〜Aviation sometimes Railway 〜 航空・時々鉄道

航空や鉄道を中心とした乗り物系の話題や、「迷航空会社列伝」「東海道交通戦争」などの動画の補足説明などを中心に書いていきます。

日本航空の社長交代

1月24日、日本航空の社長交代が発表されました。新社長は整備本部長兼JALエンジニアリング社長の赤坂祐二常務執行役員で4月1日付けで就任、植木義晴社長は代表権のある会長になります。さらにJAL破たん後最初の社長だった大西賢会長は退任となりますので、植木氏が会長に残るものの、稲盛氏の薫陶を受けた経営陣が一線を引くことになります。

 

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JAL、新社長に赤坂常務 整備出身、植木氏は会長に

 

新社長となる赤坂氏は1987年に日航に入社、以来整備畑を歩んできました。入社の時期が御巣鷹山事故の2年後と言う事もあり、安全には人一倍気を配っている方のようで、記者会見でも「安全運航を守っていく」と表明しています。これで破たん後のJALの社長は整備畑出身の大西氏、パイロット出身の植木氏、整備畑出身の赤坂氏と現場出身者が3代続く事になり、破たん前の歴代JAL社長が運輸省出身者や営業、企画畑出身者ばかりで現場出身者がいなかったことを考えると隔世の感があります。

 

さて、社長が変わったからと言ってもJALの経営方針が変わることはなく、収益性重視の経営は当面はそのままでしょう。その一方でANAや海外の航空会社との対抗上、国際線の拡大は必要な事ですから、収益性を維持しつつ、どこまで国際線を拡大させるかという匙加減が新社長には求められると思います。昔の日航のように採算度外視の路線を飛ばすことはもうないと思いますが、当面はアライアンスや提携相手先の路線を中心に展開するのではないでしょうか。

 

そして一部の新聞ではJAL再建の立役者である植木氏の社長交代で今後の成長政略を疑問視する論調もありますが、新社長の赤坂氏を選ぶ際も「人柄や考え方を重視した」と植木氏も言っていますし、自分の後継者として最もふさわしい人物であるとしていますから、私は今回の社長交代後もJALがおかしくなることはないと思っています。JALが継続して発展し、世界の空で生き残るためにはこれからが正念場だと思いますが、経営破たん時の事を忘れず、安全運航と高品質なサービスをさらに磨いてJALをさらに成長させてほしいものです。

 

 

それと個人的に気になるのが取締役退任後の大西氏の去就。まだ62歳と完全に引退するには早いので、今後何らかの形でJALに関わっていくのか、それとも別の会社で新たなスタートを切るのか。大西氏ほどの実績があれば他の会社からも引く手あまただと思いますので、JALで培った経験を生かしてもうひと花咲かせてほしいですね。

 

 

JAL再生―高収益企業への転換

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