〜Aviation sometimes Railway 〜 航空・時々鉄道

航空や鉄道を中心とした乗り物系の話題や、「迷航空会社列伝」「東海道交通戦争」などの動画の補足説明などを中心に書いていきます。

JAL中期計画ローリングプラン改定、中距離LCCの姿も見えてきた?

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2月25日、JALは2017‐2020年度中期経営計画ローリングプランの改訂版を発表しました。同時に発表された中距離LCCの参入を始め、先日の路線便数計画でも発表されたエアバスA350と国内線用787の投入や、顔認証システムやセルフバゲージドロップの導入などによるスマート空港の実現、ビジネスジェットやデジタルマーケティング事業などの新事業の立ち上げ、昨年のパイロットの飲酒問題を受けての社員教育などの「安全・安心の再構築」が重点項目になります。

このうち国内線用787については10月の投入が決定、羽田-伊丹線を中心に投入されます。また、これとは別に既存の国内線用767と737にもUSB電源を全シートに設置、順次改修工事を行っていきます。国際線についても欧米豪路線でビジネスクラスのフルフラット化が実施される予定で、引き続きサービス向上に投資していくようです。


www.aviationwire.jp

 

press.jal.co.jp

 

さて、今後の注目は来年就航予定の中距離LCC「TBL(仮)」の動向でしょう。今回のローリングプラン発表と同時にTBLについても発表があり、3月上旬に国土交通省に航空輸送事業(AOC)の許可申請を行い、早ければその段階で正式な社名も発表される見込みです(既に一部報道で「ZIPAIR」になるのではとされていますが、一応JALの正式発表まではTBLで表記します)サービス内容や制服のお披露目は4月頃になりそうです。
www.aviationwire.jp

 

 以前の記事はこちらをご覧下さい。

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さて、気になるTBLの機材ですが、JAL保有の787初期導入機2機を改修して投入する事になります。世界的な引き合いが多くリース機も調達しやすい737やA320ならともかく、787はそう簡単には空いてるリース機も見つからないので妥当なところだと思います。将来的には6機体制になる見込みですが、JAL本体に取っても主力である787をそうそう廻すわけには行かないと思いますから、立ち上げ期はJALからのリース機で、経営が軌道に乗ったら新造機のリースに切り替えるのではないかと思います。

さらに気になるのは就航路線とTBLのブランディングやサービス内容ですが、今回の発表では特に触れられませんでした。これはJALの発表を待たなければいけませんが、2機で廻せる路線となると一機で運用できる東南アジア路線でしょう。ホノルルやオーストラリアも一機で廻せなくもないですが、ほぼフル稼働になるので2機で2路線を飛ばすのは運用的に厳しくなり、現実的ではありません。

当初は東南アジアなどの中距離路線、将来的には欧米路線となるのではないかと思いますが、最初の路線がどこになるかで今後の方向性も見えてきます。最初がバンコクやシンガポールといった大都市ならJALを含めた他社との競合覚悟で需要の大きい路線に切り込む戦略、デンパサールやプーケットといった日本の会社が就航してない路線なら、カンタスとジェットスターの関係のようにJALとの棲み分けを図る戦略になるのではないでしょうか。

 

いずれにしてもJALの新LCCの全貌が判明するのはもう少し後になりますので、今後の情報を楽しみに待ちたいところ。また現在のローリングプランは2020年度までの計画であり、羽田発着枠の配分が決まる来年には次の中期経営計画も出てくる事でしょう。来年のJALは大きく変わるかもしれませんね。

 

 

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羽田発着枠のアメリカ航空会社割り当ての行方

前回アップした車内販売終了に関する記事が過去になかった勢いでPV数が伸び、多くのスターやブックマークを頂きました。スマートニュースにも載ったみたいで、今そちらからのアクセスがもの凄い勢いです。皆様本当にありがとうございます!

 

www.meihokuriku-alps.com

 

さて、今回は以前も触れた、2020年の羽田空港発着枠のアメリカ路線割り当ての続報です。2月20日から21日にかけてアメリカ側の大手、アメリカン航空、デルタ航空、ユナイテッド航空、ハワイアン航空の4社がアメリカ運輸省(DOT)に路線開設を申請しました。

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www.aviationwire.jp

 

以前の記事はこちらをご覧下さい。

 

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・配分予定の枠を越える申請で発着枠の取り合いに

改めて各社の申請内容をおさらいしましょう。(2月25日追記:各社の優先希望を追加してます)

 

・アメリカン航空(1日4往復・うち1往復は早朝深夜枠)

ダラス(2往復・777-200ER)

ロサンゼルス(早朝深夜枠1往復増便・787-8)

ラスベガス(1往復・787-8)

(優先1位ダラス1便目、2位ロサンゼルス、3位ダラス2便目、4位ラスベガス)

 

・デルタ航空(1日6往復)

シアトル(1往復・A330-900neo)

デトロイト(1往復・A350-900)

アトランタ(1往復・777-200ER)

ポートランド(1往復・A330-200)

ホノルル(2往復・767-300ER)

(1位シアトル、2位デトロイト、3位アトランタ、4位ポートランド、5.6位ホノルル)

 

・ユナイテッド航空(1日6往復)

ニューアーク(1往復・777-200ER)

シカゴ(1往復・777-200ER)

ロサンゼルス(1往復・787-10)

ワシントン(1往復・777-200ER)

ヒューストン(1往復・777-200ER)

グアム(1往復・777-200ER)

(第一希望ニューアーク、シカゴ、ワシントン 第二希望ロサンゼルス、第三希望ヒューストン、グアム)

 

・ハワイアン航空(1日3往復)

ホノルル(3往復・A330-200)

 

4社合計で昼間枠18往復、早朝深夜枠1往復の合計19往復分と、割り当て予定の昼間枠12枠を大きくオーバーしています。前回2016年の配分の際も昼間枠5枠、早朝深夜枠1枠に対し届出は9路線ですから、今回も各社最大限認められる可能性のある路線を申請したのではないかと思います。

 

・「ホノルル線」「デルタ航空」の動向が発着枠配分のカギに

さて、ここから実際に認可される路線はどこになるのでしょうか。ポイントになるのは「ホノルル線」と「デルタ航空」の2つになると思います。

今回の各社の届け出を見るとホノルル線がハワイアン3往復、デルタ2往復と突出しているのが分かります。近年羽田ーホノルル線は搭乗率が高く、ハワイアン航空も羽田ーホノルル線はANA便も合わせて90.8%、ハワイアン単体では91.9%に達しており、旅客需要が高い事をアピールしていますので、確かにホノルル線の増便は理にかなっています。

www.traicy.com

 

しかし、今年はANAが成田ーホノルル線にA380を投入するなど、ハワイ路線全体で見れば今後は急激な供給量増加が見込まれます。恐らく日本側の会社も羽田発ハワイ路線の増便は申請してくるでしょうし、さらにハワイアンとデルタの申請をそのまま認めるとハワイ路線は一気に供給過多になって激しい安売り合戦に陥り、採算を悪化させかねません。恐らくホノルル線に関しては満額認められることはなく、せいぜいデルタ1往復、ハワイアン1往復の認可になるのではないでしょうか。

 

