2月25日、JALは2017‐2020年度中期経営計画ローリングプランの改訂版を発表しました。同時に発表された中距離LCCの参入を始め、先日の路線便数計画でも発表されたエアバスA350と国内線用787の投入や、顔認証システムやセルフバゲージドロップの導入などによるスマート空港の実現、ビジネスジェットやデジタルマーケティング事業などの新事業の立ち上げ、昨年のパイロットの飲酒問題を受けての社員教育などの「安全・安心の再構築」が重点項目になります。
このうち国内線用787については10月の投入が決定、羽田-伊丹線を中心に投入されます。また、これとは別に既存の国内線用767と737にもUSB電源を全シートに設置、順次改修工事を行っていきます。国際線についても欧米豪路線でビジネスクラスのフルフラット化が実施される予定で、引き続きサービス向上に投資していくようです。
さて、今後の注目は来年就航予定の中距離LCC「TBL(仮)」の動向でしょう。今回のローリングプラン発表と同時にTBLについても発表があり、3月上旬に国土交通省に航空輸送事業(AOC)の許可申請を行い、早ければその段階で正式な社名も発表される見込みです(既に一部報道で「ZIPAIR」になるのではとされていますが、一応JALの正式発表まではTBLで表記します)サービス内容や制服のお披露目は4月頃になりそうです。
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さて、気になるTBLの機材ですが、JAL保有の787初期導入機2機を改修して投入する事になります。世界的な引き合いが多くリース機も調達しやすい737やA320ならともかく、787はそう簡単には空いてるリース機も見つからないので妥当なところだと思います。将来的には6機体制になる見込みですが、JAL本体に取っても主力である787をそうそう廻すわけには行かないと思いますから、立ち上げ期はJALからのリース機で、経営が軌道に乗ったら新造機のリースに切り替えるのではないかと思います。
さらに気になるのは就航路線とTBLのブランディングやサービス内容ですが、今回の発表では特に触れられませんでした。これはJALの発表を待たなければいけませんが、2機で廻せる路線となると一機で運用できる東南アジア路線でしょう。ホノルルやオーストラリアも一機で廻せなくもないですが、ほぼフル稼働になるので2機で2路線を飛ばすのは運用的に厳しくなり、現実的ではありません。
当初は東南アジアなどの中距離路線、将来的には欧米路線となるのではないかと思いますが、最初の路線がどこになるかで今後の方向性も見えてきます。最初がバンコクやシンガポールといった大都市ならJALを含めた他社との競合覚悟で需要の大きい路線に切り込む戦略、デンパサールやプーケットといった日本の会社が就航してない路線なら、カンタスとジェットスターの関係のようにJALとの棲み分けを図る戦略になるのではないでしょうか。
いずれにしてもJALの新LCCの全貌が判明するのはもう少し後になりますので、今後の情報を楽しみに待ちたいところ。また現在のローリングプランは2020年度までの計画であり、羽田発着枠の配分が決まる来年には次の中期経営計画も出てくる事でしょう。来年のJALは大きく変わるかもしれませんね。