〜Aviation sometimes Railway 〜 航空・時々鉄道

航空や鉄道を中心とした乗り物系の話題や、「迷航空会社列伝」「東海道交通戦争」などの動画の補足説明などを中心に書いていきます。

台風の影響で北陸新幹線が長期運休の危機・・・復旧はいつになる?⇒10月25日に復旧予定!

10月12日から13日にかけて日本列島に上陸した台風19号は日本各地に大きな爪痕を残していきました。被災した方には心よりお見舞いを申し上げます。

さて、鉄道各社や航空各社は台風に備えてあらかじめ列車や航空機の運航を止める「計画運休」を行いました。この為運行中の事故や台風通過中の突発的な運休を防ぐことができましたが、一方でいくつかの路線ではまだ復旧のメドが立っていません。中には深刻な被害が出て長期間の運休が見込まれる路線もあり、台風の影響はまだしばらく続きそうです。

 

 

そんな中、最も深刻な影響を与えそうなのが北陸新幹線。千曲川の氾濫により長野市にあったJR東日本の新幹線車両センターが水没し、JR東日本所有のE7系8編成とJR西日本所有のW7系2編成が合計10編成120両が浸水してしまった事で、東京~富山間の全列車が引き続き運休となりました。車両センターの職員の方が全員避難して無事だったのは不幸中の幸いでしたが、北陸新幹線の車両30編成の3分の1が浸水してしまった事や、工場にあるメンテナンス機器や変電所なども水につかったことで早期の復旧は困難な状態です。

 

headlines.yahoo.co.jp

 

headlines.yahoo.co.jp

 

それでは北陸新幹線の復旧にはどのくらいかかるのでしょうか?現時点では正確な被害状況が分からないのではっきりした事は言えませんが、車両センター付近の水が引いた後の点検で本線の被害状況が深刻でなければ、運行再開自体はそう長くは掛からないのではないかと思います。しかし、全体の3分の1の車両とJR東日本側の車両基地が使用不能になった今の状態では、運行再開しても本数は半分程度になるのではないでしょうか。

日常の点検整備に関してはJR西日本の白山総合車両所があるので、運行自体は問題ないと思います。運行は当面は残る20編成で廻す必要がありますが、実際には予備や検査代替用で2編成程度は残しておく必要がありますので、実際に運用できるのは18編成となります。そうなると通常の5~6割程度の本数での運行となりますが、恐らく減便されるのは同じ時間帯を走る「はくたか」で代替可能な速達型の「かがやき」や、長野どまりの「あさま」になると思います。当面は残りの編成で廻すことができ、かつ長野滞泊を極力発生させないよう、1時間に1本程度の「はくたか」と数往復程度の「かがやき」、富山~金沢間の「つるぎ」だけになるのではないでしょうか。

 

また、水没した10編成が復帰できるか否かも完全復旧の時期を左右することになります。修理可能であれば再整備して復帰させればいいのですが、修理不可能だったり、費用面や修理期間の面で新造した方が早いと判断されれば水没した編成は廃車となり、新たに大体新造する必要があります。

そうなると10編成で300億以上の費用が掛かる上に発注から製造までに年単位での時間がかかり、完全復旧は更に遠のきます。しかも水没した車両の中にはJR西日本所有のものも2編成あり、JR東日本と西日本との間での費用負担の割合の問題も発生します。車両センター周辺は長野県のハザードマップで「付近の川が氾濫した際は10メートル以上浸水するおそれがある」とされており、JR東日本の過失の有無で揉める可能性があります。

車両自体は現在上越新幹線用のE7系が製造中なので、この車両を北陸新幹線に廻して既存の車両の廃車を先送りにすれば何とかなりそうですが、場合によっては上越新幹線にも影響が出そうなのが心配です。何とか修理できればいいのですが、映像を見る限りでは窓枠下の部分まで水没しているようなので厳しそうですね・・・車でもここまで浸水したら冠水車扱いになりますし。

www3.nhk.or.jp

 

一方、北陸新幹線の運休を受けてANAでは20:10富山発羽田行きの臨時便の運航を決定しました。14日以降も臨時便の運航を検討している他、JALも羽田~小松線の一部大型化を決定しました。JR西日本でも14日に金沢~米原間で臨時の「しらさぎ」の運行を決めた他、2時間に1本程度、金沢~糸魚川間で臨時の「はくたか」を運転する予定です。

北陸新幹線の運休が長期化するとなると、当面は航空路線や米原経由に頼る必要が出て来ます。場合によってはかつての主力ルートだった長岡経由も考える必要があるかも知れませんが、在来線の特急車両の数やJR東日本との調整を考えると現実的ではないかな・・・越後湯沢経由はもっと無理だと思いますし。

www.ana.co.jp

 

trafficinfo.westjr.co.jp

 

また、今回の北陸新幹線の運休で交通インフラを分散させる必要性が改めてクローズアップされたのではないかと思います。以前の記事で私が東京に行くのにあえて空路を使う最大の理由を「使わないと富山空港が無くなるから」と言いましたが、今回の運休で改めて万が一の際の富山空港の必要性を再認識しました。東日本大震災の際も長期不通となった東北新幹線の代替交通機関として山形空港や福島空港の存在がクローズアップされ、多数の臨時便が運航されて復興の大きな助けになったことは記憶に新しいと思います。同じような事が北陸新幹線でも起こった今、富山空港が富山と首都圏を結ぶ大事なライフラインとなっています。運休が長期化すれば機材大型化や臨時便で対応する事になりそうですが、まずは北陸新幹線の1日も早い復旧を願いたいですね。復旧にあたるJRの方はどうかご安全に。

 

www.meihokuriku-alps.com

 

 【10月14日追記】

北陸新幹線は13日の夜に東京~長野間で「あさま」のみ運転を再開しました。また、北陸側も運転区間を金沢~糸魚川間に拡大し、金沢~富山間の「つるぎ」の他に金沢~糸魚川間に臨時の「はくたか」を13往復運行します(1~4号車の自由席のみ。他の車両は閉鎖)。また、ANAも14日の午後に羽田~富山線の臨時便運航を決定しました。

www.aviationwire.jp

 

www.toyama-airport.jp

しかし、残る長野~糸魚川間は運転再開の見通しが立っていません。未確認情報ですが車両基地だけでなく、変電所や本線の設備も浸水の被害を受けている可能性があるそうで、まだ水が引いていない現状では点検もままならないようです。被害ができるだけ小さいといいのですが・・・

本線の被害状況によってはこの区間の運休が長期化するかもしれず、その場合は現行の米原廻り以外の代替ルートを考える必要がありそうです。恐らく、羽田~富山間や小松間の航空便も大型化や臨時便運航が検討されると思います。