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次にデルタ航空の動向ですが、下記記事内でも触れている通り、JALとアメリカンの連合、ANAとユナイテッドとの連合に比べて日本側の提携航空会社のないデルタは羽田路線で不利であり、今回の割り当てでその是正を求めています。さらにハワイアンとJALの共同事業が承認された場合、デルタは羽田路線で更に不利になるため、デルタ6、アメリカンとハワイアン3、ユナイテッド3の配分にするべきだと主張しています。

www.traicy.com

 

今回のアメリカ側の発着枠配分は運輸省がデルタの主張を認めるか否かで分かれるのではないかと思います。仮に3グループ均等に配分された場合、アメリカン3、ハワイアン1、デルタとユナイテッド各4となりそうですが、その配分は日本側の航空会社のコードシェアは考慮されていません。アメリカンはJALと、ユナイテッドはANAとのコードシェアを行う事で実際は配分枠を越える便数を手にすることができる事を考えると、デルタの主張にも一理あると思います。

とは言え、デルタの主張通り認めてしまうと今度は他の会社からの反発も予想されますから、6枠配分も少々考えにくいです。となると間を取ってデルタ5、ユナイテッド4、アメリカン2+早朝深夜枠1、ハワイアン1になるのではないかと予想します。アメリカンに早朝深夜枠を認めて実質3枠にする代わりに、前回1便しか配分のなかったユナイテッドにはアメリカンよりも多い枠を認めてバランスを取るのではないでしょうか。

 

・今回の配分で認可される路線はどこ?

(2/25 各社の優先順位を踏まえた上で加筆修正しました)

配分の見通しを立てたところで、実際にどの路線が認可されることになるのでしょうか?まずデルタは5枠認可が下りればホノルル線の1往復以外は全て就航させることになるのではないかと思います。もし4枠認可なら希望順にシアトル、デトロイト、アトランタ、ポートランドを羽田に移し、ホノルル線のみ残留になりそうです。ハワイアンは元々の申請がホノルル線増便のみですが、既存のホノルル線の一部をを週3往復運航のコナ線に振り向けるかも知れません。

 

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問題はユナイテッドとアメリカンの配分でしょう。恐らくこの2社に関しては希望通り認められる可能性は低いと思いますので、どの路線が認可されないかという問題になります。

まずアメリカン航空ですが、ダラス便のうち一往復と深夜早朝枠のロサンゼルス線は認可されると思います。あとはダラス線2往復のみ認可か、ダラス線1往復とラスベガス線の認可になるかですが、これは甲乙つけ難いです。ダラスは言うまでもなくアメリカン航空最大のハブであり、乗り継ぎ需要を考えると2往復でも十分需要が見込めます。一方のラスベガス線はその知名度と観光需要の大きさの割には直行便がなく、羽田からの直行便ができれば大きなインパクトになります。アメリカン側はダラス線2便目を優先希望に上げていますが、DOTの裁定でラスベガス線を認可するかも知れません。個人的にはラスベガス線を実現させてほしいですね。

一方のユナイテッド航空ですが、6路線とも大都市だったり、ユナイテッドのハブ空港だったりする路線なのでどの路線が認可されても不思議はありませんし、言い換えればどの路線も却下される可能性があります。ユナイテッドの希望順ならニューアーク、シカゴ、ワシントン、ロサンゼルスですが、ロサンゼルスは既にANAとデルタが就航している上にアメリカンも申請してますので、下位希望のヒューストンかグアムでの認可になる可能性も考えられます。

もっとも、最後はDOTの判断次第ですし各社思惑もあると思いますから、この予想は素人の戯言程度にとらえて下さい。

 

・羽田発着アメリカ線の大増発でどうなる成田ハブ

さて、これだけ大規模な増便が行われると、現在の成田空港の路線やハブ機能がどうなるかが気がかりなところです。既に前回の配分では欧州路線のうちロンドンやパリ、フランクフルトといった主要路線がごっそり羽田に移りましたので、今回の配分で同じ事が北米路線でも起こるかも知れません。

実際、ダラスやアトランタ、ニューアークといった基幹ハブ空港への路線や、ニューヨークやロサンゼルスといった大都市への路線は成田からは激減するかも知れません。しかし北米路線自体のボリューム自体はそれほど減らないのではないかと思います。

 

その予想の根拠になるのは欧州路線。羽田にはロンドン、パリ、フランクフルト、ミュンヘンといったビジネス需要の大きい主要都市への路線が移管され、成田からは1日1〜2便程度に縮小しています。

これだけを見ると成田発欧州路線は壊滅的なように見えますが、その分ANAはデュッセルドルフとブリュッセルに、JALはヘルシンキに就航していますし、イベリア航空やLOTポーランド航空など新規就航した会社もあるので、主要都市の路線が減った分、それ以外の都市への路線は増えており、首都圏全体では欧州路線の便数や就航地はむしろ増えているのです。路線的にも羽田と成田で棲み分けができていると言えますし、北米路線に関しても主要都市の路線が羽田に移る分、成田には新規路線開拓の余地ができるのではないでしょうか。

 

もう一つの要素はアジアー北米間の乗り継ぎ需要。欧州路線の場合は地理的に東南アジアからの乗り継ぎは見込めず、中国、韓国からも地理的には日本乗り継ぎは逆戻りになるので、自国路線か香港、中東経由が主流になります。つまり日本発の欧州路線は基本的に日本国内の需要が大半になり、乗り継ぎ需要は多く見込めない為、昼間の羽田路線が解禁になると国内乗継が便利な羽田にこぞって路線を移したわけです。

 

一方の北米路線はアジアの東に位置する日本の方が地理的に有利であり、ANAもJALも近年はこの区間の乗り継ぎ需要を重視しています。特にANAは羽田を国内→海外乗継ハブ、成田をアジア→北米乗継ハブと位置付ける「デュアルハブ戦略」を取っており、当分はこの流れは変わらないでしょう。

今回の羽田発着枠増加でアメリカ路線が充実すれば、他の地域の路線配分にもよりますがアジア→北米の乗継需要の一部が羽田に移るのは避けられないと思います。しかし、全ての需要を満たすまでの本数はないですし、前述の通り新規路線開設の余地もありますから、成田にも一定のハブ機能は残るのではないでしょうか。と言うより成田発の東南アジア路線が乗継重視のダイヤを組む一方、羽田発は日本国内で使いやすいダイヤを組んでいますし、羽田路線に乗客が集中するのは航空会社サイドも本意ではないでしょうから、今後も羽田と成田の棲み分けは続くものと思われます。

 

羽田発着枠増加後の姿は今後の配分と航空会社の路線申請が出揃うまではまだ見えて来ません。しかし首都圏の航空需要の大きさや万が一の二重系統を考えると羽田と成田の共存は今後も必要です。上手く役割を棲み分けて今後も日本の空の玄関口の役割を果たしていってほしいですね。

 

 

 

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「車内販売」が消えていくJRと「機内販売」が充実する航空、対照的な傾向にあるワケ

