〜Aviation sometimes Railway 〜 航空・時々鉄道

航空や鉄道を中心とした乗り物系の話題や、「迷航空会社列伝」「東海道交通戦争」などの動画の補足説明などを中心に書いていきます。

エアアジア・ジャパン就航(4年ぶり2度目、2年遅れ)

就航が延びに延びまくっていた新生エアアジア・ジャパンですが、ようやく10月30日に就航になりそうです。

 

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当初は2015年夏ダイヤでの就航を目指し、10月には国土交通省の航空運送事業の許可を得ましたが、その後の就航予定は4回も延期。下記の記事によると相次ぐ経営陣の辞任で航空業界に明るい人材が去り、航空局の検査に支障が出ているのが原因のようです。もっとも、エアアジア本体が「航空輸送事業許可さえ出ればすぐにでも飛ばせる」と、日本の検査体制を甘く考えていたのも原因ですが。

前回の失敗は合弁相手のANAとの見解の相違でしたが、新会社の迷走も日本のやり方で時間をかけて就航準備を進めようとした日本人経営者と、エアアジア本体と同じビジネスモデルを要求し、スピードを求めたエアアジア側との対立が原因なんじゃないかと思います。

toyokeizai.net

 

さらに言えば「インターネット直販でコスト削減し、格安運賃を提供」というエアアジアのビジネスモデルが日本で受け入れられるかも微妙です。和製LCCの中で最も成功したピーチは日本人に合わせたサービスとブランディングを行い、24時間運用可能な関空を拠点にしたことで遅延や欠航リスクを抑えた事で顧客の支持を得ました。バニラエアはリゾート路線を重視した路線展開を行い、春秋航空日本も本家春秋航空とは異なるブランディングで中国色を極力薄め、日本市場に溶け込もうとしています。

これに対してジェットスタージャパンは当初は最低価格保証をぶち上げて価格重視路線を取りましたが、その後数年間は数十億単位の赤字を出し続けました。現在は他社と競合する路線を避け、サービス面でも日本市場に合わせたものにシフトしつつあるなど、価格一辺倒ではなくなってきました。つまり、日本のLCC各社は多かれ少なかれ日本市場に合わせたサービスを提供しようと模索しており、それぞれリピーター客確保の為に価格以外の独自性を出そうとしています。

 

今のところまだ正式なアナウンスがないので具体的なサービス内容も明らかにはなっていませんが、これまでの経緯を考えると恐らく本国と同じようなビジネスモデルで来るのではないかと思います。5年前ならともかく、一通りの路線にLCCが飛び交い、ジェットスターが中部空港を拠点化している今となっては単なる価格の安さだけではもうお客は飛びつかないでしょう。エアアジアを積極的に選択するような強い動機付けが必要になってくると思いますが、果たして新生エアアジア・ジャパンはそれだけの魅力を持つ航空会社になれるのか。ただでさえ就航が2年遅れで先行する各社とは大きな差がついてしまっているだけに、何かしらの仕掛けがないと就航後も苦戦を強いられるのではないでしょうか。