは避けられないでしょう。

 

今回の措置は絶縁ともいえる「業務委託契約解除」ではなく、「無期限の委託停止」なのでマルス復活の可能性は残されていますが、この措置もJRの検証作業が終わるまでの「仮処分」。被害額や不正を行っていた規模や期間が更に大きくなれば、契約解除に踏み切ってもおかしくない状態です。京王観光は契約解除を回避するためにも今まで以上に真摯に対応し、自ら不正の全容を明らかにしてJRの心証を少しでも良くするしかないでしょうね。

www.asahi.com

 JR券発券停止について(京王観光HPより)

http://www.keio-kanko.co.jp/info2.html

 

【4月24日追記】

JR各社の被害額と京王観光へのペナルティが発表されましたが、京王観光にとっては厳しい結果となりました。京王観光とJR6社が確認作業を進めた結果、被害額は約6000万円と判明。4月19日付でJR6社が旅客営業規則に基づき運賃の3倍の1億8千万円の損害賠償を京王観光に請求した事も明らかになりました。

同日付でJR6社は京王観光との乗車券の委託販売契約を正式に解除。事実上のJRからの「絶縁」となり、今後京王観光ではJR券の販売はできなくなります。恐らく中小旅行会社と同じようなエージェント用の窓口での購入も難しいと思いますので、京王観光にとっては相当厳しい処分になります。今後はJR利用のツアー造成ができなくなるばかりか、主力の修学旅行の受注も移動手段である新幹線の手配ができなくなりますので受注はほぼ不可能。ひょっとしたら今回の措置を受けて京王観光自体指名停止処分にする自治体も出てくるかもしれません。不正の代償はあまりにも大きすぎました。

 

さらにJR東海は「刑事告訴すべきかどうかも含めて検討中」としていますので、今後は法人としての京王観光や、不正に関わった社員が刑事責任を問われる可能性もあります。別の報道では不正乗車の大半が東海道新幹線で行われたとされていますので、JR東海の対応が他より厳しいのも無理はないですね。

損害賠償については親会社の京王電鉄がいるので間違いなく支払われるものと思われますが、刑事処分まで行くと京王観光自体の存続は危うくなるかもしれませんし、京王電鉄が切り離す可能性もあります。同業者としては旅行業界全体の信用を落とした京王観光には改めて憤りを感じますし、自分自身他山の石とすべきと思います。旅行という実体のないものを売っている以上、「信用」は最も大事なものですから。

www.nikkei.com

 

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リニアのセキュリティ対策は今後どうなるのか、手荷物検査実施の可能性は

随分間が空いてしまいましたが、東海道交通戦争の新作、リニア建設の不安要素についてまとめました。現在YouTubeでのみ公開中ですが、間もなくニコニコでもアップ予定です。

 


東海道交通戦争 最終章「未来への戦い」⑥リニアの夢への壁

 

今回はリニアの不安要素の中から、手荷物検査実施の是非を含めたセキュリティ問題について掘り下げたいと思います。狙ったわけでも何でもないのですが、動画を投稿した直後に政府が鉄道でのテロ対策強化の為、駅での手荷物検査の実証実験を検討していると報道されました。東京メトロ霞ヶ関駅が候補となっており、早ければ2月にも実施する方向で調整しているそうです。

 

headlines.yahoo.co.jp

 

昨年6月に発生した東海道新幹線車内での殺傷事件や、2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催を受けての措置で、実証実験の結果によっては「鉄道駅での保安検査」が現実のものになりそうです。また、JRグループ旅客6社と大手私鉄16社などの鉄道各社局は2019年4月1日から手回り品のルールを改正、「包丁類やナイフ類、なた、鎌、はさみ、のこぎりなど」の刃物類の持ち込み禁止が明文化されます。

