〜Aviation sometimes Railway 〜 航空・時々鉄道

航空や鉄道を中心とした乗り物系の話題や、「迷航空会社列伝」「東海道交通戦争」などの動画の補足説明などを中心に書いていきます。

近況報告と今後について

ブログをご覧の皆様、長らくご無沙汰して申し訳ございません。

また、YouTubeやTwitterなどをご覧いただいている皆様には重複のご報告となりますがご容赦下さい。

 

昨年12月よりYouTubeのコメントやTwitterでご報告したとおり、現在機材及び動画制作環境に著しい支障をきたした為、新規の動画制作及び投稿を休止しています。詳細は個人情報に触れる可能性があるため差し控えますが、PCやカメラなどの編集機材、長年コツコツ集めていた画像データや資料もほぼダメになってしまったので、今回ばかりは復帰までに数ヶ月単位の長期戦になる見込みです。

現在は辛うじてスマホやSDカードなどに残っていた画像データの読み出しと整理を行いつつ、YouTubeにアップしていた自分の動画のイッキ見版の制作を行っています。PCやWi-Fi環境がようやく整ったので、整理のスピードは少し上げられると思います。といっても肝心の航空機や空港、鉄道などの画像は一眼レフで撮ったものがメインだったので、そっちの復旧が絶望的なのが痛いですが・・・あとこのブログや外部の画像投稿サイトにアップした画像も再活用していければと思います。

 

そして長年放置していたこのブログも、これをきっかけにまた少しずつやっていければと思います。以前は時間的な理由や自分自身のキャパのために動画投稿に制作リソースを裂いており、ブログの方は正直放置していましたが、皮肉にも今回の一件で時間ができた分、当面はこっちの方で情報発信していければと思います。「散々放置しておいて今更何を」と思われるかもしれませんが、どうか生暖かく見守っていただけると幸いです。

2020年の投稿動画の振り返りと2021年の抱負

本日年内最後の動画となる日本アジア航空の前編を投稿します。後編は年明け以降になると思いますのでもうしばらくお待ち下さい。

 


【日本・中国・台湾の外交関係が生んだ航空会社】迷航空会社列伝・日本アジア航空 前編

 

さて、いろんな意味で異例だった2020年も間もなく終わりを迎えます。今年は羽田空港の拡張に東京オリンピック、航空各社の新規路線開設にMRJ就航と航空業界にとって明るい話題が目白押しだったはずなのですが、新型コロナウイルスの世界的流行で一転して未曽有の危機に陥ってしまいました。世界各地で大手航空会社の経営破綻が相次ぎ、日本でもエアアジア・ジャパンの運行停止⇒破産や、ANAやJALの巨額の赤字決算など、航空業界全体が冬の時代というか氷河期を迎えてしまいました。

そんな中でも私に関しては何とか動画を作ることができ、YouTubeのメインチャンネルでは登録者数3万人を突破することができました。これも動画を観てくれているファンの皆様のおかげです。本当にありがとうございました。

再アップ動画を除いた投稿動画本数は14本と去年よりはマシという程度だったのは反省点ですが、懸案だった削除動画の再アップも一部を除いてほぼ終了しましたので、来年は投稿ペースをもう少し上げていきたいなと思っています。その辺の抱負は年明けに回すとして、2020年に投稿していった動画を振り返っていきたいと思います。

 

2月21日 東急の空への夢(第7話・最終話を投稿。完結)


東急の空への夢7話「叶う夢・志半ばで果てる夢」国際線進出の陰で・・・


名航空会社列伝 東急の空への夢 最終回「今を生きる東急の空への夢」

2018年11月から引っ張ってしまった「東急の空への夢」シリーズもようやく完結しました。こうして振り返ってみるとTDA→JASの歴史は田中勇氏が立て直したおかげで存続し、田中氏が一線を引いた後は経営が悪化し、JALとの合併に追い込まれました。そう考えるとJASは良くも悪くも田中氏の影響が大きい会社だったと思います。

 

3月14日 交通機関の栄枯盛衰・加賀温泉駅(中・後編)


交通機関の栄枯盛衰「加賀ゆけむり特急戦争」中編・第三の駅


【対立と裏切りの果ての結末は?】交通機関の栄枯盛衰「加賀湯けむり特急戦争」後編

こちらも越年した動画を完結させたもの。単なる特急停車駅の争いにとどまらず、地域間対立や温泉街のパワーバランスなどにもスポットを当てて紹介したおかげでかなり長くなってしまいました。ですが個人的には結構深く掘り下げることができたんじゃないかと思います。

 

5月3日 リパブリック航空


【三社寄ってもダメなものは・・・】迷航空会社列伝・リパブリック航空

後半はリパブリック航空というよりはノースウエスト航空の歴史と言った感じでしたね。買収・合併が日常茶飯事なアメリカの航空業界ですが、リパブリック航空の資産を上手く活用したノースウエストの例もあれば、PSAの資産を無駄にしたUSエアウェイズの例もあり、そんな悲喜こもごもがまた興味をそそられるんですよね。

 

5月15日 AOMフランス航空


【航空版逝っとけダイヤの裏事情は?】迷航空会社列伝・AOMフランス航空

この話はどちらかというと個人ブログの情報で知った話を元に作ったので正確性という意味では少々疑問が残りますが、「フライトごとに経由地がコロコロ変わる」というのは某赤い会社の「逝っとけダイヤ」に近いものを感じたのでつい作ってしまいましたw

 

6月7日 裁判所猫と学ぶ航空用語口座「マイレージプログラム」(前後編)


【マイレージの歴史を学ぼう】裁判所猫と学ぶ航空用語講座「マイレージプログラム」前編

コロナでなかなか航空機の映像が撮れず、手持ちのストックが枯渇しているために立ち上げた新シリーズです。「交通機関の栄枯盛衰」同様、迷航空会社列伝のキャラが解説するという形式になっており、「しくじり企業」などのゆっくり解説動画を意識したものです。今年は航空用語だけでなく、航空会社の経営者を解説する動画もやってみたいですね。コロナが収束しなければ当面こっちの動画にシフトすることも考えています。

 

7月24日 タイ国際航空


【微笑みの裏にあったフラッグキャリアの闇とは?】迷航空会社列伝・タイ国際航空

正直、破綻のニュースが出るまではタイ国際航空の中身がこんなにボロボロだとは思いませんでした。大半は新聞や経済誌の記事がソースですが、それだけでもタイ国際航空の闇の部分が出るわ出るわ・・・投稿者コメントでも書きましたが、本当に原稿書いてて気が滅入ってきました。タイ政府や軍部の影響力を排除できるかどうか、でも過去のいきさつを考えると厳しそうですね・・・

 

8月22日 交通機関の栄枯盛衰・富山港線


【優良路線はなぜ廃線寸前にまで追い込まれた?】交通機関の栄枯盛衰「JR富山港線」

9月4日 交通機関の栄枯盛衰・富山ライトレール


【廃線寸前から先進交通機関への大逆転劇】交通機関の栄枯盛衰「富山ライトレール」

一応続き物ではありますが、路線名を分けていたので別物として扱います。JR路線を路面電車に転換というのは初めてのケースですが、事前の綿密な計画や富山港線がLRT向きの沿線構造だったのが幸いして成功を収めました。今は城端線・氷見線のLRT計画が持ち上がっていますが、沿線は富山港線のような住宅密集地ではなく、距離も長く沿線の住宅も郊外に広がってたり過疎地域だったりなので、正直「二匹目のドジョウ」はないんじゃないかと思いますね・・・

 

