〜Aviation sometimes Railway 〜 航空・時々鉄道

航空や鉄道を中心とした乗り物系の話題や、「迷航空会社列伝」「東海道交通戦争」などの動画の補足説明などを中心に書いていきます。

ANAのA380デザインと機内仕様公開、これは本気でハワイ路線を獲りに来てる!

ANAが2019年春をめどに成田ーホノルル線に投入を予定しているエアバスA380の機内仕様とデザインが発表されました。

 

trafficnews.jp

ANAのA380、エコノミーにカウチシート ファーストはドア付き、4クラス520席

 

座席数は2階席がファースト8席、ビジネス56席、プレミアムエコノミー73席、1階席がエコノミー383席の合計520席。このうちファーストクラスは日本初のドア付き個室型シートとなり、エコノミーも後部60席はこれまた日本初となる「カウチシート」を導入。カウチシートはエコノミーの横3列のレッグレストを跳ね上げてベッドのように使えるようにしたシートで、エコノミー料金に追加料金を払う事で利用できます。カウチシートはニュージーランド航空などで導入されていますが、まさかここでA380に入れてくるとは思いませんでした。

さらにメインデッキ後方には多目的ルームを設置し、軽食やドリンクを自由に取れるバーカウンターを設けるなど、巨大なA380の客室を生かした設備を多数設けています。

そして外観の塗装もハワイでは神聖な動物であるウミガメをデザインした「FLYNG HONU」という特別塗装に。塗装自体は以前より公表されていましたが、今回の発表では3機とも別の塗装が施されるなど、かなり気合いの入ったもの。私は3機ともあの青いウミガメの塗装になるか、一機だけウミガメで後の二機は通常塗装になるのかと思っていたので、これはいい意味で予想を裏切られました。

この他にも機内照明や壁紙もハワイを意識したものとなり、機内Wi-FiコンテンツもFLYNG HONU専用のものを用意するなど、思った以上に力が入っています。

 

正直、ここまでハワイ路線に力を入れて来るとは思いませんでした。A380購入の経緯を考えるとANAに取っては必ずしも発注の必要のなかった機種ですが、3機と言う少なさを逆手に取り、特別塗装や実験的なシートレイアウト、ハワイ路線に特化したサービスやレイアウトと、「ANAのA380に乗ってみたい」と思わせる仕掛けがいくつもあり、特別感を演出する機材に仕上がりそうです。これは本気でハワイ路線を獲りに来てますね。

 

さて、そこで気になるのがJALとハワイアン航空の動向。JALにとってはハワイ路線は長年に渡る牙城ですし、ハワイアンにとっても自分のホームに正面から喧嘩を売られる訳ですから、両社とも何らかの対抗策は立てて来るはずです。特にこの2社は今年から提携関係にありますので、ひょっとしたら両社共同で何か仕掛ける可能性もあります。

個人的には今後のハワイ路線はANAとJAL・ハワイアン連合を軸にしてサービス合戦が繰り広げられるのではないかと思います。A380と言う飛び道具でANAがシェアを奪うのか、はたまたネットワーク力で勝るJAL・ハワイアン連合が押し返すのか。近年ハワイへの観光客は復調傾向にあり、再び人気が出ていますので、2019年以降、ハワイ路線の競争は激化しそうです。

 

 

ただ、一つ心配なのがこの2大勢力以外のハワイ路線運行会社、特に近年日本路線が縮小傾向にあるデルタ航空の動向。2大勢力のサービス合戦が激化すればするほど、他の航空会社は埋没してしまい、客足が遠のく可能性も考えられます。

触発されてデルタやユナイテッドなどの会社もハワイ路線のサービス強化に動いてくれれば一番いいのですが、近年のデルタの日本路線撤退傾向を考えると「儲からないならうちはいいや」とホノルル線撤退に動かないか少々心配です。考えすぎであればいいんですけどね・・・