飛行機のように保安検査までやるわけではないですし、「他の客に危害が及ばないよう、厳重に梱包されたもの」は除外されますので完全に防ぐことは難しいですが、禁止と明文化することで刃物持ち込みの抑止力になるのではないでしょうか。また、梱包されていない刃物類を収納してる疑いがある場合は乗客立ち合いのもと係員が中身を点検できるとしており、禁止規定に反して刃物が持ち込まれた際の対抗策も立てられています。東海道新幹線の殺傷事件を機に、鉄道へのセキュリティ対策は急速に進んでいるように見えます。

 

trafficnews.jp


さて、本題のリニアの手荷物検査ですが、海外ではユーロスターやスペインのAVE、中国高速鉄道などで手荷物検査の実施例があります。とは言えユーロスターやAVEは1時間に2~3本程度と本数はそこまで多くなく、また1列車当たりの定員も東海道新幹線よりは少ないので、この例をそのまま新幹線にも当てはめるのは無理があります。また、中国高速鉄道の場合は本数や運行規模は大きいものの、駅の規模が日本とは比べ物にならない程大きく、手荷物検査を実施してもパンクしないだけのスペースがあるのでこれも参考にはならないでしょう。海外で手荷物検査の実施例があるからと言って、それが新幹線やリニアでもそのまま適用できる、とは言えません。

動画内でも触れましたが、東海道新幹線での手荷物検査の実施は「今のやり方のまま」では不可能だと思います。1日45万人の利用者がいる東海道新幹線でそれだけの人数を捌けるだけの検査設備を設けるのは不可能ですし、保安検査要員の人件費も莫大なものになります。第一、新幹線の駅に手荷物検査のスペースなんてありませんから、今すぐの実施は難しいと思います。

一方、リニアに関しては手荷物検査のスペースさえ確保すれば実施は不可能ではないと思います。むしろリニアは新幹線以上の高速走行や南アルプスを貫通する長大トンネルがある事、さらに世界的な注目を集める高速交通機関ゆえにテロの標的になる可能性がある事を考えると、火災や殺傷事件防止の為、何かしらのセキュリティチェックは必要になるのではと思います。

 

toyokeizai.net

 

そういう意味では今回の霞ヶ関駅での手荷物検査の実証実験は今後の新幹線やリニアでの手荷物検査実施の試金石になると思います。霞ヶ関駅は東京メトロ日比谷線、丸ノ内線、千代田線の3線が乗り入れ、1日の利用者数は15万人以上。出入り口は24か所、改札も6か所あるなどある意味東海道新幹線以上に手荷物検査のやりにくい駅です。数分おきにひっきりなしに電車が発着し、常に多くの利用客が行きかう駅で手荷物検査実施となると、大きな混乱が起きるのは想像に難くありません。手荷物検査の内容についても飛行機のように金属類や電子機器を全部出してX線を通したり金属探知ゲートを通ったりするなど本格的なものは時間やスペースの関係で難しいでしょうから、係員の目視検査や手荷物のX線検査程度になるのではないでしょうか。

この実証実験の是非はともかく、実験で得られるデータは将来の鉄道での手荷物検査の実施の可否や方法も含めて、貴重な判断材料になるのではないかと思います。やるからには将来の鉄道の安全につながるよう、有益に役立てて欲しいですね。

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2019年の抱負と今後の動画作成・YouTubeチャンネルの方向性について

皆様、あけましておめでとうございます。

旧年中は当ブログや動画をご覧頂き、本当にありがとうございました。

本年もよろしくお願いいたします。

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画像は全然関係ないですけど・・・

 

それでは、さっそく2019年の抱負と今後について。

 

1.東海道交通戦争完結と新シリーズ立ち上げ

昨年もこう言っておきながら結局完結しなかった「東海道交通戦争」今年こそ完結させます。現在3が日明けのアップに向けて次の回の編集に入っていますが、その後は1回か2回で完結させるつもりです。余力があれば番外編として高速バスなどにも触れたいと思いますが、このシリーズを完結させないと次には進めないので区切りは必ずつけます。

そして新シリーズの立ち上げですが、東海道交通戦争完結後に本格的に構想を練るつもりです。「しくじり企業」的な感じの解説動画を考えていますが、タイトルや一部の構成は変えるつもりです。内容的には航空以外の交通機関の「しくじり」的なものを紹介するつもりですが、企業倒産にこだわるつもりはなく、幅広い分野で取り上げていきたいと思います。もちろん対象となる企業や路線には敬意を払いつつ、見てて後味悪くならないよう最大限の注意を払いながら作るつもりです。