10月2日 インターフルーク


【東西ドイツの分裂が生んだ悲劇と喜劇とやっぱり悲劇】迷航空会社列伝・インターフルーク

何気に旧共産圏の航空会社を取り上げたのはこれが初めてですね。良くも悪くも旧東ドイツを体現した会社と言えるでしょう。一口に旧共産圏の航空会社と言っても、アエロフロートのように解体されてもしっかりフラッグキャリアとして生き残った例もあれば、LOTポーランド航空のように上手くハブアンドスポークに路線網を作り替えて生き残った会社、マレーヴ・ハンガリー航空のようにEU航空自由化のあおりをもろに喰らって潰れた会社など悲喜こもごも。ウズベキスタン航空やエアアスタナのように旧ソ連崩壊後に誕生した旧共産圏の航空会社もありますし、資料さえそろえば一度じっくりと取り組みたいですね。

 

11月20日 アリタリア航空続編


【いつもの迷走から未曾有の事態が招いた再国有化】迷航空会社列伝 続・アリタリア航空

3年越しで作ったアリタリア航空の続編ですが、結果は再度の国有化という先祖帰りとなりました。コロナ禍による航空需要の蒸発がEUの規制よりも自国キャリアの存続を優先させた結果ですが、つくづく悪運が強いというかしぶといと言うか・・・この会社に関しては数年後、もう一度続編を作る必要があるかも知れません。

 

12月30日 日本アジア航空(前編)


【日本・中国・台湾の外交関係が生んだ航空会社】迷航空会社列伝・日本アジア航空 前編

この会社は後編も控えているので詳しい言及は避けますが、国際問題の為に誕生した航空会社の典型的例ですね。外交問題で別会社を仕立てたり、社名を消して相手国に配慮する例は台湾だけでなく、エジプトとイスラエル、トルコとキプロスなど他にもあるようです。また、日航以外の会社も台湾路線を飛ばす際、別会社や子会社に運航を任せたり、別会社を装った塗装の飛行機を飛ばしたりと色々配慮せざるを得なかったようです。この辺の事情後編を作った後に特別編で取り上げたいと思います。

 

 

2021年の抱負

今年はコロナの影響がもうしばらく続くと思うので、遠方への取材や資料集めはまだまだできなさそうです。この為手持ちの資料で制作可能な範囲での動画投稿が続くことになると思います。「2020年は海外にも行きたい!」と思っていたのですが、まだまだ海外は無理そうなので、当面は迷航空会社列伝は過去のキャリアや国内航空会社が中心になりそうです。

 

で、今年の目標としては「年間動画投稿30本」の1本に絞りたいと思います。去年・一昨年と個人的事情やYouTubeの収益化停止に伴うリメイク作業で時間が取られていたことが原因で新作動画の割合が少なかった事を反省し、今年は新作動画を増やして2018年以前の水準に戻したいと思います。

「年間30本」という数字は自分の今のキャパシティ的に実現可能なギリギリの数字だと判断したため。今までのMAXは年間35本でしたが、これはリメイクの東海道交通戦争があったためであり、月間2~3本程度が私が新作動画を制作できる限界じゃないかと思います。仕事をしながらの動画投稿ですし、資料を読み込んで構成を考え、原稿を書いて編集して、合間に動画素材撮影のために出かけたりして、となるとこのくらいのペースがギリギリかなと思います。

とは言え数字には余り固執せず、内容重視で進めていくことには変わりありません。今年こそコロナが収束し、自由に往来できる世の中が戻ることを祈りたいと思います。今年も皆様よろしくお願いします。

にほんブログ村 その他趣味ブログ 航空・飛行機へ
にほんブログ村

エアアジア・ジャパン撤退決定・・・コロナ禍で「第3極」は厳しくなる?

f:id:meihokuriku-alps:20201006094540j:plain

 

10月5日、マレーシアのLCC大手・エアアジアの日本法人である「エアアジア・ジャパン」は12月5日付で全4路線を廃止し、日本路線から撤退すると正式に発表しました。既に10月1日~24日の間の全便運休が決まっていますが、運休期間を12月5日まで延長し、そのまま路線廃止にするようなので、9月の連休中に運航したのが「ラストフライト」になってしまうようです。

今後は予約済みのチケットの払い戻しや事業廃止に伴う債権者や株主に対する説明や事後処理、関係機関への廃止手続きなどの清算業務を行うことになり、従業員は一部を除き11月4日付で解雇されることになります。マレーシアやタイなど、海外から乗り入れるエアアジアグループの路線については今のところ撤退の話はなく、出入国規制が緩和され次第再開するとしていますので、エアアジア自体が日本市場から撤退するわけではありませんが、新型コロナウイルスの影響で日本の航空会社が消える初のケースとなるだけに、大きく報道されました。

 

www.aviationwire.jp

 

newsroom.airasia.com

 

https://support.airasia.com/s/article/AirAsia-Japan-Announcement?language=en_GB

 

 

エアアジア・ジャパンの生い立ちについては私のこちらの動画も参照してください。これ作った頃はこんな形で撤退するとは夢にも思いませんでした・・・

 


【日本最強の航空会社とアジア最強のLCCが組んだのに・・・】航空会社から学ぶこと 短命に終わった初代エアアジア・ジャパン

 


【郷に入ってもゴーイング・マイ・ウェイ】航空会社から学ぶこと 二代目エアアジア・ジャパン

 

エアアジア・ジャパンの撤退は直接的な原因は新型コロナウイルスの感染拡大に伴う旅行需要の「蒸発」ですが、2度目の参入の際、許認可の遅れや安全体制の構築などに時間がかかって就航までに3年半もの時間を費やしてしまい、想定以上の累積赤字を抱えてのスタートだったのも撤退に影響を与えたと思います。これが足枷となって規模拡大や黒字化が大きく遅れ、2019年12月期の決算は47億円の赤字と売上高以上の赤字を出していました。薄利多売で回転率と搭乗率を上げないと利益が出ず、スケールメリットがものを言うLCCのビジネスモデルは今回のような事態ではレガシーキャリア以上に苦境に立たされる事になり、特に経営基盤が脆弱だったエアアジア・ジャパンは持ちこたえることができなかったでしょう。マレーシアのエアアジア本体でさえ赤字続きで追加融資が必要な状態で、エアアジア・ジャパンへの支援どころではないことを考えると、撤退はやむを得なかったと思います。

www.nikkei.com

 

さて、エアアジア・ジャパンの事業撤退は「コミューター会社を除けばANA・JALの出資や協力を全く受けていない航空会社が消える」という別の側面もあります。日本の航空会社は26社ありますが、実はその殆どがANAやJALから資本やコードシェア、整備面などで協力関係にあり、エアアジア・ジャパンのように大手2社の協力を全く受けていない会社の方が珍しいのです。

f:id:meihokuriku-alps:20191217001550j:plain



エアドゥ、ソラシドエア、スターフライヤーの3社はANAの出資を受けている上に予約システムもANAの「able」に統一し、コードシェアでANAに座席の一部を販売してもらっているなどANAへの依存度が高く、スカイマークもable導入こそ断って予約システムは自前のものを使うなど独立志向ですが、ANAの出資を受けています。また、IBEXエアラインズとオリエンタルエアブリッジはANAと、フジドリームエアラインズと天草エアラインはJALとコードシェアを行っており、機材面でも協力関係にあります。日本貨物航空も2005年に日本郵船が子会社化して一度はANAグループを離れましたが、2018年にANAと業務提携を行って再度関係を強化しており、日本の航空会社と関係がなさそうな春秋航空日本も2017年12月にJAL系列の会社に整備業務の一部を委託するなど、程度の差こそあれ大多数の会社はANAかJALのどちらかと繋がりを持っているのです。

