〜Aviation sometimes Railway 〜 航空・時々鉄道

航空や鉄道を中心とした乗り物系の話題や、「迷航空会社列伝」「東海道交通戦争」などの動画の補足説明などを中心に書いていきます。

ANAのA380デザインと機内仕様公開、これは本気でハワイ路線を獲りに来てる!

ANAが2019年春をめどに成田ーホノルル線に投入を予定しているエアバスA380の機内仕様とデザインが発表されました。

 

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ANAのA380、エコノミーにカウチシート ファーストはドア付き、4クラス520席

 

座席数は2階席がファースト8席、ビジネス56席、プレミアムエコノミー73席、1階席がエコノミー383席の合計520席。このうちファーストクラスは日本初のドア付き個室型シートとなり、エコノミーも後部60席はこれまた日本初となる「カウチシート」を導入。カウチシートはエコノミーの横3列のレッグレストを跳ね上げてベッドのように使えるようにしたシートで、エコノミー料金に追加料金を払う事で利用できます。カウチシートはニュージーランド航空などで導入されていますが、まさかここでA380に入れてくるとは思いませんでした。

さらにメインデッキ後方には多目的ルームを設置し、軽食やドリンクを自由に取れるバーカウンターを設けるなど、巨大なA380の客室を生かした設備を多数設けています。

そして外観の塗装もハワイでは神聖な動物であるウミガメをデザインした「FLYNG HONU」という特別塗装に。塗装自体は以前より公表されていましたが、今回の発表では3機とも別の塗装が施されるなど、かなり気合いの入ったもの。私は3機ともあの青いウミガメの塗装になるか、一機だけウミガメで後の二機は通常塗装になるのかと思っていたので、これはいい意味で予想を裏切られました。

この他にも機内照明や壁紙もハワイを意識したものとなり、機内Wi-FiコンテンツもFLYNG HONU専用のものを用意するなど、思った以上に力が入っています。

 

正直、ここまでハワイ路線に力を入れて来るとは思いませんでした。A380購入の経緯を考えるとANAに取っては必ずしも発注の必要のなかった機種ですが、3機と言う少なさを逆手に取り、特別塗装や実験的なシートレイアウト、ハワイ路線に特化したサービスやレイアウトと、「ANAのA380に乗ってみたい」と思わせる仕掛けがいくつもあり、特別感を演出する機材に仕上がりそうです。これは本気でハワイ路線を獲りに来てますね。

 

さて、そこで気になるのがJALとハワイアン航空の動向。JALにとってはハワイ路線は長年に渡る牙城ですし、ハワイアンにとっても自分のホームに正面から喧嘩を売られる訳ですから、両社とも何らかの対抗策は立てて来るはずです。特にこの2社は今年から提携関係にありますので、ひょっとしたら両社共同で何か仕掛ける可能性もあります。

個人的には今後のハワイ路線はANAとJAL・ハワイアン連合を軸にしてサービス合戦が繰り広げられるのではないかと思います。A380と言う飛び道具でANAがシェアを奪うのか、はたまたネットワーク力で勝るJAL・ハワイアン連合が押し返すのか。近年ハワイへの観光客は復調傾向にあり、再び人気が出ていますので、2019年以降、ハワイ路線の競争は激化しそうです。

 

 

ただ、一つ心配なのがこの2大勢力以外のハワイ路線運行会社、特に近年日本路線が縮小傾向にあるデルタ航空の動向。2大勢力のサービス合戦が激化すればするほど、他の航空会社は埋没してしまい、客足が遠のく可能性も考えられます。

触発されてデルタやユナイテッドなどの会社もハワイ路線のサービス強化に動いてくれれば一番いいのですが、近年のデルタの日本路線撤退傾向を考えると「儲からないならうちはいいや」とホノルル線撤退に動かないか少々心配です。考えすぎであればいいんですけどね・・・

 

両備グループバス廃止問題③だんだん「両備vs岡山市」になってきた

2月に2度取り上げた両備グループの路線バス廃止問題、最近また話題になってきましたので再び取り上げたいと思います。この問題の経緯は過去記事をご覧頂ければと思いますが、簡単に言えば両備のドル箱路線であり創業路線でもある「西大寺線」に八晃運輸のバス「めぐりん」が参入しようとし、両備グループが問題提起として赤字31路線の廃止を届け出た問題です。単なるバス路線参入の諍いにとどまらず、地方の公共交通の在り方に一石を投じたものでした。

 

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あれから2か月以上が経ちましたが、その後の経緯を簡単にご紹介します。

まず赤字路線の廃止問題ですが、廃止日を来年3月にそろえた後、3月15日に廃止届を取り下げました。元々が公共交通の在り方への問題提起が目的ですし、両備も本気で廃止にするつもりではなかったのでしょう。岡山県も公共交通の在り方と路線の維持・確保に向けた検討会を立ち上げるとして一定の成果を得ましたし、問題が長引けば両備サイドにも批判が来たでしょうから、ここが引き時であったと思います。