 

2.YouTubeチャンネル登録者数、メインチャンネル30,000人 サブチャンネル10,000人

メインチャンネルについては昨年9月以降、毎月1000~1300人の割合で増えているので不可能な数字ではないと思います。それでも今の増加数プラスアルファは必要なので決して楽な目標でもありません。

サブチャンネルの10000人は東海道交通戦争も終わらせるのに強気すぎる数字じゃないの?と思われるかもしれませんが、これは先に挙げた新シリーズの動画をサブチャンネルの方で展開する構想があるためです。その為サブチャンネルの方は高めの目標に設定しました。正直、サブチャンネルの登録者数はその新シリーズの成否、と言うか実現にかかっているので、余計1の目標を達成しないといけないことになります。

 

3.YouTubeチャンネルの再編

1と2の目標とも連動するのですが、東海道交通戦争の完結後はYouTubeのサブチャンネルの位置づけを考え直す必要があります。今のところ、メインチャンネルは今まで通り迷航空会社列伝を中心とした航空関係の動画を投稿、サブチャンネルは新シリーズを柱にした航空以外の交通関係の動画を想定しています。サブチャンネルの方は鉄道の比率が大きくなると思いますが、競争相手が少ない航空に比べると投稿者数は多くなりますので、ある意味航空より難しいかもしれません。新しいチャンネル名などは東海道交通戦争完結後に考えるつもりです。

 

今後の動画作成について

まずは「東海道交通戦争」「東急の空への夢」の完結が最優先になります。特に東海道交通戦争は2年以上引っ張っているので(リメイク前のニコニコ版もカウントすると7年以上)、いい加減完結させないといけませんね。

その後は迷航空会社シリーズについては基本的に今まで通り。去年は国内航空会社の比率が多かったので、今年は海外航空会社の紹介を増やしたいですね。一方の新シリーズの方は一からの構築になりますので、メインチャンネルでは手堅く、サブチャンネルでは多少冒険的に、といったところでしょうか。

 

それと、余力があれば旅動画的なものもやってみたいなと考えています。最低限、アクションカムの購入が必要になりますし、そもそもどこかに出かけないといけないですし、さらに言えば今やっている解説動画と旅動画は編集のやり方も全然違いますので、できるかどうかかなり微妙ですが、いつかはやってみたいなと思っていた分野でもありますので、なんとか形にしたいなあ・・・

 

ともあれ、今年はいろいろやりたい事はありますが、本業の仕事もおろそかにせず、視聴者や対象の立場も考えた動画作りの姿勢は忘れずに頑張っていきたいと思います。本年もどうぞよろしくお願いします!

2018年に投稿した動画(迷航空会社列伝・東海道交通戦争)を振り返る(9~12月)・2018年のまとめと懺悔

2018年に投稿した動画の振り返り、最後は9月から12月に投稿した動画と全体のまとめです。

 

9月17日 迷航空会社列伝 ANA機材貧乏くじ伝説(原稿文字数11602文字)


迷航空会社列伝「こんなはずでは・・・ANA機材選定貧乏くじ伝説」前編


迷航空会社列伝「どうしてここまで・・・ANA機材貧乏くじ伝説」後編

 

2000年代以降のANAの機材選定に関するゴタゴタと貧乏くじを書いた動画です。この動画が伸びてくれたおかげでチャンネル登録者数1万人を突破した、私にとっても思い入れの大きい作品になりました。

近年の新型機は複合素材など新しい素材を多用したり、使用経験の浅い新技術を多く使うことなどで開発が複雑化しています。これが787やMRJ、この動画には関係ないですがエアバスA380が開発遅延となった理由の一つであり、高度化している分、航空機開発は失敗のできない大きなプロジェクトになっています。エアバスA350はあえて新技術の採用や複合素材の量を減らして開発リスクを抑えたくらいです。航空機メーカーの寡占化、巨大化が進んでいるのも開発費高騰で負担できるメーカーが限られてしまうのも原因の一つ。ANAの一連のトラブルは現代の航空機開発の難しさを表しているのかも知れません。