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毎年恒例の3月のJRダイヤ改正が迫る中、JR各社が新幹線や特急電車での車内販売終了、または縮小するとの発表が相次いでいます。JR北海道は売り上げ不振と人員不足を理由に「スーパー北斗」や北海道新幹線での車内販売を終了すると発表。またJR九州も九州新幹線で、JR四国も特急列車の大半で車内販売を終了します。そしてJR東日本も東北新幹線の「やまびこ」と「こまち」の盛岡~秋田間、「踊り子」「草津」と東武直通特急の全系統、「いなほ」の酒田~秋田間で車内販売を終了すると発表。さらに東北・上越新幹線系統と「あずさ」「ひたち」などの主要特急列車で弁当類やお土産、「シンカンセンスゴクカタイアイス」などのデザート類の販売を取りやめます。ちなみに、今回のダイヤ改正では北陸新幹線の「かがやき」「はくたか」だけは従来通りの車内販売が継続されます。


trafficnews.jp

 

headlines.yahoo.co.jp

 

車内販売縮小の動きは何も今に始まった事ではなく、2015年3月までにJR東海、西日本の在来線特急は車内販売を終了、新幹線でも「こだま」や「なすの」といった各停タイプの列車に関しては既に車内販売は過去のものとなっています。かつて車内販売と言えば長距離列車の楽しみの一つであり、貴重な食料や飲料調達の手段でしたが、近年では主要駅の再開発でいわゆる「駅ナカ」店舗が充実したり、鉄道会社とコンビニの提携で駅構内やホームにコンビニの店舗が出店し、乗車前の食糧調達が容易になったことで、販売品目が制限される車内販売の売上は下がる一方でした。加えて新幹線網の発達などでトータルの乗車時間が減った結果、長時間乗車で車内販売に依存することもなくなってきたと言えます。

実際、JR北海道では車内販売の売上がピーク時の4分の1まで落ち込んでおり、販売員の人件費が余計にかかる車内販売を維持するのが難しくなるのは無理もない事だと思います。加えてここ最近では少子高齢化などによる人手不足で新たな人材の確保が難しくなってきており、JR各社にとっては収益面でも人員面でも無理に車内販売を続ける必要性は薄れてきていると言えます。残念な事ではありますが、この流れは今後も続く事でしょう。

 

一方で空の上ではむしろ「機内販売」は充実して来ています。ANAやJALなどの大手では機内販売は普通に行われていますし、特にANAはアルコール類の販売はもちろん、最近ではお菓子や軽食の販売も行っています。

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更に機内販売に力を入れているのがピーチやジェットスターなどのLCC。例えばピーチはピーチデニッシュやカレーパンなどのオリジナル商品や、カップラーメンにたこ焼きやお好み焼きなど他の航空会社や新幹線では絶対避けられるようなものまでお構いなしに販売しています。ジェットスターはピーチ程ではないもののカップラーメンは普通に販売してますし、オリジナルグッズの品ぞろえも充実するなど、LCCにとって機内販売は重要な「収益源」になっているようです。

 

同じ交通機関の中での物販なのに、なぜ空と陸でここまで対照的な傾向になっているのでしょうか。その秘密は「人件費」と「特別感」にあるのではないかと思います。

 

「人件費」については何となくわかる方も多いと思いますが、鉄道の車内販売員さんは一部改札や案内業務を行うケースもありますが、基本的には「車内販売の為だけに雇われた人」。販売員はJRの社員という訳ではなく、JRから委託された関連会社や別の販売会社の社員ですし、販売員の人件費は車内販売の売上から賄われます。当然、採算が取れなければJRも車内販売を続けるわけには行きませんし、委託先の会社の方も赤字で事業をやるわけには行かないから「撤退」の二文字がちらついてしまう訳です。もっと言えば、採算の取れない車内販売に固執するよりは、車内販売をなくした分駅ナカで買い物してもらった方がJRにとっては収益面でプラスでしょうしね。

 

一方の飛行機の場合、航空法などで最低でも非常扉の数だけ客室内に保安要員を配置しなければならない、とされています。国内線の場合、目安としては50人ごとに1名の客室乗務員を置かなくてはなりません。飛行機のCAと言うとドリンクサービスや機内販売などのイメージが強いですが、本来の仕事は緊急脱出の際などの「保安要員」であり、絶対に配置しなければならない人員。今後も無くなる事はないと言えます。

つまり機内販売をしようがしまいが、フライトにかかる人件費は同じであり(機内販売の売上に応じたインセンティブはあるかも知れませんが)、機内販売の売上はそのまま航空会社の収益に直結します。特に基本料金が安く、長距離路線でも機内食のサービスがないLCCは機内販売は重要な収益源の一つであり、さらに長時間停車でホームの売店で調達のチャンスがある鉄道と違い、飛行機はフライト中は外に出られませんから、唯一の食糧調達方法である機内販売に力を入れるのも当然と言えます。

 

もう一つの「特別感」ですが、これは航空機の客層と空間による部分と、航空会社の自助努力による部分の2つの要因があります。

飛行機の機内販売のカタログを見ていると、やたら高い財布や化粧品、時計などを売っている事に気がつきませんか?これは航空機が富裕層の乗り物だった時代の名残とも言えますが、今もラインナップにあると言う事はそれなりに売れていると言う事。飛行時間の短い国内線では品物も絞られますが、それでも新幹線に比べると「特別感」はまだ強いのと、ANAやJALの客層はそれなりに良いので、高額商品に対する購買欲は高い方です。

さらに飛行機の場合、専用のカタログで商品を紹介し、CAさんに注文すれば直接持って来てくれる、ANAやJAL便の場合、自社クレジットカードで支払えば10%引きになる上にマイルも溜まる、商品のラインナップも機内限定商品やコラボ商品が多いなど、「特別感」や「お得感」「希少性」を演出する仕掛けがあるのも特徴です。

ただ、この売り方も客室乗務員の多い飛行機だから可能な方法であり、新幹線で同じ事をやろうとしても、一列車に1人か2人しかいない車内販売の係員では対応しきれずにパンクしてかえってクレームの素になるのは明らかです。コラボ商品に関してはJRでもその気になれば展開可能ですが、それを新幹線の車内で買う人がいるか、飛行機並みの「演出」ができるかと言われると恐らく難しいと思います。それなら乗る前と降りた後でゆっくり駅ナカで買い物してもらった方が合理的で売り上げも見込めますからね。

news.mynavi.jp

 

とは言え、列車の車内販売が完全に消えるかと言うと、そうとも言えないと思います。例えば小田急の「ロマンスカー」のように観光のウエイトが大きい列車では車内販売は好調ですし、限定弁当やお土産などの「演出」をする余地があります。また、利用者の絶対数が多い東海道新幹線の「のぞみ」などは今後もサービスの一環として車内販売は続けられるでしょうし、JR東日本のグリーン車のように、品物は少ないですが新たに車内販売が実施された例もあります。要は車内販売を残すだけの強い理由があるか否かで今後の存廃が決まってくるのではないでしょうか。

 

かつて優等列車では当たり前だった食堂車が利用の低迷や不採算、人材不足で消えて行ったのと同様、いずれ車内販売も一部の列車を除いて消えていくか、残るにしても実施列車や商品の絞り込みは行われると思います。鉄道会社も営利企業である以上、採算も取れず、必要性も薄い事業を続ける訳にも行きませんから、今回の車内販売縮小は必然であったのではないでしょうか。残念ではありますが、これも時代の流れなのかなと思います。

