しばらくブログの更新が滞って申し訳ありません。動画制作に時間を割いていたのもありますが、皆様ご承知の通り、新型コロナウイルスによる世界的な航空需要の激減と移動制限、自粛要請などで航空業界が過去経験した事のない危機に見舞われており、暗いニュースばかりでブログを書く気になれなかったのが正直なところです。
今月21日から営業開始する予定だったJALの新LCC「ZIPAIR」も就航が無期限延期となり、3月27日からの羽田空港の国際線増加もほとんどが運休。JALもANAも国際線の殆どが運休となり、国内線もほぼすべての航空会社が減便に踏み切るなど、航空業界はかつてない減便の嵐に見舞われています。海外でもシンガポール航空やキャセイパシフィック航空など国際線しか持たない航空会社はほぼ全便が運休、欧州最大手のルフトハンザも機材削減に動くなど、世界中の航空会社が会社存続の危機に見舞われていると言っても過言ではないでしょう。
IATA(国際航空運送業界)も渡航制限が3か月続けば航空会社や旅行会社などで2500万人が失業する恐れがあり、旅客収入も前年比44%減の2520億ドル(27兆円)となるとの試算を発表し、各国政府に対し航空業界への更なる財務支援や債務保証を求めています。最早航空会社の自助努力だけで持ちこたえるのは不可能であり、各国政府の支援で世界の交通インフラを守る事が求められています。
そして4月21日、オーストラリア第二位の大手航空会社・ヴァージンオーストラリアが日本の民事再生法に当たる「任意整理」に入ると発表し、事実上破たんしました。運航は継続されますが以前から経営状態は良くなく、負債総額は日本円で約3600億円に達しています。通常時なら大株主のエティハド航空やシンガポール航空辺りが支援に乗り出すところでしょうが、今回は自身もコロナウイルスでほぼ全便運休に陥って支援どころではないので、先行きはかなり暗いです。この他南アフリカ航空が清算を決めて運航を停止したり、ノルウェーのLCC・ノルウェーエアシャトルの子会社が破産を決めるなど、体力のない会社を中心に経営破たんが出始めています。残念ながら、新型コロナウイルスの感染拡大が終息しない限り、航空会社の経営破たんは今後もしばらくは出てくるでしょう。
この未曽有の危機に対し、私達利用者サイドが航空会社を支援する方法はないでしょうか?需要低迷の理由が景気悪化など命に関わらないものなら「飛行機に乗って支える」と言う答えになりますが、今回の新型コロナウイルスの場合は飛行機に乗るのはおろか、空港に行くことや移動すること自体が感染リスクに晒されますし、万が一自分が感染し、大切な家族や友人に感染させるようなことは絶対にするわけには行けません。航空会社を支えたくても、一番効果的な「乗って支える」と言う事が出来ない以上、「飛行機に乗る」以外の方法で航空会社の収益に貢献するしかありません。
そこで今回は「飛行機に乗る」以外に航空会社の収益に貢献できる方法を考えて見ました。あくまでも一個人の見解ですのでこれが正しいとは言いませんし、良かれと思ってしたことがかえって航空会社に迷惑をかけることになるかも知れません。もし下記に挙げた方法が間違っていたら該当項目は削除しますのでご連絡ください。
- 航空会社系のクレジットカードで決済する
- 航空会社のオンラインショップで買い物をする
- 航空会社のオリジナルグッズを購入する
- 航空会社のマイレージモール経由で販売サイトに入って購入
- 航空会社の株や社債を買う
- まとめ
航空会社系のクレジットカードで決済する
「飛行機に乗る」以外の方法で一番効果的なのはこれではないでしょうか。現在はANAもJALも自社でカード事業は行っておらず、三井住友カードや三菱UFJニコスなどの大手カード会社との提携という形でクレジットカードを発行しています。元々は顧客の囲い込みや航空機の利用促進、顧客のヘビーユーザー化による客単価向上が目的ですが、この状況下では顧客の繋ぎ止めの手段としても有効です。
ANAのマイレージ戦略
その一方で航空会社系のクレジットカードを使う事で、航空会社にも「収入」が発生する事も見逃せません。クレジットカードの収益は会員から支払われる年会費と分割・リボ払いの手数料、加盟店からの利用手数料ですが、航空会社にもカードの利用金額に応じて一定の手数料が支払われます。実際にカード会社から支払われる手数料収入がいくらになるのかは不明ですが、ANAの決算を見る限りだとカード手数料は一定の増収効果はあるようですので、決して馬鹿にはできない金額ではないかと思います。
ANAの2018年度決算
つまり、航空会社系のクレジットカードを使えば使うほど間接的に航空会社にも収入が入りますので、既に航空会社系のクレジットカードを持っている方は極力支払いをクレジットカードに切り替えれば多少なりとも航空会社の収益に貢献できる、という訳です。
ANA・JALの他にもエアドゥやソラシドエア、スターフライヤーが、LCCではピーチとジェットスターが提携クレジットカードを発行しています。海外航空会社でもユナイテッドやデルタなど日本路線が多い航空会社も日本で使える提携クレジットカードを発行していますので、もしクレジットカードは持ってないけどオンライン決済用に作ろうかと考えている方がいれば、この機会に贔屓の航空会社の提携クレジットカードを作ってみてはいかがでしょうか?