エアアジア・ジャパンは日本の大手2社の影響を全く受けない希有な会社で、エアアジアグループの総帥であるトニー・フェルナンデス氏も大手2社の影響下にある日本のLCCや、日本市場の閉鎖性を度々非難してきましたが、エアアジアグループの経営悪化とコロナ禍で撤退に追い込まれてしまいました。

 

f:id:meihokuriku-alps:20191030234813j:plain

エアアジア・ジャパンの撤退で現状、明確に「第三極」を目指している会社はスカイマークのみとなりましたが、そのスカイマークはANAの出資を受けるなどその影響を完全に排除したわけではありません。予定では今年にも東証一部への再上場申請をするはずでしたが、コロナ禍で取りやめになってしまいました。

再上場すれば上場に伴う株式売却益でANAに「恩を返す」形でANAの出資を引き上げることが可能だったかもしれませんが、現状では無理にANAとの関係を解消するよりも、今のまま安定株主として株を保有してもらい、つかず離れずの関係を維持した方が得策のように思います。本格的に「第三極」として独り立ちするのは航空需要が回復した後でもいいでしょう。

 

現状ではエアアジア・ジャパンの3度目の参入は望み薄であり、当面はANA・JALの大手2社を中心とした体制が維持されるものと思われます。しかし、世界各地でレガシー・LCCを問わず航空会社の破綻が続いている事を考えると、こういった非常時には競争の激しくない日本の航空業界の方が体力を温存できるのかも知れません。今は何とかこの難局を乗り切り、これ以上航空会社の撤退が起きないよう航空各社には踏ん張ってもらいたいですね。

 

 

にほんブログ村 その他趣味ブログ 航空・飛行機へ
にほんブログ村

ZIPAIR、まずは貨物便でスタート。LCCも「貨物で稼ぐ」時代がやってくる?

 

f:id:meihokuriku-alps:20200521155822j:plain


4月に就航する予定も新型コロナウイルスの影響で就航延期に追い込まれていた日本航空系の中長距離LCC、ZIPAIRは5月21日、6月3日より貨物専用便として成田ーバンコク・スワンナプーム線を開設すると発表しました。週4往復の運航で機材は旅客便に使用する予定だったボーイング787をそのまま使用、客室には貨物は積まず、床下貨物スペースのみ使用する予定で貨物搭載量も飛行距離や燃料の重さを考慮して、最大搭載量の半分弱の20トン程度に抑える予定です。

www.aviationwire.jp

 

www.zipairtokyo.com

news.yahoo.co.jp

 

日本ータイの航空路線は他国の例にもれず、新型コロナウイルスの感染拡大により旅客需要が激減して減便・運休が相次いでいますが、逆に供給不足になって悲鳴を上げているのが航空貨物。と言うのも旅客便でも大型機だと大抵客席の下に貨物搭載スペースを設けており、旅客便でありながら貨物需要の一部も賄っていたのですが、その旅客便がごっそりなくなったことで床下貨物の供給量も消え、航空貨物が供給量不足になった締まったようです。ZIPAIRの貨物路線参入はやむにやまれぬ苦肉の策ではあるのですが、実は航空貨物自体がひっ迫しているという事情もあったのですね。

旅客便の貨物スペースと言うと空きスペースの有効活用程度に考える方も多いと思いますが、実は大型旅客機の貨物搭載量はバカにできないんです。例えば777-300ERだと最大約72.5トン、787-8だと最大約44.6トンの貨物を搭載する事が可能です(実際は旅客数や航続距離などの関係でかなり抑えた数値になると思いますが)一方の貨物専用機は777Fが最大102トン、767-300Fが最大58トンなので、777-300ERは767-300F以上の貨物搭載量を誇り、787も767貨物型には及ばずともそれなりに貨物を搭載できることが分かります。

JALの貨物事業が専用機を一切持たないにも関わらず1000億円近い売り上げを誇っている事や、かつては羽田ー佐賀や羽田ー那覇などでANAが旅客用の飛行機で貨物専用便を飛ばしていた事からも分かるように、旅客を乗せず、航続距離にも目を瞑れば旅客用の機材でも十分貨物専用機として使用できることがお分かり頂けるのではないでしょうか?

 

www.jal.co.jp

 

www.japanpress.co.jp

 

 

さて、苦肉の策として感が強いZIPAIRの航空貨物参入ですが、私はこの経験が意外と将来旅客便の運航を開始した時にも生きるのではないかと思っています。と言うのも近年LCCでも床下貨物スペースを活用した航空貨物事業に参入する動きが出ており、将来的には貨物分野でもLCCが存在感を高める可能性がある事、また、LCCにとって鬼門とされている中長距離路線の分野で航空貨物は収益性向上の切り札になる可能性を秘めていると考えるからです。

 

f:id:meihokuriku-alps:20200521165204j:plain

例えばアジアのLCC王者、エアアジアグループ。数年前から航空貨物に参入しているようで、現在では物流部門は「テレポート」というブランドで展開しています。4月16日にはブロックチェーン技術を使った貨物予約プラットフォームを発表しており、いつの間にか単なる格安航空会社から貨物も含めた総合物流企業への脱皮を図っているようです。そう考えると日本路線やエアアジアジャパンに固執しているのも案外物流狙いの一面もあるのかも・・・?

bittimes.net

 

www.teleport.asia

 

また、JALとカンタスとの合弁のジェットスタージャパンは2013年から既にエアロジスティクスジャパンとの提携と言う形で航空貨物事業に参入しており、ピーチもバニラエアとの統合後に貨物事業への参入を検討するとしています。エアアジアもジェットスターもピーチもコンテナ搭載が可能なA320型を主力機にしており、貨物事業参入のハードルは案外高くありません。LCCと言うと格安運賃やレガシーキャリアにはない独自のサービス、派手なブランドコンセプトが目立ちますが、意外と貨物需要を狙っている会社は少なくありません。LCCと言うとどうしてもレガシーに比べて定時性が良くないというイメージが強く、実際ギリギリの運航計画なので遅れが出ると他の路線にも波及するリスクを抱えて飛んでいますが、それを逆手にとって遅延リスクがある代わりに大手よりも安い運賃で勝負を挑むという手もあります。LCCは航空貨物業界にとって「ダークホース」となり得る可能性を秘めていると思います。

 

www.aviationwire.jp

 

www.nikkei.com

 

翻ってZIPAIRの場合はどうでしょうか?こちらの記事によると当初の事業計画の段階で「旅客+貨物」での収入を想定していたようですので、航空貨物事業はZIPAIRも考えていたと思います。貨物もある程度載せられる787を使用するのですから、折角の床下スペースを遊ばせておくのは勿体ないですし、妥当な所だと思います。

 

news.yahoo.co.jp

 

中長距離路線を飛ばすフルサービスキャリアは旅客だけでなく貨物でも収益を得ていますし、旅客にしても収益の柱はビジネスやファーストと言った高単価客。エコノミーは時期や路線、中間席など売れ残りやすい座席を中心に格安で販売して値ごろ感の演出や空席解消、ライバルとの価格競争に使用している感があります。中長距離路線でLCCが根付かないのも短距離で機材の回転率を上げ、空港でのターンアラウンド時間を短縮することでコストを下げるLCCのビジネスモデルが通用しないことに加え、貨物や上級クラスの収益で稼ぐレガシーキャリアに対抗できる収益構造を構築できないのも一員なのではないでしょうか?