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クリエイターサポートチームに相談した話と皆様へのお願い

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チャンネルの収益化が無効になってから10日以上。とりあえず当座の対策として動画部分を追加した動画をアップしました。今後は映像の比率を増やした動画や、実写動画を追加していく予定です。

また、既存の動画についても映像中心に差し替え可能なものは差し替えていくつもりです。今週末に映像撮影の為に成田と中部空港を中心に出かけるつもりですが、いっそその様子も映像に撮って実写動画のネタにしてしまおうかとw

ただニューヨークエアやトランプシャトルのように、既に消滅して映像の入手が不可能なものや、イラン航空のように運航はしてるけど日本路線がなくて撮影不可能なものもありますので、そういった会社は静止画のまま残すしかなさそうです。本当は動画を削除したら皆様のコメントも消えてしまうので、できれば全部残した状態で再審査に臨みたいんですがね・・・


迷航空会社列伝・航空各社運航計画2019

 

・クリエイターサポートチームに収益化無効の件で問い合わせました

 

さて、先日の収益化無効の報告をした記事で「クリエイターサポートチームに問い合わせ中」と触れていましたが、その結果が出ましたのでご報告します。結論から言うとサポートチームではどうしようもできない事案で、問題の解決には至りませんでしたが、少なくとも私が担当して頂いた方は誠実に対応して頂き、内容の公開についても同意して頂けました。担当の方のお名前はここでは控えさせて頂きますが、この場をお借りして担当の方には厚く御礼申し上げます。以下、やり取りをご紹介します。

 

↓これまでの経緯についてはこちらの記事をご参照ください。

www.meihokuriku-alps.com

 

まず2月8日の夜、収益化無効の件で再審査を求める旨と、難しい場合、何が原因だったか教えてほしい旨のメールをサポートチームに送りました。メインチャンネルの方はクリエイターサポートチームへの問い合わせはできませんでしたが、収益化が生きてるサブチャンネルの方は可能でしたので。以下送った内容です。

 

YouTubeサポートチーム御中

 

いつもお世話になっております。メインチャンネルの収益化の件でご相談したい事があり、ご連絡を差し上げます。サブチャンネルの方からご連絡差し上げるのは筋違いかと思いますが、メインチャンネルではサポートチームへの問い合わせができませんのでご容赦ください。

 

26日の午前、YouTubeよりメインチャンネルの「迷航空会社列伝 by akamomo」の収益化を無効にしたとのメールが届きました。承認されなかった理由は「繰り返しの多いコンテンツ:教育的または他の価値もない視聴回数を増やすだけが目的の大量生産コンテンツ」との事ですが、私の動画は制作にあたり参考資料を読み込んだうえで長い時間をかけて原稿を作っています。また画像素材についてもできるだけ自分で撮影したものを使用し、調達が困難なものについてはflickrや写真ACなど、商業使用可能な画像を使用したり、他の方から許諾を頂いたうえで使用させて頂いており、動画作成には長い時間と手間をかけております。ご指摘にある「視聴回数を増やすだけが目的の大量生産コンテンツ」には当たらないのではないかと思います。

参考資料として動画の原稿ファイルを添付いたします。201612月に投稿した「名航空会社列伝・コンチネンタル航空」シリーズと、現在作成中の「名航空会社列伝・東急の空への夢」の原稿です。必要であれば他の作品の原稿もほとんどが手元にありますので提出可能です。参考資料から引用した部分はありますが、原稿そのものは私独自のオリジナルコンテンツです。筋違いなのは承知の上ですが、どうか今一度ご確認頂けますよう、お願い申し上げます。

 

また、ご確認頂いた結果、やはり再申請が必要な場合は、後学の為にも何が問題になったのか教えて頂ければ幸いです。私個人としては「合成音声」を使用した事が「第三者のコンテンツを合成音声が読み上げたもの」と判定されたのか、ほぼ静止画のみで構成した内容が「説明、開設、教育的価値が最小限又は全くない画像スライドショーやスクロールテキスト」と判定されたのか、判断に迷っております。何が問題だったのかだけでも教えて頂ければ、私や同じく身に覚えのないのに突然収益化が無効になった他のクリエイターの方も対応がしやすくなります。お忙しいところ恐縮ですが、どうかご対応の程よろしくお願いいたします。

 

ちょうど3連休の前の送信だったので、サポートチームから回答が来たのは連休明けの12日でした。残念ながら回答の内容はこちらの期待に沿うものではありませんでしたが、少なくとも担当の人が内容を読んで頂いたことは分かりました。

 

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 そこであきらめきれなかった私は担当者の方に思いの丈をぶつけてもう一度再検討頂けないか、再度問い合わせてみることにしました。今にして思えば少々しつこかった気もしますが、

 

 

お忙しい中ご返信頂きましてありがとうございます。

「プログラムの規約に準拠していない」とのことで、例を挙げて頂きましたが、

私も収益化停止になった際にこの点は確認いたしました。例として挙げられているケースも改めて確認しましたが、該当しないか、したとしても収益化を停止される程ガイドラインを逸脱しているとは思えません。

 

第三者のコンテンツを合成音声が読み上げたもの、または意味を成さないコンテンツ

  確かに合成音声は使用しておりますが、原稿に関しては前回お送りした別紙原稿の通り、参考文献に基づいて独自に製作したオリジナルのコンテンツです。意味を成さないコンテンツと言うのも視聴者の方のコメントを見て頂ければ当てはまらないのではと思います。

・チャンネル内の動画に最小限の変更を加えて生成されたコンテンツ

  上述の通り、原稿及び画像の半分は私が作成したもので私に著作権があります。

   また、残りの半分の画像も商業利用、第三者の利用が可能な画像共有サイトのものや、画像の提供を申し出て頂いた方から許可を得た上で使用したものであり、「チャンネル内の動画に最小限の変更を加えて生成されたコンテンツ」には当たらないと考えております。

・教育的価値のある解説や説明を含まず、ただ繰り返されるか漫然として意味のないコンテンツ

  私の動画自体が「航空会社の危機や倒産の経緯を紹介し、将来に渡る教訓とする」というコンセプトで作成しており、教育的価値は十分満たしていると思います。

   また、動画の構成上同じ画像を何度も使用することもありますが、繰り返しと言えるものではないと思います。ただ、動画の構成は似通っているので、「漫然として」という事なら一種マンネリ化している面はあったと思いますが、それでも収益化を無効にされる程準拠していないのではないでしょうか。

大量生産されたコンテンツまたはプログラムで生成されたコンテンツ

  全く当てはまりません。そもそも私の動画は動画編集ソフトを使用し、原稿作成、音声入力、字幕作成、写真の選定など全て私一人で人力で行っております。ましてやプログラムで自動生成するなど不可能です。

・説明、解説または教育的価値がほとんどないか、まったくない画像のスライドショーまたはスクロール テキスト

  繰り返しになりますが、説明、解説が動画の趣旨であり、教育的価値がないと判断されるのは納得いきません。 「画像のスライドショー」に関しては静止画主体の動画でしたので、この点が問題視されたのではないかと思いますが、それでも資料を集めて分析し、直接空港まで行って素材を集めて時間をかけて作ったコンテンツを「教育的価値がない」と判断されるのはクリエイターの端くれとして非常に悔しい思いです。