 

www.nikkei.com

 

trafficinfo.westjr.co.jp

 

この他にも吾妻線長野原草津口~大前間、両毛線足利~小山間、中央線高尾~大月間、水郡線前線が土砂流入や橋りょう流出などで長期運休の見通しとなっており、特に中央線の不通で山梨県や長野県中信地方への鉄道ルートが寸断されてしまっています。30名を超える死者も出てしまい、改めて被害の大きさに戦慄するとともに、亡くなられた方には心からお悔やみを申し上げます。まだ復旧作業にかかれる状態ではないと思いますが、一日も早い復旧と作業をされる方の安全をお祈りしております。

 

【10月17日追記】

10月15日にJR東日本が北陸新幹線の復旧見通しについて「1~2週間はかかる」と正式に発表しました。但し、今後信号設備等のほかの設備に不具合が見られた場合はさらに時間を要する、としており、まだ予断は許さない状況です。一方、3分の1の編成が水没した事で、復旧後も東京~金沢間の運行本数は通常の5~6割程度にとどまる見通しで、長期間首都圏~北陸の旅客輸送に影響を与えることは確実になりました。

https://www.jreast.co.jp/aas/20191015_o_typhoon19_multjp_01.pdf

 

そんな中、従来からの米原廻りに加え、金沢~上越妙高間の運転が再開されたことで上越妙高から特急「しらゆき」に乗り換え、更に長岡で上越新幹線に乗り換えるルートも加わりました。JRの他経路乗車もこのルートが認められ、富山県内からはこちらのルートの方が時間的にも料金的にも有利なようです。また、ANAやJALも東京~北陸の航空路に大型機を投入したり、臨時便を設定したりと可能な限りの輸送力確保に努めていますが、依然満席状態が続いています。

https://webun.jp/item/7607549

 

 

そして冠水した新幹線車両ですが、やはりと言うか、残念ながら廃車の公算が大きいようです。床下の電気機器に重大な被害があったらしく、そのまま使用することは困難なようです。部品が使われたとしても台車など一部にとどまるようで、このままだと新しく作り直すことになりそうです。JR東日本は上越新幹線のE4系の置き換え用に製造予定のE7系を北陸新幹線に廻し、廃車予定のE4系を延命させる方向で調整しているそうで、これが実現すれば北陸新幹線の車両不足は予想よりも早く解消されるかも知れません。ただし、その場合は上越新幹線の置き換え計画に影響を及ぼすことになりますが・・・

日を追うごとに被害の深刻さと北陸地方への影響が大きくなっています。秋の観光シーズンを迎える中での北陸新幹線のストップは宿泊業や観光産業、一般のビジネスにも影響を及ぼしています。できるだけ早い復旧が望まれますね。

this.kiji.is

 

newswitch.jp

 

【10月18日追記】

北陸新幹線が10月25日から全線復旧するとJRから発表がありました!復旧作業や安全確保のめどが立ったためで、運行本数も当初見通しの5~6割から8割程度、東京~金沢間の直通列車は9割程度の運行になる見通しで、当初の予想よりも良い形での復旧になりそうです。

当初見通しよりも本数が増えたのは予備車両の点検時期を調整するなどして運航可能な編成を増やした事や、東京~長野間の「あさま」や富山~金沢間の「つるぎ」の本数を調整して東京~金沢直通列車に廻したことなどが挙げられます。不足する車両についても上越新幹線用に製造中のE7系を北陸新幹線に転用し、置き換え予定だったE4系を延命する方向でねん出することになりそうです。但し、被災した長野の車両センターの検査機能や車庫は使用不能のままなので、当面はJR西日本の白山総合車両所や、東北・上越新幹線の車両センターを活用することになりそうです。

正直、復旧や本数の回復はもっと後だろうと思っていたので、予想よりもいい形での復旧は嬉しい誤算と言えます。これもJR東日本や西日本が早期復旧に向けて最大限尽力してくれたからであり、頭が下がる思いです。あとはこれ以上、想定外の不具合や被災箇所が出ずに、無事に復旧してくれることを祈りたいですね。

trafficnews.jp

 

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JAL旅客機コレクション第二号・第三号が届きました!

先月から定期購読を開始したデアゴスティーニの「JAL旅客機コレクション」の第二号と三号が昨日届きました。既にYouTubeで動画は出していますが、改めてこちらでも取り上げたいと思います。

 

 ↓以前の記事はこちらをどうぞ。

www.meihokuriku-alps.com

 

www.meihokuriku-alps.com

 

今回は第2号がJALのボーイング747-100型、第3号がJASのボーイング777-200型「レインボーセブン」になります。以前にも触れましたが、この「JAL旅客機コレクション」の最大の特徴はJALのグループ会社や統合相手のJASの機体もきっちり出してくれるところ。普通、統合で消えた会社なんてなかったことにされる事が多い中、きちんとJASの機体も出してくれることにデアゴスティーニさんと監修したJALさんの心意気を感じることができます。

 

 さて、さっそく実物を見て見ましょうか。

 

 

 

・・・あれ?何か箱のデザインが違うような。まあいいか。

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まずは第2号から。JAL躍進の立役者とも言える初代ジャンボ機・ボーイング747-100型。当初はアメリカ軍の大型輸送機用として開発されたものの、肝心の受注争いでロッキードに競り負けてしまったので旅客機に転用したという経緯があります。

当時はコンコルドやボーイング2707、ツポレフTu-144といった超音速旅客機が一般的になると考えられており、ボーイング自身も旅客型で使われるのは10年程でその後は貨物機に転用する腹積もりだったようです。
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箱から出して実物を見てみましょう。
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クオリティに関しては前回同様相応のものだと思います。ただ窓周りのデザインはちょっと甘いかな・・・


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次に第三号を見ていきましょう。さっき箱の違いが気になっていましたが、開封してみて分かりました。第一号、第二号に比べると箱の作りがペラペラで、蓋もなし。うーん、これはちょっとあからさまなコストダウンですなあ・・・


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箱を見て心配しましたが、中身のダイキャストモデルのクオリティは変わらなかったので一安心。

 

元々JASの機材はエアバスとダグラス機ばかりで、ボーイング機はTDA発足直後に短期間だけ使用したボーイング727だけでした。ボーイング777は国内幹線用のフラッグシップとして1997年から導入された、JASにとって23年ぶりのボーイング機になります。

 

しかし、実はJASは最初から777を発注したわけではなく、当初は長距離国際線用としてボーイング747-400型9機を発注していました。しかし、バブル崩壊に伴うJASの経営悪化で国際線どころではなくなり、苦労して開設したホノルル線とシンガポール線も廃止。747-400も宙に浮いてしまいましたが今更キャンセルしたら違約金が発生してしまいます。