 

10月21日 迷航空会社列伝Lite エアポートウオーク名古屋(原稿文字数3583文字)


迷航空会社列伝Lite「究極のリユース&リサイクル」エアポートウオーク名古屋

 

この動画は以前ニコニコ動画で投稿したもののリメイクですが、名古屋空港の移転をせざるを得なかった事情や、エアポートウオーク名古屋開店の経緯、あいち航空ミュージアムの開館なども掘り下げています。

運営会社のユニーはドン・キホーテが40%の株を保有し、一部の店舗ドン・キホーテとのダブルネーム店舗に改装されることになりますが、今のところ改装対象となるのは食品スーパーのピアゴやアピタのうち中小型店のようなので、エアポートウオーク名古屋に関しては当面このまま推移するのではないかと思います。

 

11月16日 迷航空会社列伝 東急の空への夢(今のところ原稿文字数25090文字)


迷航空会社列伝「東急の空への夢」 第1話 第三の航空会社・日本国内航空


迷航空会社列伝「東急の空への夢」 第2話・東亜国内航空


迷航空会社列伝「東急の空への夢」 第3話・ケチケチ作戦

 

迷列車シリーズ九周年祭に合わせて始めたシリーズ。東亜国内航空→日本エアシステムの歴史を筆頭株主だった東急の視点から紹介します。大手三社の一角に君臨したJASですが、JALやANAに比べると資料も少なく、TDA設立の経緯やどうやって会社規模を拡大したかなどの経緯も良く分からず、正直動画化は難しいと思っていました。しかし、たまたま古本屋で見つけた東急の社史に富士航空から始まる東急の航空事業の関わりや、東亜国内航空設立までの歴史が分かった事で「これ他の資料があれば動画作れるんじゃね?」と思い、片っ端からネットで資料を探し、田中勇氏の半生を描いたノンフィクション小説や70年代の日本の航空業界の現状を書いた本などを見つけて取り寄せた事で、何とかストーリーを作れるメドが立ったため、今回の動画化に至りました。

現在原稿は第4話まで完成していますが、東海道交通戦争の完結を優先したいと思いますので、続きはしばらくお待ちいただけると幸いです。このシリーズはネットでも情報がないエピソードがまだまだ出て来ますので、最終的に何話まで行くか、全く分かりません。とは言えあまり引っ張り過ぎると他の会社も取り上げられなくなるので、その辺も考えつつ、なるべく早く完結させたいなと思います。

 

2018年のまとめと懺悔

今年はYouTubeのメインチャンネルが1万人を突破した事が一番良かったかなと思います。正直、前半は思うように登録者が伸びず、年内の1万人達成もあきらめていたので9月以降の急激な再生数&チャンネル登録者増加は自分でもかなりビビりました。改めてチャンネル登録して頂いた皆様、動画をご覧頂いた皆様に深く御礼申し上げます。

 

で、今年の初めにこんな記事を書いたのを覚えていますでしょうか。今年の抱負と目標を書いたものですが、書いた以上は達成したかどうかも書かないといけないですね。というか先に結論を言ってしまうと全然達成できなかったので、ここからは懺悔と言い訳となります・・・

www.meihokuriku-alps.com

 

抱負1.東海道交通戦争本編を完結させる

もう前の記事で結果は書いているのですが、完結できませんでした。

来年こそは意地でも完結させます・・・

 

抱負2.YouTubeチャンネル登録者数、メイン1万5千人、サブ3千人

これについてもメインチャンネル1万人達成は行けたものの、目標としていた登録者数には達することができませんでした。まだ年は明けていませんが、今日の午後6時30分現在のチャンネル登録者数は、

 

メインチャンネル 12,892人

サブチャンネル  2,788人

 