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その後、両備グループは4月17日にめぐりんの認可取り消しを求めて東京地裁に提訴し、舞台は法廷へと移ります。両備側の主張としてはめぐりんの停留所設置に際し、岡山市の道路占有許可手続きに誤りがあったにも関わらず認可され、手続きに瑕疵があり採算を度外視しためぐりんの認可は違法としています。

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これに対して岡山市は2か所については土地利用者の理解は得られていないものの、すでに両備グループのバス停があるから新設の影響はすくないから「有効」と判断、残り一か所は民間所有地なので感知しないと国に報告。両備側は反発して抗議文を提出するなど、問題の対立軸は「両備vs八晃運輸」から「両備vs岡山市と中国運輸局」になりつつある感があります。

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そして今度は両備バスと岡山電気軌道の労働組合が4月23日以降のストを通告。しかもそのストの理由が「めぐりん益野線参入による収益悪化で賃金カットになる可能性があり、雇用と生活水準の維持と益野線参入阻止を会社が国に働き掛けること」というこれまた異例のもの。建前は組合員の生活維持の為ですが、競合他社の参入阻止を掲げるストは聞いたことがありません。

そして23日には本当にストを実施。と言っても影響の少ない昼間の1時間だけですが、26日には午後1時~4時にストを実施、めぐりんの運航開始日の27日には大半の路線で終日ストを実施するなど、更なる混乱が懸念されました。

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そして今日、組合側はバスは運行するものの、運賃の収受はしない「集改札スト」に変更すると発表。実質的に無料でバスを走らせるという、これまた異例の対応となりました。昔は近鉄でも切符の収受をしない「集改札スト」が行われていたようですが、ICカードが普及した現在では困難なのか、近年では見られない手法です。

この方法ならお客様には迷惑をかけずに経営だけにダメージを与えられますが、ダメージを与えるのは競合路線であるめぐりんも同じ。よりによって運航開始初日に「集改札スト」をぶつけられるわけですから、いくら格安運賃でも「実質無料」にはかなう訳がありません。これはかなりうまい手だなと思います。最初から組合側はこれを狙ってたんじゃね?と思うくらいの手際の良さです。

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それにしてもこの間の岡山市の両備に対する対応は「塩対応」と言ってもいい位。先の認可問題に対する対立もそうですが、今回のストに関しても「労使間で話して回避して欲しい」と当事者意識ゼロの他人事と言わんばかりの発言です。

岡山市にしてみれば、廃止届やストでいたずらに岡山市の交通を混乱させる両備に対していい印象はないのかも知れません。しかし、元はと言えば赤字の路線バス問題を両備任せにして放置し、競合会社の参入発表があり両備が何度も問題を訴えてもろくに取り合わなかった岡山市にも責任があるはず。ここまで問題がこじれた以上、岡山市も当事者のひとりとして本気で問題に取り組む必要があるはずなのに、今のところそんな素振りはありません。

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とは言え、このままゴタゴタが続くのは両備にも、岡山市にも、利用者にも決していいことではありません。両備が認可取り消し訴訟と一緒に訴えていためぐりんの認可執行停止は24日に裁判所に却下されましたので、少なくとも4月27日の運行開始は阻止できなくなりました。今後認可取り消しの判決が出たとしても、それまでは西大寺線は2社競合になりますので、組合のスト戦術も長期的に見れば有効な手段とは言えず、むしろ更なる収益悪化や利用者の非難と言う形で組合に襲い掛かるかも知れません。

今のところ世論は両備に味方する人が多いものの、問題が長引けば次第に批判の矛先は八晃運輸や岡山市ではなく、両備側に向けられる可能性さえあります。そろそろ第三者(この場合は岡山県か政府になるかと思いますが)が間に入って、八晃運輸や周辺市町村も交えた問題解決の話し合いをする頃ではないでしょうか。そして、この問題だけでなく、岡山の公共交通の在り方、地方の公共交通を維持するための仕組みを真剣に議論する場も作る必要があるでしょう。

 

国会もこういう問題をもっと積極的に取り上げて議論する必要があると思うんですけどねえ・・・

「経済減便」は利用者にとってプラスかマイナスか

国土交通省が予約客が少なく採算の取れない国内航空便を条件付きで運休させる「経済減便」を制度化させるそうです。

 

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国交省、赤字便の運休制度化 7日前告知で経済減便認める

 

 

 

・「不採算」を理由にした運休は日本初

これまで定期航空路線の運休は機材トラブルや悪天候など「物理的に航空機の運航が不可能」な場合に限られており、一度航空券を販売したら極端な話、利用者が1名だけでも運航する必要がありました。認可を受けた公共交通機関である以上、当たり前と言えば当たり前ですし、利用者側からすれば運航されない可能性のある飛行機なんて安心して乗れるわけがありませんから、「毎日運航される」事に何の疑問も持たないのではないでしょうか。