そこでJASは発注を一回り小さいが最新型で燃費の良い777-200に変更し、A300では供給不足気味の国内幹線に投入することにしたのです。

 

その際、塗装は公募でデザインを募集する事になり、採用されたのが「レインボーセブン」の塗装です。まあ、JASのレインボーカラー自体、エアバスのデモ機に使われていたものを譲り受けたものなので、それを最大のライバル会社のボーイング機に使われるのはエアバスもボーイングも良い気分はしないでしょうからね・・・
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この塗装最大の特徴は左右非対称である事。左側は前方にJASロゴ、尾翼に「JAPAN AIR System」の文字を記載。右側は尾翼にJASロゴを記載しています。虹を機体にぐるぐる巻きつけるデザインの為、左右で印象が変わるのも当時では、いや今見ても斬新で十分現代でも通用するデザインです。

MD-90もそうですが、機種限定とは言えこれを通常塗装として使用するJASは、先発2社とはまた違ったユニークで愛された会社だったんだなと、このモデルプレーンを見て改めて思いました。


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次回は恐らく11月初旬に第4号と5号が届くと思います。予定通りなら3代目塗装の747-400とJAS塗装のA300-600Rになると思いますので、届いたらまたレビューして行きたいなと思います。個人的にはJASのA300は好きな機材で楽しみにしていますので。

 

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JALとハワイアン航空の独禁法適用除外却下・・・憧れのハワイ航路の競争の行方は?

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アメリカ運輸省は10月3日までにJALとハワイアン航空が申請していたJV(共同事業)について、独占禁止法の適用除外(ATI)を認めない判断を下しました。「ATIを認可する事が公共の利益を利用者に提供するとは言いがたい」と言うのが理由で、JALとハワイアン航空はハワイ戦略の見直しを迫られそうです。

 

 

JALとハワイアン航空の共同事業、独禁法適用除外認めず 米運輸省(Aviation Wire) - Yahoo!ニュース

 

JALとハワイアン航空は2017年9月に包括的業務提携を結び、2018年3月から相互コードシェアやラウンジの相互利用を開始しました。ハワイ路線に強いJALとハワイが本拠地のハワイアン航空との提携は「強者連合」と言えるものであり、日本〜ハワイ路線のJVはその集大成と言えるものでした。

しかし、今回のATI申請にはその強大さが仇となってしまったようです。JVが実現すればダイヤ調整や運賃の統一などが両者の間で可能となり、実質的に一体運行が可能となりますが、日本〜ハワイ路線で両社のシェアが5割を超える点が問題視されたようです。

 

アメリカ運輸省、JALとハワイアン航空の独禁法適用除外認めず - TRAICY(トライシー)

 

さらに、競合相手でもあるANAがATI適用に反発していたのも影響したと思われます。今年4月、ANAはアメリカ運輸省に「実質的な独占になって消費者が不利益を被る懸念がある」と、JALとハワイアン航空のJVに反対する意見書を提出しています。

ハワイ諸島内の路線はハワイアン航空が9割以上のシェアを握っており、JALとハワイアン航空がJVを行えばハワイ内の島間路線から他の会社を排除する事が可能だとANA

恐らく意見書だけでなく、提携相手のユナイテッド航空と共同でロビー活動を行なっていたのではないかと思います。

 

JALとハワイアン航空、共同事業認めず 米当局「公益の根拠なし」:朝日新聞デジタル

 

今回の決定はまだ仮決定であり、今後JALとハワイアン航空の反論を聞いた上で最終決定をするとしています。認可されるには両社が持つ日本〜ハワイ路線の一部権益放出などでシェアを下げる必要があると思われますので、JVを諦めるか、権益放出してでもATI認可を優先するかの判断を迫られると思います。まだまだもう一波乱ありそうです。

 

 

さて、5月のANAのA380投入以来、日本〜ハワイ路線の力関係は微妙な変化を見せています。A380就航前に大々的なキャンペーンを行った事もあり、就航後のANAの成田〜ホノルル線の搭乗率は9割近くに達する一方、JALのハワイ路線は10%以上利用者が減少しました。導入の経緯はともあれ、A380は日本〜ハワイ路線のゲームチェンジャーになったようです。

 

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では今後のハワイ路線はどうなるのでしょうか?今はANAが優位に立っていますが、来年の春スケジュール以降は羽田発ホノルル線が増える見通しなので、他の会社がある程度巻き返してくるのではないかと思います。

まずデルタ航空がホノルル線を羽田に移しますし、ハワイアン航空も羽田〜ホノルル線を1往復増便させます。JALもホノルル線の一部を羽田に移すのは間違いないでしょう。JALとハワイアン航空のJVが認められずとも、来年の春以降は羽田〜ホノルル線が増える事で十分ANAに対抗できるのではないでしょうか?

一方、ANAは羽田のA380乗り入れが認められない現状では、今まで通り成田から飛ばすしかありません。羽田〜ホノルル線を増便して他社に対抗する方法もありますが、自社の成田線と共食いになるリスクもありますので、安易に増便はできないでしょう。ANAがハワイ路線に注力しているのも、これを見越しての事かもしれません。

 

しかし、羽田のA380乗り入れは他にもカンタスが求めていますし、乗り入れの障害さえクリアできれば認められる可能性もあるでしょう。そうなれば日本〜ハワイ路線はA380と言う競争力も収容力もある機材を持つANAが圧倒的に優位になるでしょう。それで相対的に他社のシェアが下がれば、或いはJALとハワイアン航空のJVも認められるかも・・・?

 

恐らく、JALとハワイアン航空のJVが認可されるか否か、羽田のA380乗り入れが認められるか否かで日本〜ハワイ路線の力関係は変わって来ると思います。今はANAに勢いがありますが、JALとハワイアン航空が本腰入れて巻き返して来るとどうなるかは分かりません。

ハワイ路線は飛行機を降りてからもホテルやオプショナルツアーなどで収益が見込める路線。その点では長年のノウハウがあるJALや地の利があるハワイアンが有利と言えます。各社切磋琢磨してハワイ路線全体が伸びていければいいですね。

 

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LATAMワンワールド脱退・・・曲がり角に来ている「航空アライアンス」

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南米最大の航空会社グループでワンワールドに加盟しているLATAM(ラタム)は9月26日、デルタ航空との関係強化とワンワールドからの脱退を発表しました。デルタ航空がLATAM株20%を19億ドルで取得した上でLATAMに3億5000万ドルを投資、LATAMの債務削減のためにLATAM保有のA350型4機を引き取るほか、LATAM発注のA350型10機もデルタが受領する方向で調整しているようです。

提携には関係国の承認が必要ですが、デルタとLATAMは路線の重複がほとんどなく、承認はスムーズに行くだろうとの予測で、1~2年で承認が降りるのではないかとのこと。LATAMのワンワールド脱退時期やスカイチーム加盟の有無については未定ですが、承認が得られる見通しが立った段階で去就がはっきりするのではないでしょうか?

