〜Aviation sometimes Railway 〜 航空・時々鉄道

航空や鉄道を中心とした乗り物系の話題や、「迷航空会社列伝」「東海道交通戦争」などの動画の補足説明などを中心に書いていきます。

上越新幹線のグランクラスが「シートのみ」は勿体ない。フルサービス実施の可能性は?

2月27日、JR東日本は上越新幹線で運行を開始するE7系の「グランクラス」を対象に、期間限定の旅行商品「ふらっとグランクラス」を発売すると発表しました。利用期間は4月1日から6月30日までの間で、料金は「グリーン車+1000円」で販売。しかもNewDaysやkioskで使用できる1000円分の商品券付きですから、実質的にグリーン車料金でグランクラスに乗れるかなりおトクな商品です。

 

trafficnews.jp

 

グランクラスと言うと飛行機のファーストクラス並みのシートに専属アテンダントがつき、軽食サービスやアルコールも含めた飲み物飲み放題など、新幹線最高水準のサービスを誇りますから、これだけ聞くと物凄い大盤振る舞いです。

しかし、上越新幹線のグランクラスには「シートのみのサービス」と言う落とし穴があります。一口にグランクラスと言っても、専属アテンダントが乗務し、軽食や飲み物のサービスも行ってスリッパやブランケットもある「フルサービス」の列車と、基本的には座席のみでアテンダントも乗らず、飲食物やスリッパのサービスもない「シートのみサービス」の列車の2種類があります。今回の上越新幹線に投入されるE7系は1日2往復ですが、全て「シートのみサービス」です。

 

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東北も北陸も「フルサービス」の列車と「シートのみサービス」の列車の両方がありますが、なぜ上越新幹線だけが「フルサービス」の列車がないのでしょうか。恐らくですが「走行距離」と「所要時間」が関係しているのではないかと思います。

東北新幹線は東京発盛岡以北行きがフルサービス、東京発仙台以南行きと仙台〜新函館北斗などの区間列車がシートのみとなり、北陸新幹線は東京〜金沢間の列車がフルサービス、それ以外がシートのみとなります(「つるぎ」はグランクラスの設定自体なし)この事からグランクラスがフルサービスを行う目安は「東京発着列車」かつ「終点までの走行距離400km以上、所要時間2時間台前半以上」になるのではないかと思います。

東京発着に限定しているのはアテンダントのシフトや軽食積込みの関係でしょう。途中駅始発の列車は1日1〜2往復程度な上にわざわざグランクラスを利用する乗客も限られますから、その僅かな乗客の為にアテンダントを一泊させたり軽食を発注するのはどう考えても効率が悪いですからね。

走行距離と所要時間に関してはアテンダントのサービスや軽食やドリンクの提供などを考えると所要時間が短いと十分なサービスができない事、短距離利用主体の「なすの」「あさま」ではそもそもグランクラスの手厚いサービス自体さほど求められていないのが理由かと思います。以前はフルサービスが実施されていた東京〜仙台間運行の「はやぶさ」「やまびこ」もシートのみサービスに切り替えられたのは需要の問題なのか人員配置の問題なのかは不明ですが、フルサービスを辞めたのは優先順位が高くなかったのだろうと思います。

 

しかし「上越新幹線のグランクラスはシートのみ」というのはちょっとどうなのかな、と言う思いはあります。先程の「終点までの走行距離400km以上、所要時間2時間台前半以上」の条件に当てはめれば確かに上越新幹線は条件を満たしていませんし、似たような距離の東京〜仙台間のみ運転の「やまびこ」「はやぶさ」もグランクラスはシートのみですから、それに合わせたと考えれば納得できないでもありません。

しかし、東北、北陸新幹線の場合は「新函館北斗行きのはやぶさを仙台まで利用」「金沢行きのかがやきを長野まで利用」など、長距離タイプの列車を途中駅まで使うという形で「フルサービスの列車」の乗車が可能なのに対し、上越新幹線の場合は最初から「シートのみ」の選択肢しかありません。所要時間にしても東京~新潟間2時間程度なら軽食やドリンクサービスを提供できないという程でもありませんし、「とき」に関しては東京~長岡・新潟の通し利用も一定数あるはずですから「フルサービス」への需要がないとも思えません。

 

本来グランクラスは飛行機の上級クラスを意識してグリーン車よりも広くて快適な座席と手厚いサービスを提供するコンセプトであり、グリーン車の倍の料金設定もアメニティや飲食サービスがあってこそです。シートのみの場合はフルサービスよりも2000円程度安くなっていますが、それでもグリーン車よりは3000〜4000円程度高い料金であり、シートの差を考慮しても「シートのみサービスのグランクラス」はグリーン車よりも割高感が出てしまいます。

先の大盤振る舞いな旅行商品も、裏を返せば上越新幹線のグランクラスの売れ行きに対するJR東日本の危機感とも言えます。同じグランクラスでも「フルサービスの列車」と「シートのみの列車」では乗車率に開きがあるので、今回の旅行商品は「お試し利用」「需要動向喚起の方法」になるのかなと思います。

 

では実際のところ、上越新幹線でグランクラスの「フルサービス」が実施される可能性はあるのでしょうか?今すぐには難しいかと思いますが、将来的には可能性はあるのではと思います。

フルサービス実施には「新潟側の軽食積込体制」と「アテンダントの増員」が必要になりますが、E7系運用の「とき」は4往復しかなく、今軽食積込を行うには個数が少ないので納入業者の採算が合わないのではと思います。さらに東京〜仙台間のみ運行列車がフルサービスを取りやめた例からも、JR東日本が似た区間のフルサービス運用に二の足を踏んでいるかも知れません。

恐らくですが、上越新幹線のグランクラスでフルサービスが実施されるとしたら「E7系使用列車がある程度揃う来年以降」かつ「JR東日本がフルサービスを実施しても一定の利用が見込めると判断」した時ではないかと思います。そうなるとE7系投入後のグランクラス利用率がカギになるのではないでしょうか。可能なら上越新幹線でもフルサービスが実施されるといいですが、今後の認知度と利用率次第ではないでしょうか。

 

ところで、近年ではE5系、E7系の増備でグランクラス設置車両は増えてきていますが、「シートのみサービス」の割合が多くなっています。次の記事ではそうなった理由と、「シートのみサービス」がグランクラスのブランディング面に及ぼす影響を考えてみたいと思います。

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