しかし、営利企業である航空会社からすれば赤字と分かっていても飛ばさなければならないのは大きな負担です。新規路線の開設や増便にも二の足を踏むでしょうし、赤字の飛行機を飛ばす分、どこか他で取り返さなければなりませんから、採算が良く競合が少ない路線が値上げされるなどの弊害も出てしまいます。特に運賃が格安な分、搭乗率が高くないと採算割れに陥りやすいLCCに取っては「必ず飛ばさなければならない」今の定期航空路線の制度は大きな負担であり、アメリカなどで認められている経済減便制度の導入をかねてより求めていました。

国交省も昨年から制度導入に向けた検討を重ねており、昨年8月にはネット上でのアンケート調査も行っています。今回の経済減便制度のルール設定からも、アンケートの結果を反映したものになっていることがうかがえます。

http://www.mlit.go.jp/monitor/H29-kadai01/27.pdf

海外では当たり前の制度でも、日本では航空業界はもちろん、他の交通機関でもない制度ですので(某JRが昔やってた月一運休も見方によっては体のいい経済減便な気もしますが)、導入に慎重になるのも当然ですね。いずれにしろ「交通機関はダイヤ通りに運行されるもの」という従来の常識を覆す制度になるのは間違いありません。

 

・そんなに甘くない運休の条件

さて、この経済減便制度ですが、不採算なら自由に運休していいわけではなく、条件がいくつかあります。

①運休便の前後3時間以内に同一路線の自社便があること。

まあ、これは当然でしょう。1日1便しかない路線で運休されてしまったら振り替えようがないですし、次の便まで待てる時間としてはこのくらいが限界でしょう。また、他社便の振り替えを認めていないのも大きなポイント。航空会社側の都合による運休なわけですから、自分たちで何とかしろと言う事でしょう。

②運航の7日前までに国交省に届け出て、予約客に振り替えや払い戻しの連絡をする。

これも当然。運休決定から代替交通機関を探したり、旅程を変える時間を考えると最低でも一週間前には連絡が欲しいところ。国交省への届け出を義務付けたのも安易に経済減便を選択させないための歯止めと運休情報の把握と言う面では妥当だと思います。

③ウェブサイトからの予約の際、運休やスケジュール変更になる可能性がある事を利用者に告知する。

運休の可能性がある便を告知する必要はありますから、これも必要な条件だと思います。航空会社は全ての便の予約状況を把握しているわけですから、どの便が運休になる可能性があるかは大体わかるはず。利用者の中にはスケジュールが変わると困る人もいるわけですから、事前に運休リスクを周知することは必要だと思います。

また、運休を実施した場合は路線や便数を公表する必要がありますので、運休情報が蓄積されれば、どの便が運休の可能性があるかを推測できることもできるのではないでしょうか。

 

こうしてみると安易な「経済減便」をさせないよう、かなりの歯止めが掛けられている事が伺えます。また、制度的に認められたとしても、乗り継ぎによるネットワーク力で勝負するJALやANAはあまり利用しないのではと思います。例えばある便自体は赤字でも、乗客の大半が乗り継ぎ客と言うケースでは、その便を運休させて赤字が減るメリットよりも、乗り継ぎ客を他の便に振り替えるコストや手間、運休によって旅程変更を余儀なくされる利用者の航空会社への信用低下というデメリットの方が大きく、それなら多少赤字でも飛ばした方がいい、という判断になるかと思います。特に国際線乗継客の多い成田路線は経済減便はデメリットの方が多そうです。

実際のところ、経済減便制度はLCCの要望が大きかったようですので、実際に運用が始まればLCCは経済減便制度を積極利用、JALやANAはネットワークを重視して極力飛ばし、「本当に搭乗率が悪くて大赤字が確実」な便だけ経済減便制度を使うという形になるのではないでしょうか。

 

・航空会社には恩恵のある「経済減便」、利用者にメリットはあるの?

さて、経済減便制度が航空会社にとってはプラスの制度であることは言うまでもありませんが、利用者目線で見れば航空会社の都合で運休にされるのは不利益はあってもメリットはないように思えます。実際、経済減便自体は運休に伴う見舞金や追加サービスがない限り、利用者にとってはメリットは全くないと言っていいでしょう。

しかし、経済減便によって赤字になる便が減り、航空会社の経営改善に寄与すれば利用者サイドにも運賃の低減や増便と言う形でメリットが生まれます。運賃の低減は今まで赤字の便の為に高めに運賃を設定せざるを得なかったのが、経済減便でその必要が無くなれば高めに設定していた分を値下げして利用者に還元、という動きが生まれるかも知れません。また、「極端に搭乗率が悪ければ運休しても構わない」となれば、需要予測が低く増便に躊躇していた路線も増便に踏み切りやすくなるかもしれないので、結果的には利用者側の利便性も向上する、と言う理屈です。