と言う結果になりました。個人的にはもっと悪い結果を想像していましたのでこの数字には十分満足しているんですが、未達成は未達成ですよね。

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まあ、目標自体が結構高めの設定だったので、来年はもっと地に足を付けた目標を立てようというのが一番の反省点ですね。

ちなみにニコニコのフォロワー数は6,263名。昨年末が4600人以上だったので、約1600人ほど伸びています。何はともあれ、今年チャンネル登録&ニコニコのフォローをして頂いた皆様、本当にありがとうございました。

 

抱負3.空港をテーマにした新たな解説動画シリーズの立ち上げ

 

すいません、これは完全に企画倒れでした(土下座)

 

結局、「迷空港列伝」的な動画にしようかと思ったんですが、実際に取材に行けなかったのと、構成やコンセプトがまとまらなかったのでそのまま企画が自然消滅していった、という結果に終わりました。結局今年は新シリーズの立ち上げも全くできなかったので、今年一番の反省点です。来年、東海道交通戦争を完結させた後はサブチャンネルの方向性も考えないといけないので、これについては年が明けてから、新年の抱負でまたお話ししたいと思います。

 

以上、2018年の動画の振り返りと年明けに立てた抱負の結果に対する懺悔でした。今年は動画制作の面では国内航空会社が中心になり、単なる航空会社の紹介にとどまらない、登録企業や機材運用の面からも話を広げられたという点ではよかったと思いますが、新シリーズ立ち上げができなかったり、東海道交通戦争を完結させられなかったという点では反省しないといけないなと思います。

とは言え2018年も多くの皆様に見て頂き、チャンネルが成長したのは紛れもない事実。見て頂いた皆様には感謝してもしきれません。慢心することなく、来年も皆様にいい動画を提供できるよう精進していきますので、どうぞ来年もよろしくお願いします。皆様、どうぞ良いお年を。

2018年に投稿した動画(迷航空会社列伝・東海道交通戦争)を振り返る(5~8月)

2018年にアップした動画の振り返り、続いては5月~8月分です。

 

4月29日 東海道交通戦争 最終章

(今年は4本投稿、原稿文字数今のところ91148文字)


東海道交通戦争・最終章②~沈んだ太陽は再び昇るのか~カリスマ経営者最後の挑戦


東海道交通戦争・最終章⑤「和製LCC三国志」

まず始めに懺悔します。

 

結局今年で終われませんでした(土下座)

 

前の記事でも触れましたが、転勤で通勤時間が伸びて動画作成に避ける時間が減ったのが地味に効いているのと、JAL再建の話やリニアの問題点など、デリケートな問題で原稿作成に時間を取られたこと、メインチャンネルの迷航空会社列伝の動画作成との並行が思ったよりもきつかったのが敗因です。

今年アップできたのはJAL再建話が2話と、羽田空港国際化、和製LCCの就航の合計4話。本当はこの後リニア建設の不安要素についての動画を出す予定でしたが、原稿作成だけで力尽きました・・・これについては現在編集作業は始めていますが、投稿は年明けになります。本当にすみません。これを出した後は近年の航空と新幹線を取り巻く環境の変化や近況に触れて区切りにする予定です。来年こそは絶対に終わらせます。

 

5月9日 迷航空会社列伝Lite ニューヨークエア(原稿文字数1831文字)


迷航空会社列伝Lite「買収したから用はない」捨て駒にされたニューヨークエア

 

東海道交通戦争作成の合間に作った迷航空会社列伝Lite。フランク・ロレンツォがシャトル便参入の為に作った航空会社、ニューヨークエアを取り上げました。そう言えば今年はこの後の過去の迷航空会社のその後を紹介した動画を除くと、海外の航空会社を取り上げたのはこれが最後ですね。

ロレンツォも自前の航空会社で勝負をかけた事があるんだよ、というつもりだったんですが、結局はいつもの買収で目的達成したからいらなくなったというオチになってしまいました。それにしてもトランプシャトルの高品質なサービスをニューヨークエアもやろうとしていた事には驚きました。と言うかニューヨークエアで失敗した短距離路線の豪華サービスをなぜまたやろうとしたんだか・・・