 

www.traicy.com

 

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LATAMは2012年にチリのフラッグキャリア・LANグループとブラジル最大の航空会社・TAMの統合でできた南米最大の航空会社グループです。合併に際してはLANグループがTAMを買収した格好であり、グループの本社はチリのサンディアゴ、CEOもLAN側のCEOが就任し、アライアンスもLANグループが加盟していたワンワールドを選択してTAMは加盟していたスターアライアンスを脱退するなど、LAN側が主導権を持っています。

南米各国に子会社を設立して南米屈指のネットワークを誇ったLANと、南米一の大国であるブラジルで1位のTAMの組み合わせはまさに「強者連合」というべきものであり、LATAMを抱えるワンワールドはアメリカン航空の豊富な南米路線を含め、南米地域では他のアライアンスを圧倒していました。

今回のLATAMの脱退とデルタとの提携は、その南米でのパワーバランスが根底から覆るほどの大事件であるといえます。南米での拠点を失う事になるワンワールドと、LATAMを手に入れた事で広大な南米路線を手にするデルタ。南米地区のアライアンス間の競争に大きな影響を与える事になりそうです。

 

ところでデルタとLATAMの提携のニュースが出る前、デルタのCEOは「スカイチームのアライアンス事業は成功していない」との見解を示しました。スカイチームが利用客や加盟航空会社にとって価値のあるものになっていないと不満を漏らしており、デルタは異なるアプローチでネットワーク構築を図るとしています。

スカイチーム内の力関係を考えるとデルタは盟主と言える立場ですが、そのデルタ自身がアライアンスのあり方に疑問を持ち、距離を置くのは異例と言えますが、最近のデルタの動きを見ているとそう思っていても無理はないなと思えるのです。

近年のデルタは大韓、エールフランスKLM、中国東方、ヴァージンアトランティック、アリタリアと言ったスカイチーム内外の航空会社に出資をしたり、出資表明をしたりと個別に提携関係を強化する動きが目立ちます。大半はスカイチーム加盟会社なのでアライアンス内の提携強化と取れなくもありませんが、単にアライアンスの結束を高めるだけなら自己資金を投入してまで出資する必要はないでしょう。

もしかしたらデルタはスカイチームは自社が主導権を握る形でのアライアンス再構築を目論んでいるのかも知れません。外資規制の問題があるので子会社化や合併は不可能ですが、この動きは90年代初頭にKLMがノースウェストに出資したりアメリカン航空がカナディアン航空に出資したような2社間提携に近いものを感じます。スカイチームの枠組みは維持しつつ、戦略上重要と判断した会社とは個別出資と言う形でより強固な関係を築く、と言うのがデルタの今後の提携戦略になるのではないでしょうか。

sky-budget.com

 

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一方、LATAMを失う見通しとなったワンワールドですが、他にも「脱退予備軍」は存在します。中東御三家では唯一アライアンスに加盟しているカタール航空。以前からアメリカン航空やカンタスとの不仲が囁かれ、独自のアライアンス設立を模索しているとの噂があり、ワンワールド脱退の噂が度々起こっています。

今のところは残留の方向ですが、アメリカンとは中東の航空会社の乗り入れ制限問題で対立し、カンタスともカタールと政治的に対立関係にあるUAEのエミレーツ航空と提携関係にある事から名指しで批判するなど関係はいいとは言えません(実際、ワンワールド加盟会社でありながらアメリカン航空とカンタスとは提携してません)

一方でカタール航空はキャセイパシフィック航空やIAG(ブリティッシュエアウェイズやイベリア航空などの親会社)にも出資しており、そのIAG内のブリティッシュエアウェイズもカンタスとは2013年に提携解消されるなどワンワールド内の関係は複雑化しており、あまり纏まりがあるとは言えません。今後の展開次第では他のアライアンスの草刈り場になったり、第4のアライアンス設立の際に引き抜きに遭う可能性も十分考えられます。

 

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そして日本でもスカイチーム加盟会社を中心にANAとJALの提携会社の取り合い合戦が激化しています。ANAがJALと提携関係にあったベトナム航空に出資して鞍替えさせたかと思えばJALはANAが提携していたハワイアン航空やアエロメヒコと提携してかっさらって行きました。その後もANAはアリタリア航空と、JALはアエロフロートと提携し、ガルーダインドネシアに至ってはANA、JAL両方とコードシェアを結んでいます。

流石にカンタスのようにアライアンス内の会社と手を切ってまで個別提携をするケースはありませんが、ワンワールド加盟前のJALは個別に海外の航空会社と提携関係を結ぶ「全方位外交」を模索していた時期があり、その時のパイプがあるので個別提携をやりやすい環境にあるのではないでしょうか。万が一ワンワールドが空中分解してしまったとしても、案外「全方位外交」を復活させて単独でやって行ったりして・・・?

 

そしてもう一社気になる存在は昨年スカイチームを脱退した中国南方航空の動向。当初は中国本土の加盟会社がいないワンワールド入りが囁かれていましたが、未だにその気配はありません。南航にもカタール航空が5%を出資しており、来年1月からはコードシェアも開始する予定。ひょっとしたらワンワールドとカタール航空の新アライアンスのどちらにつくか、動向を伺っているのかも知れません。

そう考えると今後の動向によってはカタール航空と中国南方航空が中心となった新アライアンス結成と言う、LATAM脱退よりも遥かに衝撃的なニュースが駆け巡るかも知れません。その場合、21世紀の航空業界の中心となって来たスターアライアンス、ワンワールド、スカイチームの三大アライアンスの枠組みが大きく変わる可能性は高いと思います。

カタール航空が新アライアンスを立ち上げた場合、恐らく真っ先に切り崩されるのはワンワールド加盟会社だと思いますので、JALにも影響が出てくる話になるかも知れません。航空アライアンスのあり方そのものに疑問を呈するアナリストも複数いるそうですし、近い将来、加盟会社のアライアンス移動に止まらない大きな変動があるかも知れません。今後の動向に注目です。

 

【11月24日追記】

LATAMのワンワールド脱退日は2020年10月1日に決まったようです。と言ってもLATAM自身が発表したわけではなく、提携相手のカンタスが「LATAMでのマイル積算は9月30日まで」と発表した事で分かったようです。近いうちにLATAM自身から正式に発表があるとは思いますが、脱退日のみの発表なのか、脱退後スカイチームへの加盟を表明するのかが注目です。しかし、LATAMがスカイチーム加盟となれば南米市場はワンワールド優位から一気にスカイチーム優位に傾くことになりそうですね・・・

www.traicy.com

 