 

しかし、本来のダイヤなら乗り継げたはずなのに、経済減便で運休になってしまうと乗り継げなくなる、あるいは運休になったことでホテルのチェックインやレンタカーの予約に間に合わず、キャンセルされるといった実害も十分予想されます。その場合、どこまで航空会社が補償してくれるのかが問題となりますが、フルサービスの会社ならともかく、LCCの場合は運休しても払い戻してはいおしまい、となる事は十分に考えられます。その辺がどうなるかは詳細の発表を待つ必要がありますが、内容によっては経済減便で不利益を受けるリスクを覚悟する必要があるかも知れません。

以上の事から、利用者サイドから見た経済減便制度は「メリットはあるが実感はし辛い。むしろ短期的には運休で受ける不利益の方が目立つ」となるのではないでしょうか。

 

国交省のアンケートでも経済減便制度自体は「賛成」「仕方ない」と答えた人が多数派となった一方、実際に運休となった場合の差額負担を求める人も半数以上いました。個人的にも経済減便制度自体は航空会社の経営強化や利便性向上の面から賛成ですが、利用者への影響を最小限に抑えるためのフォローや、制度や運休の可能性のある便の周知徹底は必要だと思います。この辺の対策をしっかり取らないと、運休された便の利用者の不満が募り、航空業界全体への不信感につながってしまうと思いますので、国交省や各航空会社には万全の対策をした上で有効に運用してもらいたいですね。

 

 

 

航空会社が「突然死」するワケ

迷航空会社列伝、今回は昨年10月に破産したモナーク航空を取り上げました。


迷航空会社列伝「業態転換は破滅のもと?~イギリス版て〇み〇らぶ・モナーク航空」

 

ご存知の通り、モナークの破産は突然だったため、欧州各地で11万人が取り残されるという、イギリス航空史上最大の倒産劇となってしまいます。イギリス民間航空局が帰国の為の臨時便を大量に手配する事態となり、日本を含めた世界中で大きく報道されました。当ブログでも破産直後にモナーク航空について取り上げています。

 

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また、突然の破たんでツアーキャンセルになり、お金が戻ってこなかったり旅行先から帰ってこれなくなったりして社会問題となった「てるみくらぶ」を思い出した方も多いのではないでしょうか。てるみくらぶについては係長様の「しくじり企業L」で取り上げられていますので、詳しくはこちらをご覧下さい。

 


【ゆっくり解説】しくじり企業L 01話 ~てるみくらぶ~

 

さて、モナーク航空に限らず、航空会社はなぜかある日突然破産して飛行機が止まる、というケースがしばしば起こります。古くはタイのエア・サイアムが突然運航停止となり、旅行者が国外に取り残された例や、同時多発テロ後にスイスのフラッグキャリア・スイス航空が資金ショートを起こして飛行機が差し押さえられ、全便運航停止となった例、記憶に新しいところでは台湾のトランスアジア航空が前日に運航停止を表明した後、会社解散を決めた例など、何の前触れもなく「突然死」してしまう事例が過去に何度もありました。

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そう言えばこの会社のお金って返金されたんでしょうか?

 

日本の航空会社も経営破綻した前例はありますが、運航開始前に破産したか、破たんはしても航空機の運航は続けられたケースばかりでしたので、チケットが紙くずになったり乗る飛行機がなくなったという例はありません。利用者からしてみればたまったものではない航空会社の突然の破産ですが、なぜこのような「突然死」が起こりえるのでしょうか?

カタール航空で人気の世界都市へお出かけください。

 

理由①イベントリスクによる急激な経営悪化

このケースは1991年の湾岸戦争や2001年の同時多発テロ、2008年のリーマン・ショックなど、航空需要が急激に悪化して利用者が激減する場合に起こります。元々業績の悪かった会社や、多額の負債を抱えて返済に苦しんでいた会社が、頼みの綱だったドル箱路線の採算悪化でお金が入って来なくなり、資金繰りに行き詰まって力尽きるケースが多いです。

湾岸戦争時に運航停止になったイースタン航空やミッドウェイ航空などがこれに当たります。

 

理由②当てにしていた資金がストップされ、万策尽きた

航空会社に限らず、会社が倒産するのは「お金が無くて支払いができなくなった時」ですが、言い換えれば資金繰りのメドさえ付けば会社は存続できます。しかし、その当てにしていた資金が入って来ず、支払いができなくなればその会社はある日突然潰れてしまいます。

このケースの代表的な例がパンナムとスイス航空。パンナムは湾岸戦争による経営悪化でチャプター11を申請後、大西洋路線を他社に売却し、自らはデルタの支援を受けつつ、マイアミ近辺の国内線と一部の中南米線だけを運航する中規模航空会社として存続する計画でした。しかし、その当てにしてたデルタからの資金は株主の猛反対にあってストップされ、資金繰りのメドが立たなくなったパンナムは運航停止に追い込まれました。

