〜Aviation sometimes Railway 〜 航空・時々鉄道

航空や鉄道を中心とした乗り物系の話題や、「迷航空会社列伝」「東海道交通戦争」などの動画の補足説明などを中心に書いていきます。

スカイマークの国際定期路線就航・「新規参入会社の国際線進出」は進むのか

9月19日、スカイマークは年内の成田~サイパン線と成田~中部線の開設を正式に発表しました。今年の5月以降、繁忙期を中心にチャーター便で運航実績を重ねてきましたが、満を持しての定期路線就航となる見込みです。就航には混雑空港に指定されている成田空港については国土交通省の「混雑空港の運航許可」が必要となりますが、今のところ大きな障壁はなさそうなので、認可されるものと思われます。

いずれにせよスカイマークの就航から21年、A380による長距離国際線計画がとん挫して経営破たんした事で国際線進出は一時期遠ざかりましたが、ようやく実現することになりそうです。

 

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www.aviationwire.jp

 

sky-budget.com

 

スカイマークのサイパン線就航により、規制緩和後に運航を開始したいわゆる「新規参入会社」の国際線就航はスターフライヤーに次いで二社目となります(元々の立ち位置が違うLCCは除く)。そこで気になるのは、他の「新規参入会社」が国際線に進出する可能性はあるのでしょうか?調べてみました。

 

・ソラシドエア

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スカイマークとスターフライヤー以外で国際定期路線に進出する可能性が一番高いのはソラシドエアでしょう。と言うのも2017年~20年度の中期経営計画で「2019年度中の国際定期路線進出」を掲げており、2018年には国際線就航を見据えてUSB電源や機内食用オーブンを搭載した新造機を投入しています。九州各地から台湾へのチャーター便を運航しており、国際線進出へ向けた準備は着々と行っています。

travel.watch.impress.co.jp

 

しかし、「2019年度中の国際定期路線開設」は5月の中期経営計画の見直しで延期され、福岡空港発着の路線開設とネットワーク構築に経営資源を振り向けることになりました。確かに九州各地にネットワークを広げるソラシドエアも、スターフライヤーとの棲み分けがあるからか福岡には未就航。とは言え福岡は九州最大の都市ですからソラシドエアも指をくわえて見ているわけには行かないでしょう。就航するとしたらソラシドエアの拠点の一つでもある那覇線でしょうか?

また、2019年1月の社長インタビューで国際線のサービス面で課題がある事や、日本からの海外旅行者の少なさ、現在の機材がフル稼働で増便が難しい事から、まだゴーサインは出せないとしています。将来的な国際定期路線就航はあきらめてはいないと思いますが、優先順位としてはそこまで高いわけではなさそうです。

 

sky-budget.com

 

www.nikkei.com

・エアドゥ

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就航当初の社名が「北海道国際航空」だった事からも分かる通り、エアドゥも将来の国際線就航を考えています。2019~23年度の中期経営戦略でも「国際線を含むチャーターフライトの実施」を検討しているとしていますが、ソラシドエアに比べると国際チャーター路線の運航実績は少なく、国際線を意識した機材もまだありませんので、今の時点ではまだ「将来の目標」の域を出ていないと思います。

www.airdo.jp

 

実際のところ、エアドゥの経営は順調とは言えず、2019年3月期の決算は減収減益でした。パイロット不足問題やボーイング767の後継機問題も抱えており「国際線進出どころではない」と言うのが本音でしょう。他の新規参入会社と比べると経営が苦しく、販売面や機材面でANAの依存度が高いエアドゥですが、何とか経営を立て直して競争力をつけて、いつか国際線を飛ばして欲しいですね。

www.nikkei.com

・アイベックスエアラインズ

この会社に関しては国際定期路線はおろか国際チャーター便の運航実績もないですし、経営計画でも国際線進出をうたった事はありません。元々が国内リージョナル路線を手掛けるための会社ですから、国際線に打って出る可能性はないでしょう。

 

・フジドリームエアラインズ

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FDAも地方路線を中心とした路線網やリージョナル機による運航ですから、アイベックスエアラインズ同様国際線は考えていない・・・と思いきや、将来的な国際線進出に言及している記事がいくつかあり、案外まんざらでもなさそうです。

 

2017年の記事ですが、好調な地方間チャーターに一部機材を割り当てる一方、チャーター便による国際線参入についても小型機の特性に合った近隣国を想定して「前向きに研究を進めている」そうです。また、2015年の鈴木会長のインタビューでも「機材の回転率を向上させられるのなら国際線は魅力」と語っており、FDAにとっては国際線進出は可能性がないわけではなさそうです。

www.nikkei.com

 

newswitch.jp

 

但し、短期的には実現の可能性は低いと思います。地方空港は運用時間が短く、飛行時間が長くなり通関手続きも必要になる国際線は鈴木会長の言う「回転率」の悪い路線になります。また、FDA最大の拠点である小牧は中部空港との兼ね合いから国際線就航の可能性は皆無に近く、現状FDAの拠点から国際線を飛ばせるとしたら静岡くらいしかありません。さらに、現在FDAは国内線の新規路線開設や国内チャーター路線に力を入れており、慌てて国際線を進める必要もなければ計画を進める余裕もありません。可能性がないわけではありませんが、今のFDAに取っては国際線進出は「将来の夢」なのでしょうね。

 

・まとめ

以上、新規参入会社が国際線に進出する可能性について考えてみました。この中で短期的に実現の可能性があるのはソラシドエアでしょうが、近距離国際線は国内外のフルサービスキャリアやLCCなどが入り乱れる激戦区。中途半端に参入しても返り討ちに遭って逆に経営の重荷になる可能性もあるので、慎重になるのも仕方がない事だと思います。

それでも国内市場の頭打ちが予想される以上、将来的には国際線進出を検討する時が来るかも知れません。相手国側、特に中国からは様々な航空会社が日本に乗り入れる姿を見ると、日本側からももう少し国際線を飛ばす会社が増えてもいいんじゃないかと思うのは私だけでしょうか。

 

 

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