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トーマス・クックの破綻で考える「潰れた旅行会社・航空会社の救済の是非」

9月23日、「世界最古の旅行会社」とも言われる世界的な大手旅行会社・イギリスのトーマス・クックグループが追加の資金調達に失敗し、ロンドンの裁判所に破産を申請しました。これにより傘下の航空会社・トーマスクック航空も運航を停止し、全世界で60万人以上の旅行客が帰国の足を失う事になりました。イギリス政府は約15万人のイギリス人旅行客の為に数十機のチャーター機を用意し、順次帰国の支援をしていますが、全員が帰国するまでには2週間程度かかるとしています。

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トーマスクックは欧州でも大手の旅行会社であると同時に、世界で初めて団体旅行や世界一周旅行、トラベラーズチェックを手掛けた近代ツーリズムの祖とも言える会社です。2017年の世界の旅行代理店売上ランキングではJTBに次ぐ9位に位置し、従業員数2万1000人、108億ドルの売上を誇る世界的な大手旅行会社でした。

そんなトーマス・クックも近年はオンライン宿泊サイト「エクスペディア」などの攻勢に晒されて経営が苦しくなり、数年前から財務状況が悪化していました。今年5月には12億5000万ポンド(1663億円)の債務を抱えている事を公表し、イギリスのEU離脱交渉の長期化で夏休みの旅行需要に大きく影響したとしています。

その後今年8月に最大株主である中国の投資会社・フォースングループから9億ポンドの資金調達に成功したものの、その後大株主や主要取引銀行から追加で2億ポンドの資金調達を求められている事を明らかにし、最後はイギリス政府にも公的支援を求めたようですが、ジョンソン首相は「安易な救済はモラルハザードを引き起こし、危機に陥った他の旅行会社が同様の救済を求めるかも知れない」と支援を拒否し、万策尽きて今回の破たんに至りました。イギリス政府のスタンスとしては帰国の足を失った旅行者の支援には全力を尽くすが、企業そのものの救済には否定的です。

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イギリスの航空会社の破たんと言えば、2017年のモナーク航空の破産が記憶に新しいところ。この時も「航空旅行信託基金制度」を使って多数の救済フライトが仕立てられており、今回のトーマス・クックも同様の対応になりそうですが、今回の救済計画ではモナーク航空の時の6000万ポンドを上回る見込みです。

www.meihokuriku-alps.com

 

 トーマス・クックの経営云々はここでは置いておいて、今回は最終的にトーマス・クックを見限る形となったイギリス政府の対応の是非について考えてみたいと思います。

以前のWOWエアの破たんの時にも触れたように、航空会社が破産して運航停止に追い込まれた場合、イギリスのように救済フライトを仕立てる例は実は一般的ではありません。WOWエアのように、航空会社の破産で帰国便を失っても政府が救済フライトを仕立てることはなく、旅行者が自力で対応するか他の航空会社が自主的に格安運賃で飛行機に乗せるか、という形になってしまいます。

 

www.meihokuriku-alps.com

 

 

日本でも2010年のビバ・マカオの運航停止で160人の日本人が置き去りにされたり、記憶に新しいところでは2017年のてるみくらぶの破産で既に出国した3000人が置き去りとなり、会見で社長が「自力で帰ってきてもらうしかない」と発言して物議を醸すなど、航空会社や旅行会社の破たんで旅行者が海外に置き去りになるケースが発生しています。

一応、旅行会社が破産して支払い不能になった時に備えてあらかじめ一定の預託金を納める「営業保証金」の制度はありますが、てるみくらぶの時は債権額が大きすぎて弁済は雀の涙でしたし、帰国便や一時滞在のホテルの手配は自力で行わないといけないので、基本的な対応は「自己責任」であると言えます。そう考えると「航空旅行信託基金」を設けて旅行者の保護に努めているイギリス政府は「良心的な方」と言えるかもしれません。

www.mlit.go.jp

 

http://www.mlit.go.jp/kankocho/shisaku/sangyou/content/001308292.pdf

 

 

今回のトーマス・クックの場合、直接の原因は会社の財務悪化ですから、EU離脱問題と言う政治的理由が影響したとはいえ、基本的には企業の責任であると言えます。それ故イギリス政府の「安易な救済はモラルハザードにつながる」という主張は理解できるものです。経営危機だったにも関わらず経営陣が多額の報酬をもらい続けていた事もイギリス政府が救済を拒否した理由であり、公的資金で助けたらそれはそれで問題だったでしょう。

しかし、モナーク航空の破たん時に救済フライトを仕立てる時も「一から航空会社を立ち上げるようなものだった」と言うくらい困難だったように、救済フライトを仕立てるにはフライトをオペレートする人員の確保、旅行者の把握や連絡、関係各国とのフライトの調整、救済フライトを請け負ってくれる航空会社探しと交渉など、金銭的にも人員的にも莫大な労力がかかります。いちから救済フライトを立ち上げるよりは、一時的にでもつなぎ融資をしてトーマス・クック自身に救済フライトの手配や当面の帰国便の手配を任せた方が手間は掛からなかったかも知れません。

 

 

私は以前、航空会社が破たんした時の対策として、一時的な受け皿となる会社や公的機関を設立して当面の運航を確保する「航空版ブリッジバンク」の創設を提案しましたが、今回のトーマス・クックのケースは「航空版ブリッジバンク」があれば混乱は最小限に抑えられたのではないでしょうか。とりあえず当座の運航のみを手配するつなぎ融資を行うか、一時的な受け皿会社を設立してトーマス・クックの従業員や予約システムなどを一時的に譲渡するなどして当座の運航をトーマス・クック自身に行わせれば、大きな混乱は起きなかったかも知れません。一方で新規受注は停止させ、現経営陣は退陣して経営責任を問うなどの「企業の責任」は別に追及する必要があるでしょう。そして半年から1年の期限内に受注済みの予約を消化するか、キャンセルして他の旅行会社や航空会社に振り替えるなどの事後処理を行ったうえで、残った事業や資産を売却して会社は清算、という流れにすれば「利用者の救済」「企業責任の追及」「モラルハザードの防止」の3点を満たしたうえで混乱を最小限に抑えられると思うのですがいかがでしょうか。

 

私は経営を悪化させたり背信行為を行った企業は安易に救済するべきではないと考えますが、一方で規模が大きすぎてそのまま潰すと利用者に大きな被害がかかる企業もある事も知っています。日本でも今後、トーマス・クックのような会社が倒産しないとも限りませんし、旅行会社自体大きな資産を持っている業種ではないので、てるみくらぶのような自転車操業を行っている会社は少なからずあると思います。利用者への被害を最小限に抑え、できるだけ混乱を押さえて軟着陸させる「ソフトランディング」の方法は考える時期に来ているのではないでしょうか。

 

 

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「底辺ブロガー」「底辺YouTuber」に陥りがちな人がやってしまう事

先日当YouTubeメインチャンネル「迷航空会社列伝」が登録者数2万人を突破しました!皆様本当にありがとうございます!おかげ様で先月収益化も復活し、ブログの方もちょくちょくgoogleやFacebookなどで紹介されてpv数も伸びて先月は月間6万pvを突破しました。

これも日々動画やブログを見て頂いている皆様のおかげです。これからも慢心する事なく精進して参りますので、よろしくお願いします!