スイス航空のケースについては私の動画を見て頂ければと思いますが、これについても当てにしてたUBSの資金が遅れた事で世界中を揺るがす事態になってしまったので、資金不足がどれだけ恐ろしいかがお分かり頂けると思います。

 

理由③毎日の現金収支で会社が回ってしまうから資金不足に気づきにくい

例えば製造業だと商品の代金が振り込まれるのは大抵納品後。それまでの間の材料費や人件費などは一旦会社建替えになりますし、工場や製造ラインなどの設備投資費も膨大になりますので、常に潤沢な資金を用意する必要があります。それ故に多額の損失で資金繰りが逼迫すれば東芝やシャープのように早い段階で経営危機が表面化するケースが多いです(粉飾してたら気づきようはないですけど)しかし、見方を変えればどうしようもなくなる前に問題発覚すればまだ手を打つことができる、とも考えられます。

 

ところが航空会社の場合、航空機などの設備投資はかかるものの、収入である航空運賃は基本的に前払い。一方の燃料代や着陸料などの運航経費は到着時の支払いか、後払いになりますので、一時的に現金が手元に残ります。無論後払いになったお金もいずれ必ず支払うべきお金なのですが、前払いの航空券のお陰で毎日お金が入って来ますので「これだけ現金があればなんとかなるし、毎日現金が入って来るから何とか乗り切れる!」と思ってしまいがちです。が、その「何とか乗り切れる」を繰り返しているうちに負債はどんどん膨らんでいき、利払いも増えていきます。そして、資金繰りが苦しくなってきたときにはどうしようもない位の負債になり、支払いに窮してある日突然破産、となってしまいます。

 

クレジットカードでの決済だと実際の支払いまで間があり、買物してお金を払ったという感覚が薄れる為「まだ大丈夫」と思ってガンガン使い、気が付いたら支払いが膨れて首が回らなくなってカード破産する人と考え方は同じですね。経営破綻前のJALもこれに近い感じでしたし(最も、JALの場合はそれ以外にも問題は多かったのですが、問題を先送りにして金遣いもユルユルでしたので、まあ本質的には同じです)業界は違いますがてるみくらぶも同じような考えで目先の現金欲しさに安売りを続けた結果、負債が膨らんで首が回らなくなりました。日銭が入ると資金繰りは楽ですが、財務がいい加減だとこう言うリスクもあるわけです。

 

理由④過剰な投資や需要を見誤った投資をして負債が膨らんだ

航空会社は何百億もする航空機を使うビジネスなので、機材計画は5年先、10年先を見据えたものでなければいけません。資金面の他にも保有機を一機増やすだけでパイロット10人、客室乗務員数十人、整備士や地上スタッフも考えると100人近い人材を確保する必要がありますから、何年も前から準備する必要があります。

 

しかし、会社の体力を超えた機材を買ったり、機材を過剰に購入してしまうと、その機材が就航して稼ぐまでの間、何十億、何百億というお金を負担しなければなりません。また、就航後も目論見通りに乗客が乗らないと利益を出して投資資金を回収するどころか、下手したら損失を出して会社にダメージを与えてしまいます。

スロバキアのスカイヨーロッパのように、急成長を遂げた会社がある日突然資金繰りに行き詰まって破産するのは大体このパターンで、会社の成長スピードに資金が追いつかず、少しでも需要が減って搭乗率が下がると入るお金も減って資金繰りに行き詰まり、破産してしまう会社が現れます。「急成長=将来安泰」とは限らないのが、航空ビジネスの難しいところです。

 

以上、航空会社が突然行き詰まる理由について書いてみました。突然の破産は何も航空業界に限った話ではないのですが、毎日休みなく飛行機が動く分、突然止まった時のインパクトは他の業界よりも大きいもの。本当はそんな終わり方をする航空会社はない方がいいのですが、航空ビジネスの特性を考えると、今後もないとは言い切れないのが難しいところ。色んな意味で「ご利用は計画的に」。

 

 

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ボーイング797とエアバスA321LR、日本の航空会社が買う可能性は

前回の登録記号と順番が逆になりましたが、今回はYouTube限定でアップした、ボーイング757の後継機を巡る航空会社とボーイング、ボーイングとエアバスの攻防について取り上げました。


迷旅客機列伝「~帯に短したすきに長し?~ボーイング757後釜戦争」

 

動画内ではエアバスA320neoの新しい派生型であるA321LRの販売攻勢と、それに対抗するボーイングの新型機構想、ボーイング797の開発計画に触れて終わりました。今後は757の後継のみならず、単通路機と長距離中型機の間の空白地帯を巡るボーイングとエアバスの陣取り合戦が激化すると思われますが、個人的に気になるのはこれらの機種が日本の航空会社に納入される可能性があるかどうか。今後日本の航空会社がこれらの機種を買う可能性があるか、それぞれ考えてみました。

 

