〜Aviation sometimes Railway 〜 航空・時々鉄道

航空や鉄道を中心とした乗り物系の話題や、「迷航空会社列伝」「東海道交通戦争」などの動画の補足説明などを中心に書いていきます。

リニアのセキュリティ対策は今後どうなるのか、手荷物検査実施の可能性は

随分間が空いてしまいましたが、東海道交通戦争の新作、リニア建設の不安要素についてまとめました。現在YouTubeでのみ公開中ですが、間もなくニコニコでもアップ予定です。

 


東海道交通戦争 最終章「未来への戦い」⑥リニアの夢への壁

 

今回はリニアの不安要素の中から、手荷物検査実施の是非を含めたセキュリティ問題について掘り下げたいと思います。狙ったわけでも何でもないのですが、動画を投稿した直後に政府が鉄道でのテロ対策強化の為、駅での手荷物検査の実証実験を検討していると報道されました。東京メトロ霞ヶ関駅が候補となっており、早ければ2月にも実施する方向で調整しているそうです。

 

headlines.yahoo.co.jp

 

昨年6月に発生した東海道新幹線車内での殺傷事件や、2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催を受けての措置で、実証実験の結果によっては「鉄道駅での保安検査」が現実のものになりそうです。また、JRグループ旅客6社と大手私鉄16社などの鉄道各社局は2019年4月1日から手回り品のルールを改正、「包丁類やナイフ類、なた、鎌、はさみ、のこぎりなど」の刃物類の持ち込み禁止が明文化されます。

飛行機のように保安検査までやるわけではないですし、「他の客に危害が及ばないよう、厳重に梱包されたもの」は除外されますので完全に防ぐことは難しいですが、禁止と明文化することで刃物持ち込みの抑止力になるのではないでしょうか。また、梱包されていない刃物類を収納してる疑いがある場合は乗客立ち合いのもと係員が中身を点検できるとしており、禁止規定に反して刃物が持ち込まれた際の対抗策も立てられています。東海道新幹線の殺傷事件を機に、鉄道へのセキュリティ対策は急速に進んでいるように見えます。

 

trafficnews.jp


さて、本題のリニアの手荷物検査ですが、海外ではユーロスターやスペインのAVE、中国高速鉄道などで手荷物検査の実施例があります。とは言えユーロスターやAVEは1時間に2~3本程度と本数はそこまで多くなく、また1列車当たりの定員も東海道新幹線よりは少ないので、この例をそのまま新幹線にも当てはめるのは無理があります。また、中国高速鉄道の場合は本数や運行規模は大きいものの、駅の規模が日本とは比べ物にならない程大きく、手荷物検査を実施してもパンクしないだけのスペースがあるのでこれも参考にはならないでしょう。海外で手荷物検査の実施例があるからと言って、それが新幹線やリニアでもそのまま適用できる、とは言えません。

動画内でも触れましたが、東海道新幹線での手荷物検査の実施は「今のやり方のまま」では不可能だと思います。1日45万人の利用者がいる東海道新幹線でそれだけの人数を捌けるだけの検査設備を設けるのは不可能ですし、保安検査要員の人件費も莫大なものになります。第一、新幹線の駅に手荷物検査のスペースなんてありませんから、今すぐの実施は難しいと思います。

一方、リニアに関しては手荷物検査のスペースさえ確保すれば実施は不可能ではないと思います。むしろリニアは新幹線以上の高速走行や南アルプスを貫通する長大トンネルがある事、さらに世界的な注目を集める高速交通機関ゆえにテロの標的になる可能性がある事を考えると、火災や殺傷事件防止の為、何かしらのセキュリティチェックは必要になるのではと思います。

 

toyokeizai.net

 

そういう意味では今回の霞ヶ関駅での手荷物検査の実証実験は今後の新幹線やリニアでの手荷物検査実施の試金石になると思います。霞ヶ関駅は東京メトロ日比谷線、丸ノ内線、千代田線の3線が乗り入れ、1日の利用者数は15万人以上。出入り口は24か所、改札も6か所あるなどある意味東海道新幹線以上に手荷物検査のやりにくい駅です。数分おきにひっきりなしに電車が発着し、常に多くの利用客が行きかう駅で手荷物検査実施となると、大きな混乱が起きるのは想像に難くありません。手荷物検査の内容についても飛行機のように金属類や電子機器を全部出してX線を通したり金属探知ゲートを通ったりするなど本格的なものは時間やスペースの関係で難しいでしょうから、係員の目視検査や手荷物のX線検査程度になるのではないでしょうか。

この実証実験の是非はともかく、実験で得られるデータは将来の鉄道での手荷物検査の実施の可否や方法も含めて、貴重な判断材料になるのではないかと思います。やるからには将来の鉄道の安全につながるよう、有益に役立てて欲しいですね。