 

 

さて、YouTubeのメインチャンネル登録数2万人、ブログの月間pv数6万と言う今の私の立ち位置は世間的には「そこそこ」らしいです。人気YouTuberの基準は登録者数10万人(最近はそこまで珍しくもないですが、固定ファンが多く付いている事には変わりありません)、ブログの場合は月間30万pvが成功のひとつの目安になるようです。

私はまだまだその域には達していませんが、今の立ち位置も誰でも到達できる、と言うものでもありません。いいものを作っていても評価されない人も少なくない中、私は本当に恵まれているなと思いますが、その一方で「有名になりたい」「再生数やpv数を稼ぎたい」「お金を稼ぎたい」と言う気持ちが先走るあまり空回りして、結果伸び悩む「底辺YouTuber」「底辺ブロガー」と呼ばれる人も少なからず存在します。

中には「こんなに面白いし為になるのに何で伸びないの⁈」と言う方もいますが、大抵は「伸びないのは当然」と言わざるを得ない内容の方だったりします。前者は放っておいてもいつか注目される時は来ますが、後者は根本的にやり方を変えない限り劇的にファンが増える事はないでしょう。

今回は私の今までの経験を元に、ファンが増えない人の特徴と対策を考察して行きたいと思います。まあ、私自身も人気ブロガーとは言えない立場ですが、少なくとも底辺から脱却できる程度のアドバイスはできると思います。あくまで個人の経験をもとにした考察ですのでこれが正しいと言うつもりはありません。参考程度に見てもらえると幸いです。

 

  • 動画やブログの方向性が迷走している

伸びない人がよく陥りがちなのが「毎日投稿して注目度を上げる」と言う動画やブログ投稿のセオリーにとらわれ過ぎて、毎日投稿しなければならないと言うプレッシャーからクオリティの低い動画や記事をアップし続ける事。

確かに投稿頻度を上げて早期にコンテンツを充実させる事自体は悪い事ではありませんが、問題はその中身。誰も見たいと思わない、作者が何を伝えたいのか分からない動画や記事を大量生産しても、誰も見ないどころか「この人はつまらないコンテンツしか出さないから期待できないな」と見限られて逆に自分のブランドイメージを下げてしまいます。

動画の構成力や編集力、ブログ記事の文章力などは数をこなして上手くなって行くものですが、流石に何十本も作ってもYouTubeの再生回数1〜2ケタ、ブログの月間pv数100以下なら「今出してるコンテンツは受け入れられていない」と潔く負けを認めてやり方を変えた方がいいでしょう。

実際、私自身もYouTubeで2桁だったのは最初の1カ月だけでしたし、ブログの方も開設から数ヶ月で4ケタのpv数は出せるようになりました。これも「量より質」を優先して時間がかかってもいい作品を出そうとした事が受け入れられたからだと思います。無理して低クオリティのコンテンツを量産するくらいなら、その時間と労力を質の高いコンテンツ作成に使って納得の行くものを作った方が有益だと思います。

 

さらに、低迷している人はジャンルを広げ過ぎてターゲット層を絞れていない方が多いです。私は動画もブログも基本的には「航空と鉄道を中心とした交通関係」という自分の得意分野に絞って展開しています。ジャンルの絞り込みは潜在的な顧客を絞るリスクもありますが、自分の強みを発揮できる分野で発信した方がよりコアなファンを獲得しやすくなりますし、発信する方も自信を持ってコンテンツを提供できると言うメリットがあるからです。

逆に私が交通と無関係な料理動画なんか作っても需要ないですし、不得意分野の科学系や芸術系の動画を投稿しても内容が薄く自らのブランドイメージを傷つけかねません。

 

一方、得意分野を絞れていない人は「これで勝負する!」という分野がなく、調査や構成も中途半端になって内容も薄くなりがちです。かつての総合スーパーが取扱品目を増やしたはいいがどの分野の品揃えも中途半端になって「何でもあるけど欲しい物がない」と専門店に顧客を取られたり、かつての「ひと通りのメニューはあるけど特徴がない」チェーン居酒屋が失速しているのと同じ理屈です。

得意分野を持たずに場当たり的にバラバラなジャンルの動画を作ってもコアな視聴者を獲得する事はできません。まずはテーマを一つか二つに絞ってコンテンツを作ることをお勧めします。ジャンルを広げるのはある程度規模を拡大してチャンネル・ブログ運営を安定させてからです。

 

  • 他の人の二番煎じ、丸パクリ

動画やブログを始めたばかりの頃は、どうしてもやり方が分かりませんから、誰か人気のある人の作品を見よう見まねで参考にすると思います。実際、私自身も最初の頃は他の人の動画やブログを真似ていましたし、一部構成やBGMなどを真似したりしていました。もちろん真似た作者様への敬意やリスペクトは忘れてはいけませんし、そこからその人なりのエッセンスを加えて行って独自のスタイルを確立していけばいいと思います。

 

しかし問題なのは動画の一部ではなく、構成や内容そのものを丸パクリして元の作者の人気に乗っかろうとする事。向上心や元の作者へのリスペクトではなく、人気のある人のおこぼれを貰って手っ取り早く人気を得ようとする一種のコバンザメ的手法と言えます。

「オマージュとパクリは似て非なるもの」とはよく言われますが、元の作者へのリスペクトが感じられ、お互いにいい影響を与えてプラスになるのがオマージュ、元の作品の劣化コピーでしかなく、低クオリティな内容で本人どころか元の作者の評判も落としかねないのがパクリ、と言えば何となくお分かり頂けますでしょうか。

 

パクリ動画は一時的には元の作者のファンが流れて再生数は伸びるかも知れません。しかし、元の作者とのクオリティの落差が大きいとすぐに視聴者は離れ、逆にパクられた事を知った元の作者やファンを敵に回してしまうかも知れません。

安易なパクリは長い目で見ればマイナスですし、再生数が伸びたとしてもそれはあなたの実力ではありません。もしそれでもパクるというなら、元の作者を感嘆させるくらいクオリティの高いものを作って下さい。そこまでやれば元の作者もファンも何も言わないと思います。