・日本の航空会社がエアバスA321LRを買う可能性

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これに関しては先日のピーチとバニラの統合のニュースの際、統合後のビジョンの一つとして「中距離国際線への進出」を掲げており、その機材としてA321LRが有力視されています。下記の記事でも書かれている通り、中距離路線用の機材には空席リスクのある大型機ではなく、今のA320と座席数がそう変わらない航続距離の伸びた単通路機が最有力候補となっていますが、ボーイング737MAXは航続距離がそこまで長くないことや、現在ピーチとバニラが使用しているA320との共通性を考えるとA321LR一択になりそうです。

toyokeizai.net

 

さらにジェットスタージャパンについても、本体がA321LRを発注した事や、ピーチやバニラと同じくA320を主力機としていること、そして新生ピーチに対抗して中距離国際線に進出する可能性があることを考えると、A321LRを発注する可能性は十分に考えます。

しかし、それ以外の航空会社がA321LRを買う可能性は低そうです。ANA本体はA321neoを順次導入していますが、今のところは国内線専用。仮に国際線に投入したとしてもA321LRが必要な路線は767や787クラスの機材じゃないと間に合いませんし、地方発の長距離路線を開拓する気はANAにはないでしょう。増してやA320シリーズの就航経験がなく、これ以上機種を増やす気のないJALがA321LRに食指を伸ばす可能性はゼロに近いです。とは言え、近い将来JAナンバーのA321LRを見る可能性は高いと思います。

 

・日本の航空会社がボーイング797を買う可能性

これについてはボーイング797が単通路機になるか、双通路機になるかで予測は変わってきますが、ここでは可能性の高い双通路機として開発された場合でお話しします。短通路機だったら737MAXとかぶりますし、A320neoとの優位性もあまりないですからね。

 

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双通路機になった場合、恐らく2-3-2のアブレストになると思いますが、このレイアウトで真っ先に思いつくのがボーイング767。全盛期は過ぎたとはいえ、JALもANAもまだ数十機単位の767を保有しており、国内線やアジア路線、ホノルル線などに投入していますが、90年代に納入された機体は退役が進んでいるのもまた事実。いずれは代替機を考える必要がありますが、787は一回り大きい上に長距離路線用として開発された機体であり、767の置き換え用としては少々オーバースペックです。

797のサイズが今の767に近いものとなれば、座席数、航続距離ともに今のANAとJALの767の運用範囲に合致しますし、797が就航を目指す2025年頃には2000年代に納入された767の更新時期を迎えますから、代替用としてJALやANAが797に食指を伸ばす可能性は十分考えられます。他にも767を使用するエアドゥがANAと歩調を合わせて購入する可能性も考えられますし、スカイマークも737よりも大きい機材が必要になった場合、797を選択肢に入れる可能性も十分あります。今後、797のスペックが767に近いものであれば、日本の航空会社が雪崩を打って発注する可能性は高いと思いますし、787のように日本のメーカーも一定数分担すれば、猶更発注の可能性は高まるのではないでしょうか。

 

もっとも、797が単通路機として開発され、757に近いスペックになった場合は逆に発注する航空会社はないかもしれません。そういう意味では797のローンチ時の最終スペックが、今後日本の航空会社が797を発注するか否かの分かれ道と言えるかもしれません。

 

 

旅客機の登録記号のこぼれ話

迷航空会社列伝、今回は番外編として航空機の登録記号にまつわる迷走を紹介しました。


迷航空会社列伝・外伝「登録記号狂奏曲~急成長が招いたJA8000番台の迷走~」

 

JA8000番台のひっ迫によるゴタゴタは本編をご覧頂くとして、ここでは動画では書ききれなかった登録記号にまつわるエピソードをご紹介しましょう。

 

①JA8000番台にはまだ空き番号があった

実はJA8000番台にはまだ登録されていない空き番号が若干ですが存在しています。例えば各番台のトップナンバーのうち、JA8200、8300、8400、8500と8900は旅客機として登録され、JA8600はアジア航測の事業用機、JA8700は航空局所有のYS-11、JA8800は海上保安庁の軽輸送機に使われましたが、「JA8000」「JA8100」は現在でも未登録です。

元々各番台のトップナンバーは割り当てが避けられる傾向にありましたが、残りの番号がひっ迫してくるとそうも言ってられなくなり、次々と割り当てられていきましたが、JA8000番台のトップナンバーであるJA8000は流石に登録を躊躇したのでしょうか。そうしているうちに新ルールでの登録がスタートし、最後まで残ったJA8000とJA8100は使われることなく欠番となったのではないかと思います。

 

また、「JA8093」も未登録のまま。しかもその前に登録された「JA8091」と「JA8092」は登録からわずか半年ほどで登録抹消となっています。登録記号がひっ迫している時期にそんな贅沢なと思いますが、実はその登録抹消になった機体、今でも日本の空を飛んでいるのです。