 

最近同様の理由で収益化無効になったクリエイターさんが多いと聞いております。確かに中にはガイドラインに触れるような人もいたかも知れませんし、私を含めたクリエイターさんもガイドラインを完璧には順守していなかったかもしれませんが、慎重にやっていたのに「合成音声」「静止画」と言うだけで警告なしに突然収益化の道を断たれたクリエイターさんも少なからずいます。そして再申請にあたりどこを直せばいいか分からず、他の方の事例を見て手探りでやるしかないというのが現状です。

 

お忙しいとは思いますが、どうかもう一度、今回の収益化無効について検証して頂けないでしょうか。

検証の結果やはり再申請が必要と言う事であれば、決定に従い動画の修正作業や差し替えを行いますが、やはりどうしても納得が行かないのです。また、修正が必要な場合「静止画」と「合成音声」どちらが問題だったのか、

あるいはほかに問題があるのかを教えて頂けると対策が取りやすくなります。私だけでなく、同様に収益停止になったクリエイターさんやファンの方も、「教育的価値がない」とされたことに戸惑い、納得が行かない方も多くいらっしゃいます。その方々の為にも、何かしら修正の方向性だけでも教えて頂けると、YouTubeの方針に理解し、協力してくれるのではないでしょうか。

 

最後に、色々と言ってしまいましたが、「好きな事で生きていく」チャンスを与えてくれたYouTubeには本当に感謝していますし、今後もYouTubeの発展に貢献できるよう、自分なりにベストを尽くしてユーザーや広告主の方の為に有益なコンテンツを作っていきたいと思います。

もちろん、パートナープログラムの規約は順守していきますし、改めるべきところは改めて参ります。

お忙しい中再度のお願いで大変恐縮ですが、どうか再度の調査をお願いいたします。

 

 

翌2月13日、サポートチームの担当の方から返信が来ました。有り難いことに、長文にも関わらず私のメールの内容を最後まで確認して頂けたようです。私の思いや気持ちは理解してもらえましたが、一度判断が下ってしまうと再審査や撤回ができず、30日後の再審査を待つしか方法がないそうです。つまり、サポートチームに相談しても事態打開にはつながらないし、担当者にはその権限もなく、手の打ちようがないという事です。

このメールで私は収益化復活には30日後の再審査に備えて対策を立てるしかない事、これ以上サポートチームに問い合わせても事態解決はできず、先方に迷惑をかけてしまうだけだと悟り、担当の方に誠実に対応して頂いたお礼とお手数をかけた事への謝罪をしてこの件を終わらせることにしました。

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・皆様へのお願い

さて、今回の収益化無効で多くの励ましの声を頂き、大変感謝しております。中にはYouTubeのフィードバックに問い合わせをして頂いた方もおり、感謝に堪えません。もちろん、中には残念だというコメントを頂きましたし、口には出さずとも収益化に対し快く思っていない方もいるかも知れませんが、概ね好意的に受け取って頂けたことは本当にありがたく思っております。

一方で一連の収益化無効の件に対し、YouTubeに不信感を持たれた方がフィードバックやSNSなどで批判の域を超えた暴言を発せられている方もごく一部に見受けられます。私も最初は色々と言いたい気持ちに駆られましたが、暴言を言っても何も変わりませんし、むしろ相手や第三者の心証を更に悪くするだけなので、自制しました。ですのでどうか冷静な対応をお願いしたいのです。

また、収益化無効の判断は恐らくAIが行っているのでしょうが、一連のサポートチームの方とのやり取りでYouTubeはAIではなく人が動かしている事、そしてサポートチームを始めとしたユーザーやクリエイターと直接向き合う部署の方々は恐らく今回の一件で非難の矢面に立たされて日々クレーム処理に追われているのではないかと思いました。私みたいなクレームは他にも大量に来ているだろうに、きちんと受け止めてくれた担当の方には本当に頭が下がります。そして軽率な事をしてしまったと反省しました。

 

今回収益化無効になったクリエイターの方は他にもいると思います。中にはサポートチームへの連絡をする術もなく、途方に暮れている方や、YouTubeに意見を伝えられず憤りを感じてどこかに当たりたくなる方もいるかも知れません。ですがどうか自暴自棄にならず、日々クリエイターやユーザーに向き合っている現場の方々への非難や暴言は慎んで頂ければと思います。

今回の件は現場レベルではどうしようもない案件のようですし、過度な問い合わせはサポートチームにとって大きな負担になり兼ねません。今回私がやり取りを公開したのも、他の方が同じような問い合わせをして双方徒労に終わるような事になるのを少しでも防ぎたいと思い、同じように収益化無効になっているクリエイターの方に少しでも情報提供できればと思ったからです。重ねてのお願いですが、色々思う所はあってもどうか現場の人々を非難せず、慎重に行動して下さい。サポートチームの方に当たり散らしても何の解決にもなりませんし、彼らにはどうしようもできないのですから・・・

 

最後になりましたが、今回対応した頂いたYouTubeクリエイターサポートチームの担当の方には重ねてお礼申し上げます。私の気持ちに寄り添った対応をして頂き、本当にありがとうございました。

 

エアバスA380生産終了決定。「世界最大の超大型機」が残したもの

 

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以前から生産中止が噂されていたエアバス社の超大型機「エアバスA380」ですが、遂に2019年2月14日、エミレーツ航空の39機キャンセルを受ける形で生産終了が発表されました。今後受注残の機体を納入したのち、2021年に生産終了となる見込みです。


www.aviationwire.jp

 

A380は昨年にも生産中止の危機にありましたが、エミレーツ航空が新たに20機を確定発注し、いったんは生産継続が決まりました。エミレーツが追加発注を行ったのは既存のA380の更新用としていましたが、かねてよりA380改良型の開発をエアバスに求めており、この発注も改良型の就航までA380の製造ラインを維持するのが最大の目的でした。
www.aviationwire.jp

 

しかしその後も新たな発注会社は現れず、逆にカンタスが受注残8機のキャンセルを発表するなど、A380の置かれた状況は良くないものでした。計画された改良型もエミレーツとの条件交渉が折り合わず、計画は暗礁に乗り上げてしまいます。最後はエミレーツがA350-900型30機とA330-900型40機の発注と引き換えにA380型39機のキャンセルを決定したのが決定打となりました。エアバスCEOは「他社からの受注残はほとんどなく、生産を維持する基盤もない」として生産継続は困難と判断。今回の生産終了となりました。

カタール航空で人気の世界都市へお出かけください。

 

・A380はなぜ売れなかったのか

これについては「A380の巨大さが現在の航空業界に合わなかった」の一言に尽きるのではないでしょうか。A380が開発に向けて発注会社を探していたころは長距離路線はまだ大型の747による運航が主流であり、ボーイングも開発を阻止するべく様々な手を使って妨害していました。ボーイングの予測では超大型機の需要はそれほど高くないとしていましたが、それでも数百機は見込んでおり、後に747-8の開発に踏み切るなど完全になくならないと予測していたくらいですから、まだこの時期は超大型機に対する期待は大きかったと思います。

