〜Aviation sometimes Railway 〜 航空・時々鉄道

航空や鉄道を中心とした乗り物系の話題や、「迷航空会社列伝」「東海道交通戦争」などの動画の補足説明などを中心に書いていきます。

2017年にアップした動画を振り返りました(9月~12月)

前回に引き続き、2017年にアップした動画を振り返ります。

今回は9月から12月にアップした動画です。

 

9月13日 迷航空会社列伝 カナディアン航空(全3回)

(原稿文字数:13,323文字)


迷航空会社列伝「仁義なき空中戦」カナディアン航空 前編・官と民のぶつかり合い

 

9月はかつて存在したカナダ第二位の航空会社・カナディアン航空を全3回で取り上げました。JALを追い抜いてトップに立ったANAを「二番手企業の成功例」とするならば、カナディアン航空は「二番手企業の失敗例」に挙げられるのではないでしょうか。

2位の会社の経営戦略は大まかに分けて2つ。一つ目は1位の会社に徹底的に対抗し、1位の会社の商品では満足できない、あるいは好きになれない人の受け皿となる事(日本生命に対抗する第一生命みたいな)二つ目は1位の会社にないサービスや商品を提供し、差別化を図って1位とは別な顧客層を狙う事(マクドナルドに対するモスバーガー的な)。

かつてのエアカナダとカナディアンは棲み分けを図ることで共存できましたが、航空自由化でお互いのテリトリーへの参入が可能となると、単純に会社の体力勝負となってしまいます。元々地力に勝り、規制時代でもカナディアンよりは競争に晒されて鍛えられていたエアカナダと、そのエアカナダの半分程度の規模しかなく、収益性も低かったカナディアンとでは力の差は明らかだったのに、無理にアメリカ路線を拡大させてエアカナダやアメリカ側の会社に返り討ちに遭ってしまったのが致命傷となってしまったと思います。

今の航空業界はメガキャリアのように規模の大きさで押し通すか、ジェットブルーやヴァージンアトランティックのように個性的なサービスでヘビーユーザーを獲得するか、あるいは中東御三家やシンガポール航空、フィンランド航空のようにハブアンドスポークで乗り継ぎ需要を取り込むのかであり、いずれの条件も満たさない中途半端な会社は顧客の支持を失い、大手の軍門に下るか最悪倒産して消えてしまいます。カナディアン航空はまさに「中途半端な会社」であり、いずれこうなる運命だったのかも知れません。

 

11月10日 迷航空会社列伝 アリタリア航空(全3回)

(原稿文字数:13,033文字)


迷航空会社列伝 「イタリアのフラッグキャリア」アリタリア航空 前編:マルペンサの乱

 

ニコニコ動画の方の「迷列車八周年記念祭」に合わせて全3回で投稿しました。期間内に終わらそうと無理したので疲れた・・・

 

5月の破産のニュースを聞いたときは「え?あそこまた潰れたの⁉」と思ったのですが、この動画を作るためにアリタリアの事を調べていくうちに「よくこんなグダグダ経営で今まで生き残ったな」と考えを改めたくらいのグダグダぶりでした。基本的に経営危機になる度に政府が支援してきたので、赤字体質でも生き残れたのだと思います。

しかしもう今までのようなやり方ではもう生き残れないでしょう。欧州では昨年、航空会社の経営破たんが相次ぎ、エアベルリンと傘下のニキ航空、イギリスのモナーク航空が運航停止となり、消えていきました。元から競争が激しく、淘汰されてる会社も出てきているのに評判の良くないアリタリアがこのサバイバルを生き残れるとは思えません。

経営破たん後、よほど現金が欲しいのか客が乗らないのか、アリタリアでは日本~欧州路線の往復航空券が6~7万円台とかなりの破格で出回っていますし、1月にはマイレージサービスもリニューアル(と言う名の改悪でしょう・・・)する予定ですが、今まで貯めたマイレージは3月末までにアリタリアに4区間以上乗らないとマイル消滅という、今までのヘビーユーザーと過去のマイルを切り捨てる気満々なリニューアルです。口コミを見る限り、特に経営破たん後は否定的なコメントが多いですし、今のところ、好転する要素は全くありません。3月のタイムリミットまでの間にどうなるのか、でも今の状況を見る限り、ダメな方向になりそうです・・・

新しいミッレミリアプログラム

 

12月29日 迷航空会社列伝 ギャラクシーエアラインズ

(原稿文字数:5,964文字)


【アジアの銀河は遠すぎた】迷航空会社列伝・2年で消えたギャラクシーエアラインズ

 

貨物航空会社を取り上げるのは何気にこれが初めてです。佐川急便系列のギャラクシーエアラインズですが、狙ったわけではないですがSGホールディングスの上場のタイミングでの発表になりました。

結局、航空貨物の方は2年足らずで撤退してしまいましたが、ギャラクシーとほぼ同時期に運転を開始した佐川急便専用貨物電車「スーパーレールカーゴ」を始めとした鉄道貨物輸送に関してはうまく行っているようです。やはり宅配便を中心とした国内小口貨物輸送で成長した会社ですから、航空機よりも安いコストで、そこそこ速く大量に運べる鉄道貨物の方が佐川のビジネスモデルには合っていたんでしょうね。

 

12月31日 迷航空会社列伝Lite ネパール航空

(原稿文字数:1,390文字)


【いにしえから来た不具合対策】迷航空会社列伝Lite ネパール航空

年の瀬ギリギリでもう1本アップしたネパール航空。きっかけは2016年12月のパキスタン航空のいけにえのニュースでした。そこから調べるうちにネパール航空のいけにえ事件に行きつきました。生贄を捧げるというのは前近代的な気もしますが、それ自体は文化の違いですからとやかく言うつもりはありません。しかし、ネパールのような小国の航空会社は常に資金面や整備面で悩まされており、万策尽きて神に縋るほかないという状態だったのかも知れません。

ネパールの場合、高地にあるので航空路線は国外への大事なライフラインですから、この辺は民間企業だけにすべての責任と金銭的負担を押し付けるのも酷なのかなと思います。政府が関与するナショナルフラッグキャリアは自由競争の現代航空業界では役割を終えたと思われがちですが、国によってはインフラの一環として政府の関与が必要なケースもあるのではないでしょうか。

 

以上、2017年にアップした動画を振り返りました。次回は2018年の動画の方針と抱負を書きたいと思います。