種明かしをすると、この「JA8091」と「JA8092」は実は政府専用機の747-400の事。当初は総理府が発注して受領したため、JAナンバーでの登録となりましたが、運用開始前に航空自衛隊に移籍し、自衛隊の機体識別番号が付けられたために登録抹消となったのです。

で、問題の「JA8093」ですが、政府専用機は合計3機を購入する計画があり、3機目の747の登録用として、この番号が用意されていました。最初の2機の納入から数年後をめどに購入するつもりで、実際に3機目の購入予算も原案に組み込まれたことがありました。しかし、その頃の日本はバブル崩壊後の経済低迷で、とてもじゃないけど数百億円もかかる専用機の購入などできない状態。3機目の予算は大蔵省の査定であえなく却下され、幻の政府専用機となってしまいました。政府専用機用の番号と言う特殊要素があったからか、以後「JA8093」の登録番号は一度も使われることなく、現在も欠番のままです。

この他にも確認できる限りではJA8592とJA8593が未使用っぽいです。他にも探せば出てくるのかも知れませんが、全部調べるのは流石に勘弁して・・・

 

②JA8500番台にターボプロップ機が登録されたわけ

動画内でも触れていますが、本来は3発ワイドボディ機用に割り当てられていたJA8500番台は最終的には小型ターボプロップ機から大型ワイドボディ機まで多彩な機種が登録される無法地帯となってしまいました。

で、そのJA8500番台のうち、ターボプロップ機が登録されたのはジェイエアのジェットストリーム31のJA8590とJA8591、日本エアコミューターのサーブ340のJA8594の3機。なぜ3発ワイドボディ機の枠にターボプロップ機が登録されたのか。理由は簡単。「本来登録されるはずだった機体が納入されず、宙に浮いていた番号だから」です。

本来JA8590~8599の枠に登録されるはずだったのは日本航空のMD-11。1990年にJALはMD-11を確定10機、オプション10機発注しており、確定発注分は1993年から順次納入されましたが、その際、JA8580~JA8589の登録記号が割り当てられました。一方のオプション発注分にはJA8590~JA8599の割り当てが想定され、登録が避けられてきましたが、MD-11が想定通りのパフォーマンスを発揮できなかった事と、双発機の長距離洋上飛行の制限が緩和され、777-200ERの投入が可能になったことで結局オプション分の10機は確定発注に切り替えられないままに終わりました。

いつまでたっても発注されないMD-11用にいつまでも登録記号を空けておくわけには行かず、結局JA8590~JA8599の登録記号は順次他の機体に付けられていきます。で、その頃に納入されたのが前述のジェットストリーム31やサーブ340ですが、本来のターボプロップ用だったJA8600~JA8800番台がパンク寸前だったため、宙に浮いていたJA8590番台の番号が割り当てられた、と言うわけです。

 

③登録記号の迷走は地上作業にも影響を与えていた

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日本の旅客機には空港のグランドスタッフなどが作業を行う航空機を識別しやすいよう、上の写真のようにノーズギアドアに登録記号のうち3桁を記入しています。しかし、かつてはこのペイントも下2桁だけでした。

かつての登録記号の区分であれば同じ機種の下2桁が同じ番号になる事はあり得ませんでしたが、登録記号の原則が崩れてくると、下2桁がかぶってしまう機体が出現してしまいます。例えば全日空のボーイング767は納入機体が多かった上にそこらじゅうの番台で登録されてしまったので、「JA8257とJA8357」や「JA8569とJA8669」のように、登録記号の下2桁だけで機体を判別するのが不可能となってしまいました。万が一これらの機体が隣同士のスポットに止まってしまうと、下2桁の数字だけを見て取り違えが発生してしまうかもしれません。そこでこの部分の登録記号は下2桁から下3桁に書き換えられることになりました。

しかし、登録記号が新ルールに移行すると、今度は同じ機種で下3桁のうち末尾が同じアルファベットの機体が続出します。例えば上記のANAの787の場合、登録記号は今のところ全て「JA8〇〇A」、777はJA8000番台で登録された機体を除くと「JA7〇〇A」となっており、下三桁だけを書く方式だとJA805AとJA705Aの下3桁がかぶってしまい、取り違えの可能性が出て来ます。まあ、先ほどの下2桁の例と違い、777と787は形も大きさも違いますから取り違えの可能性は少ないですが、それでも安全上間違いのリスクはないに越したことはありません。そこで今度は登録記号の上3桁を書く方式になったというわけです。

最も、これに関しては一部の機体を見ただけですので、末尾アルファベット2桁の機体がどう書かれているかは分かりません。そのうち確かめたいところではありますが、こうしてみると登録記号一つとってもいろんなエピソードがあるもんですね。

 

