10月2日、イギリスのLCCのモナーク航空が破綻しました。ヨーロッパでの航空会社の破綻は5月のアリタリア航空、9月のエアベルリンに続いて3社目。運航停止に追い込まれるのは今年初のケースです。
突然の破産だったため、11万人の乗客が帰る術を失ってしまい、救済のためのチャーター便が運航されるなど、大きな影響が出ています。突然の破産→チケット紙くず、現地に置き去りというと3月のてるみくらぶが思い出されますが、てるみくらぶもモナーク航空も格安を売りにした会社という共通点があり、価格競争で疲弊した末に力尽きた、という点も同じです。
しかし、てるみくらぶの場合は早めに法的整理を選択していれば傷は浅く済んだのに、破産ギリギリまで原価割れの激安ツアーを販売して現金を集め、そのお金を目先の支払に充てるという、究極の自転車操業に陥って被害を拡大させてしまいました。粉飾決算もやっていたようですし、これは完全に経営者の責任と言わざるを得ません。
一方のモナーク航空はまだ破産したばかりで詳しい原因はまだ断定できませんが、CEOの説明ではエジプトやチュニジアのテロやトルコ市場の不振、欧州市場の競争激化や燃料費高騰を原因に挙げています。元々経営は苦しかったところにこれらの外的要因が重なり、さらにイギリスのEU離脱によるポンドの下落もモナーク航空の経営を圧迫したようです。とは言え、最終的には11万人の帰りの足を奪ったわけですから、てるみくらぶ程ではないにしても経営者の責任は免れないでしょう。
航空業界や旅行業界のようなサービス業は日々の現金収入がある分、資金繰りの面では製造業よりも何とかなるケースが多いのですが、見方を変えれば負債が雪だるま式に膨れ上がってもキャッシュフローさえ何とかなれば会社は持ちこたえてしまうので、経営の悪化に気付きにくくなってしまいます。ちょっとしたきっかけで資金が止まってしまうと、手元現金がなく、航空券の売り上げを右から左に流してやり過ごしていた会社はすぐに行き詰まり、ある日突然運航停止となってしまうわけです。
ヨーロッパは航空会社の座席供給数がだぶついているようなので、ひょっとしたらこのような破産は今後もありえるかも知れません。とは言え、個々の会社の財務状況までは調べようがないですので、危ない会社は避けると言った行動はなかなかとりづらいですが・・・