 

5月20日 あの迷航空会社は今(原稿文字数4962文字)


~あの迷航空会社は今~ イラン航空・オリエントタイ航空・アリタリア航空のその後

過去に投稿した迷航空会社のうち、現在も存続しているイラン航空、オリエントタイ航空、アリタリア航空のその後を紹介した動画。結局アリタリアに関しては何も進展してないというオチでしたが・・・

 

で、この動画を作ってから半年以上たっているので更に各社の現状についても触れたいと思います。

まずイラン航空ですが、アメリカのイラン制裁再発動で新品の航空機輸入は再び不可能になりました。flyteamでイラン航空の機材一覧を見て見ると、2018年8月にATR72が一気に5機納入されています。恐らく制裁発動前の駆け込みで納入されたものと思いますが、これでアメリカが制裁を緩和しない限りは西側諸国の新型機購入は再び不可能になってしまいました。

一方でロシアのスホーイがイランの航空会社とスーパージェット40機の購入契約を締結しており、こちらはアメリカ製の部品を使わない機体を納入する事で制裁はクリアできる様子。現在イルクートが開発中のMS-21もロシア製エンジンを使用するモデルがあるので、国内線用機材はロシア製の新型機で凌げそうです。今後はエアバス製の中古機とロシア機の購入で凌ぐことになりそうです。

 

次にオリエントタイ航空ですが、いつの間にかwikiの記事が更新されていました。それによると2017年9月に一時運航停止後、12月に復活。しかし2018年7月に全便運航停止となり、現在は経営再建を目指しているそうです。ホームページも一時期閉鎖されていましたが現在は復活しているので、運航再開を目指しているのは本当のようですね。

もっとも、個人的には問題ありまくりのこの会社については劇的な改善は望めないのでこのまま再建を断念して欲しいところですが・・・

www.ch-aviation.com

 

そしてアリタリア航空。こちらも破たんから1年8か月たった現在でも去就は決まっていません。10月にはアリタリアの労働組合が結論が出ないことに怒ってストライキを通告しましたが、その後実際に実施されたかどうかは不明。売却先についてもイタリア政府出資の鉄道会社が名乗りを挙げたり、イタリア政府がつなぎ融資の株式転換と言う形で経営に関与しようとするなど、不透明さが増してきています。

www.nikkei.com

headlines.yahoo.co.jp

 

また、この記事によると今年のアリタリアの業績は堅調に推移し、第3四半期の売上は前年比7.1%増、決算も黒字の見通しと言うにわかには信じられない急回復っぷり。収益管理戦略の見直しと法人需要の取り込みが奏功しているそうで、今後はLCCの影響が少ない長距離路線を強化するとのことです。正直、ここまで結論が先延ばしになるとは思っていませんでしたが、本当にアリタリアの件は決着がつくのでしょうか・・・

www.travelvision.jp

 

7月15日 迷航空会社列伝 エアアジアジャパン(初代)(原稿文字数6366文字)


迷航空会社列伝「水と油の同床異夢」1年3か月で消えたエアアジア・ジャパン(初代)

8月4日 迷航空会社列伝 バニラエア(原稿文字数6621文字)


名航空会社列伝「リゾートに咲いた白く儚い花」究極のリリーフ・バニラエア

8月13日 迷航空会社列伝 エアアジアジャパン(2代目)(原稿文字数5341文字)


迷航空会社列伝「郷に入ってもゴーイング・マイウェイ」2代目エアアジアが飛べなかったわけ

 

7月~8月は初代エアアジア・ジャパン→バニラエア→二代目エアアジアジャパンと和製LCC三部作を投稿しました。初代エアアジア・ジャパンについてはANAとエアアジアの合弁自体が無理筋だったのではないかと思いますが、そんな状態から立て直したバニラエアはANAの底力を見せたなと思います。先日のニュースでバニラエアのピーチへの移管スケジュールと来年10月の運航終了が報道されましたが、最後まで無事に運航を続けて欲しいところですね。