 

その点ZIPAIRは航空貨物の設備やノウハウを親会社のJALから提供してもらえるという強みがあります。更にZIPAIRは定時性向上など運航品質を重視していますので、レガシーキャリアとそん色ない定時性を確保できれば「LCCだけど時間通りに着く」と荷主の信用を得ることができ、航空貨物の取り扱い増加につながるのではないでしょうか?ZIPAIRが参入を目指している路線のうちバンコクとソウルは精密機械や機械部品と言った航空貨物が有利な分野の貨物需要が見込めますし、ホノルル線もハワイの立地上航空貨物が重要になる上に農産物需要も見込めます。将来的な就航を目指しているアメリカ西海岸もシリコンバレーを始めとしたIT産業が盛んな地域なので、こちらも精密機械などの航空貨物需要が見込めます。そう考えるとZIPAIRの路線は案外貨物需要も見越して計画されているのかも知れませんね。

 

新型コロナウイルスの感染拡大は就航直前だったZIPAIRにとっては出鼻をくじかれた格好になりましたし、貨物専用便でのスタートは本意ではなかったと思います。しかし、航空貨物というLCCにとっては未知の分野で経験を積むことは貨物事業も視野に入れていたZIPAIRには大きな財産になると思いますし、将来にも生きてくるのではないかと思います。「人間万事塞翁が馬」「災い転じて福となす」ということわざもありますし、貨物専用便をきっかけにZIPAIRが「旅客でも貨物でも稼げるLCC」となって中長距離LCCは成功しないというジンクスを覆してくれればいいなあ・・・

 

 

にほんブログ村 その他趣味ブログ 航空・飛行機へ
にほんブログ村

寝台特急復活の可能性を真剣に考えてみた

新型コロナウイルスの影響で無期限延期になってしまいましたが、JR西日本が新たに投入する予定だった新たな特急用車両「WEST EXPRESS 銀河」。

既存の117系近郊型電車を特急用に改造したもので、夜行列車にも投入できるように横になれる座席を設置し、臨時の夜行列車にも投入するダイヤを組んだことで一躍話題を集めました。

www.jr-odekake.net

 

車内は1号車がグリーン指定席「ファーストシート」、6号車がグリーン個室「プレミアルーム」とフリースペース、2号車と5号車が普通車指定席「ノビノビ座席」、4号車が普通指定コンパートメントとフリースペース、3号車がフリースペースとなります。フリースペースの部分が多く、編成当たりの定員も90名程度とかなり余裕のある設計です。料金的に普通車は現行の特急料金をそのまま適用、グリーン車も一般席は現行料金適用、個室は新設のグリーン個室料金が適用されますが、スペースの広さを考えると寝台料金なしで横になれるのはかなりの乗り得列車です。今後のJR西日本のプロモーション次第ですが、定員の少なさも考えると、運行開始後は予約が殺到してプラチナチケット化するのではないでしょうか?

trafficnews.jp

 

しかし、日本では夜行列車自体が定期では「サンライズ出雲・瀬戸」の1往復のみであり、臨時でも全車座席車の「ムーンライトながら」など数えるほどしかありません。ツアー形式で料金も高額なクルーズトレインを除けば日本の夜行列車、特に寝台特急は風前の灯火です。

「WEST EXPRESS 銀河」にしても製造から40年近い117系近郊型電車の改造であり、どちらかというと今後の夜行列車設定の可能性や新たなサービスの在り方を図る「お試し車両」的な要素の強いもの。仮にこの試みが上手くいかなかったとしても、とっくに減価償却の終わった老朽車両ですから廃車してしまえばいいので、営業上のリスクも新車を投入するよりは低いですし、無理に毎日動かす必要もないから実験的な試みを行うことも可能、というわけです。

 

鉄道ファンの間では度々「夜行列車復活論」が起こりますが、実際のところ、寝台特急復活の可能性はどのくらいあるのでしょうか?また、仮に復活するとすれば採算がとれる列車はあるのでしょうか?素人考えながら考察してみました。

 

・日本では絶滅寸前の「寝台特急」

f:id:meihokuriku-alps:20200108151859j:plain

寝台特急復活の可能性を考える前に、日本での寝台特急衰退の歴史と、衰退した理由を考える必要があります。

鉄道がほぼ唯一の長距離移動手段であり、航空機が高嶺の花だった1950~60年代は夜行列車は特急・急行はもちろん普通列車でも多数設定されていました。当時は国の政策で国鉄の運賃が物価よりも低く抑えられていたこともあり、寝ながら長距離を移動できる夜行列車はある意味最速の移動手段と言えました。特に寝台特急は当時としては高品質な設備・内装で「走るホテル」とも言われ、人気の移動手段でした。昼夜両方走れる583系電車が出現したのも、当時の夜行列車需要が旺盛だったことの証明となるのではないでしょうか?

 

しかし、70年代半ば以降は国鉄の急激な運賃値上げや、航空機の台頭や新幹線の延伸開業による高速化で夜行列車は衰退の一途を辿ります。寝台車両の新製も1970年代半ばの24系客車で途絶え、1980年代には大量に余剰となった583系電車が近郊型化改造され、同じ時期に夜行普通列車がほぼ全滅するなど、夜行列車や寝台特急は一気にその数を減らしました。

 

f:id:meihokuriku-alps:20200108141955j:plain

JR化後も寝台特急には大きな投資もされる事がなく、衰退の一途をたどっていきます。例外として青函トンネル開通を機に設定された北海道行き寝台特急「北斗星」「トワイライトエクスプレス」が豪華さを売りにして人気を集めましたが、そのほかの列車は一部の列車で個室車両や座席車が設置されたほかはほぼ国鉄時代のまま。特に東京~九州間の寝台特急は航空機に対して完全に競争力を失ったからかほとんどテコ入れもなく、食堂車や売店といったサービスも徐々に削られて惰性で走らせているという状態が長年続きます。そして21世紀に入ると利用率低迷と使用車両の老朽化を理由に次々と廃止され、2009年3月の「富士」「はやぶさ」廃止で九州方面への寝台特急は消滅しました。

その後も寝台特急の削減は続き、2010年3月に「北陸」が、2012年3月に「日本海」が廃止され、2014年3月には従来型の客車寝台特急最後の生き残りだった上野~青森間の「あけぼの」も廃止。そして2015年3月、人気のあった「北斗星」「トワイライトエクスプレス」も車両の老朽化と北海道新幹線開業に伴う青函トンネルの電圧変更を理由に廃止され、翌2016年3月には同じ理由で青森~札幌間の夜行急行「はまなす」も廃止。これでJRグループから定期の客車寝台列車は消滅し、残るは前述の「サンライズ出雲・瀬戸」のみとなりました。

 

・寝台特急が衰退した理由

f:id:meihokuriku-alps:20200108152521j:plain

こうして、日本では絶滅寸前となった寝台特急ですが、夜行での移動需要自体がなくなったわけではありません。現在でも日本中に夜行高速バスが設定されており、夜行移動の主力は鉄道より安価で少人数でも採算が取れ、きめ細やかなルート設定が可能な高速バスにシフトしています。JR化後しばらくは寝台特急も個室を設定したり、高速バスとの対抗上座席車を設定したりと一応のテコ入れはしましたが、結局は根本的な解決にはならず衰退に歯止めをかけることはできませんでした。

 

なぜ、寝台特急は衰退してしまったのでしょうか?先に挙げた航空機の発達や夜行高速バスの台頭、新幹線による鉄道自身の高速化や、格安ビジネスホテルの充実など、外的要因はいくらでも挙げられます。しかし、ヨーロッパでは高速バスやLCCに押されてはいるものの寝台列車はいまだに多く運行されていますから、やり方次第ではテコ入れの余地はあったのではないかと思います。寝台特急が衰退した日本独自の理由としては以下のことが挙げられます。

