〜Aviation sometimes Railway 〜 航空・時々鉄道

航空や鉄道を中心とした乗り物系の話題や、「迷航空会社列伝」「東海道交通戦争」などの動画の補足説明などを中心に書いていきます。

続・相次ぐ航空会社の酒に関する不祥事 ~判決が出たロンドンの過剰飲酒事件に思う事~

先日、「東急の空への夢」第2話をアップしました。まだご覧になってない方は是非見て下さい。第2話から本格的に登場した東急の大番頭・田中勇氏については改めて補足記事を書く予定です。

 


迷航空会社列伝「東急の空への夢」 第2話・東亜国内航空

 

さて、今回は先日も話題にした航空会社の酒に関する不祥事、と言うかロンドンで起こったJAL副操縦士の飲酒事件の続報に触れたいと思います。


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11月29日、乗務直前に過剰飲酒で現地の警察に身柄を拘束されたJALの副操縦士に対する判決がロンドンの裁判所で言い渡され、禁固10か月の実刑判決が下されました。

これを受けてJALでは副操縦士を懲戒解雇、赤坂社長は役員報酬を3か月20%減給、安全統括管理者の専務は3か月10%減給処分となりました。また、同じ便で乗務する予定だった機長2人に対しても詳細は明らかにされませんでしたが、何らかの懲戒処分が下ったようです。

 

JAL、飲酒の副操縦士を懲戒解雇 禁錮10カ月、赤坂社長ら減給

 

これに先立ち、11月16日には国土交通省航空局に社内調査の結果と再発防止策をまとめた報告書を提出しました。防止策としては配備が遅れていた海外空港での新型アルコール検知器の配備(報告書では11月26日から開始、となっていましたが既に配備完了したようです)や、アルコール検査の際の地上スタッフの立ち合い、暫定措置として乗務24時間前以降の飲酒禁止が決められたほか、社内ルールの見直しや全社員に対するアルコールに関する研修などが行われる予定です。


JAL飲酒副操縦士「酒は飲んでいない。マウスウォッシュだ」 国交省に報告書と防止策提出

 

今回の事件に関しては、逮捕された副操縦士に関しては言語道断、自業自得と言うほかないと思います。副操縦士は機長昇格訓練や持病の事などで悩みを抱えていたそうで、それが過度な飲酒に走らせたのではないかとされています。旅客機のパイロットは定時運航や安全運航への重圧、膨大な知識や経験が要求され、ミスが許されないプレッシャーを常に抱えるなど、私達が想像もつかないような大きな責任とプレッシャーを日々感じている仕事であるとは思います。ストレスのはけ口を酒に求めるのも無理はない事なのかなとも思いますし、私も含めてですがお酒をストレスを紛らわす手段にしている人は多いと思います。

しかし、何百人と言う乗客の命を預かる責任や重圧が大きい分、旅客機のパイロットにはハードルの高い免許取得や厳しいルール、技能維持の為の審査や厳しいセルフコントロールが課せられますし、それに見合った報酬も約束されているわけです。理由や背景はどうあれ、明らかに乗務に支障をきたすと思われる程の飲酒量の多さや、アルコール検知器の不正計測やマウスウオッシュで飲酒検知を逃れようとした事は多くの乗客の命を預かるパイロットとしては絶対にやってはいけない事でした。こうなる前に会社に相談していれば、乗務からは外されたかも知れませんが適切なケアを受けることができたかも知れませんし、前科がついて海外の刑務所に収監され、全てを失う事にはならなかったかもしれません。

 

こうした中、11月28日には日本エアコミューター(JAC)でも乗務前の機長のアルコール検査で基準値を超えるアルコールが検出(制限値0.1mg/lに対し0.2mg/l)され、計4便に遅れが出てしまいました。ロンドンの方の判決が出る前に再び起こってしまった不祥事は最悪のタイミングで、当初はJAL本体だけだった件の乗務24時間前の飲酒がグループ会社全体に拡大したほか、11月30日のダッシュ8-400の定期便最終運航のイベントも中止(よりによってその機長の乗務予定の機体は最終便に使用予定のJA851Cだったのはなんたる皮肉・・・)ごく一部の人だけだと信じたいですが、これでは「ロンドンの事件の反省がない」と言われても仕方ないですね・・・改めてJALには再発防止の対策を求めたいです。

 

JAC、機長飲酒で遅延 4便に影響

 

なお、JALのホームページには航空局に提出された報告書が公開されています。社内調査に基づいて事件の時系列が詳しく書かれていたり、報道ではあまり触れられていない部分も書いてあるので時間があれば一読されることをおすすめします。機会があれば、この報告書についての記事も書いてみようかと思います。

www.jal.com