〜Aviation sometimes Railway 〜 航空・時々鉄道

航空や鉄道を中心とした乗り物系の話題や、「迷航空会社列伝」「東海道交通戦争」などの動画の補足説明などを中心に書いていきます。

ジェットスタージャパン・成田ー庄内線就航決定。今後のLCC就航のトレンドは「地方路線の掘り起こし」?

 

4月17日、ジェットスタージャパンは8月1日からの成田ー庄内線の就航を発表しました。1日1往復で成田発は午後1時、折り返しの庄内発は午後2時50分発。ジェットスタージャパンにとっては初めての東北路線となるほか、山形県にとっても初のLCC就航となります。

庄内線就航の決め手となったのは「自治体や地元企業が熱心に誘致した事」と「庄内地方は40万人の人口があり、航空需要掘り起こしの余地がある事」の2つ。2年前から県知事らが就航を働きかけ、チェックインカウンター整備などで支援する姿勢を示したことで継続的な地元の支援を受けられるとジェットスタージャパンが判断した事、また、庄内地方は観光需要の他、ハイテク企業が集まり一定のビジネス需要も見込めることが就航決断を後押ししたようです。

現在、庄内空港からの路線はANAの羽田線4往復のみで独占路線、またJRも所要時間の面で決して優位には立っていない事、特に冬場は積雪や吹雪で運休や遅延することがしばしばあることから、庄内-羽田線の航空運賃は強気な設定になっています。ジェットスターの成田線就航は新たな選択肢ができる以上に、航空運賃の値下げという効果を庄内地方にもたらすことになります。ANAにも直接影響は与えないものの、ジェットスターの低価格は意識せざるを得ないでしょうから、運賃面の見直しも考えられます。

 


www.aviationwire.jp

 

www.fnn.jp

f:id:meihokuriku-alps:20190417234432j:plain

 

さて、2012年5月のピーチ就航以降、順調に路線網を広げる和製LCCですが、ここ1~2年は高需要とは言えない地方路線の開拓が目立ってきています。最近のLCC各社の就航路線を見ても、ピーチが関西~新潟・釧路線、ジェットスタージャパンが成田~下地島や成田・関西~高知線、バニラが成田・関西~函館線(ただしこれは軌道に乗らず撤退しましたが)と、以前の就航路線よりも需要が小さい地域への就航が目立ちます。

当初は札幌や福岡、那覇と言った高需要が見込める路線や、鹿児島や宮崎と言った地方路線でも航空が優位に立ち、需要も大きい路線への就航が多かったのですが、近年はそれらの路線の開拓も一巡してきました。LCCの就航はそれまで飛行機に乗らなかった人を呼び寄せ、運賃が安い分、飛行機に乗る回数を増やしたりコンサートやスポーツ観戦にLCCを使うなど新たな需要を開拓してきましたが、一通り需要の大きい路線にLCCが就航した今となっては、規模拡大の為には「既に別のLCCが就航した路線に参入する」「大手や他のLCCが目を付けていないニッチな市場を開拓する」かの二つになります。

今のところ、ジェットスタージャパンは黒字化したとはいえまだまだ累積損失は残っており、ピーチもバニラとの統合作業に人的リソースを割く必要があり競合どころではないため、路線開拓に関しては後者を選択しているようです。両社とも今は正面対決を避けている節があり、競合できる体制が整うまでは空白地帯への就航が中心になって行くものと思います。

 

それでは、今後はどこの路線への就航が考えられるでしょうか。現在のLCC空白地帯は地域単位で見れば北東北(青森・秋田・花巻など)、北陸(小松・富山・能登)、中国(広島以外の全域)と、まだ開拓の余地は残っています。また北海道に関しても旭川や帯広、女満別は羽田線のボリュームや以前関西からの路線が就航していた事を考えると有力な就航先です。それ以外でも観光面で潜在的需要が見込める地域としては南紀白浜や対馬、久米島などが挙げられますし、徳島もLCC未就航地域。関西視点で見れば福島や八丈島も候補に挙がってきますし、中部発の地方路線はまだまだ開拓の余地があります(中部に関してはエアアジア・ジャパンとジェットスタージャパンの取り合いでしょうが)

今後はジェットスタージャパンと、バニラ統合で新たに成田が拠点の一つになるピーチとの間で空白地帯の取り合いが始まるのではないでしょうか。恐らくここ数年で地方空港へのLCC就航はかなり進むことになるのではないかと思います。「うちの地方の空港にはLCCが来ない!」と嘆いているそこのあなた、案外明日当たりLCCの就航発表があるかも知れませんよ・・・?

 

 

にほんブログ村 その他趣味ブログ 航空・飛行機へ
にほんブログ村