10月10日、ICAO(国際民間航空機関)がタイの「安全に対する重大な懸念(SSC)」の指定を解除しました。
2年前に「航空会社を監視する当局の職員数が不十分」という理由で指定されましたが、新興国クラスでこの指定を喰らうのは異例中の異例。日本や中国、韓国、アメリカなどはタイの航空会社の新規乗り入れやチャーター便の運航を認めないなどの規制を取り、タイ・エアアジアXやノックスクートが新規就航を見送り、急遽本国側の会社の路線をバンコク経由便にしてしのいだという経緯があります。
タイの当局も新たに民間航空庁(CAAT)を立ち上げ、2年かけて安全審査体制の見直しを進めました。この見直し作業には日本のJICA(国際協力機構)も協力しているようです。
さらにICAOの国際安全基準にのっとった新たな航空運航者証明書(AOC)の再認定作業を進め、これまでにバンコクエアウェイズ、タイ・エアアジア、タイ国際航空、ノックスクート、タイ・エアアジアXの5社が基準をクリアして再認定を受けています。
ICAOの指定解除でこれまで規制を受けていた新規路線の開設やチャーター便の運航再開が見込めますし(ただしアメリカはまだ規制を継続していますので北米路線の新規開設はできませんが)、少なくとも再認定を受けた会社に関しては安心して乗れるのではないかと思います。
さて、そこで問題になるのがまだ再認定を受けていない航空会社。チャーター便会社の中には古い機材ばかりの会社もあり、HISが出資しているアジアアトランティックエアウェイズも20年落ちの767を使用していますし、就航当初は色々とトラブルをやらかしたので無事再認定を受けられるかは微妙。
ですが、一番の本丸は迷航空会社列伝でも取り上げたこの会社でしょう。
迷航空会社列伝「古い機材は使い捨て」フリーダム・オブ・オリエントタイ航空
ある意味、グダグダのユルユルだったタイの航空当局の仕事ぶりのお陰で生きながらえてきた感のあるオリエントタイ航空。普通の国ならとっくに運航停止処分になってもおかしくないのですが、この会社に厳正に対処できるかどうかで本当にタイの航空当局が変わったのかがわかるのではないかと思います。
正直、今までいい加減やってきたオリエントタイがにわかにICAOの安全基準を満たせるとは思えませんし、満たせるだけのお金や人材もいるとは思えません。CAATもこんな会社を安易に再認定してSSCに逆戻りなんてしたくないでしょうから厳正に対処するはず、いや厳正に対処して下さいお願いします。(悪い意味で)数々の伝説を打ち立ててきたオリエントタイ航空も、いよいよ年貢の納めどきなんですかねえ・・・