 

①設備・サービスの陳腐化による商品力低下

 前述のとおり、JR化以後は北海道方面の列車とサンライズエクスプレスを除いた寝台特急は大きな投資はされずに運行され続けました。JR発足後は新幹線や大都市圏の通勤路線、駅ビルなど大規模投資が必要な案件がいくらでもあり、長期低落傾向にある寝台特急には思い切った投資ができないという事情はあったと思います。

 

しかし、結果的には消極的な現状維持がさらなる寝台特急の客離れを招いたことは否めず、時がたつにつれ設備やサービスの陳腐化が進むと、ビジネスホテル並みの寝台料金は割高感が目立つようになります。それでも90年代は「日本海」や「あけぼの」など北行きの列車を中心に利用率の高い列車がまだ残っていましたし、「サンライズ」や「カシオペア」の新車投入など寝台特急テコ入れの動きがあった頃でした。もしこの時に利用率の高い列車に「サンライズ」と同様の車両を投入してテコ入れしていれば、比較的利用率の高かった「あけぼの」「日本海」は残せたのではないかと思ってしまいます。

 

②個室化・電車化の遅れ

「サンライズ」が今でも人気を保ってる理由の一つに「個室の充実」が挙げられます。普通車指定席扱いの「ノビノビ座席」を除けば全て個室であり、プライベートが保たれる個室主体の客室サービスであったことが「サンライズ」を生き永らえさせているのではないかと思います。実際、かつてはいわゆる雑魚寝が一般的だった長距離フェリーも新造船は個室や半個室の割合が多くなっていますし、高速バスでも半個室化や、独立式のシートやカーテンによる仕切りなどでプライベート空間をできるだけ確保する車両が人気を集めています。ヨーロッパの寝台列車もすでに個室が主流です。

これに対して比較的利用率がよかった「あけぼの」「日本海」は国鉄時代のままの開放式寝台が主体でした。「あけぼの」は10両中7両が開放式寝台か普通車扱いの「ゴロンとシート」、日本海に至ってはほとんどの車両が開放式寝台で末期の車両は全車開放式という個室化の流れに逆行する列車でした。

 

先ほどの項目でも触れましたが、もしこの時に285系電車を投入してテコ入れをして、個室主体の列車に衣替えしていれば・・・と思ったのですが、よく考えたらこれらの列車は直流区間と交流区間が混在しており、直流電車の285系はそのまま入れられませんでしたね。それに、当時の「日本海」や「あけぼの」は修学旅行などの団体利用も多かったため、個室化には踏み切りにくかった事情も考慮する必要があります。

 

f:id:meihokuriku-alps:20200109192814j:plain

また、寝台列車の多くが従来型の機関車けん引の客車列車なのも衰退の原因です。旅客と貨物の経営が同一だった国鉄時代なら機関車や人員の融通は比較的容易でしたが、国鉄分割民営化で旅客会社と貨物会社が別になった事で、旅客会社はほぼ1日数本しかない寝台特急の為だけに余計に機関車を用意し、乗務員も機関車用に別に配置する必要が出てきます。大多数が電車もしくは気動車という車両構成の旅客会社には負担が大きいことは明白であり、それなら廃車のタイミングが来た時点で辞めてしまえ、と考えるのは自然な事でしょう。「サンライズ」も運行面ではJR4社を跨ぐ為複雑化していますが、それでも今も運転されているのは、人員の融通がしやすく整備管理もしやすい「電車」だった事が幸いしているのではないでしょうか?

 

③分割民営化による運行複雑化とJRグループ間の温度差

国鉄時代と違って複数のJR旅客会社をまたいで運行される寝台特急はJR各社間の調整が難しいという問題がありました。車両を新製するにしてもどのJR会社が作り、保有するのか。車両の新製費用や車両使用料はどうするか、そもそも寝台特急用の車両を新製する必要があるほど採算性はあるのか、と言った問題があり、その調整を考えると積極的に寝台列車の問題を取り上げることをできなかったのではないかと思います。

また、JR各社間でも寝台特急の存続には温度差があったように思います。「サンライズ」によるテコ入れに積極的だったのはJR西日本で、個室中心の新型車両で付加価値をつけ、高単価のビジネス客を取り込むのが狙いでした。「サンライズ」用の車両はJR東海との共同開発という形をとりましたが、JR東海の場合は収益増の他に「自社管内で運用する客車列車の削減」も大きな目的でしたので、夜行列車自体はともかく、客車けん引の車両には否定的なスタンスでした。

 

一方、JR九州は寝台特急の存続には消極的だったように思います。管内の特急列車を博多駅を中心とした体系に作り替え、新幹線からの乗り換え客や九州内の都市間移動をターゲットにしていたJR九州にとっては、ほかのJRとの調整に手間がかかり、車両運用的にも効率の悪い寝台特急は手間のかかる割に収益には貢献しない「お荷物」だったのではないかと思います。また、収入面でも自社管内の走行割合が少なく、それでいて車両使用料相殺の為に寝台車両を保有・管理しなければならないとなると、積極的に残そうとしなかったのも無理はなかったのではないでしょうか?

 

・寝台特急復活の為の条件

以上の事から寝台特急の復活は容易ではなく、仮に復活させるとなると、以下の条件が必須になると思います。

 

①車両は電車タイプ

②個室主体

③走行時間9時間〜12時間程度

④極力新幹線が通らない地域を目的地にする

⑤直通する会社は多くても3〜4社まで

 

この条件、見る人が見れば分かると思いますが、ほぼ「サンライズ出雲・瀬戸」と同じなんです。唯一生き残っている寝台特急だからと言うのもあるのですが、フェリーやバスも含めた夜行需要で生き残っているのが「新幹線や飛行機の最終よりも遅く出発し、始発よりも早く到着する」と言うものが多いからです。

それより長いと夜行を選ぶメリットは薄れますし、逆に5〜6時間程度だと深夜発、早朝着になって車内で休めず「それなら前泊するか朝一で出た方がマシ」となりますので、寝台列車に勝ち目があるとすれば十分な睡眠時間が取れ、かつ新幹線や飛行機に対して優位性を保てる9〜12時間程度の区間となるわけです。

 

・寝台特急の需要があるとすればこのルート

では、具体的に寝台特急を走らせるとして採算が取れる可能性があるのはどのルートでしょうか?

 

①東京〜酒田経由青森

f:id:meihokuriku-alps:20200509104215j:plain

このルートは最後の方まで残っていた「あけぼの」と同じルートであり、比較的乗車率が高かった事や山形県庄内地方や秋田県北部といった航空路線も余りなく新幹線もない地域を通る為、テコ入れの余地は十分見込めると思われます。また、JR東日本区間のみを走るので他社との調整が不要な事、東能代で「リゾートしらかみ」に接続するなど観光面でも需要が見込める為、個室主体で復活すれば結構いい線行くのではないでしょうか?

 

②東京〜京都又は新大阪経由城崎温泉

①のルートに比べると需要がなさそうに見えますが、このルートを通る京都府丹波・丹後地区や兵庫県但馬地方は新幹線の駅からも遠く、地域内に唯一ある但馬空港も東京直行便がないなど、実は対東京で見れば不便な地域。それでいて小規模ながら都市は点在していますし、沿線には天橋立や城崎温泉などの観光地が点在しています。電化区間の関係上、乗り入れ可能なのは城崎温泉までですが、テコ入れ次第では需要開拓の余地はあるのではないでしょうか?