しかし航空会社は超大型機で大量の乗客を運ぶよりも燃費効率のいい中型機で多頻度運航をしたり、中規模都市を結ぶ路線を開拓することを選びました。さらに2000年代初頭では考えられなかったLCCの中長距離路線進出が本格化すると、レガシーキャリアも超大型機を飛ばすのは効率が悪く、競争力が保てないという事に気付きます。ローンチ当初こそシンガポール航空やエールフランス、ルフトハンザ、カンタス、大韓航空などアジアやヨーロッパの大手キャリアがこぞって発注しましたが、A380を飛ばすほど需要の大きい路線は限られてしまい大半の会社は5~6機か、せいぜい10機前後の発注にとどまりました。

 

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そんな中でエミレーツ航空だけは100機以上の大量発注を行い、A380最大のカスタマーになりました。A380の発注数の半分はエミレーツ航空ですから、この会社がなければA380はもっと早く生産中止に追い込まれていたと思います。エミレーツがハブとするドバイは中東の経済・観光の中心となるべく投資を進めており、エミレーツ自身もドバイをハブに大量に乗り継ぎ客を捌くビジネスモデルを構築し、A380もその一環として大量購入しました。個室型のファーストクラスやバーカウンター、シャワー室を設置して高品質かつ豪華な機内サービスもA380の広さを活かしたからであり、まさにA380を十二分に使いこなした会社でした。

しかしそのエミレーツも最後はA380の発注を取り消してしまい、自らA380に引導を渡す格好となってしまいました。エアバスに取ってA380はエミレーツありきの旅客機でしたが、言い換えればエミレーツの為に残していた旅客機とも言えます。エミレーツも会見で生産終了を残念がっていたようですが、いくらエミレーツが大量購入すると言っても他に発注する会社が見込めなければプロジェクトの長期継続は難しかったのではないかと思います。

ひょっとしたらエミレーツ自身がA380という特殊な旅客機を前提としたビジネスモデルに危機感を持ち、転換を図ろうとしたのかも知れませんし、エアバスとの改良型の交渉決裂も、あるいは両社に取って渡りに船だったのかも知れません。ともあれA380の生産終了は、長年航空業界で主流だった「ハブアンドスポーク方式」の転換点になるのではないでしょうか。

 

・A380が航空業界に残したもの

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A380の納入機数は2019年1月現在で234機。リスト上では受注残は79機となっていますが、これはエミレーツやカンタスのキャンセル分も含まれていますので、実際の受注残はもっと少ないです。この中にはリース会社や匿名顧客も含まれていますので、実際に何機が製造されるのかはまだ未定ですが、少なくともANAの3機とエミレーツの受注残14機は確実に作られるでしょうから、最低251機は製造される見込みです。ローンチ当初の採算ラインが250機と言われてましたのでそれはクリアできそうですが、実際にはその後の開発遅延によるコスト増で採算分岐点は400機に上がったと言われています。生産機数だけを見れば決して失敗とは言えませんが、エアバスにとっては商業的には成功したとは言い難いでしょう。

 

ではA380という旅客機は航空業界に何を残したのでしょうか。個人的な考えですが、「大量輸送時代の終焉を突きつけた」「上級クラスの個室化、ハイクオリティ化のきっかけを作った」「空のサービスの新しい可能性を示した」の3点ではないかと思います。

 

「大量輸送時代の終焉」はA380が売れなかった理由で示したので改めて触れるまでもないでしょう。「上級クラスの個室化、ハイクオリティ化」はA380を初就航させたシンガポール航空と、最大のカスタマーであるエミレーツ航空、その対抗馬のエティハド航空が道筋を示しました。

それまでもビジネス、ファーストのフルフラット化などは進んでいましたが、限られたスペースの中で座席を配置する必要があった為、スペースを取られる個室化に踏み切る会社はほとんどありませんでした。A380はその制約が無くなった事で、シンガポール航空やエミレーツ航空はファーストクラスを半個室化します。特にエティハド航空の「ザ・レジデンス」はベッドルームにリビング、シャワー室も完備とホテル顔負けの設備。近年航空各社がファーストクラスやビジネスクラスの半個室化を進めていますが、その先鞭はA380が付けたと言ってもいいでしょう。

「空のサービスの新しい可能性」は先程の個室化と連動しますが、バーカウンターやロビースペース、シャワー室といった従来の航空機では考えられなかったスペースが設けられました。ただこれに関しては上級クラスのみのサービスであり、他の機種に波及する気配もないので、今のところA380特有のサービスになりそうです。

とは言え、サービス面で新しい可能性を示し、個室化の流れを作った事はA380の大きな功績と言えるでしょう。

 

・生産終了後、A380の行く末は?

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生産が終了するとは言え、A380は就航から10年ちょっとしか経っていませんし、あと2年は新造機が出ますから当面は高需要路線を中心に世界中の空港で見られると思います。しかし、その大きすぎる機体を使いこなせる航空会社は多くなく、中古機として市場に出てもあまり買い手はつかなさそうです。実際、リース契約が終了して返却された元シンガポール航空の機体2機は売却先を探しても引き取り手がなく、パーツ取り用として解体されることになってしまいました。

航空機リースの世界では機齢10年ほどの比較的新しい機材でも、再リースや中古機としての売却よりも部品販売の方が利益が大きいと判断されれば解体されるケースが多いので、この解体自体は不思議な事ではありません。A380の場合は中古パーツがほとんどなく、特にエンジンや着陸装置などは引き合いが多いので妥当な判断であろうとは思いますが、言い換えれば中古機としての価値はA380にはない事も示しています。

シンガポール航空は早期売却で機材の入れ替えを早める戦略を取っていますし、エールフランスもリース機を中心に半数の機体の売却を検討しているようなので、今後は部品取りとして早期に解体されるA380が増える可能性があります。生産終了で将来的な部品供給が見込めないとなると、中古部品のニーズは今後も高まりそうです。

 

・・・引退したA380には皮肉な話ですが。

 

flyteam.jp

sky-budget.com

 

また、A380がいつまで飛ぶかですが、長くても2040年頃までではないかと思います。2020年代半ばには初期導入機の退役が本格化し、2030年代初頭にはA380を使用する航空会社はエミレーツ航空の他は数社程度になるのではないでしょうか。

中古機として他の航空会社に売却される可能性もA380の場合は低いと思います。普通なら先進国の大手キャリアで運行された旅客機は新興国のキャリアや中小の会社に中古機で売られるところですが、前述の通りA380は大き過ぎて使いこなせる航空会社は限られてきます。よほど物好きな会社が買うか、エミレーツが初期導入機の置き換え用として状態の良い機材を買うくらいではないでしょうか。

そして最後までA380を飛ばす会社はどこになるかですが、高確率でエミレーツになりそうです。まあ、あれだけ大量に運航してますから、これは私でなくとも想像はつくと思いますが。

 

 

そしてANAのA380。就航前に生産中止決定という、ある意味ケチがついてしまった格好ですが、それ故に希少性や注目度はむしろ高まったのではないかと思います。当面は成田ーホノルル線のみの就航ですが、3機が出揃った後は他の路線での期間運行やチャーター便もあるかも知れません。特別塗装やスカイカウチなどまでやったA380ですから、ANAもやるからには最大限活用する事でしょう。