 

・・・まあ、最初からパクリ上等な人はそこまで本気でやらないと思いますが。

 

  • 「拡散希望」「フォロー歓迎」「いいねお願いします」など過剰な承認要求

自分の思い通りに動画やブログが伸びないと、なんとかして視聴者や読者を集めたいと思うのは無理もない事です。誰か他の人に広めて欲しい、「いいね」が欲しい、フォローしてファンになって欲しい。動画製作者やブロガーなら誰しも思う事なのでそれ自体はいい事です。

しかし、それをあからさまに発信しまくると周りはドン引きしてかえってあなたの周りから離れて行きます。

 

考えてみて下さい。いきなり見ず知らずの人がやたら仲良くしようとすり寄ってきたり、道のど真ん中で「友達になってくれ」と叫んでいたり、誰彼構わず「いい商品だから勧めてくれ」と強引に商品を売りつけようとするセールスマンが目の前に現れたらあなたは仲良くなりたいと思いますか?恐らく大多数の方は「NO」と答えるのではないでしょうか。

 

ブログや動画のタグ、SNSなどで「拡散希望」「相互フォロー」「いいねお願いします」「コメント歓迎」などのタグをベタベタ張りまくっている人はある意味上記の行動と同じ事をネット上でしているようなものです。

 

やっている当人のファンを増やしたいという気持ちは良く分かります。しかし、傍目から見たらその必死さだけが伝わってかえって避けたくなってしまうのではないでしょうか。コンテンツの内容が良くないなら尚更です。

コンテンツの内容が良く、視聴者や読者が他の人にも勧めたいと思えば作者が動かずとも勝手に広めてくれますし、数字は伸びていきます。宣伝に必死になる前に、まずはコンテンツの充実やクオリティの向上に努めるのが先決でしょう。宣伝に力を入れるのは人を呼べるコンテンツができた自信がある時か、一定のファンを獲得して基盤を築いた後です。お客様に自信を持って出せる商品がないのに宣伝ばっかり必死になっても無意味なように。

 

ちなみに、私は動画やブログの新作ができたらツイッターで報告・宣伝していますが、何度も宣伝したりタグをベタベタ貼り付けるような事は基本的にはしていません(伸びが良くないともう一度アピールする位はしますが)。自分のコンテンツに一定の自信はありますし、伸びなければ満足させられなかった自分が悪いと思っているからです。

 

  • 視聴者・読者が求めるニーズとの乖離

動画もブログも見てくれる人がいるからこそモチベーションも上がりますし、頑張れるもの。特に近年では動画やブログのマネタイズが一般的になっており、金銭的な意味でも参入する人は多くなっています。

しかし、動画もブログもある意味客商売。姿は見えなくとも自分の動画やブログを見てくれている「顧客」は確実に存在しますし、顧客のニーズに乖離したコンテンツではいずれ視聴者・読者は離れて行きます。自分の基本スタンスは変えずとも、常にニーズを汲み取る努力は必要ですし、時代の変化に合わせてやり方を変える必要がある事には変わりありません。

もちろん「趣味でやっているから再生数は関係ない」「日記代わりにブログを書いているから親しい人だけみてくれればいい」と言う方には今書いた事は余計なお世話でしかないと思います。しかし、ある程度再生数やpv数を増やしたいのであれば、ましてや収益化を目指しているのであれば、その原動力となる視聴者や読者の事を考えずに突っ走るのは絶対にお勧めできません。

 

伸びない人は視聴者・読者が求めているものとは乖離したコンテンツを提供し、悪い意味で自分のスタンスを貫いている人が多いです。例えば上記に挙げた他人の丸パクリ動画を出したり、目先の流行りに飛びついてコアなファンが求めるものと乖離した動画を出したり。低評価や批判コメントが多いのに軌道修正しないのもまずいと思います。

或いは視聴者が求めているのは解説動画なのに再生したらネタに走ったり感情的な批判ばかりで肝心の解説はわずかで内容も薄っぺらい動画だったらどうでしょうか?最初からネタ動画、物申す系だと宣言していればともかく、解説動画っぽいサムネや説明文だったら見終わった視聴者はほぼ間違いなく失望して離れて行きます。

最近になって急に批判コメントが増えたり、再生数が激減したら、あなたが今出している動画は視聴者が求めているものではないかも知れません。冷静に批判を受け止め、何が間違っていたのか分析する必要があるのではないでしょうか。

 

  • 誠実でない

どの分野でも誠実な人が好まれますが、実名や顔が分からない、肩書きも基本的に通用しないネットの世界ではその傾向がより強いように思います。人となりが分かる物差しが限られる分、その人の作品やSNSの文章や言動から信用できるか否かを判断するしかないためです。

私は営利だろうが非営利だろうが、ネット上に発信したものには責任を持たなくてはいけないと思っています。それ故に自信を持って出せないコンテンツは出しませんし、SNSの発言には注意を払っているつもりです。それでも不適切な表現や間違いを指摘されて、修正したり削除したりした事も何度かありますが・・・

 

伸びない人はその辺の管理が甘く、何度も繰り返し発言の撤回やコンテンツの削除に追い込まれているのではないでしょうか?ファンが増えないうちにそう言う事を繰り返すと「この人の出すコンテンツは信頼できない」と判断されて人は去って行きます。新しいコンテンツを出す前に、ネットリテラシーを考える必要があるでしょう。

 

また、「自粛します」と言った後すぐに新たなコンテンツを投稿したり、 矛盾を指摘されると言い訳にならない言い訳をするのもNG。自粛する事自体は事態の沈静化を図る、反省の気持ちを対外的に表明する、一度ネットから離れて自分を見つめ直すなどの効果がありますが、舌の根も乾かぬうちに投稿再開したら「自粛宣言はその場しのぎだったんだな」「自分で宣言した事も守れない信用できない人物」と判断されて更に炎上するか、ファンが離れて行ってしまいます。

自粛すると宣言した以上は最低でも一ヶ月単位は沈黙を貫くべきでしょう。その間は原因分析と再発防止の対策に充て、批判は素直に受け止めて自粛期間終了後同じ過ちをしないよう準備して臨めばいいと思います。我慢できないなら最初から自粛宣言しない方がまだマシです。安易な自粛宣言と自粛破りは逆効果でしかありません。

 

  • まとめ

以上、動画やブログが伸びない人の特徴と対策を考察しました。要約すると動画やブログが伸び悩む原因は

 

・強みや得意分野を絞れず方向性がぼやけている

・コンテンツ充実以外の事に一生懸命

・視聴者・読者目線でない

・行動や言動に一貫性がない

 

