〜Aviation sometimes Railway 〜 航空・時々鉄道

航空や鉄道を中心とした乗り物系の話題や、「迷航空会社列伝」「東海道交通戦争」などの動画の補足説明などを中心に書いていきます。

チャイナエアラインの富山便、強風で着陸をやり直して重大インシデント。

7月8日、この日はウラジオストク―富山間のチャーター便が来るという事で撮影に行ってきました。運行するヤクーツク航空の機材はロシア製の最新リージョナルジェット機、スホーイスーパージェット。日本では成田に週2便運航されるだけのレア機材で、富山にロシアからのチャーター便が運航されること自体3年ぶりの事。これは是非押さえたいと思ったんですよ。

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で、お目当てのヤクーツク航空のスホーイは撮れたのですが、これだけならブログの記事にすることはありません。実はこの日、チャーター便以上にニュースになってしまった重大インシデントが富山空港発着便で起こってしまい、偶然その飛行機を撮っていたのです。

 

この日はチャイナエアラインの定期便も昼前に来るのでそれも抑えようと思い、スホーイが離陸した後、いったん撮影していた神通川河川敷を離れ、早めの昼食を済ませてから河川敷に戻ってきました。

11時55分頃、富山湾方向から飛んできたチャイナエアライン170便が着陸態勢に入りましたが、風の影響からか、いったん大きく迂回して南側から着陸するルートを撮りました。ちょうど札幌行きのANA便が離陸しようとしていたところで、先にANA便を離陸させてからの着陸になりました。

 

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ところで富山空港は日本で唯一河川敷にある空港なのですが、富山湾からの風が強いときは海側から来た飛行機はいったん空港を通り過ぎて山側に向かい、Uターンして南側から着陸します。すぐ後ろには山が迫っている上にカーブを終えたらすぐ滑走路なのでこれを低空で行わなくてはいけないので着陸難易度の高い空港です。どれだけ難しいかはANAさんの下記の記事をご参照ください。

www.ana.co.jp

 

この日のチャイナエアラインも下の写真のように大きくカーブして滑走路に侵入してきました。写真では分かりにくいですが、機体は強風で結構左右に振られています。

 

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いつもならこれで着陸、となるのですが、どうも着陸するには高度が高いような・・・と思ったら急にエンジン出力を上げて急上昇。そのまま上空へと上がっていきました。どうやらゴーアラウンド(着陸やり直し)の様です。

 

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この日は日本中に甚大な被害をもたらした集中豪雨の影響で風が強かったのですが、まさか目の前でゴーアラウンドをするとは思ってもみませんでした。相当条件は良くないようです。

12時15分頃、再び同じルートで着陸を試みます。が、もうすぐ接地と言う所で再び急上昇して2度目のゴーアラウンド。ゴーアラウンドなんてそうそう見るもんじゃないですし、私自身も実際にゴーアラウンドを見たのはこれが2回目です。が、同じ機体で2度も見るのは初めてでした。

 

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そして12時25分、チャイナエアライン170便は3度目の着陸を試みます。

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が、3回目は近くまでは来たものの、空港上空でそのままUターンして北の方へと飛んで行ってしまいました。恐らくアプローチする前に着陸は不可能と判断し、他の空港に向かったのでしょう。その後中部空港に向かった事が判明し、この後別の用事もあったので引き上げることにしました。

 

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後で気になって調べてみたら、13時過ぎに中部空港に無事着陸し、その後給油を行って再度富山空港に離陸。15:30頃、今度は無事に着陸したようで一安心。

 

・・・と思ったら夜のニュースで実は全然無事じゃなかったことが発覚。中部空港に向かう途中、燃料の残りが少なくなり、緊急事態を宣言して緊急着陸していたのです。国土交通省は事故に繋がりかねない事態としてこの緊急着陸を「重大インシデント」に認定し、調査に乗り出しました。

 

www.knb.ne.jp

 

過去の重大インシデントの事例をみても調査結果が出るまでには1年くらいかかっているようなので、今この時点でとやかく言うのは避けたいと思います。ですが素人考えでは2度目のゴーアラウンドの時点で残りの燃料を確認して他の空港に変更すれば重大インシデントにはならなかったのでは?と思ってしまいます。

調査結果が待たれるところではありますが、国交省とチャイナエアラインには原因をしっかり突き止めて再発防止に活かして貰いたいなと思います。空の安全は何物にも代え難いものですから・・・