 

③東京〜新大阪〜白浜

南紀方面も対東京で見れば直通の交通手段が少なく、観光資源が豊富な地域ですので、テコ入れ次第では需要開拓の余地があると思いますし、関西国際空港に近い日根野に停めれば空港アクセス需要も見込めます。

「え?羽田や成田があるしわざわざ便数のない関空に行くか?」と思われるかも知れません。確かに一昔前ならわざわざ夜行で関空まで行って飛行機には乗らないと思いますが、今はLCCが席巻し、インバウンド需要が伸びまくっていますので、成田IN→関空OUT(あるいはその逆)の外国人観光客やピーチなどのLCC利用者が利用する余地はあると思います。寝台特急走らせたらピーチさんコラボしたりしないですかね?

 

④広島〜成田空港

f:id:meihokuriku-alps:20200508221343j:image

空港アクセス需要絡みでもう一ルート思いつきました。東京〜広島間は以前「サンライズゆめ」と言う臨時列車が多客期に運行されていましたが、2008年を最後に運行されなくなりました。新幹線とルートがもろ被りで競合交通機関に敗れてしまったのだと思いますが、これを「夜行空港アクセス特急」の性格も持たせて再生させるのはどうでしょうか?

羽田空港の再国際化で地方からの国際線乗り継ぎはかなり改善されましたが、成田や関空発着が主体のLCCとなると話は別。地方からLCCを使うとなると成田や関空への便数は少なく羽田空港や東京駅からの乗り換えが必要になりますし、時間帯によっては空港周辺での前後泊が必要になるので結構不便です。そうでなくとも成田からしか出てない国際線はまだまだ多いですし、地方から成田空港へのツアーバスが少なからず設定されている事からも成田空港へのアクセス需要は十分見込めると思います。

 

そこで地方から寝ている間に移動でき、朝になったら空港に着いている夜行列車が有れば楽だと思いませんか?大荷物を抱えて乗り換えをする必要もなく、定時性も高いので飛行機に乗り遅れるリスクも少ない。夜に出発するから仕事を終えた後に出発でき、時間も有効に使えますし個室でゆっくり寝られますから体力的にもバッチリ。

成田空港に7時台に到着するダイヤを組めば欧米や東南アジア方面へのフライトに接続できますし、逆算すれば東京へは6時過ぎに到着しますので広島〜首都圏への都市間需要もギリギリカバーできます。更に品川にも停車させれば羽田空港からの国際線乗り継ぎも可能になるので、結構いけるのではないでしょうか?

ただ、飛行機の乗り継ぎと言う性格上、通常の列車以上に定時性が求められます。ネックがあるとすれば首都圏での遅延リスクでしょうね。

 

⑤大阪〜青森

f:id:meihokuriku-alps:20200509104542j:plain

この区間も比較的最後の方まで残り、比較的利用率が高かった「日本海」と同じルートですが、他の区間と違うのは「途中に第三セクター区間が含まれる」事。既に金沢〜直江津間は各県ごとに3セク三社に分離されている上に、2023年の北陸新幹線敦賀延伸では更に福井県を管轄とする会社にも分離されます。この区間に寝台特急を走らせるとなるとJR東日本と西日本に加えこれらの三セク4社とも調整が必要になる為、需要面ではともかく、調整面で実現の可能性は薄そうですね・・・

 

・寝台特急復活の可能性は「持続可能なビジネスとして成り立つかどうか」

と言うわけで寝台特急復活の可能性がありそうなルートを挙げてみましたが、需要面から考えて首都圏か関西圏を発着しないと集客は見込めないので、自ずとルートは限られてしまいます。「寝台特急が競争力を保てるルート」は残念ながらそう多くはありません。

また、ビジネスとして成立させる必要があるので「綿密な需要予測」「魅力的なサービス」「旅客ニーズに合致したダイヤ設定」「寝台特急を認知し、利用してもらう為のマーケティング」が必要なのは言うまでもありませんし、設備面でも「サンライズと同等かそれ以上」のサービスが求められるでしょう。寝台特急の復活はかつてのサービスの焼き直しではなく「ゼロベースで新しい価値観を生み出す」位の勢いでやらないと上手くいかないと思います。

 

それでも「サンライズ」が走っている今ならまだ夜行列車運行のノウハウは残っていますし、「サンライズ」の事例をベンチマークにして新たなコンセプトの寝台特急を生み出せる余地は残っていると思います。夜行需要を一手に担ってきた高速バスが慢性的な運転手不足に苦しむ中、新たな夜行需要の受け皿として「新たなコンセプトの寝台特急」を開発するチャンスは今を置いて他にないのではないでしょうか?折しも新型コロナウイルスで県境をまたいだ移動が制限されている今、パーソナルスペースの確保が可能な個室型寝台特急は検討に値すると思います。実現までには様々なハードルが予想されますが、だからこそ効率化一辺倒ではない、新しい時代の「寝台特急」を生み出すきっかけになって欲しいですね。

 

 

にほんブログ村 鉄道ブログへ
にほんブログ村

にほんブログ村 鉄道ブログ 鉄道ライフへ
にほんブログ村

日本エアシステム(JAS)が生き残る可能性はあったのか?

世間ではどうしてもコロナ関連のニュースが多く、ブログ界隈でもコロナ関連に話題が引っ張られがちですが、当ブログはあえてコロナ関連の話題は極力控えようと思います。不透明要素が多いコロナ関連の話題は憶測で書いてはいけないと思いますし、何より航空関係だと暗い話題になりがちで書いてて気が滅入ってきますからね。

 

f:id:meihokuriku-alps:20191007144145j:plain

というわけで今回は先日完結編をアップした「東急の空への夢」関係の記事を書いていきたいと思います。今回は日本航空(JAL)との統合で幕を閉じた日本エアシステム(JAS)が単独で生き残る可能性があったかを考察してみたいと思います。

 

 


名航空会社列伝 東急の空への夢 最終回「今を生きる東急の空への夢」

 

動画内でも紹介した通り、史実のJASは2001年にJALとの経営統合を決断し、その後段階的な統合フェーズを経て2004年3月31日にその名前が消滅。2006年10月1日には日本航空インターナショナル(現日本航空)に吸収されてその歴史に幕を閉じました。

動画内ではJASが統合を決断した背景として国際線事業の失敗や新機材投入による投資の負担増などで有利子負債が増大したことと、五島昇氏の死後、東急グループ内でのJASの必要性が低下し、東急グループの経営不振でJAS放出に動いた、としています。背景やJASの資金力を考えると東急の支援なしに生き残るという可能性は薄かったように思いますが、実際のところ、本当にJASが生き残る可能性はなかったのでしょうか?いくつかのケースを考えてみました。

 

ケース① このままJASが東急グループに残留

先に結論から言うと「残留の可能性はほぼなかった」と思います。2000年当時の東急グループは自社鉄道路線の沿線開発への回帰を進めており、東急の鉄道路線との相乗効果が薄い事業や全国各地の東急系列のバス・タクシー会社の整理に手を付け始めていました。また、グループ全体で兆単位の有利子負債を抱えている東急からすればほかの事業との相乗効果が薄いうえに4000億円の有利子負債を抱え、買い手さえつけば株式売却益が見込めるJASは「できれば早々に処分したい会社」だったのではないでしょうか。日本航空という「JASを欲しがっている会社」がいるのであれば猶更だと思います。仮にアメリカ同時多発テロがなかったとしても、早晩JASは東急グループから出される運命だったのではないのでしょうか?