ただし、長期間活用するかと言われると正直五分五分じゃないかと思います。3機という少なさはどうしても限定的な運用になってしまいますし、ホノルル線の利用者がANAの思惑通りに増えなければ、その先に待ち受けるのは不毛なダンピング合戦。かつてのハワイ、グアム路線が供給過剰で安売りに走り、収益性が悪化したどころか「安売りリゾート」のイメージがついて利用者離れを招いた過去がありますから、その二の舞になる可能性も考えられます。

そうなってしまうとANAのとるべき道は一つ、早期売却しかありません。買う会社があるのかと思うかもしれませんが、今はいなくても7〜8年後にはエミレーツも初期導入機の置き換えを考えると思うので、そのタイミングでエミレーツに売却、というのは十分考えられます。航空ファンとしてはANAのA380には末永く活躍して欲しいところですけどね。

 

ともあれ、今回の生産終了は一つの時代の終わりとも言えます。すぐにA380が消えるわけではありませんが、今後生産されないという事はいつか完全に消える日が確実に来る事を意味します。気の早い話ですが、その日が来るまでに悔いのないよう、興味のある方は乗っておきたいですね。

 

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羽田空港の国際線配分で日米路線が半分近くに。どこに何枠配分される?

2月12日、石井国土交通大臣は記者会見で2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けた羽田空港国際線の発着枠について、日本とアメリカの航空会社に12便ずつ割り当てると発表しました。国際線の発着枠増加は50便なので、半数近くが日米路線の増強に充てられることになります。

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headlines.yahoo.co.jp

 

・なぜ今回の配分はアメリカに手厚いのか

さて、他の国の割合がまだ出ていないので断定はできませんが、今回の配分はアメリカに手厚いものになりそうです。

2010年の再国際化の時は全体で40便に対し、アメリカ路線の割り当ては8便、2016年の配分の時は同じく全体40便に対しアメリカ路線は実質4便(全体の割り当ては12便ですが、うち8便は前回の早朝深夜枠の昼間枠移行)と、実は太平洋路線のボリュームの割に多くはありませんでした。今回日米路線の割り当てが多いのも、以前の配分との兼ね合いや需要動向に合わせたものでないかと思います。

また、日本のハブ空港戦略の面からもアメリカ路線の強化は理にかなっています。日本の地理的位置を考えると最も乗り継ぎ需要が見込めるのは北米→アジア間、特にアメリカからの直行便が少ない東南アジアからの乗り継ぎです。これまでは成田空港がその役割を担っていましたが、近年の羽田空港の国際化でハブ機能は強化されており、仁川や上海、台北といったアジアの他の空港との競争を考えると羽田からのアメリカ路線強化は必要な事ではないでしょうか。

さらにANAはユナイテッド航空と、JALはアメリカン航空と提携しており、提携先の会社からの乗り継ぎも見込めるのも大きなポイントです。昔はアメリカ側の会社が無制限の以遠権を使って日本からアジア各地に路線を拡げており、航空権益の拡大を巡り度々日本側との対立の火種となっていました。しかし現在はATI(独占禁止法の適用除外)を受けて運賃共通化やダイヤの調整などを行なっており、協力して他グループとの競争に対抗する方向になっており、以前のような会社間での対立は起こりにくくなっています。またアメリカ側の会社も合理化でアジア路線の直接運行を縮小する傾向にあり、その穴をANAやJALのアジア路線のコードシェアという形で埋めていますので、アメリカ路線の強化は日米の航空会社双方にとって願ったりな事です。

 

・・・まあ、日本側がアメリカ側に配慮した面もあるとは思いますが。

 

・日本の航空会社の割り当ての行方

では日米それぞれの割り当てはどうなるでしょうか。勝手に予想してみたいと思います。あくまでも個人の妄想なのでまともに取り合わないで下さいw

 

まず日本側ですが、前回は「8.10ペーパー」がまだ効力を持っており、傾斜配分でANA4便、JAL2便とANAに有利な配分になりました。しかしその「8.10ペーパー」は2017年3月末で終了しましたので、今回はその影響を受けない初めての配分となります。

恐らくANAは「JAL破綻時の過剰な公的支援の格差是正」JALは「前回の傾斜配分で不利になった羽田国際線の格差是正」を求め、自社に有利な配分を求めてくると思います。しかし私は「ANA6、JAL6」の双方折半な配分になる可能性が高いのではないかと思います。

すでに「8.10ペーパー」の失効後はANAへの優遇措置を行わないと国交省が明言していますし、今回JALに有利な配分をすれば暗に傾斜配分が間違いだったと国交省が認めたようなものですから、1便でもどちらか片方に有利な配分を行うとしこりが残ります。少なくとも今回は双方同じ便数でバランスを取るのではないでしょうか。

 

ちなみに、ANAとJAL以外の会社に配分される可能性はないでしょう。理由は簡単。長距離国際線を飛ばす体力も、その気もないであろうからです。但し、近距離国際線はスカイマーク、スターフライヤー、ソラシドエアは意欲を見せているので、これらの会社に近隣国の枠が配分される可能性はあると思います。

 

・アメリカの航空会社の割り当ての行方

前回(2016年)の配分は昼間枠5(うち4枠は早朝深夜枠からの移行)、早朝深夜枠1の合計6枠でしたが、この時はデルタが昼間枠2、ハワイアンが昼間枠と早朝深夜枠各1、ユナイテッドとアメリカンが昼間枠1でした。

気になる各社への割り当てですが、ユナイテッドとアメリカンについては日本側にそれぞれANAとJALが提携相手として存在する一方、デルタだけが日本側のパートナーがいないことを考えると、前回同様デルタに多めに配分されるのではないかと思います。またハワイアンに関しては基本ハワイ路線のみの運航である事や、JALとコードシェアを開始した事、前回の配分でデルタ同様優遇された事を考えると、今回の配分はなしか、割り当てがあってもせいぜい1枠位なのではないかと思います。

問題はどの会社に何枠割り当てられるかですが、デルタの出方次第ではないかと思います。と言うのも近年デルタは成田路線の縮小を進めており、現在はアトランタ、デトロイト、シアトル 、ポートランド、ホノルル、マニラ、シンガポールの7路線週47便のみ。前回の配分ではアメリカ路線だけ配分が先送りにされましたが、これもデルタが成田路線の羽田移転という到底無理な要求をしていたのも一因です。

デルタにしてみれば成田ハブは自社のアジア地域の拠点であり、重要拠点でしたが、日本側に提携航空会社が存在しない事や、羽田路線が充実すれば自社の成田ハブが不利になるなど、羽田路線の拡充は決して喜ばしいものではありませんでした。2011年には週196便を飛ばしていたのが近年はアジア路線の直行化と、大韓航空との提携強化によるソウル路線強化で成田路線は減少の一途を辿っています。

 

しかし、今の縮小した状態かつ今回の羽田発着枠の大幅配分はデルタにとってはハブ機能の羽田移転の絶好のチャンスと言えます。6〜7便程度なら発着枠の配分は十分可能ですし、既存の羽田〜ロサンゼルス・ミネアポリス線と合わせれば十分ハブ機能は維持できます。できればこのタイミングでスカイマークあたりと提携できれば国内線との連携が取れて双方メリットがあると思いますが、まあANAが許さないでしょうね・・・