そして2代目エアアジア・ジャパン。12月20日に来年2月1日から中部―台北線の開設を発表、ようやく2路線目及び国際線の開設にこぎつけます。2機保有の1機使用というLCCとしては機材稼働率の良くない状態だったのが解消されるのはいいのですが、就航路線が激戦の上にスターフライヤーが就航したばかりの中部―台北なのはちょっと心配です。上手く定着してくれればいいのですが・・・

 

エアアジア・ジャパン、台北2月就航 初の国際線、中部から1日1往復

 

8月24日~27日 2018年度下期運航計画(原稿文字数4086文字)


迷航空会社列伝特別編・2018年度下期各社運航計画・ANAグループ編


迷航空会社列伝特別編・2018年度下半期各社運航計画・JALグループ、その他の会社編

 

8月に発表された航空各社の運航計画の修正分を動画にしました。ANAは787のエンジン問題が尾を引いた計画になっています。一部路線の運休も出ていますが、来年の計画ではその路線の復活もあるでしょうか?

 

以上、5月から8月に投稿した動画を振り返りました。次回は9月から12月に投稿した動画の振り返りと2018年の全体の総括(と言うか懺悔)をしたいと思います。

 

何とか年内に終わらせたい。

2018年に投稿した動画(迷航空会社列伝・東海道交通戦争)を振り返る(1~4月)

2018年も残すところあと2日となりました。今年も当ブログ及びYouTube、ニコニコ動画での私の動画をご覧頂き、本当にありがとうございました。今年の初めに立てた目標の結果と懺悔等については年明けにやるとして、今年投稿した動画を振り返っていきたいと思います。

 

2018年に投稿した動画は迷航空会社列伝24本、東海道交通戦争4本の合計28本でした。昨年よりも少なくなってしまいましたが、これは東海道交通戦争の方は昨年は以前の投稿分のリメイクがほとんどだったので量産が可能だったのと、今年の9月から会社の異動で職場が変わり、通勤時間が大幅に伸びて動画作成に廻せる時間が減ったのが原因です。内容的にも国内の航空会社や、登録記号や空港などの特別編の割合が増えているかなと思いますし、来年はまた海外の航空会社にシフトしようかな・・・

とりあえず、今年もアップした動画を原稿の文字数と合わせて振り返ってみたいと思います。アップ日については基本的にはニコ動とYouTubeのうち、先にアップした日で紹介し、続き物の動画については今年最初に投稿した日のみを記載します。

 

1月8日 迷航空会社列伝 USエアウェイズ(全4回、原稿文字数17,573文字)


【前編:成り上がり会社の誤算】迷航空会社列伝「買収攻勢の馴れの果て」USエアウェイズ

この会社についてはコンチネンタル航空との対比と言う意味だけでなく、アメリカ航空業界の特徴も言える「合併を繰り返して強大化」した航空会社の代表例ともいえる会社だったので前々から取り上げたいと思っていました。合併で強大になり、自らも合併で他の会社に呑まれ、最後は合併で自らのブランドを捨てることで名門アメリカン航空のブランドを手に入れた、良くも悪くもアメリカの会社らしいと言えるUSエアウェイズ。その歴史は「航空会社版わらしべ長者」と言えるかもしれません。

 

1月20~24日 航空各社運航計画(3本分、原稿文字数5548文字)


【ANAグループ編】迷航空会社列伝特別編・2018年航空各社運航計画


【JALグループ編】迷航空会社列伝特別編・2018航空各社運航計画


【スカイマーク・エアドゥ・FDAなど】迷航空会社列伝・各社運航計画2018

 

初めての試みとして毎年1月中旬に発表される航空各社の運航計画の内容をまとめた動画を作ってみました。迷列車の方で他の方がJRのダイヤ改正内容を紹介する動画を作っていたので、航空版をやってみたいなと前々から考えていましたので。各社のプレスリリースを纏めて原稿を作るのでそれほど内容を練る必要もないので、やってみると案外サクッと作れるもんですね。来年はANAはA380就航と成田~ウィーン、パース線の就航、JALはA350と国内線用787、成田~シアトル線就航が予定されていますので、注目ポイントが多い内容になりそうです。発表されたらすぐに作りたいと思います。