 

ケース② 外資系航空会社の支援を受ける

f:id:meihokuriku-alps:20200427191926j:plain

上位2社に大きな差をつけられているとは言え、JASは日本第3位の航空会社であり日本各地に路線網を張り巡らせているので、外資系の航空会社から見れば魅力的な投資案件です。もし外資に助けを求めれば、JASと提携関係にあったノースウエストや、日本市場強化を狙っていたと思われるアメリカン航空やデルタ航空、大韓航空などを手を挙げる会社はあったと思います。

しかし、これも可能性としては「あり得なかった」と思います。2001年当時はまだ外資系企業に対するアレルギーは強く(今も強いですが)、いわゆる「ハゲタカファンド」による日本企業の買収が問題視された時期。特に電機や自動車といった日本の基幹産業や、インフラ関係の企業に関する外資買収アレルギーは相当なものだったと記憶しています。

航空法の規定で外資系企業や外国人投資家などが日本の航空会社の株式の3分の1以上を持つことは不可能ですが、それでも過去日本の航空会社が海外の航空会社の出資を受けたことは基本的にないことを考えると(最初から外資との合弁を前提にしていた一部LCCは除く)仮にJASが外資系航空会社との資本提携を相当な反発があったのではないかと思います。外資参入に比較的寛容に思えるアメリカでさえ、KLMのノースウエスト航空出資やブリティッシュエアウェイズのUSエア出資には強硬に反発したことを考えると「他国の航空会社に自国の交通インフラを牛耳られる」ということは官民問わず大きな反発が予想されるため、かなり厳しかったのではないでしょうか。「外資に乗っ取られるくらいなら日本のライバル会社と統合したほうがマシ」と考えても無理はないと思いますし、国交省も認可しなかったのではないでしょうか。

 

ケース③ 資金力のある他業種が買収

東急の支援も望み薄、外資の支援もダメとなると、残る可能性は「他業種からの参入」となります。今ならweb上での旅行事業を持つ楽天や、マイレージ会員の購買力やビッグデータが欲しい大手流通グループや通信系企業、単純に参入障壁の高い航空事業への参入に興味を持った資金力のある会社など興味を示す会社はあるかも知れませんが、これも2001年当時では「望み薄」ではなかったでしょうか?

2001年当時の日本の景気状況は1997年~98年の金融危機からようやく立ち直り、ひと息付いた頃。その一方で90年代後半に起こったIT企業の株式高騰・いわゆる「ITバブル」の崩壊でIT関連銘柄が軒並み下落し、景気後退局面に入っていました。今では日本を代表するIT企業のソフトバンクは当時はまだまだ小さく、楽天も2001年当時はベンチャー企業の域を出ていませんので、これらの会社はJAS買収どころではなかったと思います。

JAS自身も自動車メーカーや他の交通系企業などに出資を打診したようですが、色よい返事はもらえませんでした。航空業に「夢」や「ロマン」を感じた1960年代ならまだしも、2001年頃というと航空事業は「お金がかかる割に儲からない」という認識が広まっており、積極的に参入する大企業はほとんどいませんでした。実際、1998年からの航空自由化の際に新規参入した会社のうち、大手企業はスカイマークに出資したHISくらいで大半はベンチャー企業の域を出ませんでした。そう考えるとJASに出資して積極的に航空事業に参入しようと考えた大企業が現れたとは考えにくいです。

 

まとめ

以上のことから、残念ながら2001年当時で考えるとJASが単独で生き残れた可能性は低かったのではないかと思います。個人的にはJASはいろいろとユニークな試みをやっていて好きな会社でしたし、今JASがいたらどんなことをやっていたのかと考える時もありますが、当時のJASを取り巻く状況や財務体質、買収候補がいなかったことを考えると、単独での生き残りはやはり難しく、JALとの統合が当時はベターな選択肢ではなかったかと思います。考えてみれば当時のJASの規模は「単独で生き残るには小さすぎ、買収するには(特に負債が)大きすぎた」のではないかと思います。そう考えるとなおのこと、90年代の長距離国際線進出はやはり背伸びをしすぎたのかもしれません。

 

 

 

にほんブログ村 その他趣味ブログ 航空・飛行機へ
にほんブログ村

航空業界を支えるために「飛行機に乗る」以外に私達ができる事

しばらくブログの更新が滞って申し訳ありません。動画制作に時間を割いていたのもありますが、皆様ご承知の通り、新型コロナウイルスによる世界的な航空需要の激減と移動制限、自粛要請などで航空業界が過去経験した事のない危機に見舞われており、暗いニュースばかりでブログを書く気になれなかったのが正直なところです。

 

今月21日から営業開始する予定だったJALの新LCC「ZIPAIR」も就航が無期限延期となり、3月27日からの羽田空港の国際線増加もほとんどが運休。JALもANAも国際線の殆どが運休となり、国内線もほぼすべての航空会社が減便に踏み切るなど、航空業界はかつてない減便の嵐に見舞われています。海外でもシンガポール航空やキャセイパシフィック航空など国際線しか持たない航空会社はほぼ全便が運休、欧州最大手のルフトハンザも機材削減に動くなど、世界中の航空会社が会社存続の危機に見舞われていると言っても過言ではないでしょう。

f:id:meihokuriku-alps:20200412163253j:plain

www.aviationwire.jp

 

IATA(国際航空運送業界)も渡航制限が3か月続けば航空会社や旅行会社などで2500万人が失業する恐れがあり、旅客収入も前年比44%減の2520億ドル(27兆円)となるとの試算を発表し、各国政府に対し航空業界への更なる財務支援や債務保証を求めています。最早航空会社の自助努力だけで持ちこたえるのは不可能であり、各国政府の支援で世界の交通インフラを守る事が求められています。

www.aviationwire.jp

 

そして4月21日、オーストラリア第二位の大手航空会社・ヴァージンオーストラリアが日本の民事再生法に当たる「任意整理」に入ると発表し、事実上破たんしました。運航は継続されますが以前から経営状態は良くなく、負債総額は日本円で約3600億円に達しています。通常時なら大株主のエティハド航空やシンガポール航空辺りが支援に乗り出すところでしょうが、今回は自身もコロナウイルスでほぼ全便運休に陥って支援どころではないので、先行きはかなり暗いです。この他南アフリカ航空が清算を決めて運航を停止したり、ノルウェーのLCC・ノルウェーエアシャトルの子会社が破産を決めるなど、体力のない会社を中心に経営破たんが出始めています。残念ながら、新型コロナウイルスの感染拡大が終息しない限り、航空会社の経営破たんは今後もしばらくは出てくるでしょう。

www.aviationwire.jp

 

f:id:meihokuriku-alps:20200129193331j:plain

この未曽有の危機に対し、私達利用者サイドが航空会社を支援する方法はないでしょうか?需要低迷の理由が景気悪化など命に関わらないものなら「飛行機に乗って支える」と言う答えになりますが、今回の新型コロナウイルスの場合は飛行機に乗るのはおろか、空港に行くことや移動すること自体が感染リスクに晒されますし、万が一自分が感染し、大切な家族や友人に感染させるようなことは絶対にするわけには行けません。航空会社を支えたくても、一番効果的な「乗って支える」と言う事が出来ない以上、「飛行機に乗る」以外の方法で航空会社の収益に貢献するしかありません。

そこで今回は「飛行機に乗る」以外に航空会社の収益に貢献できる方法を考えて見ました。あくまでも一個人の見解ですのでこれが正しいとは言いませんし、良かれと思ってしたことがかえって航空会社に迷惑をかけることになるかも知れません。もし下記に挙げた方法が間違っていたら該当項目は削除しますのでご連絡ください。

 

 

 