 

言い換えれば今回の配分がデルタを日本市場に繫ぎ止める最後のチャンスになるかも知れません。今回の配分でデルタに不利な配分になれば、デルタは日本市場を見限り、最低限の路線以外は撤退してしまうかも知れません。関西〜シアトル線の開設など、日本路線拡充をまだ諦めていないデルタ。ノースウェスト航空以来半世紀以上続く日米航空路線の一角をこのまま撤退させるのは日本にとってもプラスにはならないと思います。是非今回の配分が日米双方にプラスになるよう、知恵を絞っていい方向に向かえば良いですね。

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お知らせと今後の動画投稿の方針について

既にツイッターでご存知の方もおられるかと思いますが、2月6日(水)に私のYouTubeメインチャンネル「迷航空会社列伝」が「繰り返しの多いコンテンツ」と判定され、収益化無効になりました。ここしばらく私と同じようなゆっくり解説系のチャンネルが収益化はく奪されていたので、遂に私のところにも来てしまったか、と言う思いです。

 

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通知が来たあと、私なりに色々調べてみました。推測ではありますが、はく奪の理由となったガイドラインの「繰り返しの多いコンテンツ」の詳細の中の

 

・「第三者のコンテンツを合成音声が読み上げたもの、または意味を成さないコンテンツ」のうちの「合成音声」

・「説明、解説、教育的価値が最小限または全くない画像スライドショーやスクロールテキスト」のうちの「画像スライドショー」

 

のいずれか、あるいは両方がAIに引っかかったのではないかと思います。合成音声、いわゆるゆっくりボイスを使用していたチャンネルが軒並み収益化無効になっている事、また映像中心の構成になっているチャンネルはゆっくりボイス仕様でも今のところ収益化無効にはなっていないケースが多いのがそう考える根拠です。もっとも、画面が動くけど実写でないチャンネルが収益化無効になっているケースもあるので、映像と言っても実写であるのが条件なのかなと思います。

私がベンチマークにしている「しくじり企業」のカカチャンネルさんも収益化無効になってしまってますが、実写の比率を増やすことで再審査に対応する方針の様です。

 

www.cakaricho.com

 

また、収益化無効が原因で投稿を辞めてしまったチャンネルも出て来ました。マインクラフトでおしゃれな建築物を建てるゲーム実況動画をアップしている「おしゃクラ」のnachanmicragoさんも収益化無効になり、この度チャンネル継続を断念して最終回をアップしました。正直言うと私がこのチャンネルを知ったのは収益化無効に関する情報を探していた時で、実際に動画を見たのはついさっきなのですが、私なんかよりもよっぽど素晴らしい内容と編集で、視聴者の方も心からこのチャンネルの事が好きな人が多いんだなと言うのがコメント欄からもうかがえました。

www.youtube.com

 

今回収益化無効が多発したのは、某大規模掲示板の内容を文字だけスクロールさせる、いわゆる「文字スクロール動画」の排除の一環だと思います。先月更新されたガイドラインの「繰り返しの多いコンテンツ」の欄の内容を読む限りでは、この類の動画を収益化から外すのが目的なのではないかと思います。

しかし、「本当に人の目で確認したのか」という思いはあります。広告を外されたゆっくりボイス系のチャンネルは多いですが、その一方で文字スクロール系の動画はしっかり広告が付いているケースも多いです。上記のおしゃクラについてもこれだけ良い内容で、ファンの人も多くついている良質なコンテンツであることは一度確認すれば分かるはずなのに、収益化の再申請も音沙汰なしの様でやるせない気持ちです。

 

・今後の動画投稿の方針について

今回の件で色々と思う所はあるのですが、今までの私の動画が「静止画+ゆっくりボイス」という特徴に欠けるものだったのも事実ですし、内容を重視して動画の構成やクオリティを二の次にしてきたのも今回の事態を招いた原因だったのかなと思います。

幸い、サブチャンネルの方の「東海道交通戦争」は今のところ収益化無効にはなっていませんので、そちらの方からクリエイターサポートチームに今回の件と、再申請が必要と判断された場合何が原因だったのかの問い合わせを行いました。最終的にはその返答を待ってからになりますが、今後の動画についての方針は以下のようにするつもりです。

①メインチャンネル「迷航空会社列伝」について

収益化ありきで動画を作っていたわけではありませんが、「基準を満たしていない」と判断された以上、今まで通りの動画投稿は難しくなります。よってメインチャンネルでの「迷航空会社列伝」シリーズの投稿は収益化問題が解決するまで一旦見合わせます。現在投稿中の「東急の空の夢」シリーズは制作を続けますが、当面はニコニコ動画のみの投稿にする予定です。YouTubeへの投稿は収益化問題が解決し、実写映像の挿入など対策を施した修正版の準備ができてからにします。

また、再審査対策として実写映像中心の動画を制作する予定です。恐らく旅動画的な内容になるのかなと思います。現在アップしている「迷航空会社列伝」についても実写映像を挿入した修正版に差し替える必要があるかも知れません。今後の状況により流動的な部分は多いですが、実写映像の比率を増やしたり、場合によっては生声での動画作成もしないといけないかも知れません。

 

②サブチャンネル「東海道交通戦争」について

今のところサブチャンネルに関しては収益化無効の対象になっていないので、「東海道交通戦争」については今まで通り投稿する予定です。但しこちらも実写映像を挿入する割合が増えてくると思います。正直、素材を撮るにしても映像より写真を撮って対応する方が技術的にも編集的にも楽なのですが、そのやり方がダメとなると、面倒でも実写映像で対応するしかありません。今手持ちの実写映像を洗い出していますが、写真メインで撮っていたから映像自体が少ない上に使えるのはさらに少ないです・・・これは一度映像撮りに行かないといけないかな・・・

また、年始で触れていた東海道交通戦争完結後の新シリーズについても全面的な見直しが必要になるでしょう。映像に関しては実写映像で対応できますが、音声については複数キャラクターによる掛け合いを想定していたので、合成音声がダメとなるとやり方を一から考え直す必要があります。こういうのは生声では限界があるんですよね・・・裏声使うにも限度がありますしw

 

 

いずれにせよ、今のままのスタイルでの投稿継続は難しいと思いますので、ある意味やり方を変えるいい機会だったのかと思います。これを機会に自分なりに対処方法や動画の改善方法を模索してみようと思います。

私の動画を楽しみにして頂いてる皆様には本当に申し訳ないのですが、動画を作るにしても資料代や素材集めのための交通費や機材費、制作(特に原稿作成)の時間をかけている以上、YouTubeからの収益が支えになっていた部分が大きく、それが無くなると今まで通り動画制作に時間とお金をかける事が出来なくなってしまいます。自分勝手なのは承知の上ですが、できる限り皆様へのご迷惑を最小限に抑えるよう努力するつもりですし、動画制作を辞めるつもりはありません。何とか事態打開の為に動きたいと思いますので、どうかしばらく、ご協力の程よろしくお願いします。