 

2月5日 ANAグループ中期計画(原稿文字数不明)

もう一つの試みとしてANAの中期計画をまとめた動画を作ってみました。運航計画の動画が好評だったので2匹目のどじょうを狙ったものでしたが、USエアウェイズの続きを後回しにしてまで作ったこともあって、そこまでの反響はありませんでした。せめてUSエアを完結させてから作ればよかったと反省。

 

3月11日 迷旅客機列伝 ボーイング757後釜戦争(原稿文字数4693文字)


迷旅客機列伝「~帯に短したすきに長し?~ボーイング757後釜戦争」

 

YouTube限定で出した動画です。

ボーイング757の動画自体は別の方が解説していたのですが、近年その757が大西洋路線で重宝され、後継機開発を求める声が大きくなっているというニュースを目にし、「何でとっくに生産中止になった757が再注目されてるの?」という疑問から作りました。

調べてみると757ってサイズもそこそこ、短距離路線から大西洋路線までこなせる上に需要の低い中長距離路線には最適なオールマイティな機体だったんですね。特に航続距離的には737NGやA320シリーズは微妙に大西洋横断ができないので、その「あとちょっと」の壁が757の後継機を求める航空会社と大した需要はないから作りたくないボーイングとの対立の火種になっていました。

 

一方のエアバスA321LRの方ですが、この動画のアップ後、ピーチとジェットスターが発注を決めた事で日本にも就航することが確実になりました。機体のキャパ的にも航続距離的にも757と同等なので、今後も順調にセールスを伸ばしそうです。以前の記事でA321LRを買う可能性がある会社としてピーチとジェットスタージャパンの名前を挙げましたが、その通りになって「予想が当たった!」と密かにガッツポーズしたのは秘密です(笑)

 

www.meihokuriku-alps.com

 

ボーイング797の方はまだローンチ前な上に機体の最終スペックも決まっていないので具体的な発注の話はありませんが、767クラスの機体になるならANAやJALも手を出すのではないかと思います。今年には具体的なスペックが決まると思いますので、要注目です。

3月23日 迷航空会社列伝外伝 登録記号狂想曲(原稿文字数4312文字)


迷航空会社列伝・外伝「登録記号狂奏曲~急成長が招いたJA8000番台の迷走~」

航空機の登録記号にまつわるゴタゴタを書いた外伝。一度登録された記号は二度と使われないという原則がある限り、いつかはパンクするものなのですが、80~90年代の航空業界の急拡大がその寿命を早めたとも言えます。それだけ日本の航空業界が大きくなったとも言えますが・・・

2018年末現在、JA8000番台の残りはANAグループが21機、JALグループが22機の合計43機。但し、来年3月までにはJA8000番台が残るJTAの737-400が退役、2019年度はANAの737-500とJACのサーブ340の退役が予定されていますし、JALのA350就航でJA8000番台の777の退役が予想されますので、来年はJA8000番台の旅客機は一気に数を減らすのではないかと思います。最後まで残るJA8000番台の旅客機はどれになるのでしょうか?

 

3月31日 迷航空会社列伝 モナーク航空(原稿文字数4505文字)

昨年10月に破産してニュースにもなったモナーク航空について取り上げました。イギリスでは老舗の航空会社だったようですが、日本では全くなじみのない会社で、恐らく破たんのニュースがなければ存在すら知る事はなかったという人も多いのではないでしょうか(かく言う私もその一人です)。同じ年に突然破産して旅行に行けなくなったり、現地に取り残された人が続出して社会問題になった「てるみくらぶ」を連想した人も多かったと思います。幸い、月刊エアラインなどでモナーク航空を取り上げた記事がいくつかあったので、タイムリーさもあって取り上げることにしました。

 

以上、1月~4月にアップした動画を振り返りました。次回は5月~9月に出した動画を振り返ります。

 

・・・と言うか今年こそ年内に全部終わるかな(汗)