の4点に尽きるのではないかと思います。これはネットに限った事ではなく、例えば経営が行き詰まった企業にも当てはまる事です。

「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」と言うことわざがあるように、伸びない動画やブログには何かしら問題があるもの。上記に挙げた原因はある意味当たり前の事ではありますが、その当たり前をやるのが実は一番難しい事ではないかと思います。私自身、完璧にできているとはとても言えませんが、それでも上記に挙げた事は気を付けているつもりですし、そうありたいと思っています。動画やブログが伸びなくて悩んでいる方は、少しでも参考にして頂ければ幸いです。

 

 

↓ある意味コンチネンタル航空やJALの再建もこの「当たり前の事を当たり前にやる」事が基本でした。言うは易く行うは難しですが、できることから少しずつ取り入れていきたいですね。


迷航空会社列伝「全米最悪の航空会社」コンチネンタル航空~栄光から凋落へ~


東海道交通戦争・最終章②~沈んだ太陽は再び昇るのか~カリスマ経営者最後の挑戦

 

 

 

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スカイマークの国際定期路線就航・「新規参入会社の国際線進出」は進むのか

9月19日、スカイマークは年内の成田~サイパン線と成田~中部線の開設を正式に発表しました。今年の5月以降、繁忙期を中心にチャーター便で運航実績を重ねてきましたが、満を持しての定期路線就航となる見込みです。就航には混雑空港に指定されている成田空港については国土交通省の「混雑空港の運航許可」が必要となりますが、今のところ大きな障壁はなさそうなので、認可されるものと思われます。

いずれにせよスカイマークの就航から21年、A380による長距離国際線計画がとん挫して経営破たんした事で国際線進出は一時期遠ざかりましたが、ようやく実現することになりそうです。

 

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www.aviationwire.jp

 

sky-budget.com

 

スカイマークのサイパン線就航により、規制緩和後に運航を開始したいわゆる「新規参入会社」の国際線就航はスターフライヤーに次いで二社目となります(元々の立ち位置が違うLCCは除く)。そこで気になるのは、他の「新規参入会社」が国際線に進出する可能性はあるのでしょうか?調べてみました。

 

・ソラシドエア

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スカイマークとスターフライヤー以外で国際定期路線に進出する可能性が一番高いのはソラシドエアでしょう。と言うのも2017年~20年度の中期経営計画で「2019年度中の国際定期路線進出」を掲げており、2018年には国際線就航を見据えてUSB電源や機内食用オーブンを搭載した新造機を投入しています。九州各地から台湾へのチャーター便を運航しており、国際線進出へ向けた準備は着々と行っています。

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しかし、「2019年度中の国際定期路線開設」は5月の中期経営計画の見直しで延期され、福岡空港発着の路線開設とネットワーク構築に経営資源を振り向けることになりました。確かに九州各地にネットワークを広げるソラシドエアも、スターフライヤーとの棲み分けがあるからか福岡には未就航。とは言え福岡は九州最大の都市ですからソラシドエアも指をくわえて見ているわけには行かないでしょう。就航するとしたらソラシドエアの拠点の一つでもある那覇線でしょうか?

また、2019年1月の社長インタビューで国際線のサービス面で課題がある事や、日本からの海外旅行者の少なさ、現在の機材がフル稼働で増便が難しい事から、まだゴーサインは出せないとしています。将来的な国際定期路線就航はあきらめてはいないと思いますが、優先順位としてはそこまで高いわけではなさそうです。

 

sky-budget.com

 

www.nikkei.com

・エアドゥ

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就航当初の社名が「北海道国際航空」だった事からも分かる通り、エアドゥも将来の国際線就航を考えています。2019~23年度の中期経営戦略でも「国際線を含むチャーターフライトの実施」を検討しているとしていますが、ソラシドエアに比べると国際チャーター路線の運航実績は少なく、国際線を意識した機材もまだありませんので、今の時点ではまだ「将来の目標」の域を出ていないと思います。

www.airdo.jp

 

実際のところ、エアドゥの経営は順調とは言えず、2019年3月期の決算は減収減益でした。パイロット不足問題やボーイング767の後継機問題も抱えており「国際線進出どころではない」と言うのが本音でしょう。他の新規参入会社と比べると経営が苦しく、販売面や機材面でANAの依存度が高いエアドゥですが、何とか経営を立て直して競争力をつけて、いつか国際線を飛ばして欲しいですね。

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・アイベックスエアラインズ

この会社に関しては国際定期路線はおろか国際チャーター便の運航実績もないですし、経営計画でも国際線進出をうたった事はありません。元々が国内リージョナル路線を手掛けるための会社ですから、国際線に打って出る可能性はないでしょう。

 

・フジドリームエアラインズ

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FDAも地方路線を中心とした路線網やリージョナル機による運航ですから、アイベックスエアラインズ同様国際線は考えていない・・・と思いきや、将来的な国際線進出に言及している記事がいくつかあり、案外まんざらでもなさそうです。

 

2017年の記事ですが、好調な地方間チャーターに一部機材を割り当てる一方、チャーター便による国際線参入についても小型機の特性に合った近隣国を想定して「前向きに研究を進めている」そうです。また、2015年の鈴木会長のインタビューでも「機材の回転率を向上させられるのなら国際線は魅力」と語っており、FDAにとっては国際線進出は可能性がないわけではなさそうです。

www.nikkei.com

 

newswitch.jp

 

但し、短期的には実現の可能性は低いと思います。地方空港は運用時間が短く、飛行時間が長くなり通関手続きも必要になる国際線は鈴木会長の言う「回転率」の悪い路線になります。また、FDA最大の拠点である小牧は中部空港との兼ね合いから国際線就航の可能性は皆無に近く、現状FDAの拠点から国際線を飛ばせるとしたら静岡くらいしかありません。さらに、現在FDAは国内線の新規路線開設や国内チャーター路線に力を入れており、慌てて国際線を進める必要もなければ計画を進める余裕もありません。可能性がないわけではありませんが、今のFDAに取っては国際線進出は「将来の夢」なのでしょうね。

 

・まとめ

以上、新規参入会社が国際線に進出する可能性について考えてみました。この中で短期的に実現の可能性があるのはソラシドエアでしょうが、近距離国際線は国内外のフルサービスキャリアやLCCなどが入り乱れる激戦区。中途半端に参入しても返り討ちに遭って逆に経営の重荷になる可能性もあるので、慎重になるのも仕方がない事だと思います。

それでも国内市場の頭打ちが予想される以上、将来的には国際線進出を検討する時が来るかも知れません。相手国側、特に中国からは様々な航空会社が日本に乗り入れる姿を見ると、日本側からももう少し国際線を飛ばす会社が増えてもいいんじゃないかと思うのは私だけでしょうか。

 

 

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