〜Aviation sometimes Railway 〜 航空・時々鉄道

航空や鉄道を中心とした乗り物系の話題や、「迷航空会社列伝」「東海道交通戦争」などの動画の補足説明などを中心に書いていきます。

やっぱりか・・・エア奄美解散

昨日はイースタン航空のMRJキャンセルの話題が出ていたのでこれを書こうと思っているところに、エア奄美の就航断念、解散のニュースが飛び込んできました。

エア奄美、2月末解散 地方創生型LCC、就航断念

 

エア奄美は2016年5月に設立され、徳之島空港のある天城町に本社を置いて奄美群島と関西・沖縄を結ぶ路線の開設を目指して準備を進めていました。「地方創生型LCC」と銘打ち、奄美群島を結ぶ旅客路線はもちろん、奄美の特産物の輸送・販売にも取り組むとし、奄美色を前面に押し出したサービスを考えていたようで、エア奄美を支援する社団法人もあったようです。

www.air-amami.co.jp/

www.air-amami-shien.com

 

既に従業員の募集も行ってパイロットなども採用済みですが、結局は資金調達のめどが立たず、2月末での解散が決まりました。昨年の11月17日に従業員の採用を一時中断しており、今月再開予定だったところへの今回の解散ですから、恐らくこの時点で既に資金繰りは危うかったのかも知れません。

まあ、本当に資金繰りに行き詰って破産する前に自ら解散を決めただけリンクやレキオス航空よりはマシですが、個人的には「やっぱりな」というのが正直な感想です。エア奄美のホームページを見ても会社概要がなく、社長が誰なのか、出資金はどのくらいあるのか、出資者が誰なのか全く不明。地元の観光協会などの支援はあったようですが、プロペラ機とは言え航空会社の立ち上げには数十億単位の資金が必要なはず。大口の出資先を確保した気配もなかったので、どこまで本気だったのか、資金調達の当てがあったのか、リンクや横浜国際航空を思い出させる不透明さがあったので、エア奄美の就航には懐疑的でした。

 

www.meihokuriku-alps.com

 

 


迷航空会社列伝Lite「飛行機できたら会社が消えた」航空会社になり損ねた会社・リンク


迷航空会社列伝「南の島への叶わぬ夢」航空会社になれなかった横浜国際航空

 

しかし、奄美群島は観光地としては将来有望な地域でもあります。奄美群島が国立公園に指定されて注目度が高まっているうえに、今年は世界自然遺産登録も目指していますので、実際に登録されれば奄美へのパッケージツアーを企画する旅行会社は多いと思います。実際、数年前から航空会社も奄美路線の開拓に動いており、バニラエアは既存の成田~奄美線に加え関西~奄美線を開設。日本エアコミューターも今年から奄美~徳之島~沖永良部~那覇線を開設し、奄美群島内~沖縄への周遊観光が便利になります。世界遺産登録が現実のものとなれば、ひょっとしたら観光需要の増加を当て込んで奄美路線のないANAグループやかつて就航した経験のあるスカイマークも就航を検討するかもしれません。

エア奄美は就航地の場所取りに関しては目の付け所は悪くなかったと思いますが、いかんせん資金力がなかったのが致命的でした。しかし、仮に就航までこぎつけたとしても、既に奄美路線で実績のあるJALグループと勝負になったかは疑問です。ANAやスカイマークが就航となればひとたまりもなかったと思います。そう考えると傷口の浅いうちに「解散」という選択肢を選んだのは不幸中の幸いだったかもしれません。