但し、クレジットカードの使い過ぎで支払いが増え、自分のクビを締めては本末転倒なので、ご利用は計画的に、使い過ぎにはご注意を!
航空会社のオンラインショップで買い物をする
次に考えられるのは航空会社のオンラインショップで買い物をする事。利用者にとってはマイルが貯まるというメリットがあり、航空会社側も直接的な売り上げにつながります。調べて見るとANAやJALはもちろん、海外の航空会社もオンラインショップを持っている会社は結構ありますので、お気に入りの海外航空会社を支援したいという方はクレジットカードを作るよりもこちらの方がいいかも知れません。
但し、海外航空会社の場合は英語や現地の言葉だけというサイトも多いので、言葉の壁が高いですが・・・
ANAやJALだと会社のオリジナルグッズや、「コンソメスープ」「うどんですかい」などのオリジナルメニューが取り揃えられている他、ワインや肉などの食品、時計やバッグと言ったブランド品に化粧品など一通りそろえられています。お値段は全般的に高めですが、マイルが付くという特典もありますし、その会社のクレジットカードで決済すれば割引や追加マイルなどの特典もあります。国内外に路線網を張り巡らせているだけあって日本各地の特産品や海外ブランドの商品やワインなど、品ぞろえは〇ma〇onや〇天とは一味違います。「巣ごもり消費」には格好のお供かも?
航空会社のオリジナルグッズを購入する
とは言え、全ての航空会社が提携クレジットカードや自社オンラインショップを持っているわけではなく、例えばスカイマークはその両方を持っていませんので上記の方法でお金を落とすことは不可能です。そんな時は航空会社のオリジナルグッズを購入してみてはいかがでしょうか?
「スカイマークは自社オンラインショップを持っていない」と言いましたが、実は楽天市場内に公式のグッズショップは出店しています。ショップ内では定番のモデルプレーンやキーホルダーの他、ボールペンなどの文房具、マグカップやエコバックなどの雑貨を販売しており、コレクター欲をくすぐる一品ばかりです。
また、天草エアラインも通販サイトを通じて自社オリジナルグッズの販売を行っています。これらの自社グッズを買う事で航空会社には収入が入りますし、航空会社許諾済みの商品を買えば航空会社にはライセンス料も入ります。航空ファンにとっては贔屓の航空会社のグッズを買う事も立派な「航空会社への収益貢献」になるわけです。
航空会社のマイレージモール経由で販売サイトに入って購入
航空会社のマイレージ会員は実はかなりの「優良顧客」であり、他企業にとっては「お金を払ってでも来て欲しいお客様」だったりします。と言うのもマイレージ会員は非会員に比べて購買意欲が強く、マイル獲得の為により多くのお金を使う事がデータ上からも実証されており、ネットショッピングの販売サイトにとってマイレージ会員はマイルと言う「見返り」を与えてでも自社サイトに引き込みたい存在なのです。
航空会社にしてみれば自社のマイルを付与せずとも提携相手が勝手にマイルを払ってくれるので何もしなくても顧客の囲い込みができますし、提携相手からの手数料収入も見込めます。そう考えるとマイレージ会員は航空会社にとっては色んなルートから収入をもたらしてくれる大きな「財産」であり、特に客単価が大きい「上級会員」は優遇措置を出してでも囲い込みたい大事な存在だという事が改めて分かりますね。JALの経営破たん時にマイルは保護されたのも、優良顧客は航空会社にとって大きな「財産」であり、流出すれば計り知れない損失を与える為だとお分かり頂けるのではないでしょうか?
そう言う訳でネットショッピングを楽しむときは航空会社に実績と収入を与えるために、多少面倒でもログインした上で航空会社のサイトを経由して入って下さい。
航空会社の株や社債を買う
まあ、これは投資になってしまいますし金額も大きい、しかも株式市場が乱降下して先行き不透明な今はあまりお勧めはできません。しかし、ある意味最も航空会社を支援できる方法ではありますので、リスクを理解した上でお金に余裕があり、損失の可能性を覚悟できる方なら検討してみてはいかがでしょうか?
まとめ
いかがでしょうか?航空会社にとっては「飛行機に乗ってもらう」のが一番なのですが、それができない今は支援方法は限られてしまいます。それでも方法が無いわけではありませんし、収益としては微々たるものでも最大の収入源を失いつつある航空会社にとっては支えになるかも知れません。
先行きの見えない状況ではありますし、私達自身もこの先どうなるかは分かりません。既に苦しい立場になって航空会社を支えるどころではなくなっている人もいるかも知れません。ですが他の業界以上に苦しいのが航空業界であり、特に大手の会社や生活に不可欠な離島路線を運行する会社が倒れたら取り返しのつかない損失になりますし、再構築も容易ではありません。自分のできる範囲で構いませんので、少しでも航空会社の利益になるようにして貰えれば嬉しいです。
そして航空会社の側からも「こうしてくれたら会社の利益に繋がる」と言う情報を発信してくれたらと思います。航空ファンを始め、こう言う時だからこそ力になりたいと言う人は少なからずいると思います。先の見えない時だからこそ、お互い支え合ってこの難局を乗り越えていきましょう!