旅客機に詳しい方でない限り、気に留めることはない機体の登録記号。しかし、その登録記号の一つ一つから航空業界の発展の歴史が垣間見えたり、個々の旅客機の歴史やドラマが詰まっているもの。もし今度飛行機に乗ったり、空港に飛行機を見に行く機会があれば、そういった旅客機の登録記号にも目を向けてみてはいかがでしょうか。案外、新しい発見があるかも知れません。

 

何で今更?ANAとアリタリア提携へ

先週のピーチとバニラの統合の記事を書いたと思ったら、今度はANAとアリタリア航空の提携のニュースが飛び込んできました。最近デカいニュース多すぎでしょANAさん・・・

 

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ANAとアリタリア、提携へ

 

正直、この組み合わせは全く考えていませんでした。以前のブログでも触れたとおり、アライアンスも違うANAがアリタリアと組むメリットは少なく、むしろ破たんして財務状態も労使関係もガタガタのアリタリアと組んでも過去の提携相手のように振り回されて終わるだけになる可能性の方が高いからです。それだけに当時のブログでも、ANAがアリタリアを買う可能性はない、と言い切っていましたが、資本提携ではないと言え、まさかアリタリアに手を出すとは思ってもみませんでした。

 

www.meihokuriku-alps.com

 

ANAの中期計画でもイタリアやスペインへの観光需要取り込みを挙げていましたが、普通に考えればルフトハンザグループとの提携強化、捻って成田ーイタリア路線の自社運航開始かと思ってましたので、まさか経営状態の悪いアリタリアとの提携という意味だったとは・・・

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さて、今回の提携はまだANAサイドからの正式な発表はないので、詳しい内容は発表待ちとなります。が、当ブログや動画でも散々ご紹介した通り、アリタリア航空は慢性的な高コスト体質と強すぎる組合のスト、度重なる補助金に会社のモラルハザードと問題をいくつも抱えており、これまでにKLM、エールフランス、エティハド航空が再建のスポンサーに名乗りを挙げましたが、ことごとく失敗に終わっています。

 


迷航空会社列伝 「イタリアのフラッグキャリア」アリタリア航空 前編:マルペンサの乱

 

2017年5月の2度目の破たんの後も政府がつなぎ融資を行いつつ次のスポンサーを探していましたが、交渉期限を延長したにも関わらず、今のところアリタリアを丸ごと引き受けるスポンサーは現れていません。交渉期限が4月に迫る中、このタイミングでのANAの提携発表は、はた目から見れば先行き不透明な中での提携は悪手としか思えません。

しかし、私はANAが何の考えもなしにアリタリアと手を組むとは到底思えません。これだけやらかしているアリタリアと組む以上、何らかの勝算があっての事ではないかと思います。ひょっとしたら、アリタリアの部分買収にも手を挙げているルフトハンザとアリタリアとの間で何らかの合意がまとまっており、ANAとアリタリアとの提携はそれに連動したものである、と考えれば辻褄が合います。実際、日本→欧州の路線で強い提携関係にあるルフトハンザと組んでいるANAにとっては、今のところライバル会社であるアリタリアとの提携はその関係に泥を塗るようなもの。それをあえてやるという事はルフトハンザと何らかの合意があっての事と考えるのが自然でしょう。

 

もっとも、何の見通しもなく、ルフトハンザに話を通さずにイタリアの路線欲しさにアリタリアと組もうとしているのならANAへの見方を変えざるを得ませんが・・・とにかく、記事内では今週中に正式発表とのことですので、まずはそれを待ちたいところ。場合によってはそのタイミングでアリタリアの今後の動向も分かるかも知れません。さてさて、どうなることやら・・・

 

【2018年3月23日追記】

ANAとアリタリアとの提携が正式に発表されました。冬ダイヤが始まる10月28日からアリタリアが運航する成田-ローマ・ミラノ線とローマ発着のイタリア国内千6路線ににANA便名を付け、逆に成田発着のANA国内線5路線にアリタリア便名を付けるそうです。また、ANAとアリタリアのマイレージプログラムに相互にマイル積算ができるようにするようですが、ANAのアリタリアへの出資や、ANAのイタリア線自主運行については計画していないようです。また、アライアンスについてもそのままで、今回の発表ではアリタリアの今後の見通しやルフトハンザに関する動きも特に語られませんでした。

ANA、アリタリアとコードシェア 冬ダイヤから

headlines.yahoo.co.jp

 

流石にスターアライアンスの承認を取り付けた上での提携のようですが、今のところは出資は考えていないようなのでまずは一安心。破たんして経営再建中のアリタリアには深くかかわらない方がいいと思いますので、ANAの路線網を補う程度の提携でちょうどいいのでしょう。

10月からのコードシェア開始なので、これから詳細を詰めて準備を行うのでしょうが、半年先の事を考える余裕があるという事は、アリタリアの見通しに一定のメドが付いたという事なのでしょうか。そうなると近いうちに今後の展開についての発表があるのかも知れません。間違ってもコードシェアが始まる前に提携先が消えていたなんて笑えない事態になりませんように・・・