航空会社系のクレジットカードで決済する

「飛行機に乗る」以外の方法で一番効果的なのはこれではないでしょうか。現在はANAもJALも自社でカード事業は行っておらず、三井住友カードや三菱UFJニコスなどの大手カード会社との提携という形でクレジットカードを発行しています。元々は顧客の囲い込みや航空機の利用促進、顧客のヘビーユーザー化による客単価向上が目的ですが、この状況下では顧客の繋ぎ止めの手段としても有効です。

 

ANAのマイレージ戦略

https://www.ana.co.jp/ir/kabu_info/ana_vision/pdf/62tq/07.pdf#search=%27ANA%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%83%89+%E5%8F%8E%E7%9B%8A%27

 

その一方で航空会社系のクレジットカードを使う事で、航空会社にも「収入」が発生する事も見逃せません。クレジットカードの収益は会員から支払われる年会費と分割・リボ払いの手数料、加盟店からの利用手数料ですが、航空会社にもカードの利用金額に応じて一定の手数料が支払われます。実際にカード会社から支払われる手数料収入がいくらになるのかは不明ですが、ANAの決算を見る限りだとカード手数料は一定の増収効果はあるようですので、決して馬鹿にはできない金額ではないかと思います。

 

 

ANAの2018年度決算

https://www.ana.co.jp/group/investors/data/kessan/pdf/2019_04_1.pdf#search=%27ANA%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%83%89+%E5%8F%8E%E7%9B%8A%27

 

つまり、航空会社系のクレジットカードを使えば使うほど間接的に航空会社にも収入が入りますので、既に航空会社系のクレジットカードを持っている方は極力支払いをクレジットカードに切り替えれば多少なりとも航空会社の収益に貢献できる、という訳です。

ANA・JALの他にもエアドゥやソラシドエア、スターフライヤーが、LCCではピーチとジェットスターが提携クレジットカードを発行しています。海外航空会社でもユナイテッドやデルタなど日本路線が多い航空会社も日本で使える提携クレジットカードを発行していますので、もしクレジットカードは持ってないけどオンライン決済用に作ろうかと考えている方がいれば、この機会に贔屓の航空会社の提携クレジットカードを作ってみてはいかがでしょうか?

 

但し、クレジットカードの使い過ぎで支払いが増え、自分のクビを締めては本末転倒なので、ご利用は計画的に、使い過ぎにはご注意を!

 

航空会社のオンラインショップで買い物をする

次に考えられるのは航空会社のオンラインショップで買い物をする事。利用者にとってはマイルが貯まるというメリットがあり、航空会社側も直接的な売り上げにつながります。調べて見るとANAやJALはもちろん、海外の航空会社もオンラインショップを持っている会社は結構ありますので、お気に入りの海外航空会社を支援したいという方はクレジットカードを作るよりもこちらの方がいいかも知れません。

但し、海外航空会社の場合は英語や現地の言葉だけというサイトも多いので、言葉の壁が高いですが・・・

 

voyageavance.global

soratabi365.com

 

ANAやJALだと会社のオリジナルグッズや、「コンソメスープ」「うどんですかい」などのオリジナルメニューが取り揃えられている他、ワインや肉などの食品、時計やバッグと言ったブランド品に化粧品など一通りそろえられています。お値段は全般的に高めですが、マイルが付くという特典もありますし、その会社のクレジットカードで決済すれば割引や追加マイルなどの特典もあります。国内外に路線網を張り巡らせているだけあって日本各地の特産品や海外ブランドの商品やワインなど、品ぞろえは〇ma〇onや〇天とは一味違います。「巣ごもり消費」には格好のお供かも?

 

航空会社のオリジナルグッズを購入する

f:id:meihokuriku-alps:20190706084040j:plain

とは言え、全ての航空会社が提携クレジットカードや自社オンラインショップを持っているわけではなく、例えばスカイマークはその両方を持っていませんので上記の方法でお金を落とすことは不可能です。そんな時は航空会社のオリジナルグッズを購入してみてはいかがでしょうか?

「スカイマークは自社オンラインショップを持っていない」と言いましたが、実は楽天市場内に公式のグッズショップは出店しています。ショップ内では定番のモデルプレーンやキーホルダーの他、ボールペンなどの文房具、マグカップやエコバックなどの雑貨を販売しており、コレクター欲をくすぐる一品ばかりです。

www.rakuten.co.jp

 

また、天草エアラインも通販サイトを通じて自社オリジナルグッズの販売を行っています。これらの自社グッズを買う事で航空会社には収入が入りますし、航空会社許諾済みの商品を買えば航空会社にはライセンス料も入ります。航空ファンにとっては贔屓の航空会社のグッズを買う事も立派な「航空会社への収益貢献」になるわけです。

www.wub.co.jp

 

航空会社のマイレージモール経由で販売サイトに入って購入

航空会社のマイレージ会員は実はかなりの「優良顧客」であり、他企業にとっては「お金を払ってでも来て欲しいお客様」だったりします。と言うのもマイレージ会員は非会員に比べて購買意欲が強く、マイル獲得の為により多くのお金を使う事がデータ上からも実証されており、ネットショッピングの販売サイトにとってマイレージ会員はマイルと言う「見返り」を与えてでも自社サイトに引き込みたい存在なのです。

trafficnews.jp

 

航空会社にしてみれば自社のマイルを付与せずとも提携相手が勝手にマイルを払ってくれるので何もしなくても顧客の囲い込みができますし、提携相手からの手数料収入も見込めます。そう考えるとマイレージ会員は航空会社にとっては色んなルートから収入をもたらしてくれる大きな「財産」であり、特に客単価が大きい「上級会員」は優遇措置を出してでも囲い込みたい大事な存在だという事が改めて分かりますね。JALの経営破たん時にマイルは保護されたのも、優良顧客は航空会社にとって大きな「財産」であり、流出すれば計り知れない損失を与える為だとお分かり頂けるのではないでしょうか?

 

そう言う訳でネットショッピングを楽しむときは航空会社に実績と収入を与えるために、多少面倒でもログインした上で航空会社のサイトを経由して入って下さい。

 

航空会社の株や社債を買う

まあ、これは投資になってしまいますし金額も大きい、しかも株式市場が乱降下して先行き不透明な今はあまりお勧めはできません。しかし、ある意味最も航空会社を支援できる方法ではありますので、リスクを理解した上でお金に余裕があり、損失の可能性を覚悟できる方なら検討してみてはいかがでしょうか?

 

まとめ

いかがでしょうか?航空会社にとっては「飛行機に乗ってもらう」のが一番なのですが、それができない今は支援方法は限られてしまいます。それでも方法が無いわけではありませんし、収益としては微々たるものでも最大の収入源を失いつつある航空会社にとっては支えになるかも知れません。

 

先行きの見えない状況ではありますし、私達自身もこの先どうなるかは分かりません。既に苦しい立場になって航空会社を支えるどころではなくなっている人もいるかも知れません。ですが他の業界以上に苦しいのが航空業界であり、特に大手の会社や生活に不可欠な離島路線を運行する会社が倒れたら取り返しのつかない損失になりますし、再構築も容易ではありません。自分のできる範囲で構いませんので、少しでも航空会社の利益になるようにして貰えれば嬉しいです。

そして航空会社の側からも「こうしてくれたら会社の利益に繋がる」と言う情報を発信してくれたらと思います。航空ファンを始め、こう言う時だからこそ力になりたいと言う人は少なからずいると思います。先の見えない時だからこそ、お互い支え合ってこの難局を乗り越えていきましょう!

 

 

 

にほんブログ村 旅行ブログ 飛行機旅行・空